「住宅を購入したが、住宅ローン控除の申請を1年目だけ確定申告でやれば終わりだと思っていた」「省エネ住宅かどうかで借入限度額が変わるとは知らなかった」——住宅購入後の税務手続きで見落としが多いのが、住宅ローン控除の正確な理解です。2024年税制改正により、住宅の省エネ性能によって借入限度額が最大4,500万円から2,000万円まで4段階に分かれています。性能区分を誤って申告すると、受け取れるはずの控除を取り損ねるリスクがあります。
令和8年度税制改正により、住宅ローン控除は令和12年12月31日入居まで5年延長されます。また、子育て世帯・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下、または19歳未満の子を持つ世帯)には借入限度額の上乗せ措置(認定住宅で4,500万円等)が継続適用されます。
(参照:国税庁「住宅借入金等特別控除」)
住宅ローン控除とは何か——最大年35万円の減税になる仕組みを理解する
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した際に、年末時点のローン残高の一定割合を所得税から差し引く制度です。
控除しきれない分は、翌年の住民税(課税総所得金額等の5%、上限9.75万円)からも控除されます。
2026年時点で何が変わっているか——住宅ローン控除の最新概要と住宅種別の借入限度額
2024年の税制改正により、住宅の種類・性能に応じた借入限度額が設定されています。2026年入居の場合の控除内容は以下のとおりです。
また令和8年度税制改正(2026年改正)により、本制度は令和12年12月31日入居まで5年延長され、子育て世帯・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下、または19歳未満の子を持つ世帯)には借入限度額の上乗せ措置(認定住宅で4,500万円等)が継続適用されます。
新築住宅・買取再販住宅の控除額
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間最大控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 | 31.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 | 24.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 | 21万円 |
| その他(一般住宅) | 2,000万円 | 0.7% | 10年 | 14万円 |
中古住宅の控除額
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間最大控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅等 | 3,000万円 | 0.7% | 10年 | 21万円 |
| その他(一般住宅) | 2,000万円 | 0.7% | 10年 | 14万円 |
※2024年税制改正の内容。2026年入居の場合の目安値です。最新の税制は国税庁または税理士にご確認ください。
リーパル会計事務所では、個人事業主・副業の方向けに節税余地の棚卸しと申告手順の伴走支援を行っています。所得控除や経費計上は、知っているか知らないかだけで税額が数万円〜数十万円変わる領域です。専門家への相談は費用ではなく、払い過ぎを取り戻すための投資にあたります。
この条件を1つでも外すと控除が消える——住宅ローン控除の適用条件を詳細確認する
住宅ローン控除を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
納税者本人に関する条件
- 住宅ローンを借り入れた本人が居住すること
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 取得した年の翌年12月31日まで居住していること
住宅ローンに関する条件
- 返済期間が10年以上であること
- 金融機関等からの借入であること(親族等からの借入は対象外)
住宅(建物)に関する条件
- 床面積が50平方メートル以上(合計所得1,000万円以下の場合は40平方メートル以上)
- 新耐震基準に適合していること
- 居住用として使用すること(店舗併用の場合は居住用部分が1/2以上)
中古住宅固有の条件
- 昭和57年1月1日以降に建築された住宅(新耐震基準適合)
- または耐震基準適合証明書・既存住宅売買瑕疵保険等があること
初年度の確定申告を間違えると控除が取り損ねる——申請方法と手続きの流れ
1年目:確定申告が必須
入居した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行います。会社員の方でも、住宅ローン控除の1年目は確定申告が必要です。
必要書類:
- 確定申告書(税務署またはe-Taxで作成)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関から届く)
- 登記事項証明書(法務局で取得)
- 請負契約書・売買契約書のコピー
- 住民票の写し
- 省エネ基準適合証明書等(省エネ性能を証明する書類)
2年目以降:年末調整で対応(会社員の場合)
会社員の方は、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。毎年10〜11月頃に金融機関から送られてくる「残高証明書」と、税務署から送られてくる「控除証明書」を会社に提出します。
個人事業主の場合は毎年確定申告が必要です。
住宅ローン控除と他の控除の関係
ふるさと納税との関係
住宅ローン控除により所得税が大幅に減額される場合、ふるさと納税の実際の控除効果(住民税の特例控除分)が制限されることがあります。住宅ローン控除がある年は、ふるさと納税の上限額が見かけより低くなる可能性があります。
→ 詳細は「ふるさと納税の上限額の計算方法|年収別の早見表と注意点まとめ」を参照してください。
iDeCoとの関係
iDeCoの掛金は所得控除であり、住宅ローン控除(税額控除)とは控除の仕組みが異なります。所得が高く課税所得が大きい場合は、iDeCoで所得自体を減らすことで、住宅ローン控除でさらに節税できる組み合わせも考えられます。
ご自身の所得・家族構成・控除の組み合わせによって、最適な打ち手は大きく変わります。判断に迷う部分があれば、リーパル会計事務所の税理士に直接ご相談いただくのが最短です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 住宅ローン控除は夫婦共有名義の場合どうなりますか?
夫婦それぞれがローンを借りている場合(ペアローン・連帯債務)は、それぞれ持分に応じて控除を受けることができます。ただし、それぞれが適用条件を満たす必要があります。
Q2. 途中で転勤になった場合、住宅ローン控除は受けられますか?
転勤で一時的に居住できなくなった場合でも、一定の要件のもとで転勤先から戻った後に控除を再開できる場合があります。詳細は税理士または税務署に相談してください。
Q3. 省エネ基準適合住宅とはどういう住宅ですか?
建築物省エネ法に基づく省エネ基準を満たす住宅です。2024年以降の新築住宅は原則として省エネ基準への適合が義務化されています。
Q4. 合計所得2,000万円超の場合はどうなりますか?
合計所得が2,000万円を超える年は、住宅ローン控除が受けられません。翌年所得が2,000万円以下になれば再び控除を受けられます。
Q5. 住宅ローン控除の申請を忘れた場合、過去にさかのぼれますか?
過去5年間の分は更正の請求(修正申告)で取り戻せます。忘れていた場合は速やかに税務署または税理士に相談してください。
まとめ
住宅ローン控除は、条件を満たせば最大13年間にわたって大きな税負担軽減が期待できる制度です。
- 住宅の種類(省エネ性能)によって借入限度額・控除期間が異なる
- 1年目は必ず確定申告が必要(会社員も同様)
- 合計所得2,000万円超の年は適用不可
- ふるさと納税・iDeCoとの関係を踏まえた総合的な節税計画が重要
制度が複雑なため、初めての確定申告や不明点がある場合は税理士に相談することをお勧めします。
住宅ローン控除は「手続きさえすれば自動的に受けられる」制度ではありません。1年目の確定申告で性能区分・借入限度額・必要書類が揃っていなければ、受けられるはずの控除を取り損ねます。特に省エネ住宅の区分(長期優良・ZEH・省エネ基準適合・一般)の判定は、購入時の証明書類の有無が決め手になります。
リーパル会計事務所では、住宅購入初年度の確定申告書類の整備から、iDeCo・ふるさと納税との組み合わせ効果の試算まで、個人事業主・会社員それぞれのケースに合わせた申告サポートをご提供しています。
初年度の申告を正確に行ってしまえば、2年目以降は年末調整で完結する控除を取り損ね続けない理由はほとんどありません。判断に迷う場合はリーパル会計事務所までご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人事業主の確定申告・所得税・所得控除を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日