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期の途中で税理士を変えるとき|期首・期中・決算直前・申告直後の違い

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期の途中で税理士を変えるとき|期首・期中・決算直前・申告直後の違い

「今の税理士を変えたいけれど、決算が終わるまで待つべきか」。顧問税理士の引退が決まり、期の途中で引継ぎ先を探している社長や個人事業主の方もいるでしょう。期中の変更も選択肢ですが、時期を決める前に、記帳・決算・申告・納付を誰がどこまで担当するかを固めることが大切です。この記事では、期首・期中・決算直前・申告直後の違いと、自社で確かめる点を整理します。

この記事は「税理士の乗り換えの連載|変えるか決めるところから、変えた後の1年目まで」の第21回です。

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変更時期は「残っている仕事」で比べる

期首は事業年度の始まり、期中はその年度の途中を指します。ただし、暦の区切りだけで変更日を決めると、作業の境目が曖昧になります。前期の決算が終わっているか、当期の帳簿がどこまで確認されているかを先に見ましょう。

次の表は、変更計画を立てるための実務上の比較です。法令で定められた変更時期や、どの会社にも当てはまる優劣を示すものではありません。

変更の時期 進めやすい点 主な注意点 先に決める分担
期首 新しい年度の運用をそろえやすい 前期の決算・申告が残っている場合がある 前期の申告担当と当期の開始残高の確認担当
期中 次の決算までに仕事の進め方を調整できる 切替前の帳簿や未処理事項の確認が必要 記帳の締切月と当期全体の決算・申告担当
決算直前 当期の決算から新しい担当に依頼する計画を検討できる 資料確認と決算準備が重なり、余裕が少ない 受任の可否、資料の不足分、申告までの工程
申告直後 提出済みの申告書と決算資料を基に整理できる 納付や当期の記帳が残っている場合がある 前期業務の完了確認と当期の未処理分の担当

急ぐ事情がなければ、資料がそろい、次の担当が確認時間を取れる時期を選びます。廃業・引退などで待てない場合は、理想の時期を探すことより、直近の申告や納付を担当する人の確保を優先しましょう。

契約の終了日と、新しい税理士の業務開始日は分けて確認します。解約予告や業務範囲の整理は、【2026年版】税理士の顧問契約書で確認すべき9項目|業務範囲・決算料・解約予告のトラブル回避チェックリストで扱っています。

期首・期中は、帳簿の区切りと決算の担当をそろえる

期首は、前期の決算・申告との重なりに注意する

期首に新しい税理士へ切り替えると、資料提出や面談の進め方を年度の初めからそろえやすくなります。ただし、「期首から変更」と伝えるだけでは、前期の決算を誰が仕上げるかは決まりません。

前の税理士に前期の決算・申告を依頼し、新しい税理士に当期の記帳確認を依頼する分担も考えられます。その場合は、前期決算の確定後に、当期の開始残高を誰が更新するかまで決めておきます。開始残高とは、新しい年度へ引き継ぐ預金や借入金などの残高です。

前期の決算で数字が変わったら、新しい担当へ確定した資料を渡します。途中版と確定版が混ざらないよう、資料に作成日と状態を添えると整理しやすくなります。両者に確認が必要な事項は、自社でも一覧を持ち、回答待ちのまま残さないようにします。

引継ぎでは、残高だけでなく、その内訳も見られるようにしましょう。売掛金なら取引先ごとの未入金、借入金なら借入先ごとの返済予定などです。前期末と当期首の数字がつながっているかを確認する時間を、変更計画に組み込みます。

期中は、最後に確認する帳簿の月を決める

期中の変更では、「いつ契約を終えるか」と「何月分まで帳簿を確認してもらうか」をそろえて伝えます。契約終了日が決まっていても、最後に仕上げる帳簿の範囲が曖昧だと、入力漏れや作業の重複に気づきにくくなります。

会計ソフトに数字が入っていることと、内容の確認が終わっていることは別です。残高試算表という、勘定科目ごとの残高や損益をまとめた表を受け取り、どの月まで確認済みかを聞きます。未処理の領収書や、取引内容を確認中の入出金も引継ぎの対象です。

次は説明のための架空の例です。ある法人は、切替月の前月分までを前の税理士が確認し、切替月以降の確認と当期の決算・申告を新しい税理士に依頼する計画を立てました。しかし、前月分の帳簿には内容未確認の支出が残っています。

この場合、未確認事項を一覧にし、誰が自社へ質問し、誰が帳簿を直すかを決めます。前の期間を新しい税理士が確認する範囲と、その作業が契約に含まれるかも明文化します。帳簿の担当期間を分けても、当期の決算をまとめるための情報はつながるようにしておきます。

税理士と会計ソフトの変更日を分けて考える

税理士の変更と同時に会計ソフトも変える計画なら、データ移行の担当と確認時間を追加します。帳簿の区切り、データの移行日、新しい運用の開始日を並べると、作業が集中する時期が見えます。同時変更が難しければ、段階的に進める案も検討できます。

ソフトを変える時期と残高の合わせ方は、会計ソフトの乗り換えタイミング|期首・期中・決算後の違いと残高の合わせ方に整理しています。ここでは、税理士の受任日だけでデータ移行日まで決めないことを押さえましょう。

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決算直前に変えるときは、申告までの工程を先に確保する

決算直前は、引継ぎ資料の確認と決算の準備を並行して進めることになります。新しい税理士には、決算月だけでなく、帳簿の進み具合、資料の不足、当期にあった大きな取引を伝えます。その情報を基に、当期の申告まで受任できるかを確認しましょう。

2026年10月時点で、法人税の確定申告・納付期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。法人の消費税・地方消費税の確定申告・納付期限も、原則として課税期間の終了の日の翌日から2か月以内です。期限の基本は、国税庁の「申告と納税」と、消費税の「申告と納税」で確認できます。

自社については、申告期限延長の適用状況なども含め、税目ごとの申告期限と納付期限を個別に確認します。税理士を変更する予定だけを理由に、期限が延びる前提で工程を組まないようにしましょう。

新しい担当が当期の申告を受ける場合は、資料の受領日、不明点への回答日、申告内容を社長が確認する日を決めます。受任が難しい場合は、前の税理士が当期の申告まで担当できるかを確認します。引退などでそれも難しければ、その事情を引継ぎ候補へ早い段階で伝えます。

契約先の決定を待つ間も、自社で資料の整理は進められます。預金の動き、未入金・未払の内訳、棚卸の資料など、決算に向けて必要なものを集めます。不足資料と入手予定日を示せると、受任する側も作業量を判断しやすくなります。

個人事業主も、年が明けてから依頼先を探す場合は、帳簿の状況を先に伝えます。2026年10月時点の国税庁の案内では、2026年分の所得税・復興特別所得税の確定申告・納付期限は原則2027年3月15日、個人事業者の消費税・地方消費税は原則2027年3月31日です。後者は申告義務がある場合で、課税期間短縮などの特例は別途確認します。振替納税を利用している場合は、その設定と口座引落しの状況も確認します。

申告直後に変えるときは、提出・納付・当期の進捗を見る

申告直後は、前期の申告書や決算資料を基に引継ぎを進める計画が立てやすい時期です。ただし、「申告が終わった」という連絡だけで、前期の仕事がすべて完了したと判断しないようにします。

自社でも、提出した申告書の控えと電子申告の受信通知を確認します。そのうえで、納付すべき税額について、納付方法の案内を受けたか、納付が済んだかを別に確かめます。国税庁「申告と納税」では、申告で確定した税額を納税者が自ら納付する仕組みが説明されています。申告と納付を別々の確認項目にすることが大切です。

前期の申告を進めている間に、当期の取引も積み上がります。新しい税理士には、前期の確定した資料とともに、当期の帳簿がどこまで進んでいるかを伝えます。前期の確認事項を追う人と、当期の記帳を進める人を決め、片方だけが止まらないようにしましょう。

申告後に税務署から照会があった場合や、過去の申告について確認が必要になった場合の窓口も決めます。過去の申告内容を新しい税理士が確認する範囲は、当期の顧問業務に含まれるかを契約で整理します。変更手続き全体の流れは、税理士の変更手続きと注意点|トラブルなく変更する方法を解説で確認できます。

変更日を決める前のチェックリスト

次の項目を自社で確認し、未確定のものには担当者と回答予定日を付けます。変更日は、項目を埋めながら調整しましょう。

  • 現在の契約で、終了の申し出方と終了日を確認したか。
  • 前の税理士が最後に確認する帳簿の月と、未処理事項を把握したか。
  • 当期の決算・申告を担当する税理士が、受任する範囲を了承しているか。
  • 前期の決算が未確定なら、確定資料を渡す人と開始残高を更新する人を決めたか。
  • 税目ごとの申告・納付期限と、自社で納付を実行・確認する人を整理したか。
  • 引継ぎ資料の受渡日と、不足資料への対応を決めたか。
  • 税務代理の対象期間と、通知を受け取る担当を確認したか。
  • 過去の申告への照会や税務調査について、連絡窓口を決めたか。

税務代理と通知の受領範囲も確認する

税務代理とは、申告などの税務手続きを税理士が本人に代わって行うことです。税務代理を行う税理士は、その権限を示す税務代理権限証書を税務官公署に提出します。対象となる税目と年分などを新しい税理士と確認します。手続きは国税庁「税務代理の権限の明示」に案内されています。

前の税理士については、委任終了の通知をどう進めるかも確認します。国税庁の記載要領では、税務代理の委任が終了した旨の通知書は、その委任を受けていた税理士などが提出するとされています。契約の終了連絡と、税務官公署への手続きは分けて管理しましょう。

また、e-Taxで対象の電子通知を税理士が代わりに受け取るには、税務代理権限証書への必要事項の入力が求められます。税理士の利用者識別番号、税目・年分、受領を希望する通知の種類が確認対象です。通知の引継ぎも、変更時の作業に含めます。

まとめ

税理士を変える時期は、期首か期中かだけでなく、帳簿の進捗と申告までの残り時間で判断します。期首は前期決算との重なり、期中は帳簿の境界、決算直前は受任と工程、申告直後は納付と当期の未処理分を確認しましょう。変更日を決める前に、担当範囲と資料の受渡日を書面やメールで残すことが大切です。税務代理と通知の受領範囲まで整えると、変更後に誰へ確認するかも明確になります。

よくある質問

Q. 期の途中で変えると、その期の申告は誰に頼めばよいですか?

変更月だけで自動的に決まるものとして扱わず、新旧それぞれの受任範囲を確認します。新しい税理士に当期の申告を依頼するなら、切替前の帳簿を確認する範囲と、資料の受渡日まで合意しておきましょう。記帳の担当期間と、当期の決算・申告の担当を分けて整理すると伝わりやすくなります。

Q. 決算直前なら、変更を待つほうがよいですか?

新しい税理士が当期の申告を受任できるかと、資料確認の時間を取れるかで判断します。前の税理士が当期の申告まで担当する案もあります。廃業・引退などで継続が難しい場合は、その事情と帳簿の進捗を引継ぎ候補へ伝え、期限までの担当を先に確保しましょう。

Q. 前の税理士が提出した申告の税務調査も、新しい税理士に任せられますか?

過去の期間の対応も依頼するなら、新しい税理士の受任範囲を確認します。国税庁の記載要領では、調査の際の過去の年分に関する税務代理や、調査の通知を税理士に行うことへの同意を記載する欄が設けられています。依頼したい期間と内容を伝え、提出する税務代理権限証書への反映を確認しましょう。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月19日

参考資料

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