「未経験から経理に転職できるのか」「難しいと聞くけれど、何を準備すればよいのか」——営業や販売、事務などから経理を目指す方が、最初に抱く不安です。経理は専門職のイメージが強く、未経験では入りづらいと感じる方も少なくありません。
この記事では、未経験から経理への転職が可能かという現実を整理したうえで、必要な準備、入りやすい求人の選び方、そして転職の進め方を、会計実務の視点から解説します。漠然とした不安を、具体的な行動に変えるための手がかりとして読んでいただければと思います。
未経験から経理への転職は可能か
結論から言えば、未経験からの経理転職は可能性があります。ただし、誰でも簡単に、というわけではなく、準備と求人選びが鍵になります。
「難しい」と言われる理由
経理は専門知識を要する職種で、即戦力の経験者が優遇される場面が多くあります。特に決算期前など求人が増える時期は、経験者との競争になりやすく、未経験では通過しにくいことがあります。これが「難しい」と言われる背景です。
それでも可能性がある理由
一方で、未経験を歓迎する求人も一定数あります。特に20代や、簿記の学習をしている方、営業事務・一般事務などで数字や請求業務に触れた経験がある方は、評価されやすい傾向があります。経理に求められる仕事の内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」でも確認でき、前職の経験を結びつけられる部分は意外と多くあります。
未経験から経理に必要な準備
未経験からの転職では、事前の準備が通過率を大きく左右します。次の準備を進めておきましょう。
| 準備項目 | 内容 |
|---|---|
| 簿記の学習 | 日商簿記3級→2級で会計の基礎を固める |
| Excelスキル | 関数・ピボットテーブルなどのデータ処理 |
| 会計ソフトの知識 | freee・マネーフォワードなどの基礎理解 |
| 応募書類の準備 | 志望動機・職務経歴書で意欲と適性を示す |
簿記の学習(3級→2級)
まず取り組みたいのが日商簿記です。日商簿記は商工会議所が主催する検定で、3級は商業簿記の基礎、2級は商業簿記+工業簿記が出題されます(2026年時点。詳細は商工会議所の検定試験で確認できます)。簿記の学習は、知識の証明であると同時に、意欲のアピールにもなります。簿記が転職でどう評価されるかは簿記は転職に有利?経理転職で評価される級と活かし方で詳しく解説しています。
Excel・会計ソフト
経理はExcelを多用するため、関数やピボットテーブルなどの基本操作に慣れておくと有利です。クラウド会計ソフトの基礎を知っておくことも、即戦力性のアピールにつながります。
応募書類の準備
未経験では、「なぜ経理なのか」と「いま取り組んでいる準備」を書類で具体的に示すことが重要です。書き方は未経験から経理を目指す志望動機の書き方を参考にしてください。
入りやすい求人の選び方
未経験からの転職では、求人選びがとても重要です。「未経験可」「未経験歓迎」「教育体制あり」「アシスタント募集」といった条件の求人を選ぶことで、入口のハードルを下げられます。
求人の時期にも傾向があります。3月決算の企業が多いため、その前の時期は求人が増える一方で経験者が優遇されやすく、未経験では競争が厳しくなりがちです。繁忙期が落ち着く時期に、未経験歓迎の求人を狙うという考え方もあります(時期や状況は企業によって異なります)。
求人票だけでは業務内容や教育体制が分かりにくいこともあるため、経理に特化した転職エージェントに相談し、未経験でも応募しやすい求人を紹介してもらう方法もあります。
未経験から経理転職を進めるステップ
進め方を整理すると、次のような流れになります。
まず、簿記の学習を始め、基礎を固めます。並行して、これまでの仕事で数字に触れた経験を棚卸しし、志望動機の材料を整理します。次に、未経験歓迎の求人を中心に応募先を選び、志望動機・職務経歴書を準備します。面接では、「なぜ経理か」と準備状況を具体的に伝えられるようにしておきます。面接対策は経理の面接でよく聞かれる質問と回答例も参考になります。
未経験から経理に向いている人・差がつくポイント
未経験でも、経理に向いている素養や、前職の経験を活かせる場面は多くあります。自分の強みを意識すると、アピールの方向が定まります。
経理は、数字を正確に扱う力、コツコツと作業を積み上げる姿勢、期限を守る責任感が活きる仕事です。営業事務での請求業務、販売職での売上・在庫管理、一般事務でのデータ入力など、前職で数字や正確さに関わった経験は、いずれも経理に通じます。こうした経験を「経理でどう活かせるか」に翻訳して伝えられると、未経験でも説得力が生まれます。
差がつくポイントは、準備の具体性です。「経理に興味がある」だけでなく、簿記を学習している、会計ソフトに触れている、といった行動を伴う準備があると、本気度が伝わります。また、未経験者を受け入れる企業は教育体制を重視するため、「学ぶ姿勢」と「長く腰を据えて取り組む意欲」を示すことも効果的です。年齢が上がるほど採用ハードルは上がる傾向がありますが、前職のマネジメント経験や数字の管理経験を活かせる場合もあり、一律の線引きはありません。
まとめ
未経験からの経理転職は、準備と求人選びしだいで可能性が開けます。次のポイントを意識して進めましょう。
- 簿記3級→2級の学習で会計の基礎と意欲を示す
- Excel・会計ソフトの基礎を押さえ、即戦力性をアピールする
- 「なぜ経理か」と準備状況を書類・面接で具体的に伝える
- 「未経験歓迎」「教育体制あり」の求人で入口のハードルを下げる
- 求人の時期や傾向を踏まえ、無理のないタイミングで動く
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よくある質問
Q. 未経験でも経理に転職できますか?
A. 可能性はあります。特に20代や、簿記の学習をしている方、営業事務などで数字に触れた経験がある方は評価されやすい傾向があります。未経験歓迎の求人を選び、簿記の学習や応募書類の準備を進めることが、可能性を高めるポイントです。
Q. 未経験から経理を目指すなら、まず何をすべきですか?
A. 日商簿記3級・2級の学習から始めるのが一般的です。簿記は経理の共通言語であり、学習していること自体が意欲のアピールになります。並行して、未経験歓迎・アシスタント募集の求人を確認し、入りやすい入口を探すとよいでしょう。
Q. 未経験の経理転職に、簿記は必須ですか?
A. 必須ではない求人もありますが、簿記の学習は強くおすすめします。基礎知識の証明になるだけでなく、学ぶ姿勢そのものが評価につながります。まずは3級から始め、2級まで取得できると応募できる求人の幅が広がる傾向があります。
Q. 未経験の経理転職に有利な時期はありますか?
A. 3月決算の企業が多いため求人の増減には傾向がありますが、未経験の場合は経験者との競争が激しい時期を避け、未経験歓迎の求人が出るタイミングを狙う考え方もあります。時期は企業によって異なるため、エージェントに相談して見極めるのも有効です。
この記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗、およびキャリアアドバイザーの鳥羽友利絵が監修しています。
最終更新日: 2026年6月25日