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フランチャイズを閉店するとき|加盟金の残り・違約金・設備の処分の税金

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フランチャイズを閉店するとき|加盟金の残り・違約金・設備の処分の税金

フランチャイズの閉店が決まり、本部からの精算書と帳簿に残る加盟金を前に、何を経費にできるのか迷っていませんか。結論は、加盟金の残高は契約終了の事実、違約金は支払いの内容、設備は処分方法を分けて判断することです。この記事では、法人と個人事業の違いを踏まえ、閉店時に集める資料と税務上の確認点を整理します。

この記事は「フランチャイズ加盟店の税金と会計の連載|開業から複数店舗・閉店まで」の第12回です。

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閉店の精算は、契約・お金・設備に分ける

最初に、加盟契約、店舗の賃貸借契約、設備の契約を並べましょう。営業を終える日と、本部との契約が終わる日、物件を明け渡す日は、同じとは限りません。それぞれの日付を確認できる書類をそろえることが、処理の出発点です。

また、店舗だけを閉じて別店舗の営業を続けるのか、個人事業の全部をやめるのかも区別します。法人では、店舗の閉店と会社の解散・清算を分けて検討してください。本稿は店舗の閉店に伴う精算を扱い、会社の清算手続きには立ち入りません。

精算する項目 先に確かめること 税務・帳簿の確認点
加盟金の未償却残高 契約終了日、返金、権利の引継ぎ 残高を費用・損失にする根拠と時期
本部への違約金・解約手数料 損害の補償か、事務処理などの対価か 経費の判定と消費税の区分を分ける
設備・内装 所有者、売却・廃棄・移設の別 残高、処分収入、処分費用の対応
保証金・敷金 返還額、差引額、その明細 預けた資産の回収と、差し引かれた費用の照合

本部から振り込まれた差引後の金額だけでは、精算の全体は分かりません。加盟金の返金、保証金の返還、違約金、最終月の請求などを別々に確認し、帳簿の残高と結び付けます。精算書の項目がまとめられている場合は、契約条項と計算明細を取り寄せましょう。

加盟金の残りは、契約の終了と返金を確認する

繰延資産とは、支出の効果が長く続くため、費用を期間に分けて計上する税務上の資産です。未償却残高は、まだ費用にしていない残りの額を指します。ここでは、加盟金を繰延資産として処理している場合を考えます。

法人では、契約の解約等があった事業年度に処理する

国税庁の法人税基本通達8-3-6では、繰延資産の対象となった固定資産や契約に滅失・解約等があった場合、その日の属する事業年度に未償却残額を損金に算入するとしています。損金とは、法人税の所得計算で差し引く費用や損失です。根拠は国税庁「償却費の計算」で確認できます。

したがって、閉店を社内で決めた日だけで処理せず、加盟契約を終了したことが分かる合意書や通知を確認します。営業を止めても契約や利用権が残っている場合は、残高の扱いを改めて検討します。解約を申し入れた日と、実際に契約が終わる日も分けて記録しましょう。

個人事業では、支出の効果と資産損失を確認する

個人事業では、加盟金に係る支出の効果が失われたかを確認し、資産損失として必要経費にできるかと、その金額を判定します。閉店したという事情だけで残高の全額を経費にせず、法人の通達をそのまま個人の申告へ当てはめることも避けてください。資産損失とは、事業用資産などの価値が失われて生じる損失のことです。

判断に備え、加盟契約の終了、商標やノウハウを利用できなくなった事実、返金の有無を整理します。別店舗や別の事業者へ権利を引き継ぐ場合は、その内容も確認しましょう。個人の資産損失の計算は、国税庁「固定資産等の損失」が確認資料になります。

法人・個人とも、加盟金と保証金を一緒に扱わないことが大切です。加盟時の請求書、当初の仕訳、償却の明細を見直します。本部から返金がある場合は、その金額と帳簿残高を突き合わせ、残高の全額をそのまま損失にする処理を避けます。

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違約金は、経費と消費税を別々に判断する

「違約金」という名前だけで、税務処理は決まりません。何の契約に基づき、何を補うために、どのように計算された金額なのかを確認します。加盟契約を終えるための支払いと、未払いのロイヤリティ、貸主への原状回復費用は、精算表で分けておきましょう。

所得税の必要経費について、国税庁は、事業収入を得るために直接要した費用や、業務について生じた費用を示しています。原則として、支払日だけでなく、債務が確定しているかも確認します。事業との関係、支払義務、原因となる事実、金額の算定根拠をそろえることが大切です。詳しくは国税庁「必要経費の知識」を参照してください。

一方、消費税では、解約によって失われた利益を補う損害賠償金と、解約事務のサービスに対する手数料を区別します。前者は対価性がなければ課税対象外、後者はサービスの対価として課税対象です。対価性とは、商品やサービスと引換えの支払いであることです。

この区別は、国税庁「役務の提供」で示されています。本部の請求書に税額が書かれているかだけで決めず、契約と請求内容を照合しましょう。損害の補償と手数料が一括で定められている場合も、契約上の扱いを確認します。消費税法基本通達5-5-2のなお書きでは、解約手数料部分と逸失利益等に対する損害賠償部分の額を区分せず、一括で受け渡すこととしている場合は、全体を資産の譲渡等の対価に当たらないものとして扱います。本部の請求書に税額が記載されていても、この扱いに該当する支払いは課税仕入れに当たらず、仕入税額控除(仕入れなどに係る消費税額を納付税額の計算で差し引くこと)の対象にはなりません。

原状回復工事を受ける支払いは、工事というサービスの対価として検討します。保証金から差し引かれる場合にも、工事内容と金額の明細を確認してください。所得計算で経費になるかと、消費税が課税対象かは別の判断です。精算書には、それぞれの確認結果を記録します。

設備は「売る・捨てる・使い続ける」で扱いが変わる

厨房機器、空調、レジ、看板、内装は、固定資産台帳と現物を照合します。固定資産台帳は、取得した資産と償却・残高を管理する一覧です。まず所有者を確認し、本部やリース会社から借りている設備は、自社所有の設備と分けて整理してください。

売却する場合は、個人の所得区分にも注意する

個人事業で使っていた機械器具の売却は、原則として譲渡所得の対象です。譲渡所得は、資産を譲って生じる所得をいいます。ただし、少額資産や一括償却資産などには事業所得等になる例外があります。商品の売上とまとめず、取得時の処理を確認しましょう。区分は国税庁「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」に示されています。

消費税では、事業に使っていた機械や車両などの売却も課税対象となる取引です。消費税の課税事業者は、本業の商品売上とは別に、設備売却分も確認します。根拠は国税庁「事業者の事業用固定資産の売却」です。売買契約、引渡しの記録、入金明細を対応させて残します。

廃棄と移設を区別し、残高の根拠を残す

廃棄した設備は、廃棄日、台帳上の残高、処分収入、処分費用を整理します。個人の業務用資産の取壊し・除却等の損失は、一定の場合を除き必要経費になります。残っている価値や補塡される金額も含めて、損失額を確認します。廃棄業者の明細や写真を残し、どの設備を処分したのか説明できるようにしましょう。

法人には、設備が現物として残っていても、使用をやめ、今後通常の方法で事業に使う可能性がないと認められる場合などに、帳簿価額から処分見込価額を差し引いて除却損にできる扱いがあります。これは有姿除却と呼ばれます。国税庁「除却損失等の損金算入」を踏まえ、再利用の予定や処分見積りを確認します。

別店舗へ移す設備は、移設先と使用予定を台帳に追記します。閉店店舗から搬出したという事情だけで、廃棄した扱いにしないことが大切です。内装をまとめて台帳に載せている場合も、撤去する部分と再利用する部分を図面や工事明細で区別します。

次は説明のための架空の例です。複数店舗を運営する法人が店舗の営業を終え、冷蔵庫を別店舗へ移す一方、不要な看板を撤去するとします。この場合は、冷蔵庫の移設と看板の撤去を別の記録にします。「閉店設備一式」という一覧だけにせず、現物と台帳の対応を残すと、残高を検討しやすくなります。

個人事業を全部やめ、設備を私用に移す場合

個人が事業を廃止して事業用資産を家事用に移すと、消費税では売却とみなす扱いがあります。みなし譲渡とは、代金を受け取らなくても譲渡があったものとして扱う仕組みです。課税事業者は、非課税取引に当たらない残存設備などについて、廃業時の時価を基に確認します。

国税庁は、この場合の価額について、一般的には未償却残高とすることができるとしています。詳細は国税庁「個人事業者が事業を廃止した場合」を参照してください。店舗だけを閉じ、別の事業で使い続ける場合とは区別して整理します。

閉店前に確認するチェックリスト

処分や解約の後では、現物や連絡履歴を集めにくくなります。閉店作業の担当者と経理担当者で、次の点を確認しましょう。本部の報告だけでなく、自社が保有する契約書と台帳も使います。

  • 加盟契約の終了日と、営業終了日・明渡日を別々に記録したか。
  • 加盟金の当初計上額、償却済みの額、残高、返金の有無を照合したか。
  • 違約金、解約事務手数料、最終請求の内訳を確認したか。
  • 設備ごとに、所有者と売却・廃棄・移設・私用への変更を記録したか。
  • 保証金の返還額と、工事費などの差引明細を確認したか。
  • 契約書、解約合意書、精算書、工事明細、写真、入出金記録をまとめたか。

資金の予定表には、返ってくるお金と、これから支払うお金を分けて載せます。設備の帳簿残高と、売却して手元に入る金額も分けて考えましょう。見積りの段階か、合意済みか、入出金済みかを付けると、未確認の項目が分かります。

閉店後に別の事業で開業する計画がある場合は、閉店の精算表と新事業の資金計画をつなげて整理します。資金計画を説明する準備は、創業融資の面談で聞かれること|質問の型ごとの準備と持参する資料で扱っています。

また、新たな開業資金の準備を進める際の役割分担は、創業融資を税理士と進める流れ|最初の相談から着金までの分担を参照してください。閉店に伴う支出と新事業への支出を分けた資料を用意すると、説明の順序を整理できます。

まとめ

フランチャイズの閉店では、加盟金の残高、違約金、設備の処分を分けて確認します。加盟金は契約終了と返金、違約金は支払いの内容、設備は所有者と処分方法が判断の手掛かりです。法人と個人事業では適用するルールが異なり、所得計算と消費税も別々に検討します。契約書・精算書・固定資産台帳をそろえ、実際の終了日や処分の記録に沿って申告の準備を進めましょう。

よくある質問

Q. 閉店を決めた時点で、加盟金の残高を全額経費にできますか。

閉店の決定だけで判断することは避けてください。法人では、繰延資産の対象となった契約の解約等があった事業年度に未償却残額を損金へ算入する扱いです。返金や権利の引継ぎの有無を確認し、個人事業では資産損失の要件に沿って判定します。

Q. 本部への違約金には、消費税がかからないのでしょうか。

支払いの実質によります。失われた利益への損害賠償として対価性がないものと、解約事務のサービスに対する手数料では扱いが異なります。契約条項と計算明細を確認してください。

Q. 閉店後に自宅へ持ち帰る設備も、廃棄した扱いにできますか。

私用に使う設備は、廃棄した設備と区別します。個人事業を廃止して家事用に移す場合、消費税の課税事業者は、残る設備のみなし譲渡を確認します。処分先と用途を記録しておきましょう。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月19日

参考資料

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