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税理士と公認会計士の違い|中小企業の税務と決算はどちらに頼むか

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税理士と公認会計士の違い|中小企業の税務と決算はどちらに頼むか

中小企業が法人税・消費税の申告や税務調査の対応を頼む相手は、税理士(税理士法人)です。公認会計士の独占業務は財務書類の監査・証明で、公認会計士が申告書の作成や税務相談を仕事として行うには、税理士として登録している必要があります。

この記事では、税理士法・公認会計士法・会社法の条文をもとに、2つの資格の独占業務の線引き、中小企業に監査が要る場面、依頼したいことごとの頼み先、「公認会計士・税理士」と名乗る事務所に頼むときに確かめることを整理します。

独占業務の違い:税理士は税務、公認会計士は監査

2つの資格は、法律で「その資格がないと仕事として行えない業務」(独占業務)が違います。税理士法2条1項は、他人の求めに応じて租税に関して行う次の3つを、税理士の業務としています。

  • 税務代理:税務署などへの申告・申請・不服申立てや、税務調査での主張・陳述を代理すること
  • 税務書類の作成:申告書・申請書など、税務署に提出する書類を作ること
  • 税務相談:申告などに関して、税額の計算の基になる事項の相談に応じること

この3つ(税理士業務)は、税理士・税理士法人でない者が行ってはならないとされています(税理士法52条)。国税庁『No.9203 税理士制度について』も、税理士業務を行えるのは税理士、税理士法人、国税局長に通知をした弁護士・弁護士法人に限られると説明しています。

一方、公認会計士法2条1項は、他人の求めに応じ報酬を得て「財務書類の監査又は証明」をすることを公認会計士の業務としています。公認会計士・監査法人でない者は、この業務を営んではならないとされています(公認会計士法47条の2)。ここでいう財務書類は、貸借対照表・損益計算書など財務に関する書類です(同法1条の3)。

項目 税理士 公認会計士
根拠の法律 税理士法 公認会計士法
独占業務 税務代理・税務書類の作成・税務相談(2条1項) 財務書類の監査・証明(2条1項)
独占業務のほかに行えること 税理士業務に付随する財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行など(2条2項) 財務書類の調製、財務に関する調査・立案・相談(2条2項)
資格のない者への禁止 52条 47条の2
組織で行う形 税理士法人(税理士が共同して設立・48条の2) 監査法人(34条の2の2)

表の2条2項には、どちらにも但し書きがあります。他の法律で業として行うことが制限されている事項は除く、というものです。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法52条で税理士以外に制限されているので、公認会計士の資格だけで「財務の相談の延長」として申告書を作ることはできません。

公認会計士が税務を行うには、税理士の登録が要る

税理士法3条1項は、税理士となる資格を持つ者として、税理士試験の合格者などと並べて公認会計士を挙げています。ただし、資格を持っているだけでは税理士業務はできません。税理士となるには、税理士名簿に登録を受けなければならないとされています(税理士法18条)。

また、税理士法3条3項は、ここでいう公認会計士を「財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士」と定めています。公認会計士が税理士として申告業務を行っている場合、公認会計士であることと、税理士名簿に登録していることの2つがそろっています。

依頼する側が確かめるのは、肩書の「公認会計士」ではなく、税理士として登録しているかどうかです。国税庁『税理士をお探しの方へ』は、日本税理士会連合会のホームページで、登録されているすべての税理士・税理士法人の情報を見られると案内しています。名刺や事務所のサイトの表記だけで判断せず、契約前に登録の有無を確かめておくと確実です。

弁護士も税理士業務を行える場合がある

税理士法51条により、弁護士は所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内で税理士業務を行えます。通知が前提なので、弁護士であれば誰でも申告を代理できるわけではありません。

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中小企業に公認会計士の監査が要る場面

会社法では、大会社は会計監査人を置かなければなりません(会社法328条)。大会社とは、最終事業年度の貸借対照表で資本金が5億円以上、または負債の合計額が200億円以上の株式会社です(同法2条6号)。そして会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければならないとされています(同法337条1項)。

上場会社など、金融商品取引法の対象となる会社が提出する財務計算に関する書類も、公認会計士または監査法人の監査証明を受ける仕組みです(金融商品取引法193条の2)。

大会社でも上場会社などでもない会社には、会社法と金融商品取引法による監査の義務はかかりません。ただし、株式会社は定款の定めによって会計監査人を置くことができます(会社法326条2項)。公認会計士の監査は他人の求めに応じて行う業務なので、法律上の義務がなくても、上場の準備や出資者への説明などの目的で監査を依頼することはできます。

会社の状況 公認会計士・監査法人の監査 根拠
大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社) 会計監査人を置く義務がある 会社法2条6号・328条・337条1項
上場会社など金融商品取引法で監査証明が必要な会社 監査証明を受ける 金融商品取引法193条の2
上の2つに当たらない株式会社 義務はない。定款で会計監査人を置くことはできる 会社法326条2項

会計参与には税理士もなれる

会社法には、取締役と共同して計算書類を作る「会計参与」という機関もあります(会社法374条1項)。会計参与になれるのは、公認会計士・監査法人のほか、税理士・税理士法人です(同法333条1項)。監査とは別の仕組みで、置くかどうかは定款で決めます(同法326条2項)。

依頼したいことから見た依頼先

ここまでの線引きを、中小企業がよく頼む内容に当てはめると次のとおりです。

依頼したいこと 依頼先 根拠
法人税・消費税・地方税の申告書の作成と提出 税理士・税理士法人(国税局長に通知した弁護士なども可) 税理士法2条1項・51条・52条
税務調査での立会い・主張 税理士・税理士法人 税理士法2条1項1号
取引の税金の扱いの相談 税理士・税理士法人 税理士法2条1項3号
記帳の代行・決算書の作成 税理士は税理士業務に付随して行える。公認会計士も財務書類の調製を行える。記帳の代行そのものは、どちらの資格の独占業務でもない 税理士法2条2項・公認会計士法2条2項
会計監査人としての監査・任意の監査 公認会計士・監査法人 会社法337条1項・公認会計士法2条1項
会計参与への就任 公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人 会社法333条1項

「決算と申告をまとめて頼みたい」という場合は、税理士(税理士法人)が窓口になります。決算書づくりの前提になる記帳・財務書類の作成は税理士業務に付随する業務として、申告書の作成・提出は税理士業務として、同じ相手に頼めるからです。

なお、社会保険・労働保険の届出書の作成や提出の代行は社会保険労務士(社会保険労務士法2条・27条)、登記の手続の代理は司法書士(司法書士法3条・73条)の業務です。役員変更の登記や従業員の資格取得届は、税理士・公認会計士とは別の専門家の領域になります。

「公認会計士・税理士」の事務所に頼むときに確かめること

両方の資格を持つ人が代表の事務所もあります。資格が2つあることで税務の範囲が広がるわけではなく、税務の依頼については税理士として登録しているかどうかが基準です。契約前に次の点を確かめておくと、頼める範囲の食い違いを防げます。

  • 税理士として登録しているか:事務所の代表者や担当する税理士が、税理士名簿に登録されているか
  • 依頼する業務の範囲:記帳・決算書の作成・申告書の作成と提出・税務調査の対応・日々の相談のうち、どこまでが契約に入るか
  • 監査も頼む予定があるか:大会社等の監査では、監査をする公認会計士が同じ会社から一定の非監査業務で継続的な報酬を受けていると監査を行えない、という制限があります(公認会計士法24条の2)。将来監査を受ける予定がある会社は、監査と税務・会計の支援を同じ事務所にまとめられるかを確認しておくと手戻りを防げます
  • 得意な分野:監査法人での経験が長い人もいれば、中小企業の税務を中心にしてきた人もいます。業種・規模・決算月が近い会社の申告を担当しているかを聞いておくと判断しやすくなります

契約書で業務範囲を確かめる観点は、税理士の顧問契約書で確認すべき9項目にまとめています。資格の違いではなく、税理士どうしを比べる基準は顧問税理士の選び方を参考にしてください。

まとめ:税務は税理士、監査は公認会計士。肩書より登録を確かめる

  • 税務代理・税務書類の作成・税務相談は、税理士・税理士法人(と国税局長に通知した弁護士等)だけが行える業務です。
  • 財務書類の監査・証明は、公認会計士・監査法人だけが行える業務です。
  • 公認会計士は税理士となる資格を持ちますが、税務を行うには税理士名簿への登録が必要です。
  • 会社法・金融商品取引法で監査が義務になるのは、大会社と上場会社などです。それ以外の会社も任意で監査を受けられます。
  • 決算と申告をまとめて頼む窓口は税理士(税理士法人)です。社会保険の手続は社会保険労務士、登記は司法書士の領域です。

どちらに頼むかは「依頼したい業務がどちらの独占業務か」で決まり、そのうえで相手の登録と業務範囲を契約前に確かめておくことが大切です。

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よくある質問

Q. 公認会計士事務所に法人税の申告を頼めますか?

その公認会計士(または事務所)が税理士として登録していれば頼めます。公認会計士の資格だけでは、申告書の作成や税務代理を仕事として行うことはできません。日本税理士会連合会のホームページで登録の有無を確かめられます。

Q. 中小企業でも公認会計士の監査を受けられますか?

受けられます。会社法・金融商品取引法による監査の義務がない会社でも、定款で会計監査人を置いたり、公認会計士・監査法人に任意の監査を依頼したりできます。目的(上場準備・出資者への説明など)と、監査を受ける期間を先に決めておくと相談が進めやすくなります。

Q. 記帳代行や決算書の作成だけなら、どちらに頼んでもよいですか?

記帳の代行や財務書類の作成は、税理士は税理士業務に付随して、公認会計士は財務書類の調製として行えます。税理士法52条が税理士以外の者に禁じているのは、2条1項の税理士業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)なので、記帳の代行そのものは、どちらの資格の独占業務でもありません。ただし、その後の申告書の作成・提出まで頼むなら税理士の登録が必要です。決算書と申告書を別々の相手に頼むと受け渡しの手間が増えるので、範囲をまとめて考えると整理しやすくなります。

Q. 会計参与を置くと何をしてもらえますか?

会計参与は取締役と共同して計算書類などを作り、会計参与報告を作成します(会社法374条1項)。公認会計士・監査法人のほか、税理士・税理士法人もなれます。置くかどうかは定款で定めます(同法326条2項)。

Q. 税理士法人と監査法人は何が違いますか?

税理士法人は税理士業務を組織的に行うために税理士が共同して設立する法人で、監査法人は監査証明の業務を組織的に行うための法人です。中小企業の申告を頼む相手は税理士法人、監査を頼む相手は監査法人という分かれ方になります。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月15日

参考資料

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