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不動産業(法人)の税務・経費・節税|販売用不動産・消費税の課税区分を税理士が解説

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不動産業(法人)の税務・経費・節税|販売用不動産・消費税の課税区分を税理士が解説

「販売用に仕入れた不動産は、取得時に何を取得価額に含めるのか」「土地と建物で消費税の扱いが違うと聞くが、仕入れの消費税はどこまで戻るのか」。不動産業(売買・仲介・賃貸管理)を法人で営む経営者から、税務についてこうした相談をいただきます。不動産業は、棚卸資産としての不動産の扱いや、土地・建物で異なる消費税など、専門的な判断が求められる業種です。

本記事では、不動産業の法人の税務について、販売用不動産の取得価額、消費税の課税区分、居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限、仲介手数料の収益計上時期までを、2026年6月時点の国税庁の一次情報に基づいて整理します。年度で取り扱いが変わる数値は、その旨を明記します。

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販売用不動産(棚卸資産)の取得価額

不動産は、保有する目的によって会計上の区分が変わります。販売目的で取得した不動産は棚卸資産(販売用不動産)、賃貸や自社利用の目的で取得した不動産は固定資産になります。取得時にどちらの目的かによって、その後の処理が変わります。

販売用不動産(棚卸資産)の取得価額には、購入代価に加えて、販売のために直接かかった費用を含めます。一方、不動産取得税・固定資産税・都市計画税の精算金・登録免許税・登記費用・借入金の利子などは、取得価額に算入しないことができるとされています。これらを取得価額に含めるか費用として処理するかで、損益の計上時期が変わるため、社内のルールを決めておくことが大切です。

消費税の課税区分|土地は非課税・建物は課税

不動産業の税務で最も注意が必要なのが消費税です。土地と建物で扱いが大きく異なります。

取引 消費税の扱い
土地の譲渡・貸付け 非課税(ただし1か月未満の貸付け、駐車場等の施設利用は課税)
建物の譲渡・貸付け 課税(ただし住宅の貸付けは非課税)
住宅の貸付け 非課税(1か月未満は課税)

このように、不動産業は非課税となる売上(土地の譲渡や住宅家賃)が多くなりがちで、課税売上割合が低くなりやすいのが特徴です。課税売上割合が低いと、仕入れで支払った消費税を全額は控除できません。課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上であれば全額控除できますが、それ以外は個別対応方式か一括比例配分方式で按分して控除します。一括比例配分方式を選ぶと、2年間継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更できない点にも注意が必要です。消費税の計算の基本は、法人の消費税の計算方法|原則課税と簡易課税の違いで解説しています。

居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限

令和2年の税制改正で導入されたのが、居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限です。令和2年10月1日以後に取得した、税抜1,000万円以上の居住用賃貸建物については、取得時にその仕入れにかかる消費税を控除できません。その後、第三年度の課税期間の末日まで(おおむね3年以内)に、課税賃貸用に使ったり譲渡したりした場合は、その分を調整して仕入控除税額に加算できます。賃貸用建物を取得する際は、この制限を踏まえた資金計画が欠かせません。

個人で賃貸物件を保有しているオーナーが、法人を使って所得を分散させる設計を検討する場面もあります。管理委託・サブリース・不動産所有という3つの方式の違いと、管理料をめぐる否認リスクは不動産管理会社の設立と節税で解説しています。

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仲介手数料の収益計上時期と税務調査

仲介を行う不動産業では、仲介手数料をいつ売上に計上するかが論点になります。原則は売買などの契約の効力が発生した日(契約成立日)ですが、継続して適用することを条件に、取引が完了した日(引渡日)に計上することも認められています。どちらの基準を採用するかを決め、継続して適用することが重要です。

なお、仲介の実務をフルコミッションの営業職に業務委託している場合は、その営業職側にも所得区分や源泉徴収の論点が生じます。委託先から相談を受けることも多いため、不動産営業(フルコミッション)の確定申告と税金もあわせてご確認ください。

不動産業の税務調査では、この売上の計上時期(期ズレ)が最も多く問われます。完成・引渡し前に売上を計上していないか、逆に引渡し済みの売上を翌期に繰り延べていないかが確認されます。売上を期ズレさせると、対応する販売用不動産の原価の計上時期もずれている可能性があるため、売上と原価を対応させた管理が求められます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 販売用に仕入れた不動産の登録免許税は取得価額に含めますか?

A. 登録免許税・登記費用・不動産取得税・借入金利子などは、取得価額に算入しないことができるとされています。取得価額に含めるか費用として処理するかで損益の計上時期が変わるため、社内のルールを統一しておくことが大切です。

Q2. 土地を売ったら消費税はかかりますか?

A. 土地の譲渡は消費税が非課税です。ただし、建物の譲渡は課税対象になります。土地建物を一括で売買する場合は、対価を土地分と建物分に合理的に区分する必要があります。

Q3. なぜ不動産業は消費税が全額戻らないのですか?

A. 土地の譲渡や住宅家賃など非課税の売上が多く、課税売上割合が低くなりやすいためです。課税売上割合が95%未満になると、仕入れの消費税を個別対応方式か一括比例配分方式で按分して控除することになり、全額は控除できません。

Q4. 賃貸用のマンションを買いましたが、消費税は控除できますか?

A. 令和2年10月1日以後に取得した税抜1,000万円以上の居住用賃貸建物は、取得時に仕入税額控除ができません。その後、第三年度の課税期間の末日までに課税賃貸用に使ったり譲渡したりした場合は、調整して控除できます。

Q5. 仲介手数料はいつ売上に計上しますか?

A. 原則は契約の効力が発生した日(契約成立日)です。継続適用を条件に、引渡日に計上することも認められています。どちらの基準でも、一度決めたら継続して適用することが重要です。

参考資料

不動産業の法人の税務は、販売用不動産の取得価額、土地・建物で異なる消費税、居住用賃貸建物の控除制限、仲介手数料の計上時期という、専門性の高い論点が中心です。とくに消費税は金額が大きく、判断を誤ると納税額に直結します。

リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績とクラウド会計導入支援の知見をもとに、販売用不動産と固定資産の区分から消費税の課税区分の設定、課税売上割合を踏まえた仕入税額控除の最適化までをサポートしています。不動産業の税務に不安のある経営者の方は、お気軽にご相談ください。

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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、不動産業をはじめとする中小企業の税務・税務調査対応を専門とする。

最終更新日: 2026年6月29日

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