「税務署から『調査に伺いたい』と電話が来た」「ポストに税務調査のお知らせが入っていた」。突然のことで頭が真っ白になり、不安に感じている経営者もいるかもしれません。しかし、まずは落ち着いてください。税務調査は、事業を行っていればどの会社・個人にも来る可能性がある定期的なチェックであり、必ずしも脱税の疑いを意味するものではありません。
本記事では、税務署から連絡が来た時にまずやるべき初動対応から、当日の流れ、追徴課税のリスク、そして税理士の立会いで結果がどう変わるのかまでを、2026年時点の情報で解説します。調査の全ステップは税務調査の流れを完全解説|事前通知から終了までもあわせてご参照ください。
税務調査の当日までにそろえる書類(帳簿・契約書・通帳)は、調査官が最初に見る書類|当日までにそろえる帳簿・契約書・通帳で詳しく解説しています。
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税務署から連絡が来た時にまずやるべき3つのこと
税務調査の結果を左右するのは最初の対応です。不利な状況を作らないために、次の3点を守ってください。
第一に、その場で日程を確定させず「折り返す」と伝えることです。調査官は電話口で日程を決めようとしますが、準備不足のまま調査を受けるのはリスクがあります。「確認して折り返します(税理士から連絡させます)」と伝えて構いません。これで法的に不利になることはありません。
第二に、相手の所属部署・氏名・連絡先を正確にメモすることです。どの部署かで、一般的な定期調査か特定項目を狙った調査かをある程度予測できます。税務署を騙る詐欺電話への備えにもなります。
第三に、一人で抱え込まず、すぐに税理士へ相談することです。以降の日程調整は税理士が代行できます。顧問税理士がいない場合でも、知識がないまま調査官と話すと言う必要のないことまで話してしまうリスクがあるため、立会いのみをスポットで引き受ける税理士に早めに相談するのが安全です。
そもそも税務調査とは?拒否できるのか
税務調査には大きく2種類あります。全体の実際の大半を占めるのは「任意調査」です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 強制調査(査察・マルサ) | 裁判所の令状に基づく強制調査。数億円規模の悪質な脱税が疑われる一部のケースに限られる |
| 任意調査 | 事前に日程を調整し、納税者の同意を得て行うヒアリング形式の調査。一般的な税務調査はほぼこちら |
「任意なら断れるのか」と思われるかもしれませんが、納税者には調査を受け入れる受忍義務が法律で定められており、正当な理由のない拒否・妨害はできません。日程変更には柔軟に応じてもらえるため、誠実に対応することが早期終了への近道です。
調査対象になりやすい特徴と時期
税務署は独自のシステム(KSKシステム)で申告データを分析し、調査対象を選定しています。とくに数値に変化・異常値があるケースが選ばれやすく、売上が急増した、売上は増えているのに利益が変わらない、同業平均と比べて交際費や外注費が突出している、開業から3〜5年が経過し一度も調査が入っていない、といった法人・個人が対象になりやすい傾向があります。
また、税務署の人事異動が7月に行われるため、新体制が整う8月から11月頃にかけて実地調査が最も活発になります。どんな業種が狙われやすいかは税務調査が来やすい業種とは?、法人の調査頻度は法人の税務調査はどのくらいの頻度で来る?で解説しています。
当日の流れとよく見られるポイント
一般的な実地調査は1〜2日かけて行われます。午前は帳簿を見る前に、創業の経緯・主な取引先・社長の経歴などを聞く「概況聴取」から始まります。雑談のようですが、調査官はお金の流れと社長の人物像を把握しようとしています。午後からは書類の現物確認に入り、次の3点がとくに重点的に見られます。
- 売上:期ズレ(本来当期の売上を翌期に回していないか)、レジの締め処理、通帳の不明な入金
- 経費:家族旅行費・個人的な飲食代・自宅の水道光熱費など事業に関係のない支出が混ざっていないか
- 在庫(棚卸):在庫を少なく計上して利益を圧縮していないか
ミスが見つかった場合のペナルティ
申告内容に誤りがあった場合、本来の税額(本税)に加えてペナルティが課されます。
| ペナルティ | 概要 |
|---|---|
| 延滞税 | 納付が遅れたことに対する利息的な税。年ごとに割合が変わる |
| 過少申告加算税 | 単純な計算ミスや見解の相違による申告漏れ。原則10%(一定額を超える部分は15%) |
| 重加算税 | 二重帳簿・売上の隠蔽・書類改ざんなど仮装隠蔽があった場合。過少申告に代えて35%、無申告に代えて40% |
重加算税の対象になると、その後数年間は調査が入りやすくなります。「ミスではなく隠蔽だ」と誤認されないよう、適切な主張を行うことが重要です。追徴課税の詳細は税務調査の追徴課税とは?加算税・延滞税の種類と計算方法で解説しています。
税理士に立会いを依頼する3つのメリット
税務調査での税理士の立会いは必須ではありませんが、プロを味方につけるかで最終的な納税額や精神的負担は大きく変わります。第一に、調査官の誘導的な質問や高圧的な態度から守ってくれること。緊張した経営者がうっかり事実と違う受け答えをしても、税理士が間に入って正すことができます。第二に、指摘に対して税法や判例に照らして論理的に反論・交渉できること。この交渉の有無で追徴額が数十万〜数百万円変わることも珍しくありません。第三に、事前対策(想定問答のリハーサル)で当日の不安を解消できることです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 税務署から連絡が来たら、まず何をすべきですか?
A. その場で日程を確定させず「折り返します」と伝え、相手の所属・氏名・連絡先をメモし、すぐに税理士へ相談することです。準備不足のまま調査を受けないことが、結果を左右します。
Q2. 税務調査は断れますか?
A. 任意調査でも、納税者には受忍義務があり、正当な理由のない拒否や妨害はできません。ただし日程変更には柔軟に応じてもらえるため、誠実に対応することが早期終了につながります。
Q3. 税務調査はどんな会社に来やすいですか?
A. 売上の急増、売上増でも利益が横ばい、同業平均より交際費・外注費が多い、開業から3〜5年調査が入っていない、といったケースが選ばれやすい傾向です。8〜11月が調査のピークです。
Q4. ミスが見つかるとどのくらい払いますか?
A. 本税に加え、延滞税と加算税がかかります。単純ミスは過少申告加算税(原則10%)、仮装隠蔽など悪質な場合は重加算税(35〜40%)です。事前通知前の自主的な修正申告なら加算税が軽減されます。
Q5. 税理士の立会いは必要ですか?
A. 必須ではありませんが、誘導的な質問への対応、指摘への論理的な反論、事前対策のリハーサルなど、立会いによって納税額と精神的負担が大きく変わります。調査の経験が豊富な税理士への依頼をおすすめします。
参考資料
税務調査は、悪を暴く場ではなく、適正な申告を確認する場です。しかし準備不足のまま丸腰で臨むと、本来払わずに済んだ税金まで払うことになりかねません。鍵は「準備」と「交渉」です。
リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績と税務調査対応の知見をもとに、初動対応から事前準備、当日の立会い、指摘への交渉までをサポートしています。税務署から連絡が来て不安な方、調査だけ依頼したい方も、お気軽にご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、法人・個人の税務調査対応を専門とする。
最終更新日: 2026年7月2日
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