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創業融資を税理士と進める流れ|最初の相談から着金までの分担

経営相談
創業融資を税理士と進める流れ|最初の相談から着金までの分担

会社を設立して日本政策金融公庫(日本公庫)の創業融資を受けようとすると、会社の設立、税務署への届出、創業計画書の作成、申込、面談と、短い期間にいくつもの手続が重なります。税理士に相談しながら進める場合、何を誰が担当するのかを最初に分けておくと、手続の抜けや日程の詰まりを防げます。

この記事では、最初の相談から融資金が口座に入るまでの流れを、創業者(会社)と税理士の分担に分けて整理します。根拠は、日本公庫の公表資料、中小企業庁の認定経営革新等支援機関の案内、税理士法、国税庁の資料です。融資の可否は日本公庫が判断するもので、誰が関わっても結果が約束されるものではない点を前提に読んでください。

税理士が関わる範囲と、創業者本人が行うこと

税理士法2条1項は、税理士の業務を、他人の求めに応じて租税に関し行う税務代理・税務書類の作成・税務相談と定めています。同条2項は、税理士がこれらの業務に付随して、財務書類の作成や会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができるとしています。創業融資の場面に当てはめると、税理士が関わりやすいのは次のような部分です。

  • 設立後の税務署への届出書の作成と提出(税務書類の作成・税務代理)
  • 創業計画書の数字(売上・経費・資金計画)の確認と助言
  • 融資を受けた後の記帳、決算、申告

一方で、融資の申込と面談は創業者本人が行う手続です。日本公庫の「お申込からご融資の流れ」では、面談で資金のお使いみちや事業計画などについて話を聞き、事業計画などをさまざまな角度から検討して融資の判断をするとされています。事業の中身を説明できるのは本人なので、税理士の役割は、本人が説明できるように計画と資料を整える手伝いだと考えると分担がはっきりします。また、同じページには、審査の結果、希望に沿えないことがある旨も書かれています。

税理士でない人が税務の手続を代わりに行うことはできない

税理士法52条は、税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならないとしています。設立後の税務の届出書の作成や提出の代理を社外の人に任せる場合は、税理士か税理士法人に依頼することになります。

認定経営革新等支援機関とは

中小企業庁によると、認定経営革新等支援機関の認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。中小企業庁の『認定経営革新等支援機関』のページでは、認定支援機関の一覧と検索システムが公開されており、支援の流れとして経営状況の把握、事業計画作成(計画策定に向けた支援・助言)、事業計画実行、モニタリング・フォローアップが示されています。

日本公庫の『新規開業・スタートアップ支援資金』では、特別利率Aが適用される要件の1つとして、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している(または適用する予定の)方であって、自ら事業計画書の策定を行い、認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、中小企業診断士など)による指導および助言を受けている方が挙げられています。この要件に当たる場合は特別利率Aの対象になり得ますが、当てはまるかどうかと利率の扱いは、申込先の日本公庫で確かめてください。

この要件でも、事業計画書は「自ら」策定するものとされています。認定支援機関の役割は指導と助言で、計画を代わりに書くことではない点に注意します。

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最初の相談から着金までの流れと分担

法人を設立して創業融資を申し込む場合の流れを、分担とあわせて表にまとめます。順番は事業によって前後することがあります。

段階 創業者(会社)がすること 税理士が関わること
1. 最初の相談 事業の内容、必要な資金と時期、自己資金の状況を伝える 資金計画と設立・届出の日程の整理を助言する
2. 会社の設立 定款・登記の手続を進める(登記は司法書士に依頼する場合もある) 決算月や資本金など、税務に関わる点について相談を受ける
3. 税務署への届出 届出の内容を確認する 法人設立届出書や青色申告の承認申請書などを作成・提出する
4. 創業計画書の作成 事業の内容と数字を自分で書く 売上・経費の根拠や資金計画の整合を確認し、助言する
5. 申込 インターネット申込で必要書類を提出する 書類のそろい具合を一緒に確認する
6. 面談・現地の確認 面談で事業計画と資金の使い道を説明する 想定される質問と説明に使う資料の準備を助言する
7. 契約・着金 契約の手続をし、融資金を受け取る 借入金の入金と返済の記帳方法を整える
8. 着金後 計画どおりに資金を使い、返済する 記帳・決算・申告と、計画と実績の比較を支援する

※関わり方は一例で、どこまでを依頼するかは創業者と税理士の取り決めによります。

申込のときに出す書類は、日本公庫のページで創業計画書、設備資金の場合は見積書、法人の場合は履歴事項全部証明書または登記簿謄本などとされています。面談の際は、事業計画に関連する資料や資産・負債がわかる書類などを準備します。面談で聞かれることの準備は融資審査に通る事業計画書の記事も参考になります。

設立の日程と融資の時期の合わせ方

創業融資を税理士と進めるうえで、いちばん調整が必要になるのが日程です。次の3つの期限・期間を並べて、順番を決めます。

申込から融資の決定までの期間

日本公庫の創業のQ&Aでは、申込から融資が決まるまでの期間は平均的には3週間程度で、融資の条件などによっては時間がかかる場合もあるとされています。設備の支払や開業の日から逆算し、余裕を持って申込の時期を決めます。

法人の申込は設立登記の後

法人として申し込む場合は、申込の書類に履歴事項全部証明書または登記簿謄本が含まれるため、設立の登記が済んでいる必要があります。申込窓口も、通常は本店所在地の近くの支店です。

設立後の税務の届出の期限

国税庁のタックスアンサー No.5100によると、法人設立届出書は設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に提出します。青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までです。融資の準備に追われてこれらの期限を過ぎないよう、税理士と届出の担当と日付を決めておきます。

資本金と消費税の届出も同じ時期に決まる

消費税では、事業年度の開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人などは、設立1期目・2期目でも納税義務が免除されないとされています(国税庁 タックスアンサー No.6501)。また、課税事業者の選択や簡易課税の選択の届出書は、事業を開始した日の属する課税期間の終了の日までに提出すれば、その課税期間から選択できるとされています(同 No.6629)。資本金の額や届出の要否は融資の資金計画とも関わるため、どれが合うかは数字で試算したうえで、設立前に税理士と確かめておきます。

税理士に相談する前にそろえておくもの

最初の相談で話が早く進むよう、次のものを手元にそろえておきます。

  • 事業の内容と、誰に何を売るかのメモ
  • 必要な資金の見込み(設備の見積書があればその写し)
  • 自己資金の額と、どのように準備してきたかがわかる記録
  • 個人の借入れ(住宅・車・カードなど)の残高と返済額
  • 設立の予定日、決算月の案、資本金の額の案
  • 日本公庫の創業計画書の下書き(書けるところまでで構いません)

日本公庫の創業計画書には「お借入の状況」として事業以外の借入も書く欄があり、面談では資産・負債がわかる書類の準備が求められています。個人の借入れも含めて最初に共有しておくと、計画書と説明の食い違いを防げます。

まとめ:本人が説明し、税理士が数字と期限を支える

  • 融資の申込と面談は創業者本人が行い、融資の可否は日本公庫が判断します。
  • 税理士が関わりやすいのは、税務の届出、創業計画書の数字の確認と助言、融資後の記帳・決算・申告です。他人の求めに応じた税務書類の作成や税務代理は、税理士法に別段の定めがある場合を除き、税理士・税理士法人に限られます(税理士法52条)。
  • 新規開業・スタートアップ支援資金には、自ら事業計画書を策定し認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けていることなどを要件とする特別利率Aの区分があります。
  • 申込から決定まで平均的には3週間程度、法人の申込は設立登記の後、法人設立届出書は設立から2か月以内など、日程を並べて順番を決めます。

日本公庫の創業融資の制度の全体像は日本政策金融公庫の創業融資の記事で整理しています。

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よくある質問

Q. 税理士に頼めば創業融資は通りますか?

A. 融資の判断は日本公庫が事業計画などを検討して行うもので、日本公庫のページにも審査の結果、希望に沿えないことがある旨が書かれています。税理士の関与で結果が約束されるものではありません。

Q. 創業計画書を税理士に書いてもらえますか?

A. 創業計画書は面談で事業の中身を説明するための書類で、本人が説明できる内容であることが前提です。新規開業・スタートアップ支援資金の特別利率Aの要件の1つも「自ら事業計画書の策定を行い」、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けている方とされています。税理士の役割は、数字の根拠や資金計画の確認と助言だと考えてください。

Q. 相談する税理士が認定経営革新等支援機関かどうかは、どう確かめますか?

A. 中小企業庁の認定経営革新等支援機関のページで、認定支援機関の一覧と検索システムが公開されています。名前や所在地で確かめられます。

Q. 設立前から相談したほうがよいですか?

A. 法人の申込には設立登記が必要で、設立後は法人設立届出書(2か月以内)や青色申告の承認申請書などの期限が始まります。決算月や資本金の決め方も税務に関わるため、設立の手続を始める前に日程を一緒に組んでおくと、融資と届出の期限が重なっても慌てずに済みます。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月19日

参考資料

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