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有限会社は設立できない?廃止の理由と今から選ぶべき会社形態を解説

会社設立
有限会社は設立できない?廃止の理由と今から選ぶべき会社形態を解説

これから起業を検討されている方の中には、「昔ながらの信頼感がある有限会社を作りたい」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論からお伝えすると、2026年現在、新しく有限会社を設立することは不可能です。2006年の法律改正によって、有限会社という制度自体がすでに廃止されているからです。

では、なぜ今でも街中で有限会社という看板を掲げた企業を見かけるのでしょうか。また、これから会社を作る方は、どの形態を選べばかつての有限会社のようなメリットを享受できるのでしょうか。
本記事では、実務的な視点から有限会社の現状と、今選ぶべき最適な会社形態について詳しく解説します。

有限会社とは、2006年に廃止された会社形態

会社形態の変化

かつて小規模なビジネスに適した形態として親しまれてきた有限会社ですが、2006年5月の会社法施行に伴い、現在は新しく設立することができなくなりました。

廃止の決定的な理由は、株式会社の設立ルールが大幅に緩和されたことにあります。以前は株式会社を作るのに1,000万円、有限会社でも300万円という最低資本金が必要でしたが、現在は資本金1円から、取締役も1名だけで株式会社が設立できるようになりました。つまり、あえて小規模専用の有限会社という枠組みを残しておく必要がなくなったのです。

特例有限会社とは

今でも有限会社を名乗っている企業は、法改正よりも前に設立され、現在もそのままの名称で存続している会社です。これらは法律上「特例有限会社」と呼ばれます。

法律上、特例有限会社は「株式会社として存続するもの」とみなされています。商号(社名)の中に「有限会社」という文字を使い続ける義務はありますが、実質的なルールは現在の株式会社の仕組みに準じています。新しく作ることはできませんが、当時の特例を引き継いだまま運営されている形態です。

特例有限会社として存続するメリット

既存の企業が株式会社へ移行せず、あえて有限会社のまま存続させているのには、実務上の大きな利点があるからです。

最も大きなメリットは、役員の任期に制限がないことです。株式会社の場合、取締役の任期は最長でも10年であり、その都度「重任登記」という手続きと登録免許税の支払いが発生します。
特例有限会社はこの手続きが不要なため、手間とコストを抑えることができます。創業20年以上の「歴史ある会社」という無言の信頼を取引先に与えられる点も、見逃せないメリットです。

特例有限会社として存続するデメリットと注意点

一方で、事業を拡大しようとする際にはいくつかの制約が生まれます。

特例有限会社は、他社を吸収合併する際の存続会社になることができません。また、株式の公開や上場も不可能です。もし将来的に会社を大きく成長させたいのであれば、どこかのタイミングで株式会社への組織変更を検討する必要があります。

ここで最も注意すべきなのは、一度株式会社や合同会社へ組織変更をしてしまうと、二度と有限会社に戻すことはできないという点です。社名の響きや歴史的価値を大切にしたい場合は、変更前に慎重な判断が求められます。

有限会社の代わりに新設できる会社形態

株式会社と合同会社の比較

有限会社が新設できない今、会社を作る際の選択肢は株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つです。しかし、実務上は株式会社か合同会社のどちらかを選ぶのが一般的です。

信頼性と知名度を重視するなら「株式会社」

現在、日本で最もポピュラーな会社形態です。設立時には公証役場での定款認証費用や登録免許税など、合計で約20~25万円の費用がかかります。

初期コストは高めですが、対外的な信用力は圧倒的です。将来的に外部から出資を受けたい、あるいは上場を目指したいという場合は、株式会社一択となります。また、大手企業との取引や採用活動においても、株式会社という名称が有利に働くケースが多いのが現実です。

株式会社の設立方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
会社設立の流れを5ステップで解説!費用やメリット、失敗しないための注意点も紹介

費用を抑えて自分たちで経営するなら「合同会社」

2006年の法改正で新しく登場した形態で、かつての有限会社に近い使い勝手を持っています。設立費用は、電子定款を利用すれば約6万円から、紙の定款の場合は約11万円前後が目安です。株式会社に比べて登録免許税が安く、公証役場での定款認証も不要なため、初期コストを大幅に抑えられます。

さらに、合同会社は出資比率に関わらず、利益の配分を自由に決められるという柔軟性があります。お金を出した人よりも技術やノウハウを提供した人に多く配当を出すといった運用ができるため、少人数のプロフェッショナル集団や家族経営に適しています。

合同会社の設立方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【2025年版】合同会社設立の流れを6ステップで解説!最短・最安で「失敗しない」手順書

注意が必要な「合資会社」と「合名会社」

残り2つの合資会社と合名会社は、現在の起業ではあまり選ばれません。

最大の理由は、経営者が無限責任を負うリスクがあるためです。株式会社や合同会社は、会社が倒産しても出資額以上の責任を負わない有限責任ですが、合資・合名会社は個人資産を投げ打ってでも負債を返済する義務が生じます。現代のビジネス環境において、あえてこのリスクを背負う合理的な理由はほとんどありません。

株式会社と合同会社を選ぶ判断基準

どちらの形態にするか迷った際は、以下の3つのポイントを基準に考えてみてください。

取引先や採用への影響で選ぶ

BtoB(法人向け)のビジネスで、とくに保守的な大手企業や官公庁と取引をする予定があるなら、株式会社の方がスムーズです。また、新卒採用や中途採用を積極的に行い、組織を大きくしていきたい場合も、知名度の高い株式会社の方が安心感を与えられます。

設立費用とランニングコストで選ぶ

まずは低コストでスモールスタートしたいなら、合同会社が向いています。設立時の費用差だけでなく、合同会社には決算公告の義務がありません。株式会社が毎年官報に掲載する場合、年間約7万円程度のコストがかかりますが、合同会社ならこれを永続的にゼロにできます。

意思決定のスピードと自由度で選ぶ

合同会社は、定款で組織のルールをかなり自由に設計できます。株主総会のような厳格な手続きを省略し、出資者同士の話し合いでスピーディーに経営方針を決めたい場合は、合同会社の身軽さが大きな武器になります。

よくある質問(FAQ)

Q.今ある有限会社を株式会社に変更することはできる?

A.手続き(商号変更)によって可能です。定款を変更し、法務局で登記申請を行うことで株式会社へ移行できます。移行にかかる費用は、登録免許税などで合計数万円程度が目安です。ただし、一度変更すると二度と「有限会社」には戻せないため、慎重に検討しましょう。

Q.合同会社から株式会社へ後で変更することは可能?

A.はい、可能です。実際に「まずは合同会社で安く設立し、売上が安定して信頼性が必要になった段階で株式会社に組織変更する」というステップを踏む起業家の方も多くいらっしゃいます。多少の手続き費用はかかりますが、合理的な選択肢といえます。

Q.合同会社は社会的信用が低いって本当?

A.株式会社に比べると認知度が低いという面は否めませんが、実務上で困ることはほとんどなくなっています。たとえば、日本のAmazonやAppleなどはすべて合同会社です。事業内容がしっかりしていれば、形態だけで信用を失う心配は過度に持たなくて大丈夫です。

まとめ

有限会社を新設することはできませんが、その精神やメリットは合同会社や、要件が緩和された株式会社に引き継がれています。コストを優先するのか、それとも将来の拡大や信用を優先するのか。ご自身のビジネスモデルに最も適した形を選ぶことが、起業成功の第一歩です。

合同会社や株式会社の具体的な設立手順や、登記に必要な書類の準備については、以下の記事でステップごとに詳しく解説しています。

【2025年版】合同会社設立の流れを6ステップで解説!最短・最安で「失敗しない」手順書
会社設立の流れを5ステップで解説!費用やメリット、失敗しないための注意点も紹介
【完全版】会社設立の必要書類リスト|株式会社・合同会社別のチェックリストと入手方法

リーパル会計事務所では、起業家の皆様がどの会社形態を選ぶべきか、将来の展望を踏まえた最適なアドバイスを行っています。ご自身の状況でどちらが良いか迷われている方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

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