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退職所得控除の見直し動向|「5年ルール」と勤続年数による控除額の変化を税理士が解説

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退職所得控除の見直し動向|「5年ルール」と勤続年数による控除額の変化を税理士が解説

「退職金にかかる税金が見直されるかもしれないと聞いて不安」「iDeCoと退職金をどう受け取れば損をしないのか整理できていない」——老後資金の出口が近づくなかで、退職所得控除をめぐる動向に関心を持つ経営者・会社員・個人事業主の方が増えています。退職所得控除(=退職金から差し引ける非課税枠)は、長く勤めた人ほど優遇される仕組みになっていますが、近年は働き方の多様化を背景に、その設計のあり方が継続的に議論されています。さらに、iDeCo(個人型確定拠出年金)と退職金の受け取りタイミングによって課税が大きく変わる「ルール」の存在は、見落とされがちです。本記事では、退職所得控除の基本と見直しをめぐる論点、そして受け取り方による税負担の違いを、実務の視点から整理します。

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退職所得控除とは何か——勤続年数で非課税枠が決まる仕組み

控除額は勤続20年を境に計算式が変わる

退職所得控除は、退職金にかかる税負担を軽くするための非課税枠です。金額は勤続年数によって決まり、勤続20年を境に計算式が変わります。勤続年数が長いほど1年あたりの控除額が手厚くなる設計で、長期勤続を優遇する性格を持っています。

勤続年数 退職所得控除額の計算式
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

たとえば勤続30年であれば、800万円に70万円×10年を加えた1,500万円が控除額となります。この控除を差し引いた残額の2分の1だけが課税対象となるため、退職金は給与と比べて税負担が大きく軽減される所得と言えます。

なぜ見直しが議論されているのか

近年は転職が一般化し、長期勤続を前提とした優遇が働き方の実態に合わないという指摘があります。こうした背景から、勤続20年で計算式が変わる構造の見直しが継続的に議論の対象となってきました。ただし、見直しの議論があること自体と、実際に改正が確定することは別です。具体的な改正内容や時期は年度ごとの税制改正で決まるため、最新の動向を確認することが欠かせません。リーパル会計事務所では、こうした制度変更の方向性を踏まえながら、退職金の受け取り設計を経営者の方とともに検討しています。

iDeCoと退職金の受け取り順で税負担が変わる「ルール」

同じ年・近い年に重ねて受け取ると控除が調整される

退職所得控除を考えるうえで、見直し動向と並んで重要なのが「受け取りのタイミング」です。iDeCoの一時金と会社の退職金を同じ年やそれに近い年に受け取ると、退職所得控除を重複して使えず、控除額が調整される仕組みがあります。これを知らずに同時期に受け取ると、想定よりも税負担が大きくなることがあります。

「5年ルール」「19年ルール」とは

退職金とiDeCoの受け取りを一定年数ずらすことで、それぞれの退職所得控除を活かせる場合があります。一般に、iDeCoを先に受け取ってから会社の退職金を受け取る場合と、退職金を先に受け取ってからiDeCoを受け取る場合とで、控除の重複を避けるために必要な間隔が異なります。この間隔のルールは見直しの対象にもなりやすく、適用関係が変わる可能性があるため、受け取り計画を立てる際は最新の取り扱いを確認することが重要です。iDeCoそのものの節税効果はiDeCoの節税効果で解説しています。

専門家への相談がコストではなく投資である理由は、受け取り順を一度間違えると後から取り返すのが難しく、数十万円単位で税負担が変わり得るからです。

経営者・役員が押さえておきたい退職金設計の視点

役員退職金は損金算入と個人課税の両面で考える

会社経営者や役員にとって、退職金は個人の税負担だけでなく、会社側の損金算入(=税務上の経費として認められること)の論点も関わります。役員退職金が過大と判断されると、超過分が損金として認められないことがあります。適正額の考え方は役員退職金を活用した法人の節税対策で詳しく整理しています。

退職所得控除の見直しは「出口戦略」に影響する

退職金は、経営者にとって長期の出口戦略の一部です。退職所得控除の設計が変われば、いつ・どの形で資産を引き出すのが有利かという判断も変わります。たとえば、役員報酬を抑えて退職金で受け取る方が有利になるか、それとも報酬として受け取る方がよいかは、退職所得控除の水準によって結論が変わり得ます。こうした状況で大切なのは、制度の方向性を見ながら柔軟に計画を見直せる体制を持つことです。リーパル会計事務所では、役員退職金とiDeCo・小規模企業共済などを組み合わせた出口設計の相談をお受けしています。

複数の一時金を組み合わせるときの順序を設計する

経営者の場合、会社の役員退職金に加えて、iDeCoや小規模企業共済の解約一時金など、複数の退職所得を受け取る可能性があります。これらをどの順序・どの間隔で受け取るかによって、退職所得控除をどこまで重複なく使えるかが変わります。受け取りの順序設計は、本来であれば退職を迎える数年前から準備しておきたい論点です。引退間際になって慌てて決めると、控除の重複調整によって想定外の税負担が生じることがあります。リーパル会計事務所では、退職時期から逆算して受け取り計画を立てる支援を行っています。

自分の勤続年数や受け取り資産に当てはめにくい場合は、税理士に直接相談してシミュレーションするのが最短です。控除の枠は本人の勤続年数や他の一時金の有無によって変わるためです。

なお、退職所得の計算や控除の取り扱いの詳細は、国税庁の退職金と税に関する案内で確認できます。制度は改正されることがあるため、最新の公式情報とあわせてご判断ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 退職所得控除は本当に見直されるのですか。
A. 見直しの議論があること自体は事実ですが、具体的な改正内容や時期は年度ごとの税制改正で決まります。議論段階の情報と確定した制度を区別し、最新の公式情報で確認することが重要です。

Q. 勤続20年と21年で控除額はどれくらい変わりますか。
A. 20年以下は1年あたり40万円、20年超は超過分が1年あたり70万円で計算されます。そのため20年を超えると1年あたりの控除の伸びが大きくなり、長く勤めるほど非課税枠が手厚くなります。

Q. iDeCoと退職金は同じ年に受け取らない方がよいのですか。
A. 同じ年や近い年に重ねて受け取ると、退職所得控除を重複して使えず控除額が調整されることがあります。受け取り順とタイミングをずらすことで、それぞれの控除を活かせる場合があるため、事前の計画が大切です。

Q. 役員退職金にも退職所得控除は使えますか。
A. 役員退職金も退職所得として控除の対象になります。ただし、会社側で過大と判断されると損金算入が認められない部分が生じるため、適正額の検討が必要です。

監修

本記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。退職所得控除の見直し動向は流動的で、iDeCoや小規模企業共済との受け取り順によって税負担は大きく変わります。自分の勤続年数や保有資産を前提に有利な受け取り方を整理したい経営者・個人の方は、リーパル会計事務所までお気軽にご相談ください。

参考資料

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