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会計ソフトの乗り換えタイミング|期首・期中・決算後の違いと残高の合わせ方

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会計ソフトの乗り換えタイミング|期首・期中・決算後の違いと残高の合わせ方

会計ソフトを乗り換える時期は、大きく「期首」「期中」「前期の決算・申告を終えた後」の3つに分けて考えられます。どの時期を選んでも、新しいソフトには「期首時点の残高」と「期首から乗り換え日までの仕訳」をそろえる必要があり、違いはその量と、期首の残高が確定しているかどうかです。どれが合うかは、仕訳の件数、前期の決算の進み具合、前期の数字と比べたいかどうかで変わります。

期の途中で税理士を変えるときの注意(期首・期中・決算直前・申告直後)は、期の途中で税理士を変えるとき|期首・期中・決算直前・申告直後の違いで詳しく解説しています。

この記事では、主に法人を念頭に、時期ごとに必要な作業と、旧ソフトと新しいソフトの残高を合わせる手順、旧ソフトのデータの残し方を整理します。特定のソフト同士の操作手順ではなく、切り替え時期の判断と残高の合わせ方が対象です。例として freee会計のヘルプの案内を引きますが、考え方はほかのソフトでも同じです。

どの時期でも「期首の残高」と「期首からの仕訳」が要る

会計ソフトの帳簿は、事業年度の初日(期首)の残高から始まり、そこに1年分の仕訳を積み上げて決算書を作ります。このため、期の途中で乗り換えても、新しいソフトの側では期首の残高から数字をつなぐことになります。

freeeの法人向けヘルプ『【法人】他社会計ソフトからのデータ乗り換えの流れまとめ』でも、作業を「期首乗換か期中乗換か」と「前期比較を行うかどうか」で4つに分けています。期首乗換で前期比較をしない場合は開始残高の設定だけ、期中乗換では開始残高に加えて直近時点までの当期の仕訳の移行が必要です。前期比較をする場合は、前期の期首残高と前期分の仕訳も入れて、前期の年度締めまで行います。

freeeの仕訳インポートでは、その会計年度の期首日より前の日付の仕訳は取り込めません。前期の数字も入れたい場合は、事業年度の開始日をさかのぼって設定し、開始残高もその時点に合わせて直してから取り込みます。乗り換えの範囲を先に決めないと、この設定をやり直すことになります。

3つの時期の違い

乗り換えの時期 新しいソフトに入れるもの 期首残高の状態 手間がかかる所
期首(新しい期の初日から新しいソフトで記帳) 期首の残高 前期の決算が終わる前は暫定 前期の決算確定後に期首残高を直す
期中(期の途中から新しいソフトで記帳) 期首の残高+期首から乗り換え日までの仕訳 前期の決算が終わっていれば確定 仕訳の移行と、科目・税区分の対応づけ
前期の決算・申告を終えた後 確定した期首の残高+期首から乗り換え日までの仕訳 確定 新しい期の数か月分の仕訳の移行

3つ目は、新しい期の記帳をしばらく旧ソフトで続け、前期の決算書ができてから乗り換える進め方です。データの上では期中乗換と同じ形になりますが、期首残高を後から直す作業が起きない点が違います。法人税の確定申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に(申告期限の延長の特例を受けている法人は、延長後の期限までに)、確定した決算に基づいて行うため、期首から2か月前後は前期の決算整理と新しい期の記帳が重なる時期になります。

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期首で切り替える場合

期首から新しいソフトで記帳を始めると、移す仕訳がなく、作業は期首残高の登録が中心になります。前期の数字と比べる必要がなければ、作業量はいちばん少なくなります。

注意したいのは、期首に切り替える時点では、前期の決算がまだ終わっていない場合がある点です。減価償却費、未払費用、未払法人税等などの決算整理仕訳が入る前の残高を期首残高として登録すると、決算が確定した後に期首残高を直す必要があります。直し忘れると、当期の貸借対照表が前期の決算書とつながりません。

freeeの場合、利用1期目は開始残高の画面から直せますが、2期目以降は開始残高のメニューが表示されず、期首残高は前期から引き継がれた残高になります。2期目以降に直すには、年度締めを戻して前年度の記帳を修正し、もう一度年度締めをする手順が案内されています。また、開始残高の借方と貸方の合計が一致しないまま設定すると、差額を埋める仮の科目として「未確定勘定」が自動で追加されます。この科目が残っていないかは、期首残高を確定させる時点で確かめます。

個人事業主の場合

個人事業主の会計期間は1月1日から12月31日までです。期首は1月1日になり、前年分の所得税の確定申告は翌年2月16日から3月15日までの期間に行います。1月1日から新しいソフトで記帳を始める場合も、前年分の決算(青色申告決算書や収支内訳書の作成)が終わったら、その数字に合わせて1月1日の残高を確かめます。

期中で切り替える場合

期中で乗り換えると、期首から乗り換え日までの仕訳を新しいソフトに移す作業が加わります。移さないと1つの事業年度の帳簿が2つのソフトに分かれ、決算のたびに両方の数字を合算することになります。

仕訳を移すときに手間がかかるのは次の点です。

  • 勘定科目と補助科目の対応づけ:旧ソフトの補助科目が、新しいソフトでは取引先・品目・口座など別の仕組みになることがあります。
  • 税区分の対応づけ:消費税の課税事業者は、課税仕入れ・非課税・不課税などの区分が正しく対応しているかを確かめます。
  • 経理方式:旧ソフトで税込経理だったか税抜経理だったかに合わせて、新しいソフトの設定をそろえます。
  • 自動で作られる仕訳との重複:freeeでは、減価償却、在庫棚卸、家事按分(個人事業のみ)の仕訳を決算の画面の入力から自動で計上します。乗り換えの仕訳に同じものが入っていると重複するおそれがあります。

freeeのヘルプ『事業年度開始日以前の仕訳をインポートする』には、3月決算の会社が10月から乗り換え、4月から9月までの仕訳を取り込む例が載っています。この場合、事業年度は4月1日開始のまま、期首残高を登録したうえで6か月分の仕訳を取り込みます。

前期の決算・申告を終えてから切り替える場合

前期の決算書ができてから乗り換えると、期首残高は決算書の貸借対照表の数字で確定しています。freeeのヘルプでも、開始残高は前期の決算書または試算表の貸借対照表を参照して設定し、前期の決算書にある「繰越利益剰余金」の残高を開始残高の貸方に転記するよう案内しています。

その代わり、乗り換えまでの数か月分の仕訳は旧ソフトで入力しているため、期中乗換と同じく仕訳の移行が要ります。新しい期の記帳を旧ソフトで続けられる期間(契約の更新時期など)と、移す仕訳の量の兼ね合いで時期を決めることになります。

時期を決めるときの確認項目

  1. 前期の決算整理(減価償却・未払・未収・税金の計上)は、いつ終わる見込みか。
  2. 期首から乗り換え日までの仕訳は何件あり、旧ソフトからどの形式で書き出せるか。
  3. 前期の数字と月次で比べる必要があるか(あれば前期分の仕訳も移す)。
  4. 旧ソフトの契約がいつまで使えるか。乗り換え後も過去の帳簿を見られるか。
  5. 銀行口座やカードの連携を、新しいソフトでいつから動かすか。

旧ソフトと新しいソフトの残高を合わせる手順

乗り換えが終わったら、移行前のデータと一致しているかを確かめます。freeeのヘルプ『乗り換え結果を確認する』の流れを、ソフトを問わない形にすると次のとおりです。

確認すること 見る数字 合わないときに考えられる原因
貸借対照表 各勘定の月末・期末の残高 期首残高の誤り、仕訳の取り込み漏れ・二重取り込み
損益計算書 各勘定の年間累計(月次推移も) 減価償却などの自動計上と移行仕訳の重複
取引先別・部門別 主要取引先の売上、売掛金・買掛金、部門別損益 補助科目と取引先の対応づけの誤り
消費税(課税事業者) 税区分別の集計 税区分の対応づけの誤り、経理方式の不一致
預金・カード 口座ごとの残高と通帳・利用明細 口座の分け方の誤り、連携した明細と移行仕訳の重複

期中で乗り換えた場合は、乗り換え日の前月末の試算表を旧ソフトと新しいソフトで並べ、1円単位で合うまで確かめてから新しいソフトでの記帳に進むと、後で原因を探す範囲を狭められます。具体的なソフト間の手順は、マネーフォワードからfreeeへの乗り換え手順でも扱っています。

旧ソフトのデータの保存と、届出の要否

乗り換えた後も、旧ソフトで作った帳簿の保存義務は続きます。法人は、帳簿と書類をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度などは10年間です(国税庁『No.5930 帳簿書類等の保存期間』)。旧ソフトの契約を終える前に、保存期間内の年度の仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳・固定資産台帳などを書き出しておきます。

帳簿を電子データのまま保存している場合、国税庁の『電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】』では、システムを変更した場合でも、変更前のシステムを使うなどして検索機能が確保されていれば、現在使っているシステムで検索できなくても差し支えないとしています。この場合は、検索に使うデータが保存しているデータと同じものだと確認できるようにしておく必要があります。

優良な電子帳簿の要件を満たし、過少申告加算税の軽減措置を受ける旨の届出書を出している場合は注意が要ります。同じ一問一答では、使っていた市販の会計ソフトの変更は、届出書に書いた事項を変更する場合に当たり、変更の届出書の提出が必要としています。同じソフトのバージョンアップは含まれません。

まとめ:時期は「期首残高の確定」と「移す仕訳の量」で決まる

  • どの時期に乗り換えても、新しいソフトには期首の残高と期首からの仕訳をそろえる。
  • 期首で乗り換えると仕訳の移行は少ないが、前期の決算確定後に期首残高を直す作業が残る。
  • 期中や決算後に乗り換えると、期首から乗り換え日までの仕訳を移す作業が加わる。
  • 乗り換え後は、貸借対照表・損益計算書・取引先別・税区分別・口座残高の順に旧ソフトと照合する。
  • 旧ソフトの帳簿は保存期間のあいだ残し、優良な電子帳簿の届出をしていれば変更の届出書を出す。

どの時期が合うかは会社ごとの仕訳量と決算の進み具合で変わるため、前期の決算の予定と旧ソフトの契約期限を並べて決めるのが確実です。

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よくある質問

Q. 決算月の翌月から新しいソフトにすると、前期の決算はどちらで組みますか?

前期の帳簿は旧ソフトにあるため、前期の決算整理と申告書の作成は旧ソフトの数字で行うのが自然です。新しいソフトには、決算が確定した後の貸借対照表で期首残高を入れ直します。前期の決算整理仕訳を新しいソフトに入れても、新しいソフトの期首より前の日付になるため、そのままでは取り込めない場合があります。

Q. 期中に乗り換えるとき、月ごとの合計だけを新しいソフトに入れてもよいですか?

合計だけを入れると、新しいソフトの側では取引先別の残高や消費税の税区分別の集計が再現できなくなります。その期の明細は旧ソフトにしか残らないため、旧ソフトの帳簿を保存期間のあいだ確実に残すことが前提になります。どこまで細かく移すかは、決算と消費税の申告に必要な集計ができるかで判断します。

Q. 乗り換えたら過去の帳簿のデータはどこに残せばよいですか?

紙に出力して保存する方法と、データのまま保存する方法があります。データのまま保存する場合は、旧ソフトや書き出したファイルで検索や表示ができる状態を保存期間のあいだ保つ必要があります。法人は原則7年間、欠損金が生じた事業年度などは10年間が目安です。

Q. 個人事業主が年の途中でソフトを替える場合も同じですか?

考え方は同じで、1月1日の残高と、1月1日から乗り換え日までの仕訳を新しいソフトにそろえます。違いは期首が必ず1月1日になる点と、前年分の確定申告が2月16日から3月15日までの期間に重なる点です。確定申告の作業と乗り換えの作業が同じ時期に重ならないよう、予定を組んでおくと安心です。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月18日

参考資料

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