法人の確定申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出し、同じ期限までに納付します。この期限を過ぎてしまっても、申告書を出すことはできます。ただし、法人税と同じ期限の消費税や地方税も同時に遅れるので、加算税と延滞税、青色申告への影響を順に確認する必要があります。
この記事では、期限を過ぎた法人がとる期限後申告の手順と、無申告加算税・延滞税・地方税の不申告加算金の負担、青色申告の承認と欠損金への影響を、国税通則法・法人税法と国税庁の資料に沿って整理します。個人の確定申告の期限後申告については、別の記事で扱っています。
期限を過ぎても申告書は提出できる
国税通則法18条は、期限内申告書を提出すべきであった者は、提出期限後においても、税務署長の決定があるまでは納税申告書を提出できると定めています。これが期限後申告です。期限を過ぎたからといって申告をあきらめる必要はなく、決定を受ける前に自分から提出する方が、後で説明する加算税の負担も軽くなります。
申告書を出さないままでいると、国税通則法25条により、税務署長が調査をして課税標準等と税額を決定します。決定を受けた後は期限後申告として出すことはできず、無申告加算税も高い割合になります。
法人税法74条は、確定申告書を「確定した決算に基づき」提出すると定めています。期限後申告でも、決算書を作って株主総会などで承認を受け、その決算に基づいて申告書を作る流れは同じです。
| 遅れている申告 | 提出先 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 税務署 | 全ての法人 |
| 消費税及び地方消費税 | 税務署 | 課税事業者である法人 |
| 法人事業税 | 都道府県 | 事業を行う法人 |
| 法人住民税(法人税割・均等割) | 都道府県・市町村 | 事務所等がある法人 |
法人の消費税も、原則として課税期間の末日の翌日から2か月以内が申告期限です(法人税の申告期限の延長の特例を受けている法人は、届出により1か月延長できます)。法人税と同じ時期に遅れることになるので、課税事業者の場合は消費税の期限後申告も合わせて行います。
無申告加算税の割合は「いつ出したか」で変わる
期限後申告で納める税額があると、原則として無申告加算税がかかります。国税通則法66条は、提出の時期や調査との関係で割合を分けています。
| 期限後申告をした時期 | 無申告加算税の割合 |
|---|---|
| 調査の通知がある前に、自主的に提出 | 納付すべき税額の5% |
| 調査の通知の後、調査による決定を予知する前に提出 | 10%(50万円を超える部分は15%、300万円を超える部分は25%) |
| 調査による決定を予知して提出、または税務署の決定 | 15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%) |
過去5年以内に同じ税目で、調査による決定を予知した後の期限後申告や税務署の決定によって無申告加算税や重加算税を課されている場合や、前年・前々年の期に無申告加算税(調査の通知前に自主的に出して5%だったものを除く)や重加算税を課されている場合などは、調査の通知の後の期限後申告や税務署の決定で、さらに10%が加算されることがあります(国税通則法66条6項)。
※説明のための架空の例です。期限後申告で納める法人税が80万円の場合、調査の通知前に自主的に提出すれば無申告加算税は4万円(80万円×5%)です。調査による決定を予知した後の提出なら、50万円までの部分に15%、超える30万円に20%で、13万5千円になります。
無申告加算税がかからない場合
期限内申告書の提出がなかったことに正当な理由があると認められる場合は、無申告加算税は課されません。また国税通則法66条9項により、調査による決定を予知してされたものでなく、期限内申告をする意思があったと認められる場合に当たり、法定申告期限から1か月を経過する日までに期限後申告をしたときも、課されません。
この「意思があったと認められる場合」は、国税通則法施行令27条の2で、期限後申告の日の前日から起算して5年前の日までの間に同じ税目で無申告加算税等を課されておらず、この特例の適用も受けていないこと、そして期限後申告で納める税額の全額が法定納期限までに納付されていたことの両方を満たす場合とされています。申告が遅れても、税額の見込みで期限内に納付しておくと、この特例の対象になり得ます。
延滞税は納付が遅れた日数で増える
国税庁のタックスアンサーNo.9205によると、延滞税は法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかり、本税だけが対象で加算税にはかかりません。割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までと、それ以後で分かれ、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間はそれぞれ年2.8%と年9.1%です。割合は年ごとに見直されます。
期限後申告の場合の「納期限」は、申告書を提出した日です。法定納期限から申告書を出した日の2か月後までは低い割合、それを過ぎると高い割合になります。申告書を出したらその日のうちに納付すると、延滞税は低い割合の期間で止まります。
※説明のための架空の例です。令和8年中に、法定納期限から3か月後に期限後申告をして同じ日に本税を納付した場合、延滞税は法定納期限の翌日から納付日までの約3か月分を、すべて年2.8%の割合で計算します。申告書を出してから3か月後に納付した場合は、提出日の2か月後を過ぎた日以後の分が年9.1%の割合になります。
地方税にも不申告加算金と延滞金がある
法人事業税や法人住民税は都道府県・市町村への申告です。地方税法72条の46は、法人の事業税について、申告書が提出期限後に提出された場合などに、道府県知事が不申告加算金額を徴収すると定めています。納期限後の納付には延滞金もかかります(地方税法72条の45)。
法人住民税の均等割は、所得に関係なく資本金等の額や従業者数などの区分で決まる税額です。赤字で法人税がゼロの期でも、均等割の申告と納付は必要です。法人税の期限後申告をするときは、地方税の申告書も同時に作って提出します。
青色申告の承認と欠損金への影響
法人税法127条1項4号は、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことを、青色申告の承認の取消し事由に挙げています。国税庁の事務運営指針は、この取消しは2事業年度連続して提出期限内に申告書の提出がない場合に行い、2事業年度目以後の事業年度について承認を取り消すとしています。1期の期限後申告ですぐに取り消されるわけではありませんが、次の期も遅れると取消しの対象になります。
赤字の期は、欠損金の繰越控除にも注意します。国税庁のタックスアンサーNo.5762では、繰越控除を受けられるのは、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。赤字だから申告しなくてよいと放置すると、翌期以後に使えるはずの欠損金を失うおそれがあります。
期限後申告の進め方
- 帳簿を締めて決算書を作り、株主総会などで決算の承認を受ける
- 法人税・地方法人税と、課税事業者なら消費税及び地方消費税の申告書を作る
- 法人事業税・法人住民税の申告書を、事務所等がある都道府県・市町村ごとに作る
- 税務署と地方公共団体に提出し、提出した日に本税を納付する
- 後日届く加算税・延滞税・不申告加算金・延滞金の通知に沿って納付する
- 次の事業年度の申告期限を確認し、2期連続の期限後申告にならないよう準備を始める
帳簿が整っていない期は、預金通帳、請求書・領収書、売上の記録から取引を集め直して決算書を作ります。資料が足りない部分を推定で埋めると、後の調査で数字の根拠を示せず更正を受けることがあるので、根拠のある数字で作ることを優先します。
個人の確定申告が遅れた場合の負担は確定申告の期限を過ぎたときの記事、税務調査への備えは法人の税務調査対策の記事で整理しています。
まとめ:早く出して、出した日に納める
- 期限を過ぎても、税務署の決定があるまでは期限後申告ができる
- 無申告加算税は、調査の通知前に自主的に出せば5%。1か月以内で期限内に納付していた場合などは課されない
- 延滞税は本税だけにかかり、期限後申告では申告書を出した日が納期限。出した日に納付する
- 消費税、法人事業税、法人住民税も同時に遅れるので、まとめて提出する。均等割は赤字でもかかる
- 2期連続で期限内に出さないと青色申告の承認が取り消される。赤字の期の申告漏れは欠損金の繰越控除にも響く
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よくある質問
Q. 期限を数日過ぎただけでも、無申告加算税はかかりますか?
原則としてかかりますが、法定申告期限から1か月以内の期限後申告で、期限内申告の意思があったと認められる場合は課されません。過去5年以内に同じ税目で無申告加算税等を課されていないことと、税額の全額を法定納期限までに納付していたことが条件です。
Q. 赤字で納める法人税がない場合も、期限後申告は必要ですか?
必要です。欠損金の繰越控除は、欠損金額が生じた期に青色申告書である確定申告書を提出していることが条件です。法人住民税の均等割は赤字でもかかるので、地方税の申告と納付もします。
Q. 期限前に、決算が間に合わないと分かった場合はどうすればよいですか?
災害その他やむを得ない理由で決算が確定しない場合は、法人税法75条により、事業年度終了の日の翌日から45日以内に申請すれば、税務署長が提出期限を延長できます。定款の定めなどで決算の承認が毎期2か月以内にできない法人向けの申告期限の延長の特例(法人税法75条の2)は、事業年度終了の日までに申請しておく制度です。どちらにも当たらず間に合わない場合は、期限内に税額の見込みで納付しておくと、延滞税を抑えられ、無申告加算税がかからない特例の条件の一つも満たせます。
Q. 消費税の申告だけ期限を過ぎた場合も、同じ扱いですか?
消費税も国税なので、無申告加算税と延滞税の仕組みは法人税と同じです。法定申告期限から1か月以内で、期限内に全額を納付していたなどの条件を満たせば、無申告加算税がかからない特例も同じように使えます。
Q. 期限後申告をすると、青色申告の承認はすぐに取り消されますか?
国税庁の事務運営指針では、取消しは2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に行うとしています。1期だけの期限後申告ならすぐには取り消されませんが、次の期も遅れると取消しの対象になるので、翌期の申告期限から逆算して準備します。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月16日
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