「経費精算に毎月何時間も取られている」「領収書の紛失が後を絶たない」「リモートワークになってから精算が滞りがちだ」——そんな課題を抱える経理担当者・中小企業経営者の方に向けて書いています。経費精算の非効率は、承認フローとデジタル化の設計次第で根本から解決できます。
マネーフォワードクラウド経費を使えば、スマートフォンで領収書を撮影するだけで申請でき、承認フローの電子化・会計ソフトへの自動連携まで実現できます。初期設定の精度が運用の質を左右するため、導入前に全体像を把握しておくことが重要です。
本記事では、リーパル会計事務所がMFクラウド公認アドバイザーとして支援した経験をもとに、マネーフォワードクラウド経費の初期設定から日常の申請・承認フローまで実務手順を解説します。
他社と何が違う?マネーフォワードクラウド経費の特徴を整理する
スマートフォンでの領収書撮影・AI読み取り
マネーフォワードクラウド経費の最大の特徴は、スマートフォンアプリで領収書を撮影するとAIが金額・日付・支払先を自動読み取りする機能です。手入力の手間が月10時間単位で削減され、領収書の紛失リスクも解消されます。
マネーフォワードクラウド会計との自動連携
承認済みの経費精算データはマネーフォワードクラウド会計に自動連携されます。これにより、経費精算の支払いが完了した時点で仕訳が自動計上され、経理担当者が手動で仕訳を入力する作業が不要になります。
申請・承認フローの完全電子化
紙の申請書・印鑑によるフローを完全に排除し、スマートフォン・PCから申請→承認→支払いまでを一貫して電子化できます。リモートワーク環境でも経費精算が滞らなくなります。
初期設定を5ステップで完了する方法
1. 管理者設定:会社情報と支払い方法の登録
管理者アカウントでログイン後、「設定」から会社情報を登録します。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社情報 | 会社名・住所・代表者名・事業年度 |
| 支払い方法 | 現金精算・振込精算・立替精算の設定 |
| 支払いサイクル | 精算締め日・支払日の設定 |
| 消費税設定 | 税込・税抜の入力方式 |
| 電子帳簿保存法(=帳簿・書類を電子データで保存することを定めた法律)対応 | タイムスタンプ設定 |
支払いサイクルの設定は、従業員の立替金が長期間滞留しないよう適切な締め日・支払日を設定することが重要です。月末締め翌月末払いが一般的ですが、自社のキャッシュフローに合わせて設定します。
2. 承認フローの設定
承認フローは「設定」→「ワークフロー設定」から作成します。一般的な中小法人では以下のシンプルなフローから始めることをお勧めします。
- 申請者 → 直属上長承認 → 経理確認・支払い実行
部門ごとに異なる承認ルートを設定することも可能です。また、金額上限を設けて一定額以下は直接経理へ、一定額以上は役員承認を経るといった多段階フローも構築できます。
3. 経費科目・プロジェクトの設定
経費精算で使用する勘定科目を設定します。マネーフォワードクラウド会計との連携を設定すれば、経費科目と会計勘定科目のマッピングが自動適用されます。
よく使う経費科目の例:
- 交通費(電車・バス・タクシー)
- 宿泊費
- 接待交際費(取引先との飲食等)
- 消耗品費
- 書籍・資料費
- 通信費
従業員の経費申請を5ステップで完了する手順
スマートフォンでの申請
- アプリを開き「申請する」をタップ
- 領収書を撮影(AI読み取り起動)
- 金額・日付・支払先・経費科目を確認・修正
- 目的・摘要を入力
- 申請ボタンをタップ
電車・バスなどの交通系ICカード(Suica等)を連携している場合は、ICカードの履歴から交通費を自動取り込みできます。定期券の区間を事前に登録しておけば、定期券範囲外の交通費のみ自動抽出されます。
PC(ブラウザ)での申請
月次で複数の経費をまとめて申請したい場合はPC操作が便利です。経費の一覧入力画面で複数行を一括入力し、申請書を作成します。
管理者・経理担当者の承認・支払い処理
承認フローの確認
申請が来ると承認担当者にメール通知が届きます。管理画面から申請一覧を確認し、領収書画像・金額・内容を確認したうえで承認または差し戻しを行います。
経理担当者の支払い処理
承認が完了した経費は経理担当者が確認し、指定した支払い方法で処理します。振込精算の場合は、銀行への振込依頼ファイル(全銀形式)を出力してネットバンキングからまとめて振込処理できます。
会計仕訳の自動連携
経費の支払い処理が完了すると、マネーフォワードクラウド会計に仕訳が自動連携されます。連携設定時に指定した勘定科目・補助科目が自動的にマッピングされるため、経理担当者が仕訳を手入力する必要はありません。
経費精算フローの設計に迷いがある場合は、現状の業務フローをリーパル会計事務所にお聞かせください。承認段階数・部門別ルート・金額分岐の設計まで、1,100社以上の関与実績から最適な構成をご提案します。
電子帳簿保存法(=帳簿・書類を電子データで保存することを定めた法律)への対応
2024年1月以降、電子取引(メール・Webサービスで受け取った領収書等)の電子保存が義務化されています。マネーフォワードクラウド経費はタイムスタンプ付与に対応しており、電子帳簿保存法(=帳簿・書類を電子データで保存することを定めた法律)の要件を満たした保存が可能です。
スマートフォンで撮影した紙の領収書については、要件を満たした条件で電子保存することで紙の原本廃棄も可能です。ただし、実際の適用前に税理士に相談することをお勧めします。
電子帳簿保存法の「スキャナ保存」要件(タイムスタンプ・解像度・真実性確保)を正しく満たしているかどうかは、税理士が確認しなければ判断が難しい領域です。リーパル会計事務所では、MFクラウド経費の設定状況を確認しながら電帳法対応の適否をアドバイスしています。
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よくあるトラブルと対処法
AI読み取りの精度が低い場合:
領収書が暗い・しわがある・インクが薄いと読み取り精度が下がります。明るい場所でまっすぐ撮影し、読み取れない項目は手動で修正します。
交通費の経路が複雑な場合:
複数区間にわたる出張は、区間を分けて申請するか、摘要に詳細を記載します。
立替金が蓄積する場合:
締め日・支払日の設定を見直し、月1〜2回の精算サイクルを維持することをお勧めします。
マネーフォワードクラウド経費の導入後に承認フローや会計連携の設定をどう組むべきか迷う場合は、リーパル会計事務所が実務設計ごとサポートします。
リーパル会計事務所の経費精算DX支援
リーパル会計事務所はMFクラウド経費の導入設定から、承認フロー設計・会計連携設定・電子帳簿保存法対応まで包括的にサポートします。
「紙の経費精算をなくしたい」「会計ソフトとの連携を自動化したい」という方はぜひご相談ください。
参考:マネーフォワードクラウド経費 公式ヘルプ
MFクラウド経費の導入前チェック:承認フロー設計の判断基準
| チェック項目 | 小規模法人(〜10名) | 中規模法人(11〜50名) | 大規模法人(51名〜) |
|---|---|---|---|
| 承認段階数 | 1段階(申請→経理) | 2段階(申請→上長→経理) | 3段階以上(部門承認+役員承認) |
| 金額分岐設定 | 不要 | 5万円超は追加承認を推奨 | 役職別に金額閾値を設定 |
| 部門別ルート | 不要 | 事業部が複数あれば設定 | 必須 |
| 代理承認者 | 1名設定 | 部門ごとに設定 | 役職単位で複数設定 |
| 証憑保存要件 | スキャナ保存で原本廃棄 | タイムスタンプ設定を確認 | 内部統制部門と要件確認 |
経費精算電子化によるコスト削減効果の目安
| 対象業務 | 紙精算時の月次工数 | MFクラウド経費導入後の目安 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| 領収書の整理・貼付 | 3〜5時間/月 | 0〜1時間/月 | 約80%削減 |
| 申請書の記入・配布 | 2〜4時間/月 | 不要(アプリで完結) | 約100%削減 |
| 経理担当者の確認作業 | 5〜8時間/月 | 1〜2時間/月 | 約75%削減 |
| 仕訳入力(会計連携前) | 3〜6時間/月 | 自動連携で不要 | 約100%削減 |
※工数は従業員20名規模の法人を想定した参考値です。
よくある質問
Q. マネーフォワードクラウド経費は何人から利用できますか?
1人から利用できます。従業員1名あたりの月額費用で提供されており、人数に応じた費用になります。
Q. 領収書の原本は捨ててもよいですか?
電子帳簿保存法の「スキャナ保存(=紙の書類をスキャンして電子データで保存する電帳法上の区分)」要件を満たした場合に限り、紙の原本の廃棄が認められます。要件(解像度・タイムスタンプ等)を満たしているかどうかは税理士に確認することをお勧めします。
Q. マネーフォワードクラウド会計を使っていない場合でも利用できますか?
はい、他の会計ソフトを使用している場合でもマネーフォワードクラウド経費を単体で利用できます。ただし、自動仕訳(=銀行口座やクレジットカードの取引データから勘定科目を自動推定する機能)連携の恩恵を最大化するにはクラウド会計とのセット利用が最適です。
Q. 海外出張の経費も対応していますか?
はい、外貨建ての経費入力に対応しており、レートを手動入力または為替レートの自動取得で処理できます。
Q. 承認者が不在の場合はどうすればよいですか?
代理承認者の設定が可能です。長期不在が見込まれる場合は代理承認者を事前に設定しておくことで、精算が滞らないようにできます。
まとめ
マネーフォワードクラウド経費は、スマホからの領収書撮影・承認・支払依頼・仕訳連携までを1本のフローで完結させられるサービスです。導入時の肝は「承認フロー設計」と「クラウド会計との仕訳連携設定」の2点で、ここを誤るとせっかくの自動化が逆に手戻りを生むケースもあります。
リーパル会計事務所では、経費規程の見直しから申請カテゴリ設計・承認ルール構築・電帳法対応・MFクラウド会計との仕訳連携設定まで、経費精算DXの全工程を月次伴走でサポートしています。「Excelや紙の精算から脱却したい」「電子帳簿保存法対応も含めて整備したい」という法人様は、初回無料相談で現状フローをお聞かせください。あなたの経費精算フローを、最短で止まらない仕組みへ整えます。
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結論:MFクラウド経費は「申請者の負担ゼロ」を起点に設計する
経費精算ツールを導入しても運用が定着しないのは、ほぼ例外なく申請者の負担が下がっていないことが原因です。スマホでの撮影〜申請完了までを3タップ以内に収め、ICカード・法人カードの自動連携を最初から有効化しておけば、現場の心理的ハードルが大きく下がります。
リーパル会計事務所では、申請者目線での運用設計と、経理担当者目線での会計連携設計を両立させた支援を行っています。「経費精算が形骸化している」「電帳法対応も含めて見直したい」という法人様は、初回無料相談で現状フローをお聞かせください。
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MF公認・freee認定元国税調査官の知見
参考資料
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。マネーフォワードクラウド公認アドバイザー・freee認定アドバイザーを持ち、クラウド会計を活用した経理DX・経費精算の仕組み化を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日