「ECサイトの売上データをfreeeに手入力するのが大変」「POSレジの取引をいちいち会計に転記している」——このような手作業の繰り返しは、freee APIを使った外部連携で月10時間単位で削減できます。
freeeは豊富なAPIを公開しており、取引・請求書・経費・仕訳・税務データを外部システムと双方向に連携することができます。本記事では、freee APIの概要から接続方法、代表的な連携活用事例まで実務的に解説します。
なお、自社にエンジニアがいない場合でも、ECサイトやPOSの売上取込・請求書の自動発行・経費データの自動取込といった代表的な連携の多くは、ZapierやMakeなどのノーコードツールや会計ソフト公式の連携アプリで実現できます。「まずプログラミングなしで何ができるか」を先に確認すると、開発が必要な範囲を最小限に絞り込めます(ノーコードでの連携は本記事後半で解説します)。
freee APIとは何か?基本を3分で押さえる
freee APIは、freeeの各機能(会計・人事労務・請求書・経費精算など)のデータに外部システムからアクセスするためのインターフェースです。RESTful APIとして提供されており、プログラムを通じてデータの読み取り・書き込み・更新・削除が可能です。
| API種別 | 主な操作内容 |
|---|---|
| 会計API | 取引・仕訳・残高の読み書き |
| 請求書API | 請求書の作成・更新・PDF出力 |
| 経費精算API | 経費申請の作成・承認状況の取得 |
| 人事労務API | 従業員情報・給与・勤怠データの連携 |
| 事業所API | 事業所情報・勘定科目・税区分の取得 |
freee APIはOAuth 2.0による認証を採用しており、アクセストークンを発行してAPI呼び出しを行います。APIドキュメントはfreeeのデベロッパーポータル(developer.freee.co.jp)で公開されています。
freee APIを使うための準備
freee Developersへの登録
freee APIを使うには、freeeのデベロッパーアカウントを作成し、アプリを登録する必要があります。
- freee Developers にアクセス
- freeeアカウントでログインし、開発者登録を行う
- 「アプリ管理」→「新規アプリを作成」でアプリを登録
- クライアントID・クライアントシークレットを取得
- コールバックURLを設定(自社システムのリダイレクト先)
認証フロー
freee APIはOAuth 2.0の認可コードフロー(Authorization Code Flow)を使用します。
認証の流れ
- ユーザーをfreeeの認可エンドポイントへリダイレクト
- ユーザーがfreeeにログインし、アクセス権限を許可
- 認可コードが返ってくる
- 認可コードをアクセストークンと交換
- アクセストークンを使ってAPIを呼び出す
アクセストークンは有効期限があり(24時間)、リフレッシュトークンで更新します。セキュリティの観点から、トークンはサーバーサイドで管理し、クライアントサイドには保管しないことを推奨します。
freee APIの活用を検討中の場合は、リーパル会計事務所がfreee認定アドバイザーとして自社業務に合ったAPI連携の設計をご提案します。
freee APIの主要な活用パターン
活用1:ECサイト・POSレジの売上データ自動取込
ECサイト(Shopify、Amazonセラーセントラルなど)やPOSレジ(Airレジ、スマレジなど)の売上データをfreeeに自動取込することで、日次・週次の手動入力をゼロにできます。
一般的なフローは以下のとおりです。
- ECサイトまたはPOSレジのAPIで売上データを取得
- データを変換(日付・金額・取引先・勘定科目をマッピング)
- freeeの取引APIにPOSTして仕訳を作成
年商1億円規模のECサイト運営では月次数千件の取引が発生することもあり、手動入力はリスクとコストが大きいです。自動連携を整備することで経理担当者の工数を月に数十時間単位で削減できる場合があります。
活用2:請求書の自動生成・送付
freeeの請求書APIを使うと、CRM(Salesforceや HubSpotなど)のデータをもとに請求書を自動生成し、送付まで自動化できます。
自動化できるフロー例
- CRMで商談がクローズ(成約)した瞬間にfreeeに請求書が自動生成される
- 承認後に電子メールで顧客へ自動送付
- 請求書のステータス(未払い・入金済み)をCRMに自動反映
SaaS(=Software as a Service。クラウド経由でソフトを利用する形態)企業や月次定額請求が多い企業では、この仕組みを構築することで請求書の発行漏れと入金管理の手間を目に見える形で減らすことができます。
活用3:銀行入金データと売掛金の自動消込
freeeの取引APIと銀行の入金データを組み合わせることで、入金があった際に自動的に売掛金の消込仕訳を作成できます。
手作業では「どの請求書への入金か」を一件ずつ確認する必要がありますが、請求金額と一致する入金は自動消込し、差異がある場合のみ人間が確認するというフローを構築できます。
活用4:勤怠システム・給与計算との連携
freee人事労務を使わず、他の勤怠システム(KING OF TIME・マネーフォワードクラウド勤怠など)を使っている場合でも、APIを使って勤怠データをfreee会計に連携できます。
| 連携内容 | 概要 |
|---|---|
| 給与仕訳の自動生成 | 給与計算結果をfreeeに仕訳として登録 |
| 社会保険料の仕訳 | 毎月の法定福利費を自動計上 |
| 賞与の仕訳 | 賞与計算結果を一括取込 |
APIを使わないノーコード連携の選択肢
自社でプログラミングが難しい場合は、以下のノーコード・ローコードツールでfreeeとの連携を実現できます。
| ツール | 特徴 |
|---|---|
| Zapier | freeeアプリが用意されており、400以上のサービスとノーコードで連携 |
| Make(旧Integromat) | 複雑なシナリオもビジュアルで設計可能 |
| kintone プラグイン | freee公式の kintone連携プラグインが提供されている |
ノーコードツールで対応できる範囲は限られますが、「Googleスプレッドシートに入力した売上データをfreeeに自動取込する」程度のシンプルな連携であれば、プログラミング不要で実現できます。
ノーコードツールでのfreee連携を試したいが設定が難しい場合は、リーパル会計事務所がMake・Zapierなどのツール設定をサポートします。
API連携(=外部サービスとデータを自動でやり取りする仕組み)を検討する際の注意点
レート制限
freee APIには呼び出し回数の上限(レート制限)があります。大量のデータを一括処理する場合は、エラーレスポンスのハンドリングとリトライ処理を適切に実装する必要があります。
データの整合性管理
複数のシステムからfreeeにデータを書き込む場合、重複計上が発生しないよう管理ID(ユニークキー)を使って冪等性を確保する設計が重要です。
セキュリティ管理
APIキーやアクセストークンは機密情報です。ソースコードやGitリポジトリに直接記載せず、環境変数や秘密管理サービス(AWS Secrets Manager等)で管理してください。
FAQ
Q. freee APIはどのプランから使えますか?
A. freeeのプロフェッショナルプラン以上でAPI連携(=外部サービスとデータを自動でやり取りする仕組み)が利用できます。スタータープランやスタンダードプランでは利用できない場合があるため、freee公式サイトでプランの詳細を確認してください。
Q. APIを使った連携の開発は自社でやる必要がありますか?
A. 自社エンジニアがいない場合は、freeeのパートナー企業に開発を依頼できます。ノーコードツール(Zapier・Make)を活用する方法も選択肢です。
Q. freeeの標準連携サービスでまかなえない場合はAPIが必要ですか?
A. freeeのマーケットプレイスには多くのサービスが公式連携として提供されています。まずはマーケットプレイスで対応サービスを確認し、なければAPIまたはノーコードツールを検討するという順番で進めることをおすすめします。
Q. APIで取引を誤って登録してしまった場合は取り消せますか?
A. freeeの取引APIはDELETEエンドポイントを提供しており、APIで登録した取引を削除できます。ただし、freeeの仕様変更や操作ミスによるデータ損失リスクを避けるため、開発時はテスト環境(freee Developersが提供するサンドボックス)で十分に検証してください。
Q. freee APIのドキュメントはどこで確認できますか?
A. freee Developers にAPIリファレンス・チュートリアル・サンドボックス環境が公開されています。定期的なAPI仕様の更新情報はDevelpersのNewsで確認できます。
リーパル会計事務所では、freee API連携の設計レビューや、ノーコード(Zapier/Make)でカバーできる範囲とフルスクラッチが必要な範囲の切り分けまで、技術選定段階からご相談に応じています。エンジニア社内不在の法人様には、freeeパートナー開発会社の選定支援もセットでご提供可能です。
まとめ
freee APIを活用すれば、ECやPOSの売上取込、請求書の自動発行、勤怠データから給与仕訳までを「人が触らないライン」へ移すことができます。重要なのは、いきなり全プロセスを連携しようとせず、自社で手作業ボトルネックの大きい1〜2工程に絞って始めることです。
リーパル会計事務所では、freee API連携を含めた経理自動化の全体設計から、運用後のモニタリング・差異検知ルールの整備まで対応しています。「何から自動化すべきか棚卸ししたい」「現行の連携が安定しない」とお感じの経理責任者・経営者の方は、初回無料相談からお気軽にお問い合わせください。
- 関連記事:freeeの使い方を初心者向けに完全解説|初期設定から確定申告まで
- 関連記事:freeeの銀行口座連携の設定方法|自動仕訳(=銀行口座やクレジットカードの取引データから勘定科目を自動推定する機能)で経理を効率化する手順
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参考資料
- freee Developers 公式ポータル
- freee APIリファレンス
結論:API連携は「ボトルネック1工程」から始めるのが定石
freee APIで一気に全部を自動化しようとすると、要件定義段階で頓挫しがちです。月次で最も人手が割かれている工程(多くの企業ではEC売上取込か請求書発行)に絞り、1〜2か月で成果を出してから対象を広げるのが、定着率の高い進め方です。
リーパル会計事務所では、業務分析から優先度設定、API連携の要件定義、開発会社のセカンドオピニオンまで対応可能です。自社で技術検討を進めたい法人様も、要件のレビューだけ受けたいというニーズで初回無料相談をご活用いただけます。
監修: 公認会計士・税理士 鳥羽卓朗(リーパル会計事務所 代表)
最終更新日: 2026年4月21日
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