未経験から経理を目指すとき、「経理の経験がないのに、志望動機に何を書けばいいのか分からない」と悩む方は少なくありません。実務経験がないぶん、経験者とは違う視点で動機を伝える必要があり、ここでつまずく方が多いのが実情です。
この記事では、未経験者の経理志望動機で採用担当が見ているポイントを整理したうえで、説得力のある志望動機を組み立てる3ステップ、前職別の例文とNG例、簿記学習の伝え方や入りやすい求人の選び方までを、会計実務の視点から具体的に解説します。経理経験者向けの基本的な考え方は経理の転職で評価される志望動機の書き方も参考にしてください。
未経験の経理志望動機で採用担当が見ているポイント
未経験者の場合、採用担当は実務スキルそのものよりも、「なぜ経理を選ぶのか」「長く続けてくれそうか」「いま何を準備しているか」を見ています。経験がない不安を埋めようと資格や熱意だけを並べるのではなく、次の3点を意識すると伝わりやすくなります。
「なぜ経理なのか」がもっとも重要
未経験採用で採用担当が最初に気にするのは、数ある職種のなかでなぜ経理を選んだのかという点です。「安定していそう」「事務職に就きたい」といった漠然とした理由ではなく、経理という仕事のどこに魅力を感じたのかを、自分の経験に結びつけて具体的に語ることが大切です。
現時点の準備(簿記学習)と熱意
未経験であっても、いま取り組んでいる準備を示すことで本気度が伝わります。日商簿記の学習はその代表例です。日商簿記は商工会議所が主催する検定で、3級は商業簿記、2級は商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)から出題されます(2026年時点。詳細は商工会議所の検定試験で確認できます)。簿記は経理の共通言語であり、学習していること自体が意欲のアピールになります。
前職の経験をどう翻訳するか
完全な未経験に見えても、数字に触れた経験は意外と多くあります。請求書の発行、売上データの管理、在庫や予算の管理などは、経理に通じる経験です。経理に求められる仕事の内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」でも確認でき、前職の経験を経理の業務に翻訳して伝えると、ゼロからのスタートではないと示せます。
未経験の志望動機の組み立て方(3ステップ)
未経験の志望動機は、次の3ステップで組み立てると、熱意だけに偏らない説得力のある内容になります。
| ステップ | やること | 未経験ならではのポイント |
|---|---|---|
| 1. きっかけ | 経理に興味を持った理由を言語化 | 前職の業務や具体的な体験に結びつける |
| 2. 経験の棚卸し | 数字に触れた経験を洗い出す | 請求・売上管理など経理に通じる経験を探す |
| 3. 入社後の意欲 | どう貢献し成長したいか | 簿記学習など準備中の取り組みを添える |
ステップ1:経理に興味を持ったきっかけを言語化する
まず、なぜ経理に興味を持ったのかを掘り下げます。前職で請求業務に関わるうちに数字を正確に扱う面白さを感じた、会社の数字を支える仕事に挑戦したいと思った、など具体的な体験に結びつけると説得力が増します。
ステップ2:数字に触れた経験を棚卸しする
次に、これまでの仕事のなかで数字に関わった経験を書き出します。請求書発行、売上・経費の管理、データ入力の正確さなど、経理に通じる経験は必ずアピール材料になります。
ステップ3:入社後の意欲と準備を示す
最後に、入社後にどう貢献し成長したいかを示します。簿記の学習状況など、いま進めている準備を添えると、入社後の伸びしろが伝わります。書類全体の整え方は経理の職務経歴書の書き方もあわせて確認しておくと安心です。
【例文】前職別の志望動機例とNG例
ここでは、概念的なケースに沿って志望動機の例を示します。実際の文章は、自分の経歴と応募先に合わせて調整してください。
営業事務から経理を目指す20代のケースでは、次のような構成が考えられます。
現職の営業事務では、請求書の発行や売上データの管理を担当し、数字を正確に処理することにやりがいを感じてきました。より専門的に会社の数字を支える仕事に挑戦したいと考え、現在は日商簿記2級の取得に向けて学習を進めています。未経験ではありますが、これまで培った正確さと簿記の知識を土台に、一日も早く戦力になれるよう努力したいと考えています。
販売・接客職から経理を目指すケースでは、日々の売上管理やレジ締めで数字を扱った経験を起点にし、「正確に数字を合わせる仕事の大切さを実感し、経理として深く関わりたい」という流れが考えられます。
よくあるNG例とその理由
| NG例 | なぜ評価されにくいか |
|---|---|
| 「手に職をつけたいので経理を志望します」 | 経理を選んだ具体的な理由が見えない |
| 「数字を扱うのが好きだからです」 | 適性の説明にとどまり、準備や熱意が伝わらない |
| 「未経験なので一から教えてほしいです」 | 受け身の姿勢が前面に出て、主体性が感じられない |
未経験の志望動機でよくある失敗と求人選び
ひとつ目の失敗は、熱意だけで具体性がないことです。「頑張ります」だけでなく、簿記学習や前職の経験という裏づけを添えましょう。
ふたつ目は、受け身の表現です。「教えてもらう」前提ではなく、自分から学び貢献する姿勢を示すことが大切です。
みっつ目は、求人選びのミスマッチです。未経験から経理を目指す場合は、未経験歓迎・アシスタント募集の求人を選ぶことで、入口のハードルを下げられます。求人票で「未経験可」「教育体制あり」といった条件を確認しましょう。面接で問われる内容は経理の面接でよく聞かれる質問で準備しておくと安心です。
なお、未経験からの転職は年齢が上がるほど採用ハードルが上がる傾向がありますが、前職の経験を活かせる場合もあり、一律の線引きはありません。応募先が求める要件との相性を見極めることが大切です。
まとめ
未経験の経理志望動機は、「なぜ経理か」と「いま何を準備しているか」を具体的に示すことが評価につながります。次のポイントを意識してみてください。
- 経理に興味を持ったきっかけを、前職の体験に結びつけて語る
- 請求・売上管理など、数字に触れた経験を棚卸しする
- 簿記の学習状況など、現時点の準備を添える
- 受け身ではなく、自分から学び貢献する姿勢を示す
- 未経験歓迎・教育体制ありの求人を選び、入口のハードルを下げる
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よくある質問
Q. 未経験で経理の経験がなく、志望動機に書くことがありません。どうすればよいですか?
A. まずは「なぜ経理に興味を持ったのか」を掘り下げ、前職で数字に触れた経験を棚卸しすることから始めます。請求書の発行や売上管理など、経理に通じる経験は意外と多くあります。そこに簿記の学習状況を加えると、経験がなくても説得力のある志望動機になります。
Q. 未経験の志望動機に簿記は書いたほうがよいですか?
A. 書くことをおすすめします。簿記の学習は、経理への意欲と基礎知識を示す材料になります。「日商簿記2級を学習中」と現状を具体的に書き、学んだ知識を実務にどう活かしたいかまで添えると、本気度がより伝わります。
Q. 何歳まで未経験から経理に転職できますか?
A. 年齢が上がるほど未経験での採用ハードルは上がる傾向がありますが、前職の数字管理やマネジメントの経験を活かせる場合もあります。一律の線引きはなく、応募先が求める要件との相性によります。未経験歓迎の求人を選ぶことが、可能性を広げるポイントです。
Q. 未経験から経理を目指すなら、まず何から始めればよいですか?
A. 日商簿記3級・2級の学習から始めるのが一般的です。簿記は経理の共通言語であり、学習そのものが意欲のアピールになります。並行して、未経験歓迎・アシスタント募集の求人を確認し、入りやすい入口を探すとよいでしょう。
この記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗、およびキャリアアドバイザーの鳥羽友利絵が監修しています。
最終更新日: 2026年6月24日