「freeeやマネーフォワードを導入したいのに、今の税理士は紙の資料を求めてくる」「『クラウド会計に対応しています』と聞いて契約したのに、結局これまでと変わらない」——クラウド会計への移行を考える中小企業経営者や個人事業主の方から、こうした声をよく耳にします。多くの税理士事務所が「クラウド会計対応」を掲げていますが、その実態は事務所によって大きく異なります。ソフトのアカウントを共有しているだけの「形だけの対応」と、クラウドの強みを活かしてリアルタイムに経営を支える「本物の対応」では、得られる価値がまったく違います。本記事では、クラウド会計に本当に対応した税理士を見分けるためのチェックポイントを整理します。
なぜ「クラウド会計対応」を掲げる税理士でも差が出るのか
クラウド会計(=インターネット経由で利用し、銀行・カードのデータを自動取得して帳簿を作成する会計ソフト)は、ただ導入すれば効果が出るものではありません。その真価は「誰がどう運用するか」で決まります。
「自称対応」と「本物の対応」の違い
| 観点 | 自称対応の税理士 | 本物の対応の税理士 |
|---|---|---|
| ソフトの位置づけ | 従来の作業をクラウドに置き換えただけ | 自動化を前提に業務フローを再設計 |
| データのやり取り | 月末にまとめて紙やExcelで受け取る | 銀行・カード連携でリアルタイムに把握 |
| 経営への関与 | 申告書の作成が中心 | 月次でタイムリーに数字を共有・助言 |
| 認定資格 | 不明・取得していない | 認定アドバイザー資格を保有 |
同じソフトを使っていても、自動連携やAPI連携を活かさず、結局これまでと同じ「月末にまとめて処理する」運用にとどまっている事務所は少なくありません。リーパル会計事務所では、クラウド会計の自動化を前提に業務フローそのものを組み替えることが、本来の効果を引き出す条件だと考えています。
クラウド会計対応の税理士を見分ける7つのチェックポイント
契約前に、次の観点を一つずつ確認することで、「形だけの対応」を見抜くことができます。
freee・マネーフォワードの認定アドバイザー資格があるか
最も分かりやすい指標が、各社が提供する認定アドバイザー資格の有無です。freeeの「認定アドバイザー」やマネーフォワードの「公認メンバー」は、一定の知識・実績を満たした事務所に与えられます。資格があれば、少なくともそのソフトを実務で使い込んでいる可能性が高いと判断できます。
自社が使いたいソフトの導入実績があるか
freeeに強い事務所、マネーフォワードに強い事務所など、得意分野は分かれます。自社が導入したい(または既に使っている)ソフトの実績があるかを確認しましょう。両方に対応できる事務所であれば、自社に合うソフトを中立的に提案してもらえます。両者の違いを知りたい方はfreeeとマネーフォワードクラウドを徹底比較も参考になります。
銀行・カード連携を前提とした運用を提案できるか
クラウド会計の核心は、銀行口座やクレジットカードのデータを自動取得し、手入力を減らすことにあります。「どの口座を連携すべきか」「自動仕訳のルールをどう設計するか」まで踏み込んで提案できる税理士は、ソフトを本当に使いこなしています。逆に、連携の話をせず「領収書をまとめて送ってください」とだけ言う事務所は注意が必要です。
リアルタイムで数字を共有する仕組みがあるか
クラウド会計の最大の強みは、経営者と税理士が同じ最新の数字をいつでも見られることです。月次決算をタイムリーに締め、業績の変化に早く気づける体制を持つ事務所は、申告作業だけでなく経営の伴走者になれます。月次決算の重要性については中小企業の月次決算 やり方と進め方で詳しく解説しています。
移行作業を支援してくれるか
既存の会計ソフトや手作業からクラウド会計へ移すには、初期設定・データ移行・運用ルールづくりという作業が伴います。この移行を丸ごと任せられるか、自社で何をすればよいかを明確に示してくれるかは、導入の成否を左右します。
顧問料の体系が明確か
クラウド会計の導入で記帳作業が効率化される分、顧問料の内訳がどうなるかを確認しましょう。自動化で削減できる作業を反映した料金体系か、それとも従来の記帳代行料がそのまま残っているかは、コストパフォーマンスに直結します。
経理担当者へのレクチャーがあるか
クラウド会計は、自社の経理担当者が日常操作を担うことで効果が最大化します。操作方法のレクチャーや、つまずいたときのサポート体制があるかも、長く付き合ううえで重要なポイントです。
クラウド会計対応の税理士に切り替えるメリット
形だけでなく本当にクラウド会計を使いこなす税理士に依頼すると、次のような変化が期待できます。
経理の手間が大幅に減る
銀行・カード連携とAI-OCR(=領収書を読み取って自動で仕訳する機能)の活用により、手入力作業が大きく減ります。経理担当者は転記作業から解放され、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。
リアルタイムで経営判断ができる
月末を待たずに最新の業績を把握できるため、資金繰りや投資の判断を早く下せます。「決算が出てから問題に気づく」状態から、「変化に気づいてすぐ手を打つ」状態へ移行できます。
電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しやすい
クラウド会計は、電子帳簿保存法やインボイス制度といった制度改正への対応機能を備えています。これらに精通した税理士と組むことで、制度変更への対応漏れを防げます。電子帳簿保存法の要件は電子帳簿保存法の対応方法を完全解説で確認できます。
リーパル会計事務所では、freee・マネーフォワードクラウド両対応の認定アドバイザーとして、ソフトの選定から運用設計、経理担当者へのレクチャーまでを一貫して支援しています。ソフトの取り扱いについては、各社の公式情報(freee公式サイト)も参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 「クラウド会計対応」と書いてあれば、どの税理士でも同じですか。
A. 同じとは限りません。アカウントを共有しているだけで運用は従来通りという事務所もあります。認定アドバイザー資格の有無、銀行・カード連携を前提とした運用提案、リアルタイムでの数字共有の仕組みがあるかを確認することをお勧めします。
Q. freeeとマネーフォワード、どちらに対応した税理士を選ぶべきですか。
A. 自社が使いたいソフトに実績がある税理士を選ぶのが基本です。両方に対応できる事務所であれば、業種や経理体制に合わせて中立的に提案してもらえるため、まだソフトを決めていない方には有力な選択肢になります。
Q. 今の税理士がクラウド会計に消極的です。変更すべきでしょうか。
A. クラウド会計でリアルタイムな経営支援を受けたいのであれば、対応に積極的な税理士への変更を検討する価値があります。ただし変更には引き継ぎの手間も伴うため、現状の不満点を整理したうえで判断することをお勧めします。
Q. 認定アドバイザー資格があれば、それだけで安心できますか。
A. 資格は実務経験の一つの目安になりますが、それだけで判断するのは早計です。資格に加えて、自社と同じ業種・規模の導入実績や、運用フローの提案力もあわせて確認することが大切です。
監修
本記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。クラウド会計に本当に対応した税理士かどうかは、認定資格・運用フローの提案力・リアルタイム支援の体制で見極められます。リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績をもとに、freee・マネーフォワードクラウド両対応の認定アドバイザーとして、クラウド会計を活かした経営支援を提供しています。形だけでなく本当に使いこなせる税理士をお探しの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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