「開業して数年経つが、まだ白色申告のままでいる」「青色申告に切り替えたいが、帳簿の手間が増えるのが心配で踏み出せていない」——こうした悩みを持つ個人事業主に共通するのは、青色申告の65万円控除が毎年取れる節税額として積み重なっていることを、まだ実感していない点です。所得税率20%の事業者が毎年65万円の控除を活用すると、10年間で130万円超の節税になります。会計ソフトさえ使えば、複式簿記の知識がなくても対応できます。
白色申告のままでいると毎年13万円超を捨てている——青色申告に切り替えるだけで得られるメリットを数字で確認する
青色申告を選択すると、以下の節税メリットがあります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除(最大65万円) | e-Taxで申告すると所得から65万円差し引き(紙申告は55万円) |
| 家族への給与を全額経費化 | 青色事業専従者給与を全額必要経費にできる |
| 純損失の繰越控除 | 赤字を翌年以降3年間繰り越せる |
| 純損失の繰戻し | 前年に繰り戻して還付を受けられる |
| 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の資産を年間300万円まで一括費用計上 |
| 貸倒引当金の計上 | 売掛金の貸し倒れリスクを引当計上できる |
最大の節税効果は青色申告特別控除65万円です。所得税率20%の方なら約13万円の節税になります。
(参照:国税庁「青色申告制度」)
事業所得だけでなく、アパート・マンション経営などの不動産所得がある大家・不動産オーナーも青色申告の対象です。不動産所得ならではの減価償却や、事業的規模かどうかで変わる65万円控除の判定については、大家・不動産オーナーの確定申告と節税|不動産所得・減価償却・青色申告を税理士が解説で詳しく解説しています。
10万円控除を選ぶと年間最大55万円を取り損なう——65万円控除に到達するための3区分の違いと選択基準
青色申告には控除額によって3つの区分があります。
| 区分 | 控除額 | 帳簿の要件 | 申告方法 |
|---|---|---|---|
| 65万円控除 | 65万円 | 複式簿記(貸借対照表・損益計算書の添付必須) | e-Tax必須 |
| 55万円控除 | 55万円 | 複式簿記(貸借対照表・損益計算書の添付必須) | 紙またはe-Tax |
| 10万円控除 | 10万円 | 簡易帳簿でも可 | 紙またはe-Tax |
節税効果を最大化するなら、複式簿記+e-Taxでの「65万円控除」を目指すべきです。
リーパル会計事務所では、個人事業主・副業の方向けに節税余地の棚卸しと申告手順の伴走支援を行っています。所得控除や経費計上は、知っているか知らないかだけで税額が数万円〜数十万円変わる領域です。専門家への相談は費用ではなく、払い過ぎを取り戻すための投資にあたります。
【5ステップで完結】青色申告承認申請からe-Tax送信まで——初年度でも確実に完了できる手順ガイド
ステップ1:青色申告承認申請書を提出する
青色申告を始めるには、まず税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。
提出期限:
- 新規開業の場合:開業した日から2か月以内
- すでに事業を行っている場合:適用したい年の3月15日まで
提出先: 納税地(住所地)を所轄する税務署
書類は国税庁のWebサイトからダウンロードできます。また、e-Taxでも申請できます。
ステップ2:帳簿の準備をする
65万円控除を目指す場合は複式簿記での記帳が必要です。会計ソフトを使えば、仕訳の知識がなくても入力できます。
おすすめの帳簿作成方法:
- freee会計(青色申告確定申告書の自動作成に対応)
- マネーフォワードクラウド確定申告
- 弥生会計オンライン
会計ソフトは銀行口座・クレジットカードと連携して自動で仕訳を行うため、日々の入力作業を大幅に削減できます。
ステップ3:日常的な帳簿付けを行う
毎日(または週1回など定期的に)、収入・支出を帳簿に記録します。
記録すべき帳簿:
- 仕訳帳(すべての取引を日付順に記録)
- 総勘定元帳(仕訳帳を勘定科目別に整理)
- 売掛帳・買掛帳(必要に応じて)
- 固定資産台帳(10万円以上の資産がある場合)
領収書・レシートは7年間保存が義務です。
ステップ4:年末に決算書を作成する
12月31日で年度を締めて、決算書を作成します。
作成が必要な書類:
- 損益計算書(1年間の売上・経費・利益の一覧)
- 貸借対照表(資産・負債・資本の一覧)
会計ソフトを使っていれば、これらは自動作成されます。
ステップ5:確定申告書を作成・提出する
翌年2月16日〜3月15日に確定申告書を提出します。
e-Taxでの申告手順:
- マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)を準備
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 会計ソフトで作成した損益計算書・貸借対照表のデータを取り込みまたは入力
- 各種控除を入力
- e-Taxで送信(電子署名が必要)
「来年から切り替えよう」と先送りするたびに13万円を失う——白色申告から青色申告への最短移行手順
現在白色申告をしている個人事業主が青色申告に切り替えるには、翌年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出するだけです。
切り替え後は帳簿付けの要件が増えますが、65万円控除の節税効果はすぐに得られます。
申請期限を1日でも過ぎると当年は白色申告になる——青色申告でよくあるミスと回避策3点
期限切れに注意
青色申告承認申請書の提出期限を過ぎると、その年は白色申告になります。すでに事業を行っている方が翌年分から青色申告に切り替えたい場合は、適用したい年の3月15日までに提出してください(新規開業の年に限り、開業日から2か月以内が期限です)。
帳簿付けをサボらない
複式簿記での記帳が義務であるため、年末にまとめて入力しようとすると非常に大変です。会計ソフトを使って日常的に記帳する習慣をつけましょう。
e-Taxの設定を事前に済ませる
e-Taxはマイナンバーカードとe-Taxの開始届出書(または利用者識別番号)が必要です。確定申告直前に設定しようとすると手間取ることがあるため、余裕を持って準備しましょう。
ご自身の所得・家族構成・控除の組み合わせによって、最適な打ち手は大きく変わります。判断に迷う部分があれば、リーパル会計事務所の税理士に直接ご相談いただくのが最短です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 開業届と青色申告承認申請書は同時に提出できますか?
はい、同時に提出できます。開業後なるべく早く(2か月以内)に両方を提出することをおすすめします。
Q2. 青色申告をしても赤字の場合、特別控除は受けられますか?
青色申告特別控除は、所得が発生している場合に適用されます。赤字の場合は控除額を引いても0(マイナスにはなりません)。ただし、赤字を翌年3年間繰り越せる純損失の繰越控除が使えます。
Q3. 帳簿付けに自信がない場合は税理士に依頼したほうがいいですか?
帳簿付け自体は会計ソフトで対応できる場合も多いですが、複雑な経費按分・専従者給与の設定など判断が難しい部分は税理士に相談することをおすすめします。
Q4. 青色申告の帳簿はデジタルで保存できますか?
はい、電子帳簿保存法に対応した形式であれば電子保存が可能です。紙の領収書も一定の要件を満たせばスキャンして電子保存できます。
Q5. 青色申告をやめたい場合はどうすればいいですか?
「青色申告の取りやめ届出書」を翌年3月15日までに税務署に提出します。ただし、廃止後2年間は再度の青色申告申請ができない場合があります。
まとめ
青色申告のやり方を5ステップでまとめます。
- 青色申告承認申請書を税務署に提出(開業から2か月以内)
- 会計ソフトを準備して複式簿記での記帳を開始
- 日常的に帳簿付けを行う(銀行・カード連携で自動化)
- 12月31日で決算書を作成
- e-Taxで確定申告書を提出(翌年3月15日まで)
青色申告への切り替えを「来年でいい」と先送りする事業者は、毎年13万円超の節税機会を手放しています。承認申請書の提出は1枚の書類、会計ソフトの設定は1日あれば完了します。「複雑そう」という印象が、唯一の参入障壁です。
リーパル会計事務所では、freee・MFクラウドの初期設定から青色申告初年度の確定申告まで、一気通貫でサポートしています。
青色申告に切り替えて65万円特別控除を取得してしまえば、白色申告を続けて毎年節税機会を逃し続けない理由はほとんどありません。判断に迷う場合はリーパル会計事務所までご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人事業主の確定申告・所得税・所得控除を専門とする。
最終更新日: 2026年7月29日