経理未経験で応募し、書類が通って面接の連絡が来たとき、「実務経験がないのに何を話せばよいのか」と不安になる方は多いものです。経験者であれば担当した決算範囲を語れますが、未経験の場合はその軸が使えません。
ただ、未経験者の面接で採用担当が見ているのは、実務経験そのものではありません。この記事では、経理未経験の転職面接で実際に聞かれやすい質問を、面接官の意図とあわせて整理します。前職の経験をどう接続するか、簿記の学習状況をどう伝えるか、経験不足を正直に伝えながら評価されるにはどうするかを、具体的にお伝えします。
未経験者の面接で採用担当が見ている3つの観点
未経験歓迎の経理求人で採用側が確かめたいのは、入社後に育っていける人かどうかです。判断の材料は、大きく次の3つに分かれます。
| 観点 | 具体的に見られること | 面接での示し方 |
|---|---|---|
| 意欲の裏づけ | 経理を目指すために何を始めているか | 簿記の学習状況を進捗つきで伝える |
| 経験の接続 | 前職に数字やお金を扱う経験があるか | 請求・入出金・データ管理などを具体的に |
| 仕事への適性 | 正確性、地道さ、確認する習慣があるか | 前職でミスを防いだ工夫を事実ベースで |
なお、経験者に対して問われる決算範囲や業務効率化の質問は、未経験の選考ではほとんど出ません(経験者向けの想定質問は経理の面接でよく聞かれる質問と回答例にまとめています)。未経験の応募者は、経験者と同じ土俵で比較されているわけではありません。「今できること」ではなく「入社後どこまで伸びそうか」を見られていると考えると、話す内容を組み立てやすくなります。
経理という仕事の中身を理解しているかも見られる
未経験の応募でよくあるずれが、経理の仕事を「デスクで数字を入力する仕事」とだけ捉えているケースです。実際には、日々の記帳や支払いの管理から、月次・年次の決算、経営数値の報告までが職務に含まれます。厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(経理事務)では、経理事務の仕事内容や求められる知識が公的に整理されています。面接の前に一度目を通しておくと、仕事の全体像を踏まえた受け答えができます。
未経験の経理面接で聞かれやすい質問と答え方
| 質問 | 面接官の意図 | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| なぜ経理を目指そうと思ったのですか | 動機の一貫性と本気度 | きっかけ→調べたこと→目指す理由の順で |
| 簿記の学習はどこまで進んでいますか | 意欲の裏づけと基礎知識 | 級・学習期間・受験予定を具体的に |
| 前職の経験で経理に活かせることは何ですか | 接続点の有無 | 数字・お金に触れた業務を挙げる |
| 経理の仕事は地味な作業も多いですが大丈夫ですか | 適性と覚悟の確認 | 前職で継続した地道な業務を事実で |
| 未経験で不安なことはありますか | 自己認識の正確さ | 不安と、それへの対処をセットで |
| 入社後どのように成長していきたいですか | 育成イメージとの一致 | 月次から年次へ広げる順序で語る |
「なぜ経理か」は、きっかけと調べた事実をつなぐ
この質問への回答が抽象的だと、他の職種でもよいのではないかと受け取られます。「数字が好きだから」だけで止めず、前職で数字に触れた場面、そこで感じたこと、経理について調べて分かったことを順につなぐと、動機に厚みが出ます。志望動機の型と例文は未経験から経理を目指す志望動機の書き方で詳しく扱っています。書類で書いた内容と面接で話す内容は、事前に揃えておきます。
簿記の学習状況は「進捗」で答える
日商簿記は経理の共通言語であり、未経験者にとっては意欲を客観的に示せる数少ない材料です。試験制度や出題区分は年度によって見直されるため、受験を予定している場合は主催団体である日本商工会議所の簿記検定ページで最新の内容を確認しておくと安心です(2026年時点では、統一試験に加えてネット試験方式が実施されています)。
面接では、取得済みの級だけでなく、学習期間、いま取り組んでいる範囲、次の受験予定まで伝えると、継続する姿勢が伝わります。まだ3級を学習中の段階であっても、「工業簿記に入ったところです」と具体的に言えると、学習が実態を伴っていることが示せます。資格がどこまで評価されるかは簿記は転職に有利?経理転職で評価される級と活かし方で整理しています。
前職の経験は「数字とお金」で棚卸しする
未経験といっても、まったく数字に触れずに働いてきた人は多くありません。次のような業務は、経理の入口の仕事と接点があります。
- 請求書の発行、売上の集計、入金の消し込み
- 経費精算の申請・確認、小口現金の管理
- 在庫や原価に関わるデータの集計
- Excelでの集計表・管理表の作成と更新
- 期日管理が伴う定型業務の運用
これらを「担当していました」で終わらせず、件数・頻度・使ったツールを添えると、実務の想像がつく話になります。営業事務や一般事務からの転職で活かせる経験の整理は、一般事務から経理への転職|活かせる経験と準備3ステップもあわせてご覧ください。
経験不足をどう伝えるか
知らないことは正直に伝える
面接で知らない業務について聞かれたとき、曖昧にごまかすのは避けたほうが賢明です。経理は正確性が重視される職種であり、わからないことをわからないと言える姿勢そのものが評価の対象になります。「その業務は経験がありませんが、学習で仕組みは学んでいます」「入社後に教えていただきながら覚えたいと考えています」と伝えるほうが、結果的に信頼につながります。
入社後に任せられる業務の前提が変わるため、できることを大きく見せると、配属後に双方が苦しむことになります。
「未経験だからこそ」の言い方は避ける
「未経験だからこそ柔軟に吸収できます」といった言い回しは、未経験であることを強みに転じようとする表現ですが、実務の裏づけがないため説得力を持ちにくい傾向があります。それよりも、前職で地道な業務を継続した事実や、ミスを防ぐために取っていた確認の手順を具体的に語るほうが、経理の適性として伝わります。
年齢への不安も、事実ベースで
30代以降で未経験から経理を目指す場合、年齢を懸念されることがあります。この場合も、年齢そのものを弁明するより、前職のマネジメント経験や部門横断の調整経験など、若手にはない強みを示すほうが噛み合います。年代別の現実的な進め方は30代・未経験から経理に転職できる?で整理しています。
未経験者の逆質問と、面接後にできること
逆質問は、意欲を示すと同時に、入社後のミスマッチを防ぐ機会でもあります。未経験の場合は、育成の実態を確かめる質問が有効です。
- 入社後、最初に担当する業務はどのあたりになりますか
- 未経験で入った方は、どのくらいの期間でどの業務まで広がっていますか
- 経理部は何名体制で、どなたに教わる形になりますか
- 使用している会計ソフトと、月次決算の締め日を教えてください
待遇面の質問だけを重ねるのは避け、条件の詳細は内定提示後に確認するほうが整理しやすくなります。
面接後は、答えに詰まった質問と、面接官が深掘りしてきたテーマを書き留めておきます。未経験の選考では同じ観点が繰り返し問われるため、2〜3社分の記録が溜まると、準備すべき箇所がはっきりします。未経験から応募できる求人の見極め方は経理に未経験から転職するには?で扱っています。
まとめ:未経験の面接は「伸びしろ」を具体的に示す場
経理未経験の面接に向けて、準備の軸になるのは次の4点です。
- 簿記の学習状況を、級・期間・次の受験予定まで具体的に話せるようにする
- 前職で数字やお金に触れた業務を、件数や頻度とセットで棚卸しする
- 知らない業務は正直に伝え、学習中であることを添える
- 逆質問で、入社後に任される業務と教わる体制を確認する
未経験の転職は、応募先の選び方で結果が大きく変わります。教育体制のある求人か、いきなり決算を任される求人かは、求人票だけでは読み取りにくいことも多くあります。判断に迷うときは、経理の求人を見慣れた第三者に確認してもらう方法もあります。
Leapal Career は、経理職に特化した転職エージェントです。ご利用は完全無料。ご登録後、担当のキャリアアドバイザーがお電話で希望条件やキャリアの方向性をお伺いし、経理特化の知見であなたに合った求人をご提案します。未経験からの応募先選びや面接対策もサポートしますので、まずは公式LINEからお気軽にご相談ください。
→ Leapal Career に無料相談する(公式LINE)
よくある質問
Q. 簿記の資格がない状態で面接を受けても大丈夫ですか。
A. 応募自体は可能です。未経験歓迎の求人では、資格よりも学習に着手しているかどうかを見ている企業もあります。ただ、簿記3級の学習を始めていない状態では、意欲を示す材料が少なくなるのは事実です。面接までに時間があるなら、3級の出題範囲に目を通し、学習を始めた事実を話せる状態にしておくと有利に働くケースがあります。
Q. 経理未経験の面接で、実務テストが出ることはありますか。
A. 未経験歓迎の求人では、高度な実務テストが課されることは多くありません。ただ、簡単な仕訳の理解やExcelの基本操作を確認されることはあります。事前に案内があるのが一般的なため、案内内容を確認したうえで、簿記3級レベルの仕訳とSUM・VLOOKUPなどの基本関数を復習しておくと落ち着いて臨めます。
Q. 前職を短期間で辞めている場合、面接でどう説明すればよいですか。
A. 事実を伏せる必要はありませんが、前職への不満を並べる説明は避けたほうが無難です。在職期間中に取り組んだことと、そこから経理を目指すに至った経緯を順に説明すると、一貫性のある話になります。経理は定着を重視して採用する企業が多いため、長く働きたい理由を添えると納得感が生まれます。
Q. 面接で「経理は残業が多いが大丈夫か」と聞かれたら、どう答えるべきですか。
A. 経理は月次・年次の締めの時期に業務が集中しやすい職種です。繁忙期があること自体を理解している姿勢を示したうえで、対応できる範囲を正直に伝えるのが現実的です。無理に「いくらでも対応できます」と答えると、入社後に条件のずれが生じます。繁忙期の具体的な時期と残業時間の目安は、逆質問で確認しておくとよいでしょう。
この記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗、およびキャリアアドバイザーの鳥羽友利絵が監修しています。
最終更新日: 2026年9月17日