確定申告や決算を税理士に頼みたいものの、いつ連絡すればよいか迷っていませんか。新しい依頼は、期限が迫る前に相談すると、準備や検討の時間を取りやすくなります。税理士事務所は主に12月から3月と、顧問先の法人の決算後に忙しくなります。
この記事では、税理士事務所の繁忙期と、申告・決算などの依頼を出す時期の目安を整理します。最初の連絡で伝えることや、早めに渡しておきたい資料も確認できます。
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税理士事務所の年間の繁忙は法定の期限で決まる
税理士事務所が扱う税金の申告や書類の提出には、期限が決まっているものがあります。そのため、繁忙の時期は期限の暦とほぼ重なります。法人と個人事業主の主な期限を並べると、次のようになります。
| 時期 | 主な期限・手続 | 対象 |
|---|---|---|
| 12月 | 年末調整(その年最後に給与を支払う時に行う) | 従業員に給与を払う法人・個人事業主 |
| 1月20日 | 源泉所得税の納期の特例を受けている場合の、7月〜12月分の納付 | 納期の特例を受けている法人・個人事業主 |
| 1月31日 | 支払調書などの法定調書の税務署への提出、給与支払報告書の市区町村への提出、受給者への源泉徴収票の交付、償却資産の申告 | 給与や報酬を払った法人・個人事業主、償却資産を持つ法人・個人事業主 |
| 2月16日〜3月15日 | 所得税の確定申告 | 個人(個人事業主を含む) |
| 3月31日 | 個人事業者の消費税の確定申告 | 消費税の課税事業者である個人事業主 |
| 決算日の翌日から2か月以内 | 法人税・消費税の確定申告と納付 | 法人 |
| 7月10日 | 源泉所得税の納期の特例を受けている場合の、1月〜6月分の納付 | 納期の特例を受けている法人・個人事業主 |
12月から3月までは、年末調整・法定調書・償却資産・個人の確定申告・個人の消費税と、期限が切れ目なく続きます。法人の顧問先も個人の顧問先も抱える事務所では、この時期に作業が重なりやすくなります。
12月から1月の期限
年末調整は、その年最後に給与の支払をする時に行うことになっており、通常は12月に行います(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。その結果をもとに作る給与所得の源泉徴収票は、すべての受給者に翌年1月31日までに交付します。税務署への提出は、令和9年1月1日以後に提出するもの(令和8年分以後)から仕組みが変わります。市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用の源泉徴収票を作る必要がなくなります(国税庁タックスアンサーNo.7411)。
一方、報酬などの支払調書は、引き続き支払の確定した日の属する年の翌年1月31日までに税務署へ提出します(国税庁「法定調書の種類及び提出期限」)。
同じ1月31日には、市町村への給与支払報告書の提出(地方税法317条の6)と、1月1日現在の償却資産の申告(地方税法383条)も期限を迎えます。いずれも前年の給与や資産の情報をもとに作るため、12月から1月にかけて資料の集約が集中します。
なお、期限が日曜日・祝日などに当たる場合は、その翌日が期限になります(国税は国税通則法10条2項、地方税は地方税法20条の5第2項)。たとえば2027年1月31日は日曜日なので、令和8年分のこれらの期限は2027年2月1日になります。
2月から3月の期限
個人の所得税は、1月1日から12月31日までの所得について、翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。令和8年分の申告期限は2027年3月15日です。消費税の課税事業者である個人事業主は、消費税の確定申告の期限がその年の翌年3月31日になります(租税特別措置法86条の4)。
法人の決算・申告の繁忙は決算月で変わる
法人の確定申告は、事業年度終了の日(決算日)の翌日から2か月以内です(法人税法74条)。決算月は会社ごとに違うため、事務所の繁忙は、顧問先の決算月が集まる月の1〜2か月後にも生まれます。
| 決算月(説明のための例) | 申告期限 | 12月〜3月の繁忙との関係 |
|---|---|---|
| 11月末 | 1月31日 | 年末調整・法定調書の時期と重なる |
| 12月末 | 2月末日 | 個人の確定申告の時期と重なる |
| 1月末 | 3月31日 | 個人の確定申告・個人の消費税の時期と重なる |
| 3月末 | 5月31日 | 個人の確定申告が終わった後の時期 |
| 6月末 | 8月31日 | 12月〜3月とは重ならない |
※説明のための架空の例です。申告期限の延長の特例を受けていない場合の期限です。自社の決算月の申告作業が、事務所の繁忙と重なるかどうかを知っておくと、決算前の打ち合わせや資料の受け渡しの日程を早めに決めておけます。決算月そのものの選び方は、会社の決算期の選び方で扱っています。
依頼や相談を出す時期の目安
新しい依頼や相談は、期限が迫ってからよりも、繁忙期の手前に出すほうが、事務所側も時間を取って対応しやすくなります。やりたいことごとの目安は次のとおりです。
| やりたいこと | 依頼・相談を出す時期の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 個人の確定申告を新しく頼む | その年の12月まで | 1月以降は年末調整・法定調書・既存の顧問先の申告が重なる |
| 法人の決算・申告を新しく頼む | 決算日より前 | 期末の処理(在庫・未払・未収の確認など)を決算日前に相談できる |
| 年末調整を新しく頼む | 従業員から申告書を集める前 | 申告書の配り方と回収の段取りから一緒に決められる |
| 税理士を変える | 決算日より前、または申告が終わった後 | 決算・申告の途中で引き継ぐと作業が二重になりやすい |
| 単発の相談 | 期限が迫る前 | 判断に時間がかかる相談ほど、検討の時間が要る |
期限の直前に新しい依頼を出すと、引き受けの判断そのものが難しくなることもあります。繁忙期の依頼では、最初の連絡で「何の手続か」「期限はいつか」「資料はどこまでそろっているか」を伝えると、事務所側がその場で受けられるかを判断しやすくなります。
繁忙期の前に渡しておくと進みやすい資料
繁忙期に作業が詰まりやすいのは、資料が足りないときや問い合わせの往復が続くときです。期限の手前で、次の資料を先に渡しておくと、繁忙期の作業がそのぶん進みやすくなります。
年末調整・法定調書・償却資産(12月〜1月)
- 従業員の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と、保険料控除などの各種申告書
- 年の途中で入社した人の、前の勤務先の源泉徴収票
- 年の途中で退職した人の一覧(退職日と最後の給与の額)
- 税理士・デザイナーなどへの報酬や、家賃などの支払先の一覧(支払先の名称・住所・支払額)
- その年に買った・捨てた・売った機械や備品などの資産の一覧
年末調整で従業員から集める書類の詳しい一覧は、年末調整の必要書類の記事を参考にしてください。
個人の確定申告(2月〜3月)
- 売上と経費の集計、または会計ソフトのデータ
- 事業用口座の通帳・クレジットカードの明細
- 社会保険料・生命保険料・小規模企業共済などの控除証明書
- 医療費や寄附金など、控除を受けたいものの資料
確定申告で税理士に渡す書類の一覧と整理の方法は、確定申告で税理士に渡すもので扱っています。年内に取引の資料を締めておくと、控除証明書がそろった時点ですぐに作業に入れます。
法人の決算(決算日の前後)
- 決算日時点の預金残高・借入金残高がわかる資料
- 決算日時点の在庫の数量と金額
- 決算日までに納品・請求したが入金されていない売上、受け取ったが支払っていない請求書
- 期中に買った設備や、契約した借入・リースの資料
返信が遅いと感じたときに確認すること
繁忙期は、事務所からの返信に時間がかかることがあります。その場合でも、税金の期限は事務所の繁忙では動きません。用件を伝えるときに、次の点をそろえておくと、期限のある用件から優先して扱ってもらいやすくなります。
- 件名や最初の一文に、手続の名前と期限の日付を書く
- 質問は1通にまとめ、番号を振って書く
- 必要な資料を添付するか、置き場所を示す
- だれ(担当者・窓口)に送ればよいかを、事前に確認しておく
期限のある用件と、期限のない相談を分けて伝えることも有効です。期限のない相談は、繁忙期が過ぎた後に時間を取ってもらうよう日程を決めておくと、互いに落ち着いて話ができます。
税理士への依頼を考えるときの関連記事
まとめ:期限の手前に出し、資料を先に渡す
- 税理士事務所の繁忙は、12月の年末調整、1月31日の法定調書・給与支払報告書・償却資産の申告、3月15日の個人の確定申告、3月31日の個人の消費税と続く12月〜3月が中心です。
- 法人の申告期限は決算日の翌日から2か月以内なので、顧問先の決算月によっては12月〜3月以外にも繁忙があります。
- 新しい依頼や相談は、期限が迫る前、繁忙期の手前に出すと時間を取ってもらいやすくなります。
- 年末調整・法定調書・確定申告・決算の資料は、期限の手前で先に渡しておくと作業が進みます。
どの時期に何を頼むのがよいかは、法人か個人事業主か、決算月、従業員の有無で変わるため、自社に関わる期限を一覧にしたうえで依頼の時期を決めることが出発点になります。
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よくある質問
Q. 2月や3月に個人の確定申告を新しく頼むことはできますか?
引き受けるかどうかは事務所ごとの判断で、空き状況や資料の状態によります。依頼するときは、申告の種類(青色申告か白色申告か、消費税の申告の有無)と、資料がどこまでそろっているかを最初に伝えると、受けられるかの判断が早くなります。申告期限は3月15日で、事務所の繁忙では延びません。
Q. 法人の決算月が12月です。事務所の繁忙と重なりますか?
12月末決算の法人の申告期限は、延長の特例を受けていなければ2月末日です(日曜日・祝日などに当たる場合は翌日)。個人の確定申告の時期と重なるため、決算前の打ち合わせや資料の受け渡しの日程を早めに決めておくと、作業が詰まりにくくなります。
Q. 年末調整を頼む場合、資料はいつまでに渡せばよいですか?
年末調整はその年最後に給与を支払う時に行うため、その給与の計算に間に合うように、従業員から集めた申告書を渡す必要があります。具体的な締め日は事務所ごとに決まっているので、依頼の時点で確認してください。
Q. 個人事業主ですが、1月31日の期限は関係ありますか?
従業員に給与を払っている、税理士などに報酬を払っている、償却資産を持っているといった場合は、法定調書・給与支払報告書・償却資産の申告で1月31日の期限が関係することがあります。どれが当てはまるかは、給与や報酬の支払いと、事業で使う資産の有無によって変わります。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月30日
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