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【2026年】確定申告で認められる経費一覧|16科目と家事按分・債務確定の判定

税務

「自宅作業のため家賃を経費にしたいが、何割まで按分できるのか分からない」「会食代・出張費・交通費は、どこまでが業務扱いでどこからが私用扱いなのか」。確定申告の時期になるたびに、リーパル会計事務所の個人事業主のお客さまから繰り返し届く質問です。経費は「事業との関連性」が認められる範囲で自由に計上できますが、按分の根拠と証憑の整備がないと税務調査で削られます。逆に、計上漏れがあれば本来払わなくていい税金を払い続けることになります。

本記事では、個人事業主が確定申告で計上できる経費を、勘定科目別に網羅的に整理します。家事按分の合理的な按分割合、按分根拠の作り方、税務調査でよく問われる科目、生活費との線引きの判断軸まで、リーパル会計事務所が実務で使う基準で踏み込んで解説します。

自宅兼事務所の家事按分は、床面積比率や業務使用時間など合理的に説明できる基準で行うのが原則です。

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まずここを押さえる|経費とは何か?認められる費用の基本原則

税法上の「必要経費」とは、事業所得を生み出すために直接必要となった費用のことです。国税庁は「売上を得るために直接必要な費用」「事業の維持・管理に要した費用」の2軸で判断することを示しています。

重要なのは「事業に関連しているかどうか」という点です。個人事業主は事業とプライベートの境界が曖昧になりやすいため、経費として計上できる費用とそうでない費用の区別が税務上の基本となります。

経費計上の要件は主に以下の3点です。

  1. 事業との関連性:収入を得るために必要な支出であること
  2. 領収書・証憑の保存:支払いの事実を証明できること
  3. その年に債務が確定していること:現金を支払ったかどうかではなく、債務の確定によって年分が決まる

「支払った年」ではなく「債務が確定した年」で判定する

ここは実務でもっとも取り違えられるポイントです。国税庁は、必要経費となる金額は「その年において債務の確定した金額」であるとし、次のように明示しています。

  • その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費にならない
  • 逆に、支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になる

つまり、12月末までに役務の提供を受けて金額も確定している費用は、支払いが翌年1月であっても当年の必要経費になります(未払費用)。「支払っていないから経費にできない」と考えて計上を見送ると、その分だけ課税所得が膨らみます。

「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。

  1. その年の12月31日までに債務が成立していること
  2. その年の12月31日までに、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
  3. その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること

逆に、前払家賃や翌年分のサービス料を年内に支払っても、当年の必要経費にはなりません(短期前払費用など一定の取り扱いは別途あります)。年末の駆け込みで前払いしても節税にはならない、というのはこの原則によるものです。

2. 確定申告で認められる主な経費一覧

勘定科目別の経費一覧

勘定科目 具体例 注意点
売上原価 商品の仕入れ代、製造コスト 棚卸資産は期末に在庫調整が必要
外注費 フリーランスへの業務委託料 源泉徴収義務の有無を確認
地代家賃 事務所・店舗の賃料 自宅兼事務所の場合は按分が必要
旅費交通費 電車・バス・タクシー代、出張費 プライベートの移動は不可
通信費 電話・インターネット代 自宅兼用の場合は按分が必要
消耗品費 文房具・プリンター用紙等(10万円未満) 10万円以上は固定資産として減価償却
接待交際費 取引先との飲食・贈答品 事業関連性の証明が重要
広告宣伝費 Web広告・名刺・チラシ印刷代 SNS広告費用も含む
新聞図書費 専門書・業界紙・電子書籍 事業に関連するものに限る
研修費 セミナー参加費・資格取得費 現在の事業に直接必要なもの
損害保険料 火災保険・賠償責任保険 自動車保険は按分が必要な場合あり
租税公課 事業税・固定資産税・印紙税 所得税・住民税は経費不可
減価償却費 パソコン・車・機械設備等 10万円以上の固定資産は毎年一定額を計上
給料賃金 従業員への給与・賞与 青色事業専従者への給与も含む
福利厚生費 従業員の健康診断・慶弔費等 事業主本人の分は対象外
水道光熱費 電気・ガス・水道代 自宅兼事務所の場合は按分が必要

経費計上は「迷ったら会計ソフトに記録しておき、確定申告前に税理士と一緒に判定する」のが現実的な落とし所です。「これは経費になるか?」と毎回判断していると経理が止まり、結局領収書を溜め込んで申告期に無理をすることになります。リーパル会計事務所では、freee/MFクラウドの仕訳タグ機能を活用し、迷う支払いには「要確認」タグを付けて月次でまとめて判定するスタイルを推奨しています。

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3. 自宅兼事務所の按分計算

在宅で仕事をしている個人事業主の場合、家賃・光熱費・通信費などは「事業用」と「プライベート用」に分けて計上する必要があります。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

家賃の按分例

自宅の床面積が80平方メートル、そのうち仕事専用スペースが20平方メートルの場合、按分割合は25%です。月額家賃が12万円であれば、3万円(12万円×25%)を経費として計上できます。

按分の根拠を残すこと

按分割合の根拠(間取り図・実際の使用状況の記録など)を保存しておくことが重要です。税務調査の際に按分割合の合理性を説明できなければ、経費として認められないリスクがあります。

一般的に認められやすい按分割合の基準として、床面積比・使用時間比・収入比などがあります。いずれの方法でも、恣意的に高く設定するのではなく、実態に即した合理的な割合を設定することが求められます。

家事関連費の法令上の要件

按分の話をもう一段だけ厳密にしておきます。国税庁は、家事上の費用は必要経費にならないとした上で、一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわる費用(家事関連費)については次のとおり定めています。

家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。店舗併用住宅に係る租税公課・家賃・水道光熱費などが典型例として挙げられています。

ここで効いてくるのが「取引の記録などに基づいて」「明らかに区分できる」という2つの条件です。間取り図や業務使用時間の記録を残していない按分は、割合が常識的であっても根拠を示せません。逆に、記録が整っていれば按分割合そのものは説明可能な範囲で構いません。按分率の数字を悩むより、記録を残すことのほうが重要だというのが実務上の優先順位です。

生計を一にする親族に家賃を払っても経費にならない

見落としが多いのがここです。国税庁は、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費にならないと明示しています(受け取った人も所得として考えません)。これは土地や家屋に限らず、その他の資産を借りた場合も同様です。

「実家で仕事をしているので、親に家賃を払って経費にする」という組み立ては、生計を一にしている限り認められません。同じく、生計を一にする親族に支払う給与賃金も必要経費になりません(青色事業専従者給与は除きます)。

ただし救いもあります。たとえば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。家賃という形では通らないが、実際に負担した固定資産税等は業務用部分について経費になる、という整理です。

4. 車両費の按分

仕事とプライベートの両方に車を使用している場合も按分が必要です。

費用項目 具体例
按分対象 自動車税・車検代・ガソリン代・駐車場代・保険料・修繕費
按分方法 月間の走行距離を記録し、事業用走行距離の割合で按分
根拠書類 走行記録表(日付・行き先・走行距離・目的を記録)

走行記録表は手書きでもアプリでも問題ありません。事業用の走行ルートと目的を明記することで、按分の妥当性を証明できます。

5. 経費として認められない費用

経費として計上できないものの代表例を確認しておきましょう。

認められない費用 理由
所得税・住民税 個人の税負担は経費にならない
国民健康保険料・国民年金 社会保険料控除として別途申告する
家族への給与(白色申告の場合は一定額まで) 青色申告の届出が必要
事業と無関係な飲食・娯楽費 事業との関連性がない
生活費・食費 プライベートの支出
罰金・過料 道路交通法違反の反則金など
個人の資産形成費用 株式投資・貯蓄型保険の掛金等

なお、白色申告者も家族への給与を経費に算入することはできませんが、代わりに「事業専従者控除」として配偶者は最大86万円、その他の親族は最大50万円を所得から控除できます。要件は、生計を一にする15歳以上の親族で、その年6ヶ月を超えて事業に専従していることです。

接待交際費については「事業に関連する接待であること」が前提ですが、金額が高額になるほど税務調査での確認対象になりやすい傾向があります。参加者・目的・事業との関連性をメモに残しておくことを習慣にしてください。

6. 減価償却費の計算

10万円以上の資産(パソコン・カメラ・車・機械設備など)は、その年に一括で経費計上するのではなく、法定耐用年数に基づいて毎年一定額を「減価償却費」として計上します。

ただし、金額によって使える選択肢が変わります。国税庁の「減価償却のあらまし」にもとづいて整理すると、次の3段階です。

取得価額 取り扱い ポイント
10万円未満(または使用可能期間が1年未満) 全額をその年の必要経費 減価償却の対象外。消耗品費などで一括計上
10万円以上20万円未満 一括償却資産として、取得価額の合計額の3分の1を3年間で必要経費に算入 白色申告でも使える。年300万円の枠に関係なく使える
10万円以上30万円未満(青色申告者) 少額減価償却資産の特例で、その年に全額を必要経費に算入 年間合計300万円まで。一括償却資産の適用を受けるものは除く
上記を超える資産 法定耐用年数に応じて減価償却 毎年一定額を減価償却費として計上

青色申告者であれば少額減価償却資産の特例のほうが有利なケースが多いですが、その年の所得が少なく控除しきれない場合は、一括償却資産で3年に分けたほうが結果的に有利になることもあります。金額だけで機械的に決めず、その年の所得水準とあわせて選ぶ余地がある、という点は押さえておいてください。

主な資産 法定耐用年数
パソコン(業務用) 4年
デジタルカメラ 5年
乗用車 6年
机・椅子(事務用) 15年
複写機・ファクシミリ(事務機器) 5年

耐用年数は財務省令の別表に定められており、資産の種類・構造・用途で細かく分かれます。上記は代表例です。スマートフォンのように区分の判断が分かれやすい資産もあるため、金額が大きい取得については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表で該当区分を確認してください。多くの機種は取得価額が10万円未満に収まり、その場合は全額をその年の必要経費に算入できます。

青色申告者は、取得価額10万円以上30万円未満の資産を全額その年の必要経費として計上できる「少額減価償却資産の特例」を利用できます(年間合計300万円まで)。パソコンや業務用機器を購入した際に非常に有効な手段です。

この特例は令和8年度税制改正で拡充されました。財務省の令和8年度税制改正の大綱では、対象となる減価償却資産の取得価額を40万円未満(現行:30万円未満)に引き上げるとともに適用期限を3年延長し、対象となる者から常時使用する従業員の数が400人を超える者を除外することとされています。年間の損金算入・必要経費算入限度額は引き続き合計300万円です。

取得時期による適用の違いにご注意ください。 国税庁のタックスアンサーは執筆時点で改正前の内容(30万円未満・令和8年3月31日までの取得)で公表されている箇所があります。ご自身の取得時期にどちらの基準が適用されるかは、申告前に最新の公表資料でご確認ください。

確定申告全体の流れについては「個人事業主の確定申告のやり方完全ガイド」もあわせてご覧ください。

7. 経費管理の実務ポイント

領収書・レシートの保管方法
領収書は月別・勘定科目別にファイリングするか、スキャンしてデジタル管理します。電子帳簿保存法に対応した会計ソフト(freee・マネーフォワードクラウド等)であれば、スマートフォンで撮影した画像を電子的に保存できます。

クレジットカードの活用
事業用と個人用でクレジットカードを分けておくと、会計ソフトとの連携で自動仕訳ができ、経費管理の手間が大幅に減ります。

経費の証憑を整える3原則

  1. いつ(日付)
  2. 誰と(取引先・同席者)
  3. 何のために(事業目的)

この3点をレシートの裏面やメモ帳に記録しておくだけで、税務調査時の説明が格段にスムーズになります。

ここまでの判断基準を読んでもご自身の状況に当てはめにくい場合は、リーパル会計事務所の税理士に直接ご相談いただくのが最短です。所得・控除・帳簿状況をヒアリングしたうえで、必要な対応を具体的にお伝えします。

よくある質問(FAQ)

Q1. カフェでの打ち合わせや、一人でのカフェ作業は経費になりますか?
業務上の打ち合わせをカフェで行った場合は「接待交際費」または「会議費」として計上できます。一人での作業の場合も、仕事場所として利用した場合は経費として計上している個人事業主は多いですが、税務調査の対象になりやすい費用でもあります。業務との関連性を説明できる状態にしておきましょう。

Q2. 副業の経費はどこまで認められますか?
副業の所得を得るために直接必要な費用は経費として計上できます。ただし、副業の規模が小さく「雑所得」に分類される場合、経費の認定が厳しくなるケースもあります。

Q3. 自宅の家賃全額を経費にできますか?
全額を経費にすることはできません。事業使用割合に応じた按分が必要です。在宅フルリモートであっても、自宅の全スペースが業務専用ではないため、合理的な按分割合を設定する必要があります。

Q4. 国民健康保険料は経費になりますか?
国民健康保険料は経費(必要経費)ではなく、「社会保険料控除」として確定申告書に記載します。所得から差し引かれる点では経費と同様の効果がありますが、記載箇所が異なります。

Q5. 経費が多すぎると税務調査に入られやすくなりますか?
売上に対して経費の割合が業界平均から大きく外れている場合、税務署から問い合わせを受けるリスクが高まる可能性はあります。重要なのは「正確な経費を正確に計上すること」であり、合理的な根拠があれば問題ありません。

まとめ

確定申告で計上できる経費は「事業との関連性」が最大の判断基準です。按分が必要な費用は実態に即した合理的な割合で計上し、領収書と目的のメモを保存しておくことで、税務調査にも安心して対応できる状態を維持できます。

経費の判断に迷う場合や、より効果的な節税策を検討したい場合は、税理士への相談をおすすめします。

参考資料

経費計上は「やり過ぎれば税務調査リスク、やらなさ過ぎれば余計な税負担」というデリケートな領域です。家事按分・接待交際費・出張費の3科目は特に判定が難しく、自己流で進めると後から追徴課税につながるケースもあります。リーパル会計事務所では、個人事業主の方を対象に、経費科目ごとの按分根拠の作り方・領収書の保管ルール・年間の経費レビューまで含めた支援をご提供しています。「経費の取り方をプロの目で点検したい」とお考えの方は、決算前の余裕のあるタイミングでぜひご相談ください。

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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人事業主の確定申告・所得税実務を専門とする。

最終更新日: 2026年8月28日

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