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【2026年版】少額減価償却資産の特例とは?40万円未満を全額経費にする中小企業の節税術

税務
少額減価償却資産の特例(40万円未満)

「パソコンや備品を買ったとき、一括で経費にできるのか、それとも数年かけて償却するのか」。年商数千万円規模の中小企業経営者・個人事業主から、リーパル会計事務所の決算前相談で繰り返し挙がる疑問です。ここで使えるのが「少額減価償却資産の特例」で、対象資産を購入した年に全額損金(=税務上の経費)にできるため、当期の課税所得を圧縮できます。

しかもこの制度は、令和8年度税制改正で取得価額の基準が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられ、適用期限も延長されました。本記事では、改正の中身・10万円や20万円との境界線・見落としがちな償却資産税の負担まで、1,100社以上の関与実績をもとに実務目線で整理します。

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少額減価償却資産の特例とは?仕組みと節税効果

少額減価償却資産の特例(正式には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)とは、青色申告を行う中小企業者等が、一定金額未満の減価償却資産を取得した事業年度に、その取得価額の全額を損金算入できる制度です(租税特別措置法67条の5)。

通常の減価償却との違い

固定資産は本来、法定耐用年数にわたって少しずつ経費化(減価償却)します。たとえば耐用年数4年のパソコンを25万円で購入した場合、原則として4年間に分けて経費にするため、初年度に落とせるのは一部にとどまります。

これに対して本特例を使えば、購入した事業年度に25万円を一括で損金算入できます。利益が出ている年に対象資産をまとめて取得すれば、その期の課税所得を効果的に圧縮できるのが最大のメリットです。

【令和8年度改正】30万円未満から40万円未満へ引き上げ

ここが2026年最大のポイントです。平成15年の制度創設以来、20年以上にわたり「30万円未満」で据え置かれてきた取得価額の基準が、令和8年度税制改正で引き上げられました。取得した日によって適用される基準が変わるため、下表で整理します。

項目 令和8年3月31日までに取得 令和8年4月1日以後に取得
取得価額の上限 30万円未満 40万円未満
年間の合計限度額 300万円 300万円(据え置き)
従業員数の要件 常時使用500人以下 400人以下に縮小
適用期限 令和8年3月31日 令和11年3月31日まで延長

つまり令和8年4月1日以後に取得する資産であれば、39万円台の備品でも全額を即時に損金算入できるようになりました。物価上昇やIT機器の高性能化で30万円の枠に収まりにくくなっていた実態に合わせた改正で、中小企業にとっては使い勝手が大きく向上しています。なお従業員数の要件は400人以下に縮小されましたが、ほとんどの中小企業・個人事業主は問題なく満たせる水準です。

10万円・20万円・40万円の境界線を整理する

減価償却資産の経費処理には、取得価額に応じて複数の選択肢があります。本特例だけを見ていると判断を誤るため、全体像を押さえておきましょう。

取得価額 使える処理 経費化のしかた 対象者
10万円未満 少額の減価償却資産 取得時に全額損金 すべての事業者
20万円未満 一括償却資産 3年間で均等償却 すべての事業者
40万円未満(改正後) 少額減価償却資産の特例 取得時に全額損金 青色申告の中小企業者等
上記以上 通常の減価償却 法定耐用年数で償却 すべての事業者

償却資産税(固定資産税)という落とし穴

実務で見落とされがちなのが、償却資産税(固定資産税の一種)の取り扱いです。10万円未満の少額資産と20万円未満の一括償却資産は償却資産税の課税対象外ですが、本特例(30万円・40万円未満)を使って即時償却した資産は、償却資産税の課税対象に含まれます。

そのため、たとえば18万円のパソコンを複数台購入する場合、本特例で全額損金にすると法人税は減らせる一方で償却資産税の対象になります。一括償却資産(3年償却)を選べば法人税の節税効果は薄まるものの償却資産税はかかりません。どちらが有利かは保有資産の総額や利益水準によって変わるため、目先の損金だけで判断しないことが大切です。

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特例を受けるための要件と手続き

本特例を適用するには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 青色申告であること
  • 中小企業者等であること(資本金1億円以下など。常時使用する従業員数の要件あり)
  • 取得価額が基準額未満(令和8年4月1日以後は40万円未満)であること
  • 確定申告書に別表16(7)(少額減価償却資産の取得価額に関する明細書)を添付すること
  • 取得した資産を事業の用に供していること

手続き面では、決算書で対象資産を損金経理したうえで、申告時に明細書を添付する点を忘れないでください。明細の添付がないと特例が認められないため、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計で資産登録する際に「少額減価償却資産」の区分を正しく選んでおくと、申告まで一気通貫で処理できます。

年間300万円の上限に注意

本特例には、1事業年度あたり合計300万円という上限があります。改正後の基準(40万円未満)で計算すると、おおむね年7〜8台程度の資産が枠の目安です。事業年度が12か月に満たない場合は、月数按分で上限が縮小される点にも注意してください。

取得価額が40万円以上になる設備は本特例の対象外ですが、中小企業経営強化税制なら即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除を選べます。要件と手続きの重さは【2026年】中小企業経営強化税制とは?即時償却と10%税額控除の選び方で整理していますので、40万円を境に打ち手を切り替えてください。

よくある失敗と実務上の注意点

リーパル会計事務所の決算対応の現場で、特例の使い方を誤って効果が削られるケースは少なくありません。代表的な落とし穴を挙げます。

第一に、取得価額の判定単位です。1組・1セットで機能する資産は、構成品ごとではなく一体として判定します。応接セットや書棚など、セットで初めて用をなすものは合計額で40万円未満かを見ます。

第二に、消費税の経理方式による判定差です。税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額で取得価額を判定します。免税事業者や税込経理を採用している事業者は税込で判定するため、同じ商品でも基準を超えてしまうことがあります。

第三に、貸付けの用に供した資産は対象外という点です。令和4年4月以後、節税目的で資産を取得して他者に貸し付ける手法を防ぐため、主要な事業として行う貸付けを除き、貸付資産は特例の対象から除かれています。

そして第四に、取得日のタイミングです。40万円未満への引き上げは令和8年4月1日以後に取得・事業供用した資産に適用されます(2026年時点で施行済み)。一方、令和8年3月31日までに取得した資産は旧基準の30万円未満で判定するため、決算では資産ごとに取得日を確認し、適用する基準額を取り違えないことが重要です。

法人税の節税策は、本特例のような単発の手法を積み重ねるだけでは効果が頭打ちになります。役員報酬・共済・設備投資の税制と組み合わせ、決算3か月前から設計することが重要です。全体像は中小企業が今すぐ使える法人税の節税対策15選で体系的に解説しています。また、より高額な設備投資を予定している場合は、特別償却・税額控除を選べる中小企業投資促進税制との比較検討もおすすめです。

少額減価償却資産の特例は、要件さえ満たせば準備コストが低く、即効性の高い節税策です。一方で、償却資産税や取得タイミングまで含めた損得は、保有資産や利益水準によって変わります。「この備品は今期に落とすべきか、来期に回すべきか」と迷ったら、リーパル会計事務所の税理士にご相談ください。直近の試算表をもとに、当期の課税所得シミュレーションまで一気通貫でお見せします。決算を迎えてからでは選べる打ち手が半減するため、決算前のご相談を活用ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 中古資産やソフトウェアも特例の対象になりますか?

A. なります。本特例は新品・中古を問わず、有形の減価償却資産(工具・器具備品・機械装置など)に加え、ソフトウェアや特許権などの無形固定資産も対象です。中古資産も取得価額が基準額未満であれば即時償却できます。

Q2. 30万円未満と40万円未満、どちらの基準が使えますか?

A. 資産を取得して事業の用に供した日で判定します。令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満が基準です。年度をまたいで購入する場合は取得日の管理が重要になります。

Q3. 個人事業主でも使えますか?

A. 使えます。青色申告をしている個人事業主も中小企業者等に含まれ、本特例の対象です。確定申告書に明細を記載・添付して適用を受けます。クラウド会計の資産登録で区分を選んでおくと申告がスムーズです。

Q4. 一括償却資産(20万円未満)とどちらを選ぶべきですか?

A. 当期に全額を損金にしたいなら本特例、償却資産税を避けたいなら一括償却資産が有利です。本特例で処理した資産は償却資産税の課税対象に含まれる一方、一括償却資産は対象外です。利益水準と保有資産の総額を踏まえて選択してください。

Q5. 年間300万円の枠を超えた分はどうなりますか?

A. 超えた分は本特例を使えず、通常の減価償却または一括償却資産として処理します。枠は事業年度ごとに300万円で、複数の高額資産を同じ期に集中させると超過しやすくなります。取得時期を翌期に分散させるなどの調整も検討の余地があります。

参考資料

少額減価償却資産の特例は、形式要件と取得タイミングを正しく押さえれば、中小企業・個人事業主がすぐに実践できる節税策です。リーパル会計事務所では、これまで1,100社以上の顧問を担当する中で、年間数百万円規模の節税につながった実例を数多く積み上げてきました。元国税局OBが在籍する「リーパル税務調査119番」と連動して、形式要件のチェックと書類整備まで一括で支援できるのが強みです。御社の決算月・売上規模に合わせて、今期に落とすべき資産と来期に回すべき資産を切り分けてご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、中小企業の法人節税・税務調査対応を専門とする。

最終更新日: 2026年6月9日

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