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弥生会計からマネーフォワード クラウド会計へ移行する手順と注意点

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弥生会計からマネーフォワード クラウド会計へ移行する手順と注意点

弥生会計からマネーフォワード クラウド会計(以下、MF)へ乗り換えるときは、MFの「他社ソフトデータの移行」機能を使って、弥生会計から書き出したファイルを取り込みます。公式ガイドが移行の対象として挙げているのは、勘定科目・開始残高・仕訳データの3つで、この順に取り込みます。

この記事では、MFの公式ガイドに沿って、3つのデータそれぞれの書き出し方と取り込み方、科目や税区分の名前が合わないときの処理、取り込み後に確かめる点、口座連携の設定し直しまでを順に整理します。会計ソフトの選び方そのものは法人向けクラウド会計ソフトの比較で扱っているため、ここでは移行の手順に絞ります。

移行の全体像:勘定科目→開始残高→仕訳の順に取り込む

MFでは、[各種設定]の[他社ソフトデータの移行]から[弥生会計]を選ぶと、取り込みの画面が「Step1 勘定科目」「Step2 開始残高」「Step3 仕訳」に分かれて表示されます。

手順 弥生会計で書き出すもの 形式
Step1 勘定科目 勘定科目一覧表と補助科目一覧表(それぞれ出力) 汎用形式・カンマ(CSV)形式
Step2 開始残高 残高試算表(月次・期間)の貸借対照表 汎用形式・カンマ(CSV)形式
Step3 仕訳 仕訳日記帳 弥生インポート形式・カンマ(CSV)形式

順番には理由があります。開始残高や仕訳は勘定科目の名前で照合されるため、先に科目をそろえておくと、後の手順で名前が合わない科目が減ります。補助科目を取り込む場合も、必ず先に勘定科目を取り込むよう案内されています。

なお、MFのガイドは「弥生会計24」の画面で手順を説明しています。弥生会計の版や種類によって画面の名前が違う場合は、出力する帳票と形式が上の表と同じになっているかを確かめてください。

Step1:勘定科目と補助科目を取り込む

公式ガイド『「弥生会計の勘定科目インポート」機能の使い方』による手順は次のとおりです。

  1. 弥生会計で[設定]→[科目設定]を開き、[ファイル]→[エクスポート]を選ぶ。
  2. 出力帳票が「勘定科目一覧表」または「補助科目一覧表」になっていることを確かめ、書式を「汎用形式」、区切り文字を「カンマ(CSV)形式」にして出力する。勘定科目一覧表と補助科目一覧表は、それぞれ出力する。
  3. MFで[各種設定]→[他社ソフトデータの移行]→[弥生会計]を開き、「Step1 勘定科目」の[インポート]から、勘定科目と補助科目のファイルをそれぞれ指定して取り込む。
  4. 「勘定科目」画面に、科目の設定を更新したというメッセージが出たことを確かめる。

MFで科目を探すときの検索キーにしたい項目があれば、書き出したファイルを開いて、その項目の見出しを「MF検索キー」に変えてから保存します。指定しない場合は、「サーチキー数字」または「サーチキー3」が検索キーとして取り込まれます。エクセルで編集したときは、CSV(カンマ区切り)で保存し直します。

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Step2:開始残高を取り込む

公式ガイド『「弥生会計の開始残高インポート」機能の使い方』による手順は次のとおりです。

  1. 弥生会計で[集計]→[残高試算表]→[月次・期間]を開き、「全期間」を表示する。
  2. [ファイル]→[エクスポート]で、書式「汎用形式」、区切り文字「カンマ(CSV)形式」、出力対象「貸借対照表」を選んで出力する。補助科目も含めて開始残高を取り込む場合は、補助科目の残高のファイルも用意する。
  3. MFの「Step2 開始残高」の[インポート]から、残高試算表と補助残高一覧表のファイルを選んで取り込む。
  4. 名前の合わない科目の処理画面が出たら、科目ごとに「追加」か「変換」を選ぶ。
  5. 「インポートした開始残高の確認・訂正」画面で内容を確かめて保存し、ホーム画面に保存処理の完了のメッセージが出るまで待つ。

ガイドでは、ファイルのE列「前期繰越」の金額が開始残高として取り込まれると説明しています。弥生会計のどの年度のデータから書き出すかで「前期繰越」の金額が変わるため、MFで最初に使う年度の期首の残高が「前期繰越」の列に出ているかを、取り込む前に確かめます。

また、開始残高の取り込みでは、名前の合わない科目を飛ばして「未確定勘定」として取り込むことはできず、必ず「追加」か「変換」の処理が必要です。

Step3:仕訳データを取り込む

公式ガイド『「弥生会計の仕訳インポート」機能の使い方』では、仕訳日記帳を「弥生インポート形式」で書き出すよう案内しています。ガイドによると、弥生会計からの移行でインボイス制度に対応しているのは弥生インポート形式だけで、汎用形式で出力したファイルは対応していません。勘定科目や開始残高とは形式が違うので注意します。

  1. 弥生会計で[帳簿・伝票]→[仕訳日記帳]を開き、[ファイル]→[エクスポート]を選ぶ。
  2. 書式を「弥生インポート形式」、区切り文字を「カンマ(CSV)形式」にして出力する。
  3. MFの「Step3 仕訳をインポート」の[インポート]からファイルを選んで取り込む。列の対応は通常は自動で反映される。
  4. 名前の合わない項目の設定画面が出たら、項目ごとに処理する。
  5. 「仕訳ファイルインポート」画面で内容を確かめて保存し、処理の完了後に「仕訳帳」画面で正しく取り込まれたかを確かめる。

ガイドの注意事項では、データを取り込める期間は事業年度内とされています。

名前が合わない科目・税区分と「未確定勘定」の処理

取り込むファイルの項目名が、MFに登録されている名前と完全に一致しないと、取り込みの途中で設定画面が表示されます。

項目 できる処理
勘定科目・補助科目・部門 MFに「追加」するか、登録済みの項目に「変換」するか
税区分 MFに登録済みの税区分に「変換」する
インボイス区分 MFに登録済みのインボイス項目に「変換」する

一部の勘定科目は自動で変換されます。たとえば、弥生会計の「仮受消費税等」「仮払消費税等」はMFの「仮受消費税」「仮払消費税」に、法人の「繰越利益」は「繰越利益剰余金」に変換されます。

変換で特に慎重に選びたいのが税区分です。税区分を誤って変換すると、その税区分を使った仕訳の消費税の計算に影響します。弥生会計で使っていた税区分の意味と、MFの税区分の意味が合っているかを1つずつ確かめ、判断に迷うものは顧問の税理士に確認してから変換します。

仕訳の取り込みで、次の科目が「未確定勘定」になることがあります。ガイドが示す対処は次のとおりです。

  • 減価償却累計額:「事業者」画面で「減価償却費の記帳方法」を「間接法」に変える。
  • 仮受消費税・仮払消費税:「事業者」画面の「消費税」で「経理方式」を「税抜(内税)」または「税抜(別記)」に変える。

未確定勘定のまま取り込んであとから直すこともでき、その場合は「総勘定元帳」画面で未確定勘定の仕訳を探して修正します。

取り込んだ後に確かめること

取り込みが終わったら、MFの数字が弥生会計と一致しているかを確かめます。確かめ方の一例は次のとおりです。

  1. MFの開始残高と、弥生会計の残高試算表の「前期繰越」が科目ごとに一致しているか。
  2. 取り込んだ期間の月末ごとの残高試算表が、弥生会計の残高試算表と一致しているか。
  3. 未確定勘定が残っていないか。
  4. 税区分ごとの集計が、弥生会計の集計と合っているか。

差が出た場合は、変換の選び方や事業者の設定(経理方式・減価償却費の記帳方法)を見直します。

口座連携と科目設定のやり直し

移行したのは帳簿のデータだけなので、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込むには、MFで連携サービスを登録し直します。新規登録でデータ連携した口座やカードは、[データ連携]→[登録済一覧]に表示されます。

公式ガイド『「登録済一覧」画面の使い方』によると、各連携サービスの「科目設定」で、口座やカードごとに仕訳に使う科目を設定できます。弥生会計で口座ごとに補助科目を分けていた場合は、取り込んだ補助科目をここで口座に割り当てておくと、移行前と同じ科目の分け方で記帳を続けられます。ただし、科目設定を変えても、すでに登録した仕訳の勘定科目と補助科目には反映されません。

弥生会計から取り込んだ期間の明細が連携で取得された場合は、二重に登録しないよう注意します。MFでは、明細を「対象外」にすると仕訳の対象から外れます。

移行前の弥生会計のデータも帳簿として保存が必要です。国税庁の『No.5930 帳簿書類等の保存期間』では、法人の帳簿と書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間(欠損金が生じた事業年度などは10年間)の保存が必要とされています。個人事業主の青色申告の帳簿書類も、『No.2070 青色申告制度』で原則として7年間の保存とされています。乗り換えた後も、弥生会計のデータを見られる状態で残しておきます。

まとめ:形式の違いと科目の対応を押さえて順に取り込む

  • MFの「他社ソフトデータの移行」で、勘定科目→開始残高→仕訳の順に取り込む。
  • 勘定科目と開始残高は汎用形式、仕訳は弥生インポート形式で書き出す(インボイス制度に対応しているのは弥生インポート形式だけ)。
  • 開始残高は弥生会計の残高試算表の「前期繰越」の列が取り込まれる。開始残高では名前の合わない科目を未確定勘定にできない。
  • 税区分の変換は消費税の計算に直結するため、1つずつ意味を確かめる。
  • 取り込み後は残高試算表で一致を確かめ、口座連携と科目設定を登録し直す。弥生会計のデータも保存期間のあいだ残す。

MFの基本的な使い方は、マネーフォワード クラウド会計の使い方で確認できます。

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よくある質問

Q. 仕訳を汎用形式で書き出してしまいました。そのまま取り込めますか?

MFのガイドでは、弥生会計からの移行でインボイス制度に対応しているのは弥生インポート形式だけで、汎用形式のファイルは対応していないとしています。仕訳を取り込む場合は、弥生インポート形式で書き出し直します。

Q. 開始残高だけを取り込み、過去の仕訳は移さなくてもよいですか?

MFの移行の手順では、勘定科目と開始残高を取り込んだあと、仕訳を取り込む流れになっています。どこまでの仕訳を移すかは、乗り換える時期や、前の期との比較をMFで行いたいかによって変わります。過去の仕訳を移さない場合も、弥生会計のデータは保存期間のあいだ見られる状態で残します。

Q. 取り込んだ仕訳に「未確定勘定」が残っています。

減価償却累計額なら「事業者」画面の減価償却費の記帳方法を間接法に、仮受消費税・仮払消費税なら経理方式を税抜に変えるよう案内されています。設定を直さずに取り込んだ場合は、「総勘定元帳」画面で未確定勘定の仕訳を探して修正します。

Q. 弥生会計で使っていた補助科目は引き継げますか?

Step1で補助科目一覧表を取り込むと、補助科目もMFに登録されます。仕訳の取り込みで補助科目の名前が合わない場合は、追加か変換を選びます。口座ごとの補助科目は、連携の「科目設定」で口座に割り当てておくと、その後の明細の仕訳にも使えます。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月17日

参考資料

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