顧問税理士の見積りを3つの事務所から取ったら、金額がばらばらだった。どれが高くて、どれが安いのか分からない――。
こうなる一番の理由は、事務所ごとに「何を前提に見積もったか」が違うことです。顧問料は会社の規模だけでなく、どこまで頼むのかと今の経理がどういう状態かで大きく変わります。前提をそろえずに金額だけを並べても、比べたことにはなりません。
この記事では、見積りを頼む前にそろえておきたい資料と、問い合わせや打ち合わせの際に聞いておきたい質問を、2人の依頼者の例で整理します。
※登場する人物は説明のための架空の例です。
登場人物:事情の違う2人の依頼者
| 小林社長(法人) | 中村さん(個人事業主) | |
|---|---|---|
| 状況 | 設立6年目。今の税理士とは決算のときしか話さず、月次の数字が見えないのが不満 | 開業3年目。売上が伸び、確定申告を自分でやるのが限界 |
| 頼みたいこと | 毎月の数字の確認と相談、決算・申告 | 帳簿づけの相談、確定申告 |
| 見積りで迷ったこと | 1社目と2社目で月額が倍近く違った | 何を用意すればよいのか分からなかった |
2人に共通していたのは、見積りの前提が事務所に伝わっていなかったことです。今日のポイントは3つです。
- 見積りの金額を左右する6つの条件
- 依頼する前にそろえておく資料
- 問い合わせや打ち合わせの際に聞いておきたい7つの質問
ポイント1:見積りの金額を左右する6つの条件
税理士の顧問料は、おおむね次の条件で決まります。見積りを頼むときは、少なくともこの6つを伝えられるようにしておきましょう。
| 条件 | なぜ金額が変わるのか |
|---|---|
| 1. 帳簿づけ(記帳)を誰がするか | 自社で入力して税理士が確認するのか、資料を渡して税理士側で入力するのかで、作業量が大きく違う |
| 2. 使っている会計ソフト | クラウド会計(freee・マネーフォワードなど)か、そうでないかで、やり取りの手間が変わる |
| 3. 取引の量 | 売上・仕入の件数、銀行口座やクレジットカードの数が多いほど、確認する量が増える |
| 4. 給与を払っている人数 | 給与計算・年末調整・源泉所得税の手続きを頼むかどうか、何人分か |
| 5. 申告の範囲 | 法人税・消費税のほか、償却資産の申告や法定調書など、どこまで含めるか |
| 6. 打ち合わせの頻度 | 毎月話すのか、数か月に1回か、決算のときだけか |
小林社長の見積りで1社目と2社目の金額が倍近く違ったのは、1社目が「決算のときだけ相談」、2社目が「毎月の面談つき」で見積もっていたからでした。条件をそろえて頼み直したら、差はずっと小さくなりました。
ポイント2:依頼する前にそろえておく資料
見積りの精度は、渡せる資料の量でほぼ決まります。手元にあるものだけで構いません。
| 資料 | 法人 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 直近の決算書・申告書 | 直近2〜3期分 | 直近の確定申告書(あれば青色申告決算書・収支内訳書) |
| 期の途中の数字 | 直近の試算表 | 今年の売上と経費の大まかな合計 |
| 会計ソフトと口座の情報 | 使っている会計ソフト、事業用の銀行口座・クレジットカードの数 | |
| 給与の情報 | 給与を払っている人数(役員・従業員・アルバイト) | |
| 今の税理士との契約書 | 業務の範囲と、解約の条件(予告期間など)が分かるもの | |
最後の「今の税理士との契約書」は見落とされがちです。税理士を変える場合、解約の予告期間によって、新しい税理士に切り替えられる時期が決まるからです。契約書で確認しておきたい点は税理士の顧問契約書で確認すべき9項目、解約の進め方は顧問契約を解除する方法で解説しています。
中村さんのように初めて税理士に頼む方は、確定申告書の控えと、売上・経費が分かるもの(通帳・カード明細・会計ソフトの画面など)があれば十分に話を始められます。
ポイント3:問い合わせや打ち合わせの際に聞いておきたい7つの質問
金額と同じくらい大事なのが、「契約したあと、どう付き合うことになるのか」です。問い合わせや打ち合わせの際に次の7つを聞いておくと、事務所ごとの違いがはっきりします。
- 顧問料に何が含まれていて、何が別料金か
決算・申告、年末調整、償却資産の申告、法定調書などが、月額に含まれるのか別なのか。 - 帳簿づけはどちらがやるのか、資料はどう渡すのか
紙で郵送か、クラウドで共有か。毎月いつまでに何を渡すのか。 - 連絡の手段と、返事が来るまでの目安
メール、チャット、電話のどれで、どのくらいで返事がもらえるのか。 - 使っている会計ソフトに対応しているか
ソフトを変える必要があるなら、その手間と費用も含めて考える。 - 月次の数字は、いつ・どんな形で見られるか
小林社長の不満はここでした。「決算のときにまとめて」なのか「毎月」なのか。 - 税務調査の連絡が来たら、どう対応してもらえるか
立会いが顧問料に含まれるのか、別料金なのか。 - 契約の期間と、解約するときの条件
予告期間はどのくらいか。途中で頼む範囲を変えられるか。
見積りを比べるときは、表にして並べる
最後に、集まった見積りを次のような表に並べてみてください。金額の欄だけでなく、条件の欄が埋まっているかどうかを見ると、比べられる見積りかどうかが分かります。
| 項目 | A事務所 | B事務所 | C事務所 |
|---|---|---|---|
| 月額の顧問料 | |||
| 決算・申告の料金 | |||
| 年末調整・給与の手続き | |||
| 帳簿づけ(記帳)はどちらが | |||
| 打ち合わせの頻度 | |||
| 連絡手段・返事の目安 | |||
| 税務調査の立会い | |||
| 解約の条件 |
空欄が多い見積りは、安く見えても、あとから別料金が出てくることがあります。逆に、条件がきちんと書かれた見積りは、契約後の付き合い方まで想像できます。相場感をつかみたい方は税理士の顧問契約料金相場の記事も参考にしてください。
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リーパル会計事務所にお見積りを依頼する場合
リーパル会計事務所では、法人の方にも個人事業主の方にも、顧問契約のお見積りをお出ししています(決算申告だけを単発でご依頼いただく形は、法人の方に限っています)。
- 全国どこからでも、オンラインでご依頼いただけます
- マネーフォワード クラウドの公認、freeeの認定を受けています
- 1,100社以上の関与実績があります
お問い合わせの際に、この記事のポイント1の6つの条件と、ポイント2の資料のうち手元にあるものをお知らせいただくと、前提をそろえたお見積りをお出ししやすくなります。
まとめ:見積りは「頼みたいこと」を書いた分だけ正確になる
顧問料の見積りは、会社の規模よりも「どこまで頼むか」と「今の経理の状態」で決まる。だから、頼みたいことを先に書き出した人ほど、比べられる見積りが手に入る。
- 見積りを左右するのは、記帳・会計ソフト・取引量・給与の人数・申告の範囲・打ち合わせの頻度
- 決算書や申告書、試算表、今の契約書をそろえておくと、見積りの精度が上がる
- 金額と同じくらい、「契約後にどう付き合うか」を7つの質問で確かめる
- 見積りは表に並べ、条件の欄が埋まっているかで比べる
今の税理士に頼んでいることを、全部書き出せますか。書き出してみると、本当に必要なものと、なくてもよいものが見えてきます。
よくある質問
Q. 個人事業主でも、顧問契約の見積りを頼めますか?
頼めます。リーパル会計事務所でも、個人事業主の方に顧問契約のお見積りをお出ししています。なお、決算申告だけを単発でお受けする形は法人の方に限っています。
Q. 今の税理士との契約期間中でも、ほかの事務所に見積りを頼んでよいですか?
見積りを頼むこと自体に問題はありません。実際に切り替える時期は、今の契約書の解約の条件(予告期間など)によって決まるので、先に契約書を確認しておきましょう。
Q. 決算書がまだ1期もない会社でも、見積りは出してもらえますか?
設立したばかりの会社でも、事業の内容、取引の見込み、給与を払う人数、会計ソフトなどを伝えれば、見積りの前提をそろえることはできます。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月10日
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