「銀行に融資を申し込んだが断られた」「審査が通らない理由を担当者が教えてくれない」——そんな状態に直面している中小企業経営者の方に向けて書いています。リーパル会計事務所にも同様の相談が頻繁に寄せられますが、銀行融資の審査には明確な基準があり、その基準を理解しないまま再挑戦しても結果は変わりません。
リーパル会計事務所では1,100社以上の関与実績をもとに、決算書の改善から事業計画書の作成、銀行担当者との交渉同席まで、融資獲得に向けた一貫サポートを提供しています。本記事では審査が通らない7つの理由と実践的な対策を解説します。
銀行融資審査の基本的な仕組み
銀行が融資で確認すること
銀行が融資審査で確認するのは、突き詰めると「この会社はお金を返せるか」の一点です。そのために、次の3つの観点から企業を評価します。
| 評価観点 | 確認内容 |
|---|---|
| 返済能力 | 営業キャッシュフロー・営業利益で返済できるか |
| 財務健全性 | 自己資本比率・負債比率・流動比率は適正か |
| 経営の安定性 | 事業計画の合理性・経営者の信用力 |
信用格付けの仕組み
銀行は企業を「信用格付け(スコアリング)」で評価します。格付けが高いほど、金利が低く・融資額が多くなります。格付けは主に決算書の数値から自動的に計算されますが、定性評価(経営者の質・事業の将来性)も加味されます。
銀行融資の審査が通らない7つの理由——一覧表
審査が通らない主な理由を一覧化すると次のとおりです。
| # | 理由 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 1 | 3期連続の赤字 | 構造改善計画を策定し、改善実績を出してから再申請 |
| 2 | 債務超過 | 増資・役員貸付の出資振替・資産売却で純資産を増やす |
| 3 | 税金・社会保険料の滞納 | 滞納解消が最優先。分割納付制度を活用 |
| 4 | 借入金の返済遅延歴 | 現在の返済を遅延させないことが最優先。リスケジュール(=リスケ:返済条件変更交渉)は慎重に検討 |
| 5 | 自己資本比率の低さ | 内部留保の積み上げ・役員借入の資本振替 |
| 6 | 事業計画の説得力不足 | 市場データと過去実績の整合・具体的な返済原資の明示 |
| 7 | 決算書の信頼性不足 | 過度な節税を避け、適度な利益計上 |
以下、それぞれ詳しく解説します。
理由1:3期連続の赤字
最も審査に影響が大きいのが、連続した赤字決算です。1期の赤字は「一時的な要因」として説明できる場合もありますが、3期連続になると「構造的な問題」と判断されます。
対策: まず赤字の原因を特定し、税理士とともに具体的な改善計画を作成します。1〜2期の赤字改善実績が出てから融資申請を行うのが理想です。
理由2:債務超過状態
負債が資産を上回る「債務超過」の状態では、通常の銀行融資はほぼ不可能です。
対策: 増資(資本金の追加)・役員貸付金の出資への振替・資産の売却などで、純資産を増やします。税理士と一緒に貸借対照表の改善策を検討することが先決です。
理由3:税金・社会保険料の滞納
税金(法人税・消費税)や社会保険料の滞納がある場合、銀行はほぼ融資しません。国や社会保険には差押え権限があり、銀行への返済より優先されるためです。
対策: 滞納を解消することが最優先です。分割納付が認められている制度もあるため、税務署・年金事務所に相談し、返済計画を立てます。
理由4:借入金の返済遅延歴
過去に銀行・信用金庫への返済が遅れた履歴がある場合、信用情報に記録されており、新規融資が難しくなります。
対策: 現在の返済を遅延させないことが最重要です。既存の借入について、返済条件の変更(リスケジュール=既存借入の返済期限を延長して月次返済額を圧縮する交渉)を検討することも一つの選択肢ですが、新規融資がさらに困難になるトレードオフがあります。
自社の決算書のどこに弱点があるかを早期に特定することで、半年〜1年の準備期間で審査通過に向けた財務改善が可能です。リーパル会計事務所の無料相談では、決算書3期分を分析して改善ポイントを具体化できます。
理由5:自己資本比率の低さ
| 自己資本比率 | 銀行の評価 |
|---|---|
| 30%以上 | 優良 |
| 15〜30% | 普通 |
| 10〜15% | 要注意 |
| 10%未満 | 融資困難 |
対策: 利益の内部留保を増やすことが根本的な解決策です。また、役員借入金を資本に振り替えることで自己資本比率を高める方法もあります。
理由6:事業計画の説得力不足
融資申請時に提出する事業計画書の説得力が低い場合、審査担当者が「返済見通しに根拠がない」と判断します。
対策: 事業計画書には市場データ・過去の実績との整合性・具体的な返済原資を明記します。リーパル会計事務所では、銀行融資に通る事業計画書の作成支援も行っています。
理由7:決算書の信頼性が低い
「節税を徹底しすぎて利益がほぼゼロ」「帳簿外の取引がある」など、決算書の実態が不明瞭な場合、銀行の信頼を得られません。
対策: 融資を受けることを目的とするなら、適度な利益を計上した決算書を作ることが必要です。「節税か、融資か」はトレードオフの関係にあります。
審査通過率を上げる5つの事前準備
準備1:月次決算を整備する
「毎月の数字を把握している経営者」という印象を与えることが、定性評価の向上につながります。
準備2:メインバンクを選定する
複数の銀行に同時に申し込むより、まずメインバンクとの関係を深めることが重要です。メインバンクは既存の取引口座・給与振込などから実態を把握しており、審査の土台が異なります。
準備3:担当者との事前相談
融資申請書類を提出する前に、銀行担当者に「相談ベース」で現状を説明することをお勧めします。担当者が「支援したい企業」と判断すれば、審査部門への推薦も変わります。
準備4:決算書3期分の整備
銀行は最低3期分の決算書を確認します。直近1期だけ改善されていても不十分です。3期を通じた改善トレンドを見せることが重要です。
準備5:顧問税理士との連携
銀行担当者は、税理士が同席している企業を「経営管理が行き届いている」と評価します。融資交渉の場に税理士を同席させることで、専門的な裏付けを示せます。リーパル会計事務所では銀行交渉の同席まで含めた支援も行っています。
自社の状況に当てはめにくい場合は、リーパル会計事務所の無料相談で具体的な準備ステップをフラットに整理できます。
よくある質問
Q1. 創業1年目でも銀行融資は受けられますか?
A. 創業1年目は実績がないため、通常の事業融資は困難です。日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、信用保証協会の「創業支援保証」を活用することをお勧めします。
Q2. 融資審査中に他の銀行に申し込んでも問題ありませんか?
A. 問題はありませんが、信用情報機関に照会記録が残るため、短期間に複数の照会が入ると審査に悪影響が出る場合があります。
Q3. ノンバンクの融資は銀行融資が通らない場合の代替になりますか?
A. 金利が高く(10〜20%以上のケースも)、返済負担が重くなります。緊急の場合を除き、まず公庫・信用金庫への申請を優先することをお勧めします。
Q4. 赤字の年に融資を申し込むのは不利ですか?
A. 大きく不利です。赤字の原因が「一時的な設備投資」など合理的な理由であれば説明できますが、営業赤字の場合は改善後に申請することをお勧めします。
Q5. 税理士に融資の相談をしてもいいですか?
A. むしろ積極的にすべきです。リーパル会計事務所では、決算書の分析から事業計画書の作成・銀行担当者との交渉まで、融資獲得に向けた一貫したサポートを提供しています。
まとめ:財務改善なしの融資依頼は時間の無駄になりかねない
銀行融資審査の通過率は、申請時の状況ではなく「申請前の2〜3期間の経営内容」で決まります。今すぐ融資が必要でなくても、融資を受けやすい財務状態を維持しておくことが経営の安定につながり、いざという時に資金調達の選択肢を確保できます。
「次の決算で融資審査が通る決算書にしたい」「事業計画書を金融機関の目線で磨きたい」とお考えの方は、リーパル会計事務所にご相談ください。決算書3期分の財務分析から、債務償還年数・自己資本比率の改善ストーリー設計、銀行担当者との交渉同席までをセットで支援します。
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参考資料
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参考リンク: 日本政策金融公庫「融資制度一覧」
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。1,100社以上の関与実績をもとに、銀行融資審査の財務改善支援と事業計画書作成を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日