5棟10室で、使える控除は変わるのか。この修理は経費か、資産か。中古アパートは何年で償却するのか。資産管理法人をつくるべきか。家賃収入のある方の税金の悩みを、物件ごとの数字を見ながら、当事務所がお聞きします。
お電話でもご相談いただけます:050-1781-4033(9:00〜21:00・年中無休)。このページの税の説明は、2026年10月23日時点の国税庁などの公表資料によります。末尾の「参考資料」をご覧ください。
家賃収入のある方から、確定申告の時期に多く届く質問です。一般的な説明で、個別の事情で結論が変わることがあります。
不動産の貸付けが「事業として行われているか」で、所得の計算が変わります。建物の貸付けは、貸間・アパートなら貸せる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋ならおおむね5棟以上だと、原則として事業として行われているものとして扱われます。目安に届かない場合は、社会通念上事業と呼べる規模かどうかで、実質的に判断されます。
| 項目 | 事業的規模 | それ以外 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 (令和8年分まで) |
最高55万円。正規の簿記で記帳するなど一定の要件を満たし、電子帳簿保存またはe-Taxで申告すると最高65万円。 | 最高10万円 |
| 青色申告特別控除 (令和9年分から) |
正規の簿記で記帳し、e-Taxで申告すると最高65万円。さらに優良な電子帳簿の保存などを満たすと最高75万円。書面で申告すると最高10万円。ただし、簡易な記帳で、前々年分の事業的規模の不動産所得(または事業所得)の収入金額が1,000万円を超える場合は、10万円の控除も受けられません。 | 最高10万円 |
| 家族への給与 | 青色事業専従者給与(青色申告)または事業専従者控除(白色申告)が使える | 使えない |
| 取壊し・除却などの資産損失 | 全額を必要経費にできる | 資産損失を引く前の不動産所得の金額が限度 |
| 家賃が回収できなくなったとき | 回収不能になった年の必要経費にする | 収入に計上した年にさかのぼって、所得の計算をやり直す |
青色申告そのものは、事業的規模でなくてもできます。青色申告にするには「青色申告承認申請書」を、その年の3月15日までに出します。青色事業専従者給与には、別に「届出書」の提出と、働いた実態、支払う金額が妥当であることなどの要件があります。
修繕は、使える期間を延ばしたり価値を高めたりする部分は「資本的支出」とされ、一度に経費にはなりません。修繕費か資本的支出かは、「修繕」「改良」という名目ではなく、実質で判定します。
① 一つの修理・改良が20万円未満
② おおむね3年以内の周期で行う修理・改良
③ 資本的支出か修繕費か明らかでない金額が、60万円未満、または前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下
①〜③のどれかに当てはまる支出は、修繕費として所得金額を計算して確定申告をすれば、その年の必要経費にできます。避難階段の取付けのように物理的に付け加えた部分や、用途変更のための改装は、原則として資本的支出です。資本的支出は減価償却で、何年かに分けて必要経費にします。
法定耐用年数をすべて経過:法定耐用年数 × 20%
一部を経過:(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
1年未満の端数は切り捨て、2年未満なら2年です。例:木造の住宅用(法定耐用年数22年)で築10年なら、12年+2年=14年。使用可能期間を見積もれる場合は、その年数によることもできます。使う前に支出した資本的支出が取得価額の50%を超えると、簡便法は使えません。平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、定額法だけです。土地は減価償却しないので、購入価格を土地と建物に分けます。
法人化が得かどうかは、これだけでは決まりません。次の項目を、同じ前提で並べて比べます。
個人事業のままの場合と会社をつくった場合の、税金・社会保険料・当事務所の料金を同じ前提で並べる法人成り診断もあります(どちらがよいかの判定はしません)。
個人の大家さんと、資産管理法人とで、お手伝いする内容が違います。
銀行やクレジットカードの明細などから、AI記帳で仕訳を作り、担当者が確認します。毎月の試算表をお出しする契約では、下の表の数字を物件ごとに添えてお届けします。MF・freeeのクラウド会計に対応しています。
物件ごとに分けて記帳し、毎月の試算表に添える数字です。帳簿の利益と、手元に残る現金は別のものなので、両方を見ます。
| 数字の名前 | 何がわかるか | どう使うか |
|---|---|---|
| 物件ごとの収支 | 家賃収入から、その物件の管理費・修繕費・固定資産税・借入の利息・減価償却費などを引いた額。 | 利益を出している物件と、足を引っ張っている物件が分かります。売る・直す・家賃を見直す、の判断に使います。 |
| 返済比率 | 年間の返済額(元金+利息)÷ 年間の家賃収入。 | 高いほど、空室や修繕が重なったときに資金が詰まりやすくなります。借り換えや繰り上げ返済を考える材料です。 |
| 空室率 | 空室の戸数 ÷ 全戸数。空室で入らなかった家賃の額も合わせて見ます。 | 空室が長引いている物件が分かります。募集の条件や、管理会社への依頼を見直すきっかけにします。 |
| 税引後の手残り (キャッシュフロー) |
家賃収入 − 現金で払った経費(借入の利息を含む) − 借入の元金の返済 − 改修など資産に計上する支払い(資本的支出) − 税金(所得税・住民税など)。 | 借入の元金の返済は経費にならず、減価償却費は現金が出ない経費です。そのため、帳簿の利益と手元の現金はずれます。毎月・年間でいくら残るかを確かめます。 |
| 修繕の積立の目安 | 次の大きな修繕の見込み額 ÷ 修繕までの残りの月数。 | 毎月いくら別に貯めるかの目安にします。管理組合に払う修繕積立金は、原則として修繕が完了した年の必要経費です(一定の要件を満たせば、支払った年に経費にできます)。口座に貯めるだけでは、経費になりません。 |
| 預り敷金の残高 | 預かっている敷金・保証金のうち、返す必要がある分。 | 手元の現金のうち、使えない分が分かります。返還が不要な分は、収入として申告します。 |
大家さん向けの特別な料金表はありません。料金表の金額をもとに、ご状況を伺ってからお見積りをお伝えします。表示は税別です(個人の確定申告の代行の行だけ税込です)。
| 資産管理法人の顧問・決算申告料(月額) | 月24,000円〜(税別)年商〜1,000万円で、試算表レポートの送付が3か月に一度(決算検討会のみ)の場合です。料金表の注記には、この区分は「月100仕訳までの記帳代行料を含み、クラウド会計の利用料も無料です」とあります。試算表のレポートを毎月受け取る場合(3か月ごとの面談)は、年商〜1,000万円で 月36,000円(税別)です。年商規模と、試算表レポートの送付頻度で金額が決まります。年商が上がると金額も上がります。年商5,000万円を超える場合は、毎月の記帳が前提です。年商別の金額表や、記帳代行・オプションの料金は、料金表をご覧ください。 |
|---|---|
| 個人の大家さんの確定申告の代行(帳簿づけ込み) | 年110,700円〜(税込・年60仕訳まで)年60仕訳(月5件ほど)までは基本の 110,700円だけです。それより多い時は、年間の仕訳数 100ごとに 29,700円を足します(いずれも税込・100に満たない分も1つと数えます)。例:年180仕訳なら 170,100円です。物件の数と取引の量を伺って、ご依頼の前に料金をお伝えします。 |
ご相談の前に、当事務所のブログで詳しく読めます。
税理士には、仕事で知った秘密を守る義務があります(税理士法第38条)。物件の収入や借入、ご家族の事情は、法令に基づく場合を除き、ご本人の同意なく外へお伝えすることはありません。
できます。青色申告ができるのは、不動産所得・事業所得・山林所得のある方で、事業的規模かどうかは問われません。ただし、最高55万円・65万円(令和9年分からは65万円・75万円)の青色申告特別控除と、青色事業専従者給与は、貸付けが事業として行われていること(事業的規模)が前提です。届かない場合の控除は最高10万円です。青色申告にするには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を出します(その年の1月16日以後に新しく始めた場合は、始めた日から2か月以内)。
一つの修理・改良の金額が20万円未満の場合、またはおおむね3年以内の周期で行う修理・改良の場合は、修繕費として確定申告をすれば、その年の必要経費にできます。それ以外で、資本的支出か修繕費か明らかでない金額があるときは、60万円未満、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下なら修繕費にできます。ただし、修繕費か資本的支出かは、名目ではなく実質で判定します。資本的支出は、減価償却で何年かに分けて必要経費にします。
中古の建物は、新築の法定耐用年数ではなく、使用可能期間の見積もり年数、または見積もりが難しい場合の簡便法で決められます。簡便法は、法定耐用年数の全部を経過していれば法定耐用年数の20%、一部を経過していれば「法定耐用年数 − 経過年数 + 経過年数 × 20%」です。1年未満の端数は切り捨て、2年未満なら2年とします。例えば、木造の住宅用(法定耐用年数22年)で築10年なら、12年 + 2年 = 14年です。取得後に使う前に支出した資本的支出が取得価額の50%を超えると、簡便法は使えません。土地は減価償却しないので、購入価格を土地と建物に分ける必要があります。
契約で人の居住用と明らかな住宅の貸付けは、消費税が非課税です(1か月未満の貸付けなどを除きます)。店舗・事務所の賃貸や、駐車場など施設の利用に伴う土地の貸付けは、課税される収入です。課税される収入がある方は、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免税事業者ですが、インボイス発行事業者の登録をすると課税事業者になります。登録をして免税事業者から課税事業者になった個人事業者には、令和8年分まで2割特例(令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了)、令和9年分・令和10年分は3割特例があります(基準期間の課税売上高1,000万円以下などの要件があります)。住宅の家賃だけの方は、課税される売上がないため、登録が要るかは店舗・事務所・駐車場などの収入があるかで考えます。
一概には言えません。個人は所得税(5%〜45%の7段階、住民税などは別)、法人は法人税(法人の区分ごとに決まった税率)と、税の仕組みが違います。収入の額、借入、家族への給与、社会保険料、物件を法人へ移すときの税金や費用(個人が売ると譲渡所得の税金がかかります)、将来の相続を、同じ前提で並べて比べて決めます。当事務所では、個人のままの場合と会社をつくった場合を同じ前提で並べて、ご説明します。
全国オンラインで対応しています。賃貸借契約書、通帳の明細、借入の返済予定表、固定資産税の通知書などは、写真やデータでお送りいただきます。入居者への対応や建物の修繕の手配は、管理会社や施工業者のお仕事です。当事務所は、その結果を帳簿に整理して、税金の計算と申告をお引き受けします。
このページの税の説明は、次の公式資料(国税庁・e-Govなど)で確かめています。2026年10月23日時点です。
この説明は一般的なものです。個別の事情で結論が変わることがありますので、実際のお取扱いはご相談ください。
事業的規模かどうか、この修理は経費か、法人化したほうがいいのか。何から手をつければいいか分からない段階でも大丈夫です。
お電話の受付:9:00〜21:00(年中無休)