会計・税務に関する
お役立ち情報ブログ

法人の税務調査はどのくらいの頻度で来る?対象になりやすい企業の特徴と対策

税務

「前回の調査からもう8年経つ。そろそろ来るのか」「同業他社が調査を受けたと聞いた。自社は大丈夫か」——税務調査の頻度については根拠のない情報が多く、適切な備えができていない法人は多くいます。実態として、調査が来るかどうかは「経過年数」よりも「申告内容のリスク度合い」に依存します。

顧問税理士をお探しの方へ

会社の規模や記帳の状況をお聞きして、顧問料をお見積りします。

顧問契約のお見積り(無料)はこちら →

全国オンライン対応です。

「10年に1度」は都市伝説——法人の税務調査頻度の実態と選ばれる理由

国税庁データから見る調査の現状

国税庁が公表している「法人税等の調査事績」によると、毎年実施される法人の実地調査件数は約6〜7万件程度(一般的な実地調査ベース)で推移しています。国内の法人数が約300万社以上であることを考えると、任意の1法人が特定の年に調査を受ける確率は非常に低いといえます。

しかし、これは平均値であり、すべての法人が均等に調査されるわけではありません。

中小法人の調査頻度:5〜10年に1回が目安

実務的な感覚として、中小企業(資本金1億円未満)が税務調査を受ける頻度は5〜10年に1回程度というのが一般的な目安です。ただし、これはあくまでも目安であり、以下の要因によって頻度は大きく変わります。

調査頻度に影響する要因 頻度が高まる方向 頻度が下がる方向
業種 現金商売・建設・飲食 請求書決済中心のB2B取引
申告内容の異常値 利益率が同業他社と大きく乖離 申告内容が安定している
修正申告歴 過去に繰り返し修正申告 是認が続いている
売上規模 急激な売上拡大 安定した成長
経過年数 前回調査から10年以上経過 最近調査を受けた

大企業は別ルール:毎年来るケースも

資本金が一定規模以上の大企業(特に連結納税グループ等)については、国税局の大企業専担部門が継続的に調査を行うため、毎年または2〜3年に1回という頻度になることがあります。中小企業とはまったく異なる状況です。

どんな申告書が税務署に注目されるか——調査対象になりやすい企業の7つの特徴

特徴1:同業他社と比べた利益率の乖離

調査官は、同業他社の財務データと比較して、利益率や主要な費用科目の構成比が大きく外れている法人に注目します。例えば、同業種の平均経常利益率が5〜8%であるのに対し、特定の法人の利益率が1%以下というケースは「なぜ利益が出ていないのか」という観点で調査対象になりやすいです。

特徴2:現金取引が多い業種

現金で売上を受け取る業種(飲食店・美容室・整骨院・工事業など)は、外部からの売上の把握が難しいため、調査官の優先度が高くなります。現金売上の一部が申告から漏れているケースが多いためです。

特徴3:急激な売上・利益の変動

前期比で売上が急増したにもかかわらず利益が減少している、または逆に売上は横ばいなのに利益が急増しているという変動は、調査官のアンテナに引っかかります。変動の理由が明確に説明できるよう準備しておくことが重要です。

特徴4:高額の交際費・外注費計上

交際費や外注費が売上規模に比して大きい法人は、架空計上の疑いを持たれやすいです。これらの科目は調査官の重点確認項目であり、実態と証拠書類の整備が求められます。

特徴5:無申告・申告遅延の履歴

過去に申告期限を守れなかった、または複数回の修正申告歴がある法人は、調査対象として優先度が高くなります。

特徴6:取引先の調査からの波及(反面調査)

取引先企業が税務調査を受けた際に、その取引先との取引内容を確認するために反面調査が入ることがあります。自社が申告を正確に行っていても、取引先の調査に巻き込まれるケースがあります。

リーパル会計事務所には元国税局OBが在籍しており、「リーパル税務調査119番」として事前通知から修正申告までを支援しています。税務調査は「受けてから慌てる」のではなく、「日常から逆算して備える」ものです。専門家への相談は費用ではなく、追徴課税・加算税というより大きなコストを未然に防ぐ投資となります。

顧問税理士をお探しの方(法人・個人事業主)は顧問契約のお見積りを依頼する →

調査リスクの高い申告書を作らないために——税務調査を遠ざける具体的な対策

対策1:申告内容の整合性を常に確認する

決算・申告の際には、以下の数値が同業他社と大きく乖離していないかを確認してください。

  • 売上総利益率(粗利率)
  • 交際費・広告費の売上に対する比率
  • 人件費の売上に対する比率
  • 外注費の売上に対する比率

乖離がある場合は、その理由を合理的に説明できる根拠(取引の性質・業種特性等)を整備しておきます。

対策2:帳簿・証拠書類の継続的な整備

調査が来た際に「いつでも見せられる状態」にあることが、最大の調査対策です。以下のルーティンを実践してください。

ルーティン 頻度 内容
領収書の整理 月次 科目別・日付順に整理し、保存箱に格納
交際費明細の作成 月次 相手方・目的・金額の記録
銀行口座の照合 月次 帳簿残高と通帳残高の一致確認
売上の期ずれチェック 決算時 前後の月の売上計上漏れがないか確認
議事録の作成・保管 都度 役員報酬変更・重要決議の都度作成

対策3:クラウド会計ソフトで記録の透明性を高める

freeeやMFクラウドなどのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座・クレジットカードの明細が自動取込され、帳簿の改ざん履歴が残ります。電子帳簿保存法への対応も容易になり、調査官に「適切に管理されている法人」という印象を与えます。

リーパル会計事務所は、freee・MFクラウド両方の認定アドバイザーとして、クラウド会計の導入から活用まで支援しています。

対策4:月次試算表での定期的な財務確認

顧問税理士と月次で試算表を確認する習慣をつけることで、申告の誤りを早期発見できます。利益率の異常値にも気づきやすくなり、調査リスクの高い状態を早めに修正できます。

調査が来ても怖くない体制をつくる

「いつでも調査を受けられる状態」が理想

元国税局OBの経験から言えば、「調査が来ても問題ない会社」と「来ると困る会社」の差は、申告の正確性よりも日常の経理管理の質で決まることが多いです。

帳簿が整理されていて、証拠書類がすぐに出てきて、取引の経緯を経営者が明確に説明できる法人は、調査官が確認したいことを短時間で確認できるため、調査は短く終わります。

逆に、「申告は合っているはずだが帳簿が整理されていない」という状態は、確認に時間がかかり、調査が長引く原因になります。

定期的な税理士との打ち合わせが保険になる

年1〜2回、顧問税理士と「税務調査対策」を意識した打ち合わせを行うことを推奨します。直近の申告内容のリスク確認、証拠書類の整備状況の点検、経費科目の適切性の確認を定期的に行うことで、調査リスクを常に低い水準に維持できます。

「事前通知が来てしまった」「修正申告に応じるべきか分からない」など、調査が動き出してからの判断は時間との勝負です。リーパル会計事務所では元国税局OB協働の調査立会・スポット支援も承っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 設立間もない会社にも税務調査は来ますか?

設立直後の会社への調査頻度は低いですが、急激な売上拡大や無申告があれば対象になります。設立3〜5年目から調査対象になるケースが一般的です。

Q2. 赤字法人でも税務調査は来ますか?

来ます。赤字法人でも複数年連続で赤字が続いている場合や、赤字の理由が不自然な場合は調査対象になります。赤字申告でも法人の実態を正確に把握するための調査が行われることがあります。

Q3. 税務調査が来たという情報は他社に知られますか?

税務調査は守秘義務があるため、税務署が他社に調査の事実を漏らすことはありません。

Q4. 税理士がいれば調査の頻度が下がりますか?

税理士が関与することで申告の精度が高まり、結果的に是認(問題なし)で終わる確率が高まります。また、調査が来た場合も短時間で終わる傾向があります。

Q5. 前回の調査で是認でしたが、次回はいつ頃来ますか?

是認後の次回調査は5〜10年程度が目安ですが、事業内容・申告内容の変化次第で早まることもあります。引き続き適切な申告と帳簿管理を維持することが重要です。

まとめ:「来ても大丈夫な状態」を維持することが最大の対策

法人の税務調査は5〜10年に1回程度が目安ですが、対象になりやすい特徴に当てはまる法人は頻度が高まります。最大の対策は「いつ調査が来ても問題ない経理管理」を日常的に維持することです。

特に重要な3点

  1. 帳簿・証拠書類の継続的な整備(月次ルーティン化)
  2. 申告内容が同業他社と大きく乖離していないか定期的に確認する
  3. 顧問税理士との月次打ち合わせで早期発見・早期修正を実践する

「調査が来てから動く」法人と「調査を想定して常に準備している」法人では、調査が入った際の負担がまったく異なります。税務調査リスクの管理は、年1〜2回の税理士との棚卸しを習慣にするだけで大幅に改善できます。

リーパル会計事務所では、月次顧問として申告リスクの定期診断を行い、「いつでも調査を受けられる体制」を法人とともに構築しています。

申告書の品質管理を定期的に行ってしまえば、「調査が来たらどうしよう」という不安を抱えたまま毎期申告し続けない理由はほとんどありません。判断に迷う場合はリーパル会計事務所までご相談ください。

関連記事

参考資料

監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、税務調査対応・修正申告・元国税局OB協働を専門とする。

最終更新日: 2026年5月2日

新着情報NEWS

法人成りしたときの会計ソフトの切り替え|個人の事業所から法人用へ移す手順

IT・クラウド会計

会社の解散確定申告から清算確定申告までの流れ|たたむときの税務手続き

決算

社会保険の手続きを外注するときの分担|入社・退職・算定基礎・月額変更

法人向けサービス

freee・マネーフォワードで年末調整を行う手順【令和8年分】改正対応の確認ポイント

IT・クラウド会計

顧問税理士が廃業・引退するとき|引継ぎ先の探し方と会社側の手続き

経営相談

相続した賃貸物件の確定申告|遺産分割前の家賃の分け方と、亡くなった方の準確定申告

税務

賃貸物件を子に移す方法|贈与・売買・相続時精算課税と、移した後の家賃

税務

家賃収入の申告漏れに気づいたとき|期限後申告・修正申告と、さかのぼる年数

税務

夫婦・親子の共有名義の賃貸物件|持分での按分と経費の負担

税務