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フランチャイズは個人で始めるか会社で始めるか

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フランチャイズは個人で始めるか会社で始めるか

フランチャイズへの加盟を決めたものの、個人名義で契約するか、会社を設立して契約するかで迷っていませんか。本部の収支モデルはあっても、自分の生活費や税金まで含めると判断しにくいものです。結論は、売上や店舗数だけで決めず、加盟契約、利益の見込み、生活費、社会保険、将来の出店計画をそろえて比較することです。この記事では、個人と法人の違いと、契約前に整理したい判断材料を説明します。

この記事は「フランチャイズ加盟店の税金と会計の連載|開業から複数店舗・閉店まで」の第2回です。

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個人と会社の違いは、加盟契約の名義から考える

個人事業は、オーナー本人が事業を営む形です。法人は、設立した会社が事業を営む形です。ここでは、会社の形として株式会社と合同会社を想定します。

フランチャイズ加盟店は、本部の支店と同じ存在ではありません。公正取引委員会の資料でも、加盟者は本部から法律上独立した事業者とされています。本部の仕組みを使う場合も、誰が契約し、誰が費用や責任を負うのかを整理する必要があります。

最初に本部へ確認したいのは、個人と法人のどちらで加盟できるかです。あわせて、開業後に会社へ切り替える場合の審査、契約手続、費用を確認します。これらは本部ごとの契約条件によるため、一般論で判断せず、契約書案と説明資料で確かめます。

比較する点 個人事業で始める場合 会社で始める場合
事業を営む主体 オーナー本人 設立した会社
開業の手続と費用 会社の設立登記は不要 設立手続と、そのための費用が必要
利益と税金 本人の所得税などを検討 会社の税金と、報酬を受け取る本人の税金を検討
生活費の受け取り 生活費への引き出しと事業の経費を区別 役員報酬など、受け取り方と処理を決める
社会保険 業種や従業員数などで適用を確認 法人事業所としての適用と、各人の加入要件を確認
事業上の責任 本人が事業の債務を負う 会社と個人は別。ただし、個人保証の確認が必要

株式会社の株主や合同会社の出資者は、原則として出資の範囲で責任を負います。ただし、オーナー個人が会社の債務を保証すれば、その保証に応じた責任が生じます。日本政策金融公庫の「創業の手引」でも、法人と個人の財産の区別と、保証責任が説明されています。加盟契約や賃貸借契約の保証条項も確認しましょう。

税金は売上ではなく、利益と受け取り方で比べる

売上が同じでも、仕入れ、人件費、家賃、ロイヤリティなどが違えば、残る利益は変わります。ロイヤリティとは、本部の商標や経営指導などに対して支払う対価です。法人化を考えるときは、売上の大きさより、これらを差し引いた利益の見込みを出発点にします。

所得税と法人税の税率だけでは比較できない

2026年10月時点で、所得税は、分離課税などを除き、原則として5%から45%の税率で計算します。所得控除などを反映した「課税される所得金額」の区分に応じて計算します。売上全体に税率を掛けるものではなく、高い区分に入っただけで所得全体にその区分の税率が掛かるわけでもありません。計算の仕組みは、国税庁の所得税の速算表で確認できます。

法人側では、会社に残る利益に対する税金を計算します。さらに、オーナーが役員報酬を受け取るなら、本人側の税金も含めます。会社の税金だけを見て、個人事業より負担が軽いと結論づけることはできません。

比較表を作る際は、個人側の住民税なども含めた税負担と、法人側の法人税・地方税などを、それぞれの条件で見積もります。所得控除や適用できる制度も反映し、同じ店舗の利益を前提に比べることが大切です。

利益が少ない時期の支出も入れる

法人住民税には、所得に応じた税額とは別に、均等割があります。均等割は、資本金等や従業者数などによる区分で課されるもので、通常の営業法人では赤字でも負担が生じます。横浜市の公式案内でも、赤字決算の場合の均等割の申告・納付を説明しています。実際の見積もりでは、所在地や会社の条件を確認します。

税金のほか、会社の設立費用や、会計・給与管理にかかる費用も比較します。開業直後の利益が少ない時期に、毎月どれだけ支出を続けられるかまで確認すると、形態を選びやすくなります。

「利益がこの金額を超えたら法人」という一律の目安では、家計や出店計画の違いを拾えません。通常の売上を見込む計画と、売上が伸び悩む計画の両方で、手元資金がどう変わるかを確かめましょう。

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生活費と役員報酬を、店舗の利益から切り分ける

個人事業では、事業用口座から生活費を引き出しても、その引き出し自体は必要経費になりません。必要経費とは、売上を得るための費用や業務上の費用です。国税庁の必要経費の説明でも、家事上の費用は必要経費にならないとされています。家計で使うお金と、店舗の運営に使うお金を分けて管理します。

会社の場合も、会社の口座とオーナーの財布は区別します。オーナーが役員として働くなら、生活に必要な金額と会社の支払能力を踏まえ、役員報酬を設計することになります。

役員報酬は、支払えばすべて会社の税金計算で経費にできるものではありません。法人税で経費として認めることを「損金算入」といいます。国税庁の役員給与の説明では、定期同額給与などの条件を満たさない役員給与は、原則として損金に算入しないとされています。条件を満たす給与でも、不相当に高額な部分は対象外です。

定期同額給与は、毎月同じ額を支払う給与など、一定の条件を満たすものです。改定にも税務上の条件があるため、「繁忙月だけ報酬を増やす」「利益を見て年度末に追加する」といった設計は、損金算入の確認が欠かせません。

生活費を確保するために報酬を高くすれば、会社に残る資金は減ります。一方、会社の資金を優先して報酬を低く設定すると、家計が苦しくなることもあります。家計に必要な手取りと、店舗に残したい資金を並べてから、報酬額を検討しましょう。

本部の収支モデルを見るときも、オーナー自身が店舗に立つ前提なのか、店長を雇う前提なのかをそろえます。オーナーの働き方が違うままでは、人件費や生活費を含めた比較になりません。

社会保険は、会社の適用と各人の加入を分けて確認する

ここでいう社会保険は、主に健康保険と厚生年金保険です。税金の比較で差が出ても、保険料を含めた資金計画では結果が変わることがあります。

2026年10月時点で、法人の事業所は、事業主だけの場合を含め、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用の対象です。強制適用とは、法律上、制度の対象となる事業所に該当することです。オーナーだけの会社でも、役員報酬を受ける場合の加入を確認します。基本的な扱いは、日本年金機構の「適用事業所と被保険者」に示されています。

ただし、法人の事業所が適用対象となることと、働く人全員が同じ条件で加入することは別です。パート・アルバイトについても、労働時間や勤務日数などに応じて加入要件を確認します。

個人事業所は、業種と従業員数などで扱いが異なります。2026年10月時点では、常時5人以上の従業員を使用する一定の業種が強制適用の対象で、対象外となる業種もあります。対象外の事業所でも、所定の手続によって任意に適用を受ける仕組みがあります。

したがって、「個人事業なら加入手続は不要」「会社ならアルバイト全員が加入」という整理はできません。業種、雇用する人数、勤務条件を一覧にして判断します。採用計画が変わる場合は、開業時に加え、変更後の条件でも確認しましょう。

資金計画では、会社が負担する保険料と、役員報酬から差し引かれる本人負担を分けます。そのうえで、会社の支出額と家計の手取りを同時に確認します。保険料だけでなく、保障や将来の給付も含めて検討する視点が必要です。

法人成りと追加出店を見据えて、契約前に整理する

個人事業で営んでいた事業を会社へ移すことを「法人成り」といいます。個人で開業してから法人化を検討する進め方もあります。ただし、会社を設立するだけで、加盟契約や借入、設備がそのまま移ると考えないことが大切です。

加盟契約と店舗の賃貸借契約について、契約主体を変更する手続を確認します。借入は金融機関に、営業に必要な許認可は所管窓口に、会社へ移行する場合の扱いを確かめます。承諾や再契約が必要か、費用がかかるかは、対象ごとに調べます。

設備や在庫、保証金なども、何を誰から誰へ移すのかを一覧にします。税務上の扱いは移す内容や方法によって確認が必要です。加盟金などの細かな会計処理とは分け、まず移行対象と契約条件を整理しましょう。

店舗数だけで決めず、運営体制を描く

次は説明のための架空の例です。オーナー本人が店舗に立ち、まずは単独の店舗運営を軌道に乗せたい方を考えます。本部が個人での加盟を認め、将来の法人成りの条件も確認できるなら、設立費用を抑えて個人から始める案を比較できます。

一方、早い段階で追加出店を計画し、店長の採用や共同出資も予定している方なら、当初から会社で契約や資金をまとめる案を検討できます。ただし、会社にすれば採用や融資が有利になると決めつけず、管理の手間と支出も含めて比べます。

追加出店の時期がまだ決まっていない場合は、無理に法人化の予定日を置く必要はありません。店舗の利益、家計の必要額、採用計画、契約変更の条件を見直す時点を決めておくと、判断材料を集めやすくなります。

自社で確かめるチェックリスト

  • 本部は個人・法人のどちらの加盟を認めているか。
  • 法人成りの際の審査、承諾、再契約、費用は確認できているか。
  • 売上予測から仕入れ、人件費、家賃、ロイヤリティなどを引いた利益を見積もったか。
  • 家計に必要な手取りと、店舗に残す資金を分けたか。
  • 税金、社会保険料、設立や管理の費用を比較に入れたか。
  • 役員報酬を支払っても、売上が伸び悩む時期を乗り切れるか。
  • 契約の名義、保証、許認可と、追加出店時の体制を確認したか。

融資の説明資料も、この比較と同じ前提で作ります。利益の見込みや資金の使い道を整理する方法は、創業融資の面談で聞かれること|質問の型ごとの準備と持参する資料で扱っています。

本部、金融機関、専門家との確認事項は、担当と期限を書き出しておくと進めやすくなります。融資準備の分担については、創業融資を税理士と進める流れ|最初の相談から着金までの分担も参考になります。

まとめ

フランチャイズを個人で始めるか会社で始めるかは、売上や税率だけでは決まりません。加盟契約の条件を先に確認し、同じ利益予測で、税金・生活費・社会保険・管理費用を比べることが大切です。追加出店や法人成りを想定する場合は、契約や資産を移す手続も判断材料に入れます。会社と家計の双方に必要な資金が残る形を、開業前の計画で確かめましょう。

よくある質問

Q. 利益が少ないうちは、個人で始めた方がよいですか。

個人は会社の設立手続が不要なため、開業時の負担を抑える案になります。ただし、本部の加盟条件や今後の出店計画によって判断は変わります。利益が少ない時期の支出と、後で法人化する際の手続も含めて比較します。

Q. 法人化すると、消費税は免除されますか。

法人化だけでは判断できません。2026年10月時点でも、資本金や特定期間の課税売上高などによって、納税義務が免除されない場合があります。特定期間とは、原則として前事業年度の開始から一定期間を指します。インボイスを発行できる適格請求書発行事業者として登録を受けている場合も、免除されません。条件は、国税庁の「納税義務の免除」で確認できます。

Q. 本部の月次報告にある利益を、そのまま比較に使えますか。

まず、何の費用が含まれているかを確認します。オーナーの報酬や社会保険料、税金などを別に見積もる必要がないか、項目ごとに照合しましょう。個人と法人でオーナーの働き方もそろえ、自社の支出を反映した計画に直してから比較します。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月19日

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