「確定申告は、もうスマホだけで終わらせられるのでは」。令和7年分(2026年に提出する申告)を前に、副業をしている会社員や個人事業主の方から、この質問が増えています。実際、国税庁はスマートフォンとマイナンバーカードを使ったe-Tax申告を年々強化しており、令和7年1月からは所得税のすべての画面がスマホで操作しやすい仕様に刷新され、iPhoneのマイナンバーカードにも対応しました。パソコンもICカードリーダライタも持たずに、手のひらの上で申告を完結できる環境が整いつつあります。
本記事では、令和7年分のスマホ確定申告のやり方を、国税庁の一次情報に基づいて手順ごとに解説します。控除証明書や源泉徴収票を手入力せずに済む「マイナポータル連携」の仕組み、マイナンバーカード方式の使い方、そして2026年提出分で押さえておきたい主な変更点まで、実務目線で整理しました。数字や期日は国税庁の公式情報を確認したうえで記載しています。
スマホ確定申告とは|2つの方式と必要なもの
スマホでの確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にスマートフォンのブラウザからアクセスし、画面の案内に沿って金額を入力していくことで申告書を作成し、そのままe-Tax(電子申告)で送信する方法です。紙に印刷して税務署へ郵送・持参する必要がなく、自宅から24時間提出できます。
e-Taxで送信する際の本人確認方法には、大きく分けて2つの方式があります。
| 方式 | 必要なもの | 特徴 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード方式 | マイナンバーカード(またはスマホ用電子証明書)+対応スマホ | マイナポータル連携で控除証明書等を自動取得できる。還付が早い |
| ID・パスワード方式 | 税務署で発行したID・パスワード | カード不要だが、マイナポータル連携は利用できない暫定的な方式 |
マイナポータル連携による自動入力の恩恵を受けられるのはマイナンバーカード方式です。本記事ではこの方式を前提に解説します。
準備するもの
マイナンバーカード方式でスマホ申告を行うには、次のものを用意してください。
- マイナンバーカード(電子証明書が有効なもの)
- マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン(またはICカードリーダライタを接続したパソコン)
- 利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)
- 券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)など、カード取得時に設定したパスワード
なお令和7年1月からe-Taxがスマホ用電子証明書に対応したため、対応端末では物理的なマイナンバーカードを毎回読み取らなくても申告できるようになりました。後述の「2026年の主な変更点」で詳しく触れます。
マイナポータル連携で自動入力できるデータ
スマホ確定申告の最大のメリットが、マイナポータル連携です。これは、マイナポータルを経由して各種証明書のデータを一括取得し、確定申告書の該当項目へ自動で入力する機能です。控除証明書のハガキを見ながら数字を手で打ち込む作業が不要になり、入力ミスも防げます。
国税庁によると、マイナポータル連携で取得・自動入力できる主なデータは次のとおりです。
- 給与所得の源泉徴収票
- 医療費(医療費通知情報)
- ふるさと納税(寄附金控除証明書、一部対応外あり)
- 生命保険料控除証明書(一時払・年払)
- 地震保険料控除証明書(一時払・年払)
- 社会保険料控除証明書
- iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
- 住宅ローン控除関係の情報 など
ただし、自動取得できるのは証明書の発行主体(保険会社・自治体・金融機関など)がマイナポータル連携に対応している場合に限られます。連携に対応していない発行機関の証明書は、従来どおり手入力が必要です。対応状況は国税庁・マイナポータルの一覧で確認できます。
連携には事前準備が必要
マイナポータル連携は、申告前に一度だけ「事前設定」を済ませておく必要があります。具体的には、マイナポータルにログインし、確定申告の準備ページで取得したい証明書等を選択して、e-私書箱や各事業者サービスとの連携を許可する作業です。年末から確定申告期間が始まる前の時間に余裕のあるタイミングで設定しておくと、申告当日の作業がスムーズになります。
スマホで確定申告するやり方|手順を解説
ここからは、マイナンバーカード方式での具体的な操作手順を順を追って説明します。
- マイナポータル連携の事前設定を済ませる(前章のとおり、取得したい証明書を選択・連携許可しておく)
- 「確定申告書等作成コーナー」にスマホでアクセスする(国税庁サイト内。専用アプリ「マイナポータルアプリ」のインストールも案内に従って行う)
- 「作成開始」を選び、提出方法で「e-Taxで提出 マイナンバーカード方式」を選択する
- マイナンバーカードを読み取り、本人認証を行う(利用者証明用電子証明書のパスワード〈数字4桁〉を入力。対応端末では生体認証も利用可能)
- 「マイナポータルと連携する」を選び、控除証明書等のデータを取得する(源泉徴収票・医療費・各種控除証明書が該当項目へ自動入力される)
- 収入・所得・控除の各項目を画面の案内に沿って確認・追記する(自動入力されなかった項目を手入力で補う)
- 計算結果(納付額または還付額)を確認する
- マイナンバーカードで電子署名を行い、e-Taxで送信する
- 送信後、受信通知(メッセージボックス)で受付が完了したことを確認する
還付がある場合は、申告書に記載した本人名義の口座へ振り込まれます。マイナンバーカード方式によるe-Tax申告は、書面提出に比べて還付処理が早く、おおむね3週間程度で還付されるのが一般的です。
入力前に手元へ用意しておく書類
マイナポータル連携で自動取得できない情報は手入力になります。スムーズに進めるため、次の書類を手元に置いておくと安心です。
- 連携対象外の控除証明書(発行機関が未対応のもの)
- 副業・事業の収入と経費がわかる帳簿・集計表
- 株式の特定口座年間取引報告書など
- 還付先となる本人名義の銀行口座情報
令和7年分(2026年提出)の主な変更点
令和7年分の確定申告では、スマホ申告まわりでいくつかの利便性向上があります。国税庁が案内している主な変更点は次のとおりです。
- iPhoneのマイナンバーカードに対応:これまでAndroidで利用できていた「スマホ用電子証明書」が、令和7年1月からiPhoneでも利用可能になりました。「iPhoneのマイナンバーカード」を設定しておくと、申告のたびに物理カードを読み取る手間が省け、本人認証がよりスムーズになります。
- スマホ用電子証明書への対応:令和7年1月からe-Taxがスマホ用電子証明書に対応し、対応端末ではマイナンバーカードの都度の読み込みが不要になりました。
- スマホ画面の全面対応:所得税のすべての入力画面がスマホで操作しやすい仕様に刷新され、パソコンを使わずに幅広い所得・控除に対応できるようになりました。
- マイナポータル連携で取得できる証明書の拡充:生命保険料控除証明書や社会保険料控除証明書など、自動取得の対象が段階的に広がっています。
なお、これらの機能を最大限活用するには、マイナンバーカードの電子証明書が有効であること(有効期限切れに注意)と、スマホ用電子証明書・iPhoneのマイナンバーカードの初期設定が前提となります。設定方法はお使いの端末やOSのバージョンによって異なるため、マイナポータルアプリの案内に従って進めてください。
確定申告の期間
所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行うこととされています。ただし、3月15日が土日にあたる場合は、その翌営業日が期限となります。令和7年分(2026年に提出する申告)については、国税庁の案内で令和8年3月16日(月)が申告・納付の期限とされています(3月15日が日曜日のため、翌営業日に繰り下げ)。
還付のみを受けるための還付申告は、確定申告期間の開始を待たずに、対象年の翌年1月から提出できます。納め過ぎた税金の還付だけが目的であれば、混雑する2月〜3月を避けて早めに申告しておくのも有効です。
なお、個人事業者の消費税の申告・納付期限は所得税と異なり、令和7年分は令和8年3月31日(火)とされています。所得税と同じ感覚で進めると遅れるおそれがあるため、課税事業者の方は特に注意してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. パソコンやICカードリーダライタがなくても、スマホだけで確定申告できますか?
A. はい、できます。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがあれば、「確定申告書等作成コーナー」にスマホのブラウザからアクセスして申告書を作成し、そのままe-Taxで送信できます。令和7年1月からはスマホ用電子証明書にも対応し、操作はさらに簡便になりました。
Q2. マイナポータル連携を使えば、すべての控除証明書が自動で入力されますか?
A. いいえ。自動入力されるのは、証明書の発行主体(保険会社・自治体・金融機関など)がマイナポータル連携に対応している場合に限られます。連携対象外の証明書は従来どおり手入力が必要です。事前に対応状況を確認しておくことをおすすめします。
Q3. マイナンバーカードを持っていなくてもスマホ申告はできますか?
A. 税務署で発行したID・パスワード方式を使えば、マイナンバーカードがなくてもスマホからe-Tax送信は可能です。ただしこの方式は暫定的な位置づけで、マイナポータル連携による自動入力は利用できません。利便性の面ではマイナンバーカード方式が有利です。
Q4. 令和7年分の確定申告の期限はいつですか?
A. 所得税の確定申告は原則として翌年2月16日から3月15日までですが、3月15日が日曜日にあたる令和7年分は、翌営業日の令和8年3月16日(月)が期限です。個人事業者の消費税は令和8年3月31日(火)が期限となります。
Q5. スマホ申告だと還付は早くなりますか?
A. マイナンバーカード方式によるe-Tax申告は、書面での提出に比べて還付処理が早い傾向があり、おおむね3週間程度で還付されるのが一般的です。早期の還付を希望する場合はe-Taxでの提出が有利です。
参考資料
スマホとマイナポータル連携を使えば、確定申告は「証明書を見ながら数字を打ち込む作業」から「自動入力された内容を確認する作業」へと大きく変わります。一方で、副業の所得区分の判定、経費の範囲、複数の控除の組み合わせ最適化といった「判断」が必要な部分は、自動化では解決しません。入力は簡単になっても、何をどう申告するかの設計は依然として専門知識が問われる領域です。
リーパル会計事務所では、freee・マネーフォワードクラウドの導入支援1,000社超の経験をもとに、会社員の副業申告から個人事業主の確定申告まで、クラウド会計とe-Taxを組み合わせた効率的な申告体制づくりをサポートしています。「スマホで申告まではできたが、控除や経費の判断に自信がない」という方は、お気軽にご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。慶應義塾大学商学部在学中に公認会計士試験に合格し、PwCあらた有限責任監査法人を経てリーパル会計事務所を設立。1,100社以上の関与実績を持ち、クラウド会計とe-Taxを活用した申告効率化を専門とする。本記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年6月11日
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