「資金繰り表を3度作って3度挫折した」——そう悩む中小企業経営者の方は少なくありません。資金繰り表は作ることが目的ではなく、毎月30分で継続更新できるかが成否を分けます。Excelテンプレートが使いにくいと、更新の手間でいつのまにか運用が止まります。
リーパル会計事務所では1,100社以上の関与実績をもとに、業種特性に応じたExcel/Googleスプレッドシート版の資金繰り表テンプレートを顧問先に提供しています。本記事では実際に使えるテンプレートの作り方と効果的な使い方を解説します。
続けられないテンプレートに共通する3つの特徴——シンプル設計の重要性
複雑すぎる科目分け、関数だらけの計算ロジック、毎月貼り付け直しが必要なフォーマット。これらが重なると、運用は3ヶ月で止まります。リーパル会計事務所が顧問先と一緒に作るテンプレートは、シンプル・継続可能・税理士共有OKの3条件を満たします。
資金繰り表Excelテンプレートの全体設計
推奨する構成:3枚のシート
シート1:月次資金繰り表(メイン)
実績と予測を横並びで管理するメインシートです。
シート2:勘定科目マスター
収入・支出の勘定科目一覧と、各科目の支払タイミング(締め日・支払日)を記録します。
シート3:ダッシュボード
月末残高の推移グラフと、収支サマリーを視覚的に表示します。
シート1:月次資金繰り表の作り方
セル設計の基本ルール
- 縦軸:収入・支出の科目一覧
- 横軸:月(過去3ヶ月実績+今月〜3ヶ月先の予測)
- 色分け:実績(白)・予測(薄い黄色)・残高(薄い青)
テンプレートの詳細レイアウト
A列:科目名
B〜D列:過去3ヶ月の実績
E列:当月実績/予測
F〜H列:向こう3ヶ月の予測
収入セクション
| 科目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上入金(主要取引先1) | 300 | 320 | 310 | 330 | 340 | 350 | 360 |
| 売上入金(主要取引先2) | 200 | 180 | 220 | 200 | 210 | 200 | 220 |
| 売上入金(その他) | 100 | 90 | 110 | 100 | 100 | 110 | 100 |
| 補助金・助成金 | 0 | 0 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 借入金 | 0 | 0 | 0 | 500 | 0 | 0 | 0 |
| 収入合計 | 600 | 590 | 690 | 1,130 | 650 | 660 | 680 |
(金額の単位:万円)
支出セクション
| 科目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 仕入・外注費 | 250 | 240 | 260 | 270 | 260 | 270 | 280 |
| 役員報酬 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 |
| 従業員給与 | 120 | 120 | 120 | 120 | 120 | 120 | 120 |
| 社会保険料 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
| 家賃 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
| 水道光熱費 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
| 通信費 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
| 広告宣伝費 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 |
| 消費税 | 0 | 0 | 100 | 0 | 0 | 0 | 100 |
| 法人税 | 0 | 0 | 0 | 80 | 0 | 0 | 0 |
| 借入返済 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
| 支出合計 | 575 | 565 | 685 | 675 | 585 | 595 | 705 |
| 月次収支 | 25 | 25 | 5 | 455 | 65 | 65 | -25 |
| 月末残高 | 400 | 425 | 430 | 885 | 950 | 1,015 | 990 |
便利な数式の設定
収入合計の数式
=SUM(B3:B10) ← 収入科目の範囲をSUMで合計
月次収支の数式
=B11-B20 ← 収入合計 - 支出合計
月末残高の数式(繰越残高+当月収支)
=A21+B21 ← 前月残高 + 当月月次収支
条件付き書式の設定
月末残高が「月商(売上入金合計)の1ヶ月分以下」になった場合に赤く表示する条件付き書式:
条件: =B21<B11(残高 < 売上入金合計)
書式: 背景色を赤
資金繰り表のテンプレート設計と勘定科目マッピングは、業種特性に応じた調整が複雑に絡むため、早期に専門家への相談で機会損失を防げます。リーパル会計事務所の無料相談では、自社版テンプレートの素案を一緒に作成できます。
シート2:勘定科目マスターの設計
支払タイミングを記録することで、予測入力の精度が上がります。
| 科目 | 発生タイミング | 入出金タイミング | 固定/変動 |
|---|---|---|---|
| 売上入金(主要取引先) | 月末締め | 翌々月末 | 変動 |
| 仕入・外注費 | 月末締め | 翌月末 | 変動 |
| 役員報酬 | 毎月 | 毎月25日 | 固定 |
| 家賃 | 毎月 | 毎月末日 | 固定 |
| 消費税 | 年2回(3月・9月) | 確定申告後2ヶ月 | 特別 |
資金繰り表の月次更新を30分で終わらせる手順
ステップ1:実績の入力(毎月5日まで)
前月の銀行口座・クレジットカードの入出金明細を確認し、科目ごとに実績を入力します。クラウド会計と連動している場合は、エクスポートデータを活用します。
ステップ2:予測の更新(毎月5日)
来月以降の予測を最新情報に更新します。新規受注・大口支出の予定を確認し、予測値を修正します。
ステップ3:残高のトレンド確認(毎月10日)
月末残高の推移グラフを見て、「最低ライン」に近づいている月がないかを確認します。問題がある場合は税理士に相談することをお勧めします。リーパル会計事務所では、月次レビュー会議で資金繰り表のトレンドを顧問先と一緒に確認しています。
自社のテンプレート設計に迷う場合は、リーパル会計事務所の無料相談で具体的なフォーマットをフラットにご提案できます。
よくある質問
Q1. Excelの資金繰り表とクラウド会計はどのように連携しますか?
A. freeeやマネーフォワードから入出金明細をCSVエクスポートし、Excelに貼り付けることで連携できます。Googleスプレッドシートを使えば、自動インポートの設定も可能です。
Q2. 資金繰り表は何ヶ月先まで予測を入力すべきですか?
A. 最低3ヶ月、理想的には6ヶ月先まで予測することをお勧めします。季節変動がある業種は1年分の予測を持つことが重要です。
Q3. 消費税の記入方法がわかりません。
A. 消費税は「確定申告月」と「中間申告月」に支出として記入します。消費税の申告スケジュールは顧問税理士に確認することをお勧めします。記入漏れは大きな資金ショートの原因になります。
Q4. Googleスプレッドシートでも同じテンプレートは使えますか?
A. はい、使えます。Googleスプレッドシートはリアルタイム共有ができるため、税理士との連携に便利です。
Q5. 資金繰り表の予測が大きく外れた場合はどうすればいいですか?
A. 外れた原因を分析し、次月の予測精度を上げることが重要です。予測と実績の差異が大きい科目を重点的に管理することで、精度が向上します。
まとめ:継続できないテンプレートを使い続ける理由はほとんどない
資金繰り表で最も重要なのは「継続すること」にほかなりません。複雑なテンプレートより、毎月30分で更新できるシンプルなものが実際の経営に役立ちます。本記事で紹介したテンプレートを参考に、自社の事業に合った形へカスタマイズしながら活用することをお勧めします。
「Excel/スプレッドシート版テンプレートを自社向けに調整してほしい」「クラウド会計と連携した自動更新の仕組みを作りたい」とお考えの方は、リーパル会計事務所にご相談ください。テンプレート設計から月次更新の運用ルール、税理士チェックまで、シンプルで続く資金繰り管理を一緒に作ります。
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参考資料
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参考リンク: 中小企業庁「資金繰り支援策」
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。1,100社以上の関与実績をもとに、資金繰り表テンプレート設計とクラウド会計連携の運用支援を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日