「税務署から税務調査の連絡が来た」「いつか調査が入るのではと不安だ」。税務調査は、多くの経営者にとって精神的な負担が大きいものです。しかし、調査の流れをあらかじめ知っておけば、過度に恐れる必要はありません。
本記事では、法人の税務調査の流れを、事前通知から終了までの全ステップで整理し、ペナルティの種類や備えのポイントまでを、2026年時点の情報で解説します。税務調査そのものの概要は税務調査とは?連絡が来た時の対応法から当日の流れまでもあわせてご参照ください。
税務調査とは?大半は「任意調査」
税務調査とは、申告内容が正しいかを税務署などが確認する手続きです。多くの中小企業に入るのは「任意調査」で、事前に日程を調整したうえで行われます(強制力を伴う査察=いわゆるマルサは、悪質な脱税が疑われる一部のケースに限られます)。2013年(平成25年)1月に施行された改正国税通則法によって、事前通知や調査終了時の手続きが法律上整備され、納税者の予測可能性が高まりました。調査の頻度は業種や規模によりますが、法人ではおおむね数年〜10年に一度程度が一つの目安です。どんな法人が対象になりやすいかは法人の税務調査はどのくらいの頻度で来る?対象になりやすい企業の特徴と対策で解説しています。
税務調査の流れ(5ステップ)
ステップ1:事前通知
任意調査では、原則として税務署から事前に電話などで連絡が入り、調査の日時・場所・対象となる税目・対象期間などが通知されます。顧問税理士がいる場合は、税理士を通じて通知されることが一般的です。都合が悪ければ、正当な理由があれば日程の調整を申し出ることもできます。
ステップ2:事前準備
通知を受けたら、調査対象期間の帳簿書類(総勘定元帳、請求書、領収書、契約書、通帳など)を整理して準備します。この段階で顧問税理士と打ち合わせ、指摘されそうな論点を事前に確認しておくことが重要です。準備の質が、調査当日の進み方を大きく左右します。
ステップ3:実地調査
調査官が会社を訪れ、帳簿の確認や経営者へのヒアリングを行います。中小企業の場合、実地調査は通常2日程度で行われることが多いです。調査官は、売上の計上時期、経費の妥当性、現金管理、在庫、人件費などを重点的に確認します。質問には正確に答え、分からないことはその場で推測で答えず、確認のうえ後日回答するのが安全です。
ステップ4:調査結果の説明・指摘
実地調査の後、調査官が帳簿や資料を精査し、後日、調査結果が説明されます。問題がなければ「申告是認」で終了します。誤りが指摘された場合は、その内容と修正すべき金額が示されます。指摘に納得できない点があれば、根拠を示して主張することもできます。
ステップ5:修正申告または更正
指摘を受け入れる場合は、自ら修正申告を行い、不足していた税額を納付します。指摘に納得できず修正申告をしない場合は、税務署が「更正」という処分を行うことがあります。この段階で、後述の加算税・延滞税が発生します。
指摘された場合のペナルティ
修正が生じると、本来の税額に加えてペナルティが課されます。主な加算税は次のとおりです。
| ペナルティ | 概要 |
|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが金額が少なかった場合。原則10%(一定額を超える部分は15%)。調査の事前通知前に自主的に修正すれば軽減される |
| 無申告加算税 | 申告をしていなかった場合。原則15%(50万円超は20%、300万円超は30%)。自主的な期限後申告なら軽減される |
| 重加算税 | 帳簿の改ざんなど仮装・隠蔽があった場合。過少申告に代えて35%、無申告に代えて40% |
| 延滞税 | 納付が遅れたことに対する利息的な税。年ごとに割合が変わる |
重要なのは、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告すれば、加算税が軽減または不適用になる点です。誤りに気づいたら、早めに対応することがペナルティを抑える鍵になります。加算税・延滞税の詳細は国税庁 No.2024 確定申告を忘れたときで確認できます。
税務調査に備えるためのポイント
第一に、日頃から帳簿書類を正確に作成し、領収書・契約書などの証憑を整理・保管しておくことです。保存期間は原則7年間(欠損金がある場合は10年間)です。第二に、売上の計上時期(期ズレ)や現金管理など、指摘されやすい論点を普段から適切に処理しておくことです。第三に、顧問税理士と連携し、調査時には立ち会ってもらうことです。税理士が同席すれば、調査官とのやり取りを代行してもらえ、精神的な負担が大きく軽減されます。指摘されやすい業種や項目は税務調査が来やすい業種とは?狙われやすい特徴と今からできる対策もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 税務調査は事前に連絡が来ますか?
A. 任意調査では、原則として事前に日時・場所・対象税目などが通知されます。改正国税通則法により事前通知の手続きが整備されています。ただし、現金商売など一部のケースでは事前通知なしの調査が行われることもあります。
Q2. 税務調査は何日くらいかかりますか?
A. 中小企業の実地調査は通常2日程度が目安です。その後、調査官が資料を精査し、後日結果が説明されるまでには数週間かかることもあります。
Q3. 税務調査ではどこを見られますか?
A. 売上の計上時期、経費の妥当性、現金管理、在庫、人件費などが重点的に確認されます。とくに売上の期ズレや現金商売の売上除外は、多くの業種で問われる論点です。
Q4. 指摘されたらいくら払うことになりますか?
A. 本来の税額に加え、過少申告加算税(原則10%)や無申告加算税、悪質な場合は重加算税(35〜40%)、さらに延滞税が課されます。事前通知前の自主的な修正申告なら加算税が軽減されます。
Q5. 税務調査には税理士に立ち会ってもらえますか?
A. 立ち会ってもらえます。顧問税理士がいれば、事前準備から当日の対応、調査後の交渉までサポートを受けられ、経営者の負担が大きく軽減されます。
参考資料
税務調査は、事前通知から実地調査、結果の説明、修正申告または更正という流れで進みます。日頃から正確な帳簿と証憑の整理を心がけ、指摘されやすい論点を適切に処理しておけば、過度に恐れる必要はありません。
リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績と税務調査対応の知見をもとに、日々の記帳から調査の事前準備、当日の立会いまでをサポートしています。税務調査に不安のある経営者の方は、お気軽にご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、法人の税務調査対応を専門とする。
最終更新日: 2026年7月2日
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