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【2026年】法人の消費税の計算方法|7・5・3割控除と2割特例終了後の選び方

税務

「インボイスをきっかけに課税事業者になり、初めて消費税申告に取り組む」法人経理担当者から、リーパル会計事務所には毎年多くの問い合わせが届きます。消費税は、売上に上乗せして預かる「預り税」の性格を持つ税金で、原則として「預かった税額-支払った税額」を国に納める仕組みです。仕組み自体はシンプルですが、原則課税と簡易課税の選択、課税仕入の集計、そして令和8年度税制改正で「7・5・3割控除」に組み替えられた仕入税額控除の経過措置など、実務では細部の判断が求められます。

本記事では、法人の消費税申告を担当する経理担当者が押さえるべき計算式を、原則課税と簡易課税の双方で具体例とともに整理します。仕訳の基本、計算根拠の検算、納付書の作り方まで、初めての申告でも迷わない構成にしました。

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法人の消費税——課税事業者になる条件と税率区分の基礎知識

課税事業者になる条件

法人が消費税の課税事業者になるかどうかは、原則として基準期間(2期前の事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

判定基準 詳細
基準期間の課税売上高 2期前の事業年度。設立初年度・2期目は基準期間がないため原則免税
特定期間の課税売上高 前事業年度の前半6か月の課税売上高が1,000万円超の場合も課税
インボイス登録 免税事業者でも登録すると課税事業者になる
資本金1,000万円以上の新設法人 設立初年度から課税事業者

設立から2年間は免税事業者となるのが一般的ですが、資本金1,000万円以上での設立や特定期間の売上・給与の状況によっては、初年度から課税事業者となる場合があります。

消費税の税率と区分

消費税の税率は、標準税率10%(国税7.8%+地方税2.2%)と軽減税率8%(国税6.24%+地方税1.76%)の2種類があります。軽減税率の対象は「飲食料品(外食・酒類を除く)」と「定期購読の新聞」です。

法人の消費税計算では、売上・仕入れを税率ごとに区分して管理することが求められます。会計ソフトの仕訳入力時に税率を正しく設定しておくことが、申告の正確性につながります。

原則課税の計算方法——仕入税額控除を正確に拾えていますか?

基本的な計算式

原則課税(正式名称:一般課税)における納付消費税の計算式は以下のとおりです。

納付消費税 = 売上に係る消費税額 − 仕入れ等に係る消費税額(仕入税額控除)

売上に係る消費税は「課税売上高 × 消費税率(10%または8%)」、仕入れ等に係る消費税は実際の課税仕入れ・経費に支払った消費税の合計です。

仕入税額控除の要件

インボイス制度の導入以降、仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が原則として必要です。登録番号のない相手(免税事業者など適格請求書発行事業者以外の者)からの課税仕入れについては、一定割合を控除できる経過措置が設けられていますが、この割合は令和8年度税制改正で見直されました。

従来は「80%控除(令和5年10月〜令和8年9月)→ 50%控除(3年)→ 0%」という予定でしたが、改正により適用期限が2年延長され、控除可能割合が7割・5割・3割の3段階に組み替えられました。国税庁が公表している改正後のスケジュールは次のとおりです。

期間 控除可能割合(改正前) 控除可能割合(改正後)
令和5年10月〜令和8年9月 80% 80%(変更なし)
令和8年10月〜令和10年9月 50% 70%
令和10年10月〜令和12年9月 50%(令和11年9月まで) 50%
令和12年10月〜令和13年9月 0% 30%
令和13年10月以後 0% 0%

2026年10月以降の割合は80%ではなく70%である点、そして控除が完全にゼロになるのは令和13年10月以後である点に注意してください。改正前の情報のまま試算していると、納税額の見込みが実際とずれます。

あわせて控除限度額も引き下げられました。一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額が、その年またはその事業年度で1億円(改正前:10億円)を超える場合、その超えた部分の課税仕入れについてはこの経過措置を適用できません。適用は令和8年10月1日以後に開始する課税期間からです。免税事業者からの仕入れが集中している取引先がある法人は、この限度額に触れないか確認しておく必要があります。

また、課税売上割合が95%未満の法人や課税売上高が5億円超の法人は、仕入税額控除の按分計算(個別対応方式または一括比例配分方式)が必要になります。

原則課税の計算例

年商2億円(税抜)、仕入れ・経費の消費税合計1,200万円の製造業法人の場合:

  • 売上消費税: 2億円 × 10% = 2,000万円
  • 仕入税額控除: 1,200万円
  • 納付消費税: 2,000万円 − 1,200万円 = 800万円

消費税の計算は「式」の理解よりも、「課税仕入を漏らさず拾う」という日々の経理処理のほうがはるかに重要です。仕入税額控除を取り損ねれば、その分だけ納税額が膨らみます。リーパル会計事務所では、freee・マネーフォワードクラウド上で課税仕入の自動仕訳ルールを設計し、毎月の月次決算で消費税の見込み納税額を可視化する運用を顧問先に提供しています。年度末で慌てて集計する形だと、漏れ・取り違えが発生しやすくなります。

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簡易課税の計算方法——みなし仕入率で納税額がどう変わるか具体例で確認

みなし仕入率を使った計算

簡易課税では、実際の仕入れに係る消費税額を計算する代わりに、みなし仕入率を使います。

仕入税額控除 = 売上に係る消費税額 × みなし仕入率

みなし仕入率は事業区分によって異なります。

事業区分 主な業種 みなし仕入率
第1種 卸売業 90%
第2種 小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る) 80%
第3種 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業 70%
第4種 第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業(飲食店業など) 60%
第5種 運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く) 50%
第6種 不動産業 40%

簡易課税の計算例

年商3,000万円(税抜)の飲食業法人(第4種・60%)の場合:

  • 売上消費税: 3,000万円 × 10% = 300万円
  • みなし仕入税額控除: 300万円 × 60% = 180万円
  • 納付消費税: 300万円 − 180万円 = 120万円

実際の仕入れ・経費の消費税合計が180万円を下回れば簡易課税が有利、上回れば一般課税が有利になります。

簡易課税の適用要件と届出

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること
  • 原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること

ここには重要な例外があります。2割特例または3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、その翌課税期間に係る確定申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度を適用できます(この提出期限の特例の見直しは、その翌課税期間が令和8年10月1日以後に終了する課税期間である場合に適用されます)。原則の「初日の前日まで」より大幅に緩やかで、特例終了後の着地を後から選び直せる余地があるということです。

なお、中間申告の基準となるのは前年度の年税額(国税分)であり、48万円超/400万円超/4,800万円超の3区分で申告頻度が決まります。

一度選択すると翌課税期間も含め2年間は継続適用が必要です。大規模な設備投資が予定されている場合は、事前に試算してから選択してください。

2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間で終了——法人は「3割特例」の対象外

インボイス登録をきっかけに課税事業者になった法人の経理担当者が、2026年に必ず押さえておくべき論点です。

免税事業者から適格請求書発行事業者になった小規模事業者の負担を軽減する2割特例(納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割にできる特例)は、国税庁の公表資料によると令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します。

その後継として令和8年度税制改正で創設されたのが3割特例です。課税標準額に対する消費税額に7割を乗じた額を控除することで、納付税額をその3割にできる制度で、対象年分は令和9年分・令和10年分です。ただし——

特例 対象 適用時期
2割特例 個人事業者・法人 令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了
3割特例 個人事業者のみ(法人は対象外) 令和9年分・令和10年分

つまり法人には3割特例の受け皿がありません。2割特例を使っていた法人は、令和8年9月30日を含む課税期間の次の課税期間から、一般課税または簡易課税で申告することになります。12月決算の法人であれば令和9年12月期がその最初の課税期間です。

ここで効いてくるのが、前述した簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例です。2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間に簡易課税を使いたい場合、その翌課税期間の確定申告期限までに届出書を提出すれば適用できます。12月決算法人なら、令和9年12月期の消費税確定申告期限(令和10年2月末)までに届出書を出せば、令和9年12月期から簡易課税を適用できるという整理です。

2割特例の実質的な負担水準(売上税額の2割)に近いのは、みなし仕入率80%の第2種事業です。第5種(サービス業・50%)や第6種(不動産業・40%)に該当する法人は、簡易課税に移っても納付税額が上がります。2割特例が切れる課税期間は、一般課税と簡易課税のどちらが有利かを改めて試算するタイミングだと考えてください。

申告・納付の期限を守れていますか?中間申告と電子申告の注意点

法人の申告期限

法人の消費税申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。法人税の申告期限と同じタイミングになります。なお、法人税で申告期限の延長(1か月延長)を受けていても、消費税の申告期限の延長は別途申請が必要です。

中間申告・中間納付

前年度の消費税年税額が48万円超の法人は、中間申告と中間納付が必要になります。

前年度の年税額 中間申告・納付の回数
48万円超〜400万円以下 年1回(6か月分)
400万円超〜4,800万円以下 年3回(3か月分ごと)
4,800万円超 年11回(1か月分ごと)

中間納付額は前年実績をもとに計算(予定申告)するか、仮決算による試算値で申告(仮決算申告)するかを選択できます。業績が前年より大幅に落ちている場合は仮決算申告によりキャッシュフローを改善できる場合があります。

e-Taxによる電子申告

法人は原則としてe-Taxによる電子申告が義務付けられています(2020年4月以降の課税期間から)。消費税申告書もe-Tax提出が必要です。freeeやMFクラウドから直接e-Tax連携できる機能を活用すると、申告作業を効率化できます。

「自社のケースで原則課税と簡易課税のどちらが有利か」「届出を出すタイミング」など、個別の判断は数字を見ないと結論が出ません。判断に迷う部分があれば、リーパル会計事務所に直接ご相談いただくのが最短です。

よくある質問

Q1. 設立2期目の法人はいつから消費税の申告が必要ですか?

資本金1,000万円未満で設立した法人の場合、設立初年度と2期目は基準期間がないため原則免税です。ただし、特定期間(設立初年度の前半6か月)の課税売上高または給与支払額が1,000万円を超えた場合は2期目から課税事業者となります。また、インボイス登録をした場合は登録日から課税事業者となります。

Q2. 土地の売却や受取保険金は消費税の計算に影響しますか?

土地の売却は消費税が非課税のため、課税売上割合の計算に影響します。課税売上割合が95%未満になると、仕入税額控除の按分計算が必要になります。受取保険金は一般的に不課税取引のため、課税売上割合の計算対象外です。

Q3. 会計ソフトを使っていれば消費税計算は自動で正しく行われますか?

仕訳入力時の税率区分・課税区分の設定が正しければ、会計ソフトが消費税額を自動集計します。ただし、仕訳の課税区分ミス(非課税を課税と入力するなど)があると計算が狂います。申告前には必ず課税売上高・仕入税額の内訳を確認することをおすすめします。

Q4. 簡易課税と原則課税を毎年切り替えることはできますか?

2年間の継続適用要件があるため、毎年切り替えることはできません。また、簡易課税から一般課税に戻す場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出が必要です。また、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった場合も、原則として2年間は免税事業者に戻ることができません(消費税法第9条第6項)。

Q5. 消費税の還付申告をすると税務調査が来やすいですか?

還付申告は確かに税務調査の対象になりやすい傾向があります。特に多額の設備投資や輸出売上がある場合は、適格請求書・輸出証明書類の整備を事前に行い、説明できる準備をしておくことが重要です。

まとめ

法人の消費税計算は、原則課税と簡易課税の選択から始まり、仕入税額控除の管理・中間申告・電子申告まで多岐にわたります。インボイス制度の導入により、原則課税での仕入税額控除管理はさらに複雑になっています。

参考資料

消費税は「計算するもの」ではなく「日々の仕訳を消費税の論理で並べておくもの」です。会計ソフトの設定段階で課税区分を正しくマッピングしておけば、決算時の集計はワンクリックで済みます。逆に、初期設定が甘いまま日々入力していると、年度末に税区分を遡及修正する地獄が待っています。リーパル会計事務所では、freee・MFクラウドの初期設定段階から関与し、毎月の月次でズレを点検していく運用をご提供しています。

消費税の取り扱いを正しく設計することで、仕入税額控除の漏れを防ぎ、毎年の申告コストを最小化できます。初期設定の段階で専門家と一緒に組み立てない理由はほとんどありません。判断に迷う場合はリーパル会計事務所までご相談ください。

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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、インボイス制度・消費税実務を専門とする。

最終更新日: 2026年10月10日

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