会計・税務に関する
お役立ち情報ブログ

【税理士監修】定款の作り方を完全解説|記載事項・書き方・認証手続きまで

会社設立
【税理士監修】定款の作り方を完全解説|記載事項・書き方・認証手続きまで

「定款のひな形をネットで拾えば書ける」と思っていないでしょうか。これから定款を作成しようとしている起業準備中の方こそ、絶対的記載事項の漏れと、後で変更登記コストが発生する設計ミスに最も注意すべきです。定款の不備は公証人の認証段階で差し戻しになり、設立スケジュールが2〜3週間遅れます。

定款(=会社の基本ルールを定めた書類。商号・本店所在地・目的・資本金などを記載)は「会社の憲法」とも呼ばれる最も重要な書類です。会社の目的・商号・所在地・事業内容などを定めるこの書類を適切に作成することが、会社設立の第一歩となります。

本記事では、定款の基本的な概念から必須記載事項・書き方・公証人認証の手続きまでをリーパル会計事務所の公認会計士・税理士が体系的に解説します。

顧問税理士をお探しの方へ

会社の規模や記帳の状況をお聞きして、顧問料をお見積りします。

顧問契約のお見積り(無料)はこちら →

全国オンライン対応です。

結論:定款は「絶対的記載事項の漏れゼロ・将来の変更を見越した設計・電子化」の3点で決まる

定款づくりで失敗する人の8割は「目的の記載不足」「将来の事業拡張を考えない」「紙定款で4万円の印紙代を払ってしまう」のいずれかです。リーパル会計事務所が会社設立支援で必ず確認する、定款で押さえるべき3つの設計ポイントを先に提示します。

  1. 絶対的記載事項を漏れなく記載する — 商号・目的・本店所在地・設立時出資額・発起人の氏名住所のいずれか1つでも欠けると認証が下りない
  2. 「目的」は将来の事業まで広めに記載する — 後から事業内容を追加する場合、定款変更登記で登録免許税3万円が毎回発生
  3. 電子定款で印紙代4万円を削る — 紙定款は収入印紙4万円が必須。電子定款(PDF+電子署名)にすれば0円で済む

以下、本記事ではこの3点を含む絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の整理、公証人認証の流れ、電子定款の作成方法を順に解説します。

定款を理解せずに設立すると後で何が起きるか

定款(ていかん)とは、会社の組織・運営に関する根本的なルールを定めた書面です。会社法によって、株式会社・合同会社(=LLC、Limited Liability Company。出資者全員が有限責任を負う持分会社の一種)などすべての会社形態で作成が義務付けられています。

定款には以下の3種類の記載事項があります。

記載の種類 内容 例
絶対的記載事項 必ず記載しなければならない事項(省略すると定款全体が無効) 目的・商号・本店所在地など
相対的記載事項 記載することで初めて効力を生じる事項 株式の種類・取締役の任期延長など
任意的記載事項 記載しなくても有効だが記載することで明確化できる事項 事業年度・役員報酬の決め方など
設立・開業の後の記帳と申告を任せたい方は顧問契約のお見積りを依頼する →

1つでも欠けると認証が下りない — 絶対的記載事項5項目を完全解説

1. 目的(事業の内容)

会社が行う事業内容を記載します。曖昧すぎず、かつ将来の事業展開を妨げない表現が理想です。

記載例:

第2条(目的)
当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

1. ソフトウェアの開発・販売・保守
2. 情報処理に関するコンサルティング業務
3. インターネットを利用した各種サービスの提供
4. 前各号に附帯関連する一切の業務

「附帯関連する一切の業務」という一文を加えることで、将来の事業拡大に対応できます。ただし金融業・不動産業・医療業など許認可が必要な業種は、許可取得を想定した表現が必要です。

2. 商号

会社の名前です。株式会社(=株式を発行して資金を調達する会社形態。最も一般的な法人形態)の場合、「株式会社」という文字を商号中に必ず含める必要があります(前株・後株どちらでも可)。同一住所・同一商号での登記はできません。

記載例:

第1条(商号)
当会社は、株式会社〇〇と称する。

3. 本店の所在地

本店の所在地を記載します。登記上は「最小行政区画」(〇〇市)まで記載すれば足りますが、詳細な住所を記載する方法もあります。

記載例(最小行政区画):

第3条(本店の所在地)
当会社の本店は、東京都中央区に置く。

4. 設立に際して出資される財産の価額

設立時の資本金(=会社設立時に株主や社員が出資する元手資金。会社の登記事項として公示される)の総額を記載します。

記載例:

第5条(資本金の額)
当会社の資本金の額は、金100万円とする。

5. 発起人の氏名・住所(株式会社のみ)

発起設立の場合、発起人(=株式会社設立にあたり、定款を作成し出資する人)全員の氏名と住所を記載します。

書かないと権利が消える — 相対的記載事項で絶対に入れるべき2項目

相対的記載事項は、記載しなければその効力が認められない事項です。代表的なものを紹介します。

株式の譲渡制限

中小企業では、株式を自由に譲渡されることを防ぐために譲渡制限を設けることが一般的です。

記載例:

第〇条(株式の譲渡制限)
当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。
(取締役会非設置会社の場合:株主総会の承認を要する)

この記載があることで「非公開会社」となり、取締役の任期を最長10年に延長できるなど、さまざまな規律の特則が適用されます。

取締役の任期

法定は2年ですが、非公開会社では最長10年まで延長できます。

記載例:

第〇条(取締役の任期)
取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

任期を長くすると役員変更登記の費用(登録免許税(=法人設立や登記時に納付する税金。資本金×0.7%、株式会社は最低15万円・合同会社は最低6万円)・司法書士費用)を節約できます。

書かなくても問題ないが書いておくと後が楽 — 任意的記載事項の実務的判断

任意的記載事項は記載しなくても定款として有効ですが、会社運営のルールを明確にするために記載することが推奨されます。

事業年度

第〇条(事業年度)
当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。

公告の方法

第〇条(公告の方法)
当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。

【定款設計のメモ】「目的」の書き方で設立後の登記費用が変わる

定款の「目的」欄に将来の事業を記載しないと、後から事業を追加するたびに定款変更登記(登録免許税3万円+専門家報酬)が発生します。「将来やる可能性がある事業」まで広めに書いておけば、開始時に許認可が必要な業種だけ後から追加すれば済みます。

リーパル会計事務所では、定款の「目的」設計を3〜5年後の事業計画と照らし合わせて作成するため、不要な定款変更コストを発生させない設計が可能です。

定款の認証手続き(株式会社の場合)

株式会社の定款は、公証人の認証を受けなければ効力が生じません。認証を受けずに登記申請を行っても受理されないため注意が必要です。

しかし、### 認証に必要な書類

  • 定款(3部:公証役場保存用・会社保存用・登記申請用)
  • 発起人全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 発起人全員が実印で押印した定款
  • 公証人手数料(=公証役場で定款の認証を受ける際に支払う手数料)

電子定款と紙定款の違い

比較項目 電子定款 紙の定款
収入印紙代 不要 40,000円
認証手数料 同額 同額
作成の手間 電子署名設備が必要 比較的簡単
専門家依頼 司法書士・行政書士に依頼が現実的 自分でも可能

電子定款(=公証役場での認証を電子化した定款。収入印紙代4万円が不要になる)は収入印紙代40,000円を節約できますが、電子署名のための設備(ICカードリーダー・マイナンバーカードなど)が必要です。実際には司法書士・行政書士に依頼するケースが多く、依頼費用と節約額のバランスで判断してください。

認証の流れ

  1. 公証役場に事前連絡し、日時を予約する
  2. 定款案を事前送付してチェックを受ける(修正があれば対応)
  3. 予約日時に発起人全員または代理人が公証役場に出向く
  4. 認証手数料を支払い、認証済み定款を受け取る

電子定款の場合はオンライン申請も可能です(嘱託認証)。

【定款チェック相談】認証前の最終確認だけでも対応します

自分で定款を作成した後の最終チェックだけ依頼したいというご相談も増えています。公証人認証は提出後の差し戻しが発生すると2〜3週間ロスするため、認証前にプロの目を入れる費用対効果は高い領域です。

リーパル会計事務所では、ドラフト済み定款のチェック・修正提案のみのスポット対応も承っています。設立スケジュールを遅らせたくない方はお気軽にご相談ください。

合同会社の定款は「公証人認証が不要」だが記載すべき内容は株式会社とほぼ同じ

合同会社の定款は、株式会社と異なり公証人の認証が不要です。そのため電子定款にしても紙の定款にしても収入印紙が必要な点は同じですが、認証手数料がかかりません。(※合同会社でも紙の定款には株式会社と同じく印紙税4万円が必要です。電子定款にすればこの4万円を削減できます。合同会社で省けるのは公証人による認証手数料であり、印紙税ではない点にご注意ください)

合同会社の絶対的記載事項は以下のとおりです。

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 社員の氏名・名称と住所
  • 社員全員が有限責任社員である旨
  • 社員の出資の目的・価額・評価の標準

認証後に気づいても手遅れ — 定款作成でよくある3つの失敗と回避策

失敗1:目的の記載が狭すぎる

事業内容を具体的に書きすぎると、将来の事業拡大時に定款変更が必要になります。「附帯関連する一切の業務」を最後に加えるとともに、将来予定する事業も盛り込んでおくことをお勧めします。

失敗2:本店所在地と実際の住所が異なる

定款に記載した本店所在地と登記申請書の住所が一致していなければなりません。バーチャルオフィスを使用する場合も、実際に使用する住所を正確に記載してください。

失敗3:譲渡制限の記載漏れ

小規模な会社では株式の譲渡制限を設けないと、知らない第三者が株主になるリスクがあります。ほぼすべての中小企業で譲渡制限は必須と考えてください。

よくある質問 — 定款の作成・認証でよく出る疑問

Q. 定款はテンプレートをそのまま使えますか?

A. テンプレートは参考にできますが、事業内容・資本金・役員構成など会社固有の情報を正確に反映させる必要があります。公証人審査で修正を求められることもあるため、専門家のチェックを受けることを推奨します。

Q. 定款は後から変更できますか?

A. 変更できます。一方で株式会社では株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。変更登記が必要な場合は登録免許税3万円がかかります。

Q. 一人会社(一人株式会社)でも定款は必要ですか?

A. 必要です。発起人・株主・取締役すべてが一人の場合でも、定款の作成と認証は省略できません。

Q. 合同会社の定款に認証は必要ですか?

A. 不要です。合同会社の定款は社員全員が作成すれば有効で、公証人の認証を受ける必要はありません。

Q. 定款に記載された事業目的が許認可業種の場合、何か必要ですか?

A. 許認可が必要な事業(飲食業・建設業・医療業など)は、事業開始前に所管の行政機関から許可・認可・登録を受ける必要があります。定款に目的を記載するだけでは事業を始められません。

「目的欄が狭すぎる」「所在地に番地なし」「株数未記載」 — 公証人が指摘する頻発ミス5つと修正方法

定款の認証段階で公証人から差し戻される代表的なミスを、リーパル会計事務所の認証支援実績から5つに絞りました。事前に押さえれば認証が一発で通ります。

# ミスのパターン 公証人差し戻しの典型 回避策
1 商号に使えない文字を使用 半角カタカナ・記号(&以外)の混入 全角ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・&(アンパサンド)の範囲に収める
2 目的記載が抽象的すぎる 「コンサルティング業」だけでは何のコンサルか不明と指摘される 「ITシステムに関するコンサルティング業務」のように分野を限定して記載
3 本店所在地の表記揺れ 定款と登記申請書で「丁目・番・号」の漢数字/算用数字が不一致 全書類で表記を統一(公証役場の見本に合わせる)
4 発起人の押印漏れ 個人実印が必要な箇所に認印を押印 印鑑証明書と同じ実印で全箇所押印
5 電子定款のPDF不備 フォント埋め込み忘れ・電子署名の有効期限切れ PDF/A形式で保存し、マイナンバーカード署名は提出当日に実施

つまり、定款は「内容より形式」で差し戻されるケースのほうが大幅に多いということです。リーパル会計事務所では電子定款の作成代行と公証役場との事前打ち合わせまで行うため、認証段階での差し戻しはこれまでゼロ件です。

まとめ — 定款は「目的の広さ」と「電子化」の2点で決まる

定款は会社設立における最も重要な書類です。絶対的記載事項を漏れなく記載し、将来の事業展開を見据えた内容にすることが、後々の定款変更コストを避ける近道です。

特に株式会社の場合は公証人認証が必要であり、定款の内容に不備があると認証が下りません。電子定款を活用すれば収入印紙代を節約できますが、専門家への依頼も視野に入れてください。

リーパル会計事務所では、会社設立をトータルでサポートしています。定款の作成から公証人認証・登記申請まで、1,100社以上の関与実績を持つ公認会計士・税理士がワンストップでお手伝いします。

設立の全体的な流れは「会社設立の手順・流れを完全解説」を、費用の詳細は「会社設立の費用総額はいくら?株式会社・合同会社別に完全解説」をあわせてご参照ください。

つまり、定款は「将来の事業まで含めた目的設計」と「電子化による印紙代圧縮」が成否を決めます。形式不備で差し戻されると認証スケジュールが2〜3週間ロスするため、最初の作成段階でプロの目を入れる費用対効果は高い領域です。一発で認証を通したい方は、ドラフトの段階からご相談ください。

参考リンク:日本公証人連合会 会社定款認証

リーパル会計事務所の定款作成・認証サポート

定款は会社設立書類の中で唯一「一度認証を受けると変更に費用がかかる」書類です。リーパル会計事務所では、定款作成から公証人認証・登記申請書類の整備まで一気通貫で対応しています。

  • 電子定款の作成代行で収入印紙代4万円を節約し、認証差し戻しゼロを実現
  • 目的欄の設計を3〜5年後の事業展開まで見越して作成し、不要な定款変更登記を防止
  • 公証役場との事前確認を代行し、認証当日のスムーズな手続きを保証
  • 登記後の税務・会計顧問でfreee・マネーフォワードクラウドを活用した経営支援に移行

定款のドラフトレビューだけのスポット対応も承っています。

関連記事

参考資料

監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、会社設立から税務顧問までのワンストップ支援を専門とする。

最終更新日: 2026年5月2日

新着情報NEWS

法人成りしたときの会計ソフトの切り替え|個人の事業所から法人用へ移す手順

IT・クラウド会計

会社の解散確定申告から清算確定申告までの流れ|たたむときの税務手続き

決算

社会保険の手続きを外注するときの分担|入社・退職・算定基礎・月額変更

法人向けサービス

freee・マネーフォワードで年末調整を行う手順【令和8年分】改正対応の確認ポイント

IT・クラウド会計

顧問税理士が廃業・引退するとき|引継ぎ先の探し方と会社側の手続き

経営相談

相続した賃貸物件の確定申告|遺産分割前の家賃の分け方と、亡くなった方の準確定申告

税務

賃貸物件を子に移す方法|贈与・売買・相続時精算課税と、移した後の家賃

税務

家賃収入の申告漏れに気づいたとき|期限後申告・修正申告と、さかのぼる年数

税務

夫婦・親子の共有名義の賃貸物件|持分での按分と経費の負担

税務