「今の税理士を変えたいけれど、手続きが大変そうで二の足を踏んでいる」「変更して今より状況が悪くなったらどうしよう」。税理士の変更を検討する際、こうした不安を抱くのは当然です。しかし、変更のデメリットのほとんどは、事前の準備と心構えで回避・解消できます。
本記事では、税理士変更の代表的な5つのデメリットと対策、「変更すると税務調査が来る」という噂の真偽、そして変更で得られるメリットと失敗しない進め方を、2026年時点の情報で解説します。
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税理士変更の5つのデメリットと対策
| デメリット | 対策 |
|---|---|
| 新しい税理士との信頼関係の再構築に時間がかかる | ヒアリング力の高い税理士なら「経営の再監査」の機会になる |
| 書類の引き継ぎ・データ移行の手間 | 移行サポートが手厚い事務所を選び、丸投げできる範囲を確認する |
| 前の税理士に断るのが気まずい | 「やむを得ない事情」という角の立たない伝え方を用意する |
| タイミングによっては引き受けてもらえない | 決算申告が終わった直後(ゴールデンタイム)に変更する |
| 顧問料が上がる可能性がある | 金額だけでなく費用対効果(節税・融資支援)で判断する |
とくに引き継ぎ作業は、多くの会計事務所が新規顧客のデータ移行に慣れているため、預け資料のリストアップや会計ソフトの初期設定を新しい税理士に任せられるケースがほとんどです。前の税理士への断りは、相手を責めず「経営方針の転換で業界特化の事務所に見てもらうことになった」といった建前を用意すればトラブルになりにくくなります。また、顧問料が上がっても、提案によって年間の節税額や融資条件が改善すればトータルではプラスになり得ます。顧問料の見極め方は税理士の顧問料・報酬相場はいくら?をご参照ください。
「税理士を変えると税務調査が来る」という噂の真偽
結論として、税理士を変更したこと自体が引き金となって税務調査が行われることはありません。税務署は限られた人員で効率的に調査を行うため、調査対象は「申告内容に不審な点があるか」「多額の申告漏れが見込めるか」という数値的な根拠で選定されます。国税庁の内部システム(KSKシステム)の選定基準に「関与税理士の変更」という項目があるとは確認されていません。税務署が見るのは、誰が申告書を作ったかではなく、申告書の中身(数字)が適正かどうかです。
むしろ調査リスクを高めるのは、売上や経費の急激な増減、売上規模に対して極端に低い利益率、同業平均より突出した特定経費、無申告や期限後申告の継続です。適正な会計処理を行う税理士に変更し、書面添付制度(税理士法33条の2)を活用すれば、むしろリスクを下げられます。書面添付があると、調査前に税理士への意見聴取が行われ、リスク低減につながります。税務調査の実際は税務調査とは?連絡が来た時の対応法・当日の流れで解説しています。
税理士を変更する3つのメリット
第一に、自社の業界やITツールに強い税理士による業務効率化です。電話とFAX・紙資料の郵送というスタイルから、クラウド会計(freee・マネーフォワードクラウド)やチャットツールに対応した事務所に変えるだけで、入力の自動化・レスポンスの高速化・ペーパーレス化が実現します。第二に、節税対策や融資サポートなどの経営提案が受けられることです。受け身の税理士から提案型の税理士に変われば、先回りの節税提案や補助金・資金調達の提案が期待できます。第三に、話しやすく経営の悩みを共有できるパートナーが得られることです。何でも相談できる安心感は、経営者のメンタル面でも大きな価値になります。
失敗しない税理士変更の3ステップ
第一に、変更のタイミングを決めます。最もスムーズなのは決算申告が終わり納税が完了した直後で、次の決算まで約1年の猶予があり、新しい税理士も期首から関与できます。第二に、解約を伝える前に新しい税理士を探して内諾を得ておきます。先に解約して次が見つからない「税理士難民」を避けるためです。複数の税理士と面談し、業界への理解・レスポンスの速さ・料金体系の明確さを確認しましょう。第三に、現在の税理士に解約を通知し(契約書の解約予告期間を確認)、預けている資料(総勘定元帳・決算書・定款・届出書の控えなど)の返却を依頼します。税理士の選び方は顧問税理士とは?契約するメリット・料金相場・失敗しない選び方もご参照ください。
引き継ぎ資料・データを確認するチェックリスト
基本書類に加え、過年度の申告資料や計算根拠も確認します。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 決算書・税務申告書 | 過去3〜5期分の決算書と、法人税・消費税・地方税の申告書です。 |
| 帳簿データ | クラウド会計のエクスポートデータを確認します。 |
| 固定資産台帳 | 減価償却の計算根拠を引き継ぎます。 |
| 社会保険・労働保険の書類 | 関連がある場合に受け取ります。 |
受け取った書類・データのリストは書面で確認し、双方で保管します。
会社が保有するクラウド会計のアカウントでは、権限の切り替えも確認します。旧事務所のスタッフの権限を削除し、新しい税理士に権限を付与します。
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契約終了前と変更後に確認したいこと
変更先が現在の課題に対応できるか確認する
質問して1週間以上回答がない、担当者が頻繁に変わり連絡先がわからないなどの状況は、変更を検討するサインです。業種や規模の変化に、現在の税理士が対応しきれているかも確認します。
解約時の精算と、年度途中で変更する場合の注意点
契約書の解約予告期間を守らないと、違約金が発生する場合があります。未払いの顧問料がある場合は、解約前に精算しておきます。
税務調査対応・大型取引・経営危機などで緊急性が高い場合は、年度途中でも変更できます。ただし、引き継ぎ作業が増えるため、新旧税理士との丁寧な連絡が必要です。
初回打ち合わせと、過年度の修正申告への対応
新しい税理士との初回打ち合わせでは、引き継ぎデータをもとに現状を確認します。今後の方針と、必要な届出も確認します。
前年度分の修正申告が必要になった場合は、誤りの原因や規模に応じて依頼先を検討します。前の税理士に依頼するか、新しい税理士に追加費用を支払って対応してもらいます。
変更後の税務関連の連絡先は、新しい税理士であることを前の税理士に伝えます。
引き継ぎ書類を受け取れない場合
前の税理士が書類の提供に応じない場合は、前の税理士が所属する税理士会へ相談する方法があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 税理士を変えると税務調査が来やすくなりますか?
A. なりません。調査対象は申告内容の数値的な根拠で選定され、税理士の変更は選定基準に含まれていません。むしろ適正な処理を行う税理士に変えることで、リスクを下げられます。
Q2. 税理士変更のベストタイミングはいつですか?
A. 決算申告が終わり納税が完了した直後です。次の決算まで余裕があり、新しい税理士が期首から関与できるため引き継ぎがスムーズです。決算直前の場合は、今回の決算は現在の税理士に依頼し、来期から変更するのが安全です。
Q3. 前の税理士への断り方で気をつけることは?
A. 相手を責めず、「経営方針の転換」「取引先の指定」など、やむを得ない事情という伝え方をするとトラブルになりにくいです。解約は契約書の予告期間(1〜2か月前が目安)を確認して申し入れましょう。
Q4. 引き継ぎで返してもらう書類は何ですか?
A. 総勘定元帳・決算書・定款・税務署への届出書の控えなど、新しい税理士が業務を開始するために必要な資料です。会計ソフトのデータや連携設定の移行も必要になります。
Q5. 顧問料が上がっても変更する価値はありますか?
A. 提案による節税額や融資条件の改善、業務効率化やレスポンス向上を含めた費用対効果で判断してください。月額が多少上がっても、それ以上のリターンがあればトータルではプラスになります。
参考資料
税理士変更のデメリットは一時的なものですが、良い税理士と出会うメリットは長期的に続きます。合わない税理士と我慢して付き合い続けることによる相談できないストレス・節税機会の損失・業務の非効率は、経営にとって永続的なマイナスになりかねません。
リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績とクラウド会計導入支援の知見をもとに、他事務所からの移行サポートから設立後の税務・節税提案までをワンストップで対応しています。税理士の変更を検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、クラウド会計導入支援と税理士変更のサポートを専門とする。
最終更新日: 2026年10月24日
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MF公認・freee認定元国税調査官の知見