「事業承継税制の特例が使えると聞いたが、詳しい内容がわからない」「2027年3月末の申請期限に間に合うかどうか不安」——そんな疑問を抱える中小企業経営者の方に向けて書いています。事業承継税制(=後継者が承継する自社株式について、贈与税・相続税の納税を猶予・免除する制度)の特例措置は猶予割合が100%という大幅な優遇ですが、計画提出期限の2027年3月末を逃せば、その後の承継では贈与税・相続税が満額発生するという「猶予0%の崖」が待っています。
リーパル会計事務所はBATONZパートナー・認定支援機関として、1,100社以上の関与実績をもとに事業承継税制の活用支援を専門としています。本記事では実務的な視点から、特例措置の内容・申請期限・適用要件を解説します。
事業承継税制とは何か
一般措置と特例措置の違い
事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。
| 項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 猶予割合 | 贈与税・相続税の80% | 贈与税・相続税の100% |
| 対象株数 | 発行済み株式の2/3まで | 発行済み株式の全株 |
| 雇用維持要件 | 5年間の平均80%維持 | 弾力化(下回っても継続可) |
| 適用期限 | 恒久制度 | 2027年3月末に申請期限 |
特例措置は「贈与税・相続税の100%猶予」という高水準の優遇であり、事業承継を予定している経営者にとって見逃せない制度です。
なぜ2027年3月末を逃すと猶予が0%になるのか?適用要件の全体像
対象となる会社の要件
- 非上場中小企業であること
- 特例承認計画を2027年3月末までに提出していること
- 先代経営者(贈与・相続する側)が筆頭株主であること
先代経営者の要件
- 会社の代表権を有していたこと
- 贈与・相続の直前において発行済み株式の過半数を保有していたこと(親族内での合算も可)
- 贈与時点で代表権を返上すること(贈与の場合)
後継者の要件
- 18歳以上であること(贈与の場合)
- 贈与・相続後に代表権を有すること
- 贈与の場合:贈与から3年以上前から役員であること
- 後継者は複数(最大3名)の適用が可能
特例措置の申請スケジュール
2027年3月末の申請期限が迫っている
特例措置を利用するには、2027年3月末までに「特例承認計画」を都道府県知事に提出する必要があります。この期限を過ぎると特例措置は利用できません。
実際の承継(贈与・相続)は、特例承認計画を提出した後、2027年12月末までに行う必要があります(計画提出後に実施する)。
推奨スケジュール
| タイミング | 作業内容 |
|---|---|
| 今すぐ〜2026年末 | 税理士・認定支援機関への相談・計画内容の検討 |
| 2026年末〜2027年2月 | 特例承認計画の作成・提出準備 |
| 2027年3月末まで | 特例承認計画の提出(期限厳守) |
| 2027年末まで | 実際の贈与・相続の実施 |
認定支援機関の確認が必須
特例承認計画には「認定支援機関(=中小企業の経営をサポートする専門家として国に認定された機関。税理士・中小企業診断士・金融機関等)」の確認を受けることが必要です。リーパル会計事務所は認定支援機関として対応できます。
事業承継税制の判断は、税務・法務・財務、さらに後継者選定までが複雑に絡むため、早期に専門家への相談で機会損失を防げます。リーパル会計事務所では特例承認計画の作成から税務当局への提出までワンストップで支援します。
猶予される税額の計算(概要)
株式評価額の算出
猶予の対象となる税額は、後継者が取得する株式の評価額をもとに計算されます。中小企業の株式評価は「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」「配当還元価額方式」の組み合わせで行います。
猶予額の計算例(簡略)
例えば、株式評価額3億円の会社を全株贈与した場合:
- 通常の贈与税(最高税率55%):約1.2億円
- 特例措置適用後:猶予額ほぼ全額(経営継続中は非課税扱い)
この差額が、特例措置の経済的メリットです。
猶予継続の条件(事後要件)
特例措置の税額猶予を継続するためには、次の事後要件を満たす必要があります。
5年間の経営継続要件(特例期間)
- 後継者が代表権を有し続けること
- 対象株式を継続保有すること
- 雇用の平均80%維持(特例では弾力化あり。実態変化の場合は報告が必要)
- 毎年・3年ごとの継続届出
5年後以降の要件
5年間の特例期間経過後も、後継者が株式を保有し続ける限り猶予は継続されます。後継者が死亡・廃業・株式売却などの「打ち切り事由」が発生した場合、猶予税額が確定します。
事業承継税制の注意点
注意点1:申請期限の厳守
2027年3月末の計画提出期限は厳守する必要があります。この期限を1日でも過ぎると、特例措置は使えなくなります。
注意点2:雇用継続要件の管理
5年間の雇用平均が下回った場合は、所定の手続き(認定支援機関の確認を受けた理由報告)が必要です。怠ると猶予が取り消されます。
注意点3:贈与後の代表権返上
先代経営者が代表権を持ち続けると、要件違反となる場合があります。承継後の役員構成を事前に整理しておくことが重要です。
注意点4:相続税との関係
相続税の場合は、相続発生後8ヶ月以内に認定申請を行う必要があります。相続発生後に慌てないよう、生前から計画を立てておくことが重要です。
自社の事業承継スケジュールに当てはめにくい場合は、リーパル会計事務所の無料相談で具体的な選択肢をフラットに整理できます。
よくある質問
Q1. 事業承継税制の特例措置を使わないとどうなりますか?
A. 通常通り贈与税・相続税が課税されます。株式評価額が高い場合、数千万円〜数億円の税負担が発生し、後継者が税金の支払いのために株式を売却せざるを得なくなるケースがあります。
Q2. 兄弟2人に承継する場合も特例措置は使えますか?
A. 後継者は最大3名まで適用可能です。ただし、後継者全員が発行済み株式の10%以上を保有する等の要件があります。
Q3. 第三者(M&A)への承継でも事業承継税制は使えますか?
A. 事業承継税制は親族・従業員等への承継が主な対象です。第三者へのM&Aでは適用できません。
Q4. 特例措置の認定支援機関はどこに相談すればいいですか?
A. 顧問税理士・商工会議所・中小企業診断士等が認定支援機関になります。リーパル会計事務所でも対応しています。
Q5. 特例承認計画の提出後、すぐに贈与しなければいけませんか?
A. 計画提出後、2027年12月末までに贈与・相続を実施すればOKです。計画提出と実際の承継は別のタイミングで可能です。
Q6. 猶予が打ち切られる事由・免除される事由を教えてください。
A. 主な打ち切り事由は、後継者の代表権喪失・対象株式の譲渡・廃業等です。免除事由は、後継者の死亡・身体障害・破産等の特定事由が発生し、かつ次の後継者へ再承継した場合などが該当します。打ち切り事由が発生すると猶予されていた税額に利子税が加算されて納付義務が発生するため、要件管理は専門家と継続的に行うことをお勧めします。
まとめ:2027年3月末を逃して特例措置を見送る理由はほとんどない
「特例承認計画の素案を一度税理士の目で見てほしい」「2027年3月末までの逆算スケジュールを引きたい」とお考えの方は、リーパル会計事務所にご相談ください。認定支援機関として特例承認計画の作成から都道府県への提出、贈与・相続実施後の継続届出までを一貫支援します。
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参考資料
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参考リンク: 中小企業庁「事業承継税制の特例措置」
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。認定支援機関・BATONZパートナーとして1,100社以上の関与実績をもとに、事業承継税制の特例承認計画作成と継続要件管理を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日