「請求書をエクセルで作っているが、毎月の発行と入金確認に時間がかかる」「インボイス制度や電子帳簿保存法に対応した請求書を、ミスなく出せているか不安だ」——そんな経理担当者・経営者の方に向けて、本記事ではマネーフォワード クラウド請求書(=請求書・見積書・納品書をオンラインで作成・送付・管理できるクラウドサービス)の使い方を、実務の流れに沿って整理します。単なる機能紹介ではなく、作成から送付、入金消込、会計連携までを一気通貫でどう回すかという視点でまとめました。
マネーフォワード クラウド請求書とは——「作って終わり」ではなく入金まで管理する
見積から請求・入金までを1つの画面でつなぐ
マネーフォワード クラウド請求書は、見積書・納品書・請求書・領収書をオンラインで作成し、PDF送付や郵送代行、入金状況の管理までを一元化できるサービスです。最大の特徴は、書類を「作成して終わり」にせず、見積書をワンクリックで請求書に変換したり、入金消込(=請求額と入金額を突き合わせて消し込む作業)まで同じ画面で完結できる点にあります。
エクセルや紙の請求書では、発行・送付・入金確認・会計入力がそれぞれ別作業になりがちです。リーパル会計事務所では、この分断こそが経理の残業と転記ミスの温床だと考えています。請求業務をクラウドに集約することで、転記の手間と二重入力をまとめて削減できます。
マネーフォワード クラウド会計との違いと連携
混同されやすいのですが、マネーフォワード クラウド請求書(請求書発行)とマネーフォワード クラウド会計(帳簿・決算)は別サービスです。ただし同じマネーフォワード IDで連携でき、請求書を発行すると売上の仕訳が会計側に自動で連係されます。請求と会計を別々に運用すると入力が二度手間になるため、両方を使うなら連携設定は最初に済ませておくことをお勧めします。
| サービス | 主な役割 | 連携のメリット |
|---|---|---|
| クラウド請求書 | 見積・請求・入金管理 | 発行と同時に売上計上の元データを作成 |
| クラウド会計 | 帳簿付け・決算・申告 | 請求データを仕訳として自動取り込み |
マネーフォワード クラウド請求書の基本的な使い方——5ステップ
ステップ1:取引先・自社情報を登録する
最初に自社の事業者情報(登録番号・住所・振込先口座など)と、取引先を登録します。インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応するため、自社の適格請求書発行事業者の登録番号(Tから始まる13桁)を設定欄に入力しておくと、発行する請求書に自動で印字されます。
ステップ2:見積書を作成し、請求書へ変換する
商品・サービスを品目として登録しておくと、見積書の作成時に呼び出すだけで明細が入力できます。受注が決まったら、その見積書を「請求書に変換」する操作で、同じ内容の請求書がワンクリックで生成されます。再入力が不要なため、金額や品目の転記ミスが起きません。
ステップ3:請求書を送付する(メール・郵送代行)
完成した請求書は、PDFをメールで送る、Web上で取引先に共有する、郵送代行(封入・投函を代行)で紙で送る、の3通りから選べます。郵送代行を使えば、印刷・封入・切手貼り・投函の手間がなくなります。
ステップ4:入金状況を管理し、消込を行う
請求書ごとに「未入金・入金済」のステータスを管理できます。会計側で銀行口座を連携していれば、入金データと請求額を突き合わせて消込を進められます。未入金の請求書を一覧で抽出できるため、督促の漏れを防げます。
ステップ5:定期請求を自動化する
毎月同額を請求する顧問料・サブスクリプション・保守料などは、定期請求の設定で自動発行が可能です。発行日・送付方法をあらかじめ決めておけば、毎月手作業で同じ請求書を作る必要がなくなります。リーパル会計事務所でも、定期請求の自動化は経理工数を最も削減しやすいポイントとしてご案内しています。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応はどうなるか
適格請求書の記載要件を自動で満たす
インボイス制度では、適格請求書に「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」などの記載が求められます。マネーフォワード クラウド請求書では、登録番号を登録し、品目ごとに税率(10%・軽減8%)を設定すれば、税率ごとの区分記載が自動で行われます。手計算による消費税額の端数処理ミスを避けられる点は、実務上の大きな安心材料です。
適格請求書の記載事項の詳細は、国税庁のインボイス制度の概要で確認できます。制度の判断に迷う場合は、こちらの公式情報とあわせてご検討ください。
受領した請求書の電子保存にも対応する
電子帳簿保存法では、メール等で受け取った請求書(電子取引データ)を、改ざん防止措置を講じたうえで電子のまま保存することが求められます。マネーフォワード クラウド請求書で発行・受領した書類は、要件を満たす形で電子保存できるため、紙での出力保存に頼る必要がありません。制度全体の整理は電子帳簿保存法の対応方法を完全解説もあわせてご覧ください。
料金プランと、どんな事業者に向いているか
個人・法人それぞれのプラン体系
マネーフォワード クラウド請求書は、個人向け・法人向けでプランが分かれており、会計・給与・経費精算などをまとめた「クラウドBox」「会計Plus」等のパッケージにも請求機能が含まれます。請求書のみを単体で使う形と、バックオフィス全体をマネーフォワードで揃える形のどちらを選ぶかで、最適なプランは変わります。
| 利用形態 | 向いている事業者 | 検討ポイント |
|---|---|---|
| 請求書を単体で利用 | 請求業務だけ効率化したい小規模事業者 | 会計は別ソフトでも可。連携の有無を確認 |
| 会計とセットで利用 | 経理全体を一元化したい法人 | 請求から仕訳まで自動化でき工数削減効果が大きい |
| バックオフィス全体を統合 | 給与・経費も含めて整えたい成長企業 | 部門・複数担当者での運用に強い |
最新の料金は改定されることがあるため、契約前にマネーフォワード公式サイトの料金ページで確認することをお勧めします。プランの選定に迷う場合は、マネーフォワードクラウドの法人プラン料金比較も判断材料になります。
freeeとの違いも踏まえて選ぶ
請求書機能はfreeeにも備わっています。会計ソフトごと選び直すなら、設計思想の違いを理解しておくと失敗が減ります。両者の比較はfreeeとマネーフォワードクラウドを徹底比較で詳しく整理しています。
リーパル会計事務所では、freee・マネーフォワードクラウドの双方に対応した認定アドバイザーとして、請求業務だけを切り出して効率化したいのか、経理全体を再設計したいのかを伺ったうえで、最適な構成をご提案しています。
マネーフォワード クラウド請求書を使う際の注意点
連携設定を後回しにすると二重入力が発生する
請求書と会計を別々に運用したまま放置すると、せっかくの自動仕訳が活かせず、結局は手入力が残ります。導入初期に連携設定と勘定科目の対応づけを済ませておくことが、効果を最大化する近道です。
品目・税区分の初期設定で精度が決まる
品目ごとの税率や勘定科目を正しく初期設定しておかないと、自動連係された仕訳の修正に手間がかかります。リーパル会計事務所では、導入初期の品目設計と税区分の整備を重視しています。ここを整えておくと、月次の確認作業が大幅に軽くなります。
自社の業務に当てはめにくい場合は、税理士に直接相談するのが最短です。設定の初期段階でつまずくと、運用が定着しないまま放置されてしまうことが少なくありません。
よくある質問(FAQ)
Q. マネーフォワード クラウド請求書だけを単体で使えますか。
A. 単体での利用も可能です。ただし、会計を別ソフトで運用している場合は、売上仕訳の取り込みが手作業になります。経理全体の効率化を狙うなら、会計とセットでの利用が転記の手間を減らせます。
Q. インボイス制度に対応した請求書は自動で作れますか。
A. 適格請求書発行事業者の登録番号を設定し、品目ごとに税率を指定すれば、登録番号・税率ごとの区分記載・消費税額が自動で記載されます。手計算の端数処理ミスを避けられる点が実務上のメリットです。
Q. 毎月同じ内容の請求書を自動で発行できますか。
A. 定期請求の設定により、顧問料や保守料のように毎月同額の請求を自動発行できます。発行日と送付方法を決めておけば、手作業での再発行は不要です。
Q. 紙でしか受け取らない取引先にも対応できますか。
A. 郵送代行を利用すれば、印刷・封入・投函を代行してもらえます。メール送付に対応していない取引先にも、自社で印刷せずに紙の請求書を届けられます。
Q. 入金の消し込みはどのように行いますか。
A. 会計側で銀行口座を連携しておくと、入金データと請求額を突き合わせて消込を進められます。未入金の請求書を一覧で確認できるため、督促漏れの防止にもつながります。
監修
本記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。マネーフォワード クラウド請求書は、設定の初期設計と会計連携の有無で効果が大きく変わります。請求業務の効率化からバックオフィス全体の再設計まで、自社に合った進め方を検討したい経営者の方は、リーパル会計事務所までお気軽にご相談ください。
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