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前の税理士の申告に誤りが見つかったとき|修正申告と更正の請求の判断

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前の税理士の申告に誤りが見つかったとき|修正申告と更正の請求の判断
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税理士を替えたあとで、前の税理士が作った申告書に誤りが見つかることがあります。直し方は誤りの方向で決まり、税額が少なすぎた場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求です。更正の請求には、原則として法定申告期限から5年以内という期限があります。

この記事では、国税通則法と国税庁の案内をもとに、2つの手続の分かれ目と期限、計上時期の誤りのように両方が絡む場面、手続の前に前の税理士に確かめること、加算税と延滞税の扱いを整理します。修正申告書の書き方や提出の流れは修正申告のやり方で扱っているので、この記事では「税理士の交代で過去の誤りに気づいた場面」での判断に絞ります。

まず誤りの方向で分ける:修正申告か更正の請求か

国税通則法は、申告した内容を直す手続を、税額が増える場合と減る場合で分けています。

誤りの方向 手続 根拠 いつまでできるか
納付税額が少なすぎた、還付が多すぎた、繰り越す欠損金が多すぎた 修正申告 国税通則法19条 税務署長の更正があるまで
納付税額が多すぎた、還付が少なすぎた、繰り越す欠損金が少なすぎた 更正の請求 国税通則法23条 原則、法定申告期限から5年以内(法人税の欠損金に関するものは10年以内)

修正申告は、先の申告書の税額に不足額があるときなどに、税務署長の更正があるまでは提出できるとされています(国税通則法19条1項)。修正申告で新たに納める税金は、修正申告書を提出した日が納期限です(同法35条2項)。

更正の請求は、申告書の税額の計算が法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりして、納付すべき税額が過大であるときなどにできる手続です(国税通則法23条1項)。国税庁『No.2026 確定申告を間違えたとき』は、更正の請求書が提出されると、税務署がその内容を検討し、納め過ぎた税金があると認めた場合に減額更正をして還付すると説明しています。請求すれば自動的に税額が下がるわけではなく、誤りを示す資料が必要です。

法人税の更正の請求の期限

国税庁『法人税及び地方法人税の確定申告に係る税額等についての更正の請求』は、提出時期を、請求の基になる申告の法定申告期限(申告期限の延長の承認がある場合はその承認申告期限)から5年以内としています。翌期へ繰り越す欠損金額が過少な場合などの法人税の更正の請求は、平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものについて10年以内とされています。

個人事業主の場合

個人事業主の所得税も、税金が少なすぎた場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求で直し、更正の請求ができる期間は原則として法定申告期限から5年以内です(国税庁タックスアンサーNo.2026)。同じページは、確定申告書等作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で、金額を入力して更正の請求書や修正申告書を作成できると案内しています。個人事業者の消費税にも、更正の請求の手続が別に用意されています。

計上時期の誤りは、両方の手続が絡む

売上や経費を計上する期を誤っていた場合は、ある期では税額が多すぎ、別の期では少なすぎる、という形になります。この場合は、少なすぎた期は修正申告、多すぎた期は更正の請求と、期ごとに手続が分かれます。

誤りの例 早く計上した期 本来計上すべき期
翌期の売上を当期に計上していた 税額が多すぎる → 更正の請求 税額が少なすぎる → 修正申告
翌期の経費を当期に計上していた 税額が少なすぎる → 修正申告 税額が多すぎる → 更正の請求

このとき、更正の請求ができる期間を過ぎた期があると、その期の払いすぎは取り戻せず、もう一方の期の修正だけが残ることがあります。どの期まで手続ができるかは、期ごとの法定申告期限から数えて確かめます。

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引継ぎで新しい税理士が確かめる箇所

誤りは、新しい税理士が前期までの決算書・申告書と帳簿を突き合わせる中で見つかることがあります。引継ぎのときには、次の箇所を確かめてもらうと、早い段階で誤りの有無が分かります。

  • 前期末の貸借対照表と、当期の期首の残高が一致しているか
  • 繰り越している欠損金の額が、各期の申告書の記載とつながっているか
  • 減価償却資産の台帳と、申告書の償却額が一致しているか
  • 消費税の届出(課税事業者の選択、簡易課税の選択など)の内容と、実際の申告の方式が合っているか
  • 源泉所得税の納付や、中間申告・予定納税の納付が漏れていないか

税理士の交代に伴う引継ぎ全体の流れは税理士の変更手続きと注意点で扱っています。

手続の前に前の税理士に確かめること

誤りに見えても、前の税理士が理由があってその処理を選んでいた場合があります。修正申告や更正の請求をする前に、次の点を前の税理士に確かめておくと、判断の材料がそろいます。

確かめること なぜ必要か
その処理を選んだ理由と根拠の資料 単純な誤りか、判断が分かれる処理を意図して選んだのかで、直すかどうかの判断が変わる
当時の資料の所在(契約書、請求書、計算の明細) 修正申告・更正の請求のどちらにも、誤りを示す資料が要る
過去の税務調査の有無と、そのときの指摘 調査で同じ論点が扱われていた場合、経緯を踏まえて判断する
提出した届出書・申請書の控え 消費税や特例の選択が、申告の前提になっている

前の税理士の誤りで加算税などの損害が生じたときに、その負担をどうするかは、契約の内容と事実関係で変わる法律問題です。賠償の請求を考える場合は、弁護士への相談も選択肢になります。

新しい税理士に渡すもの

直す期と手続を決めるには、新しい税理士が当時の数字を確かめられる資料が要ります。次のものをまとめて渡すと、判断が早くなります。

  • 対象になる期の申告書・決算書の控えと、総勘定元帳
  • 誤りの根拠になる資料(契約書、請求書、計算の明細など)
  • 前の税理士とのやり取りの記録(処理の理由の説明など)
  • 税務署から届いた通知(更正の通知、調査の事前通知など)があればその書面

加算税と延滞税の扱い

税額が少なすぎた場合の修正申告では、新たに納める税金のほかに、加算税や延滞税がかかることがあります。国税通則法65条1項は、修正申告書の提出や更正があったときに過少申告加算税を課すと定め、同条6項は、修正申告書の提出が調査による更正を予知してされたものでなく、調査通知がある前に行われたものであるときは、1項を適用しないとしています。

国税庁の『No.2026 確定申告を間違えたとき』も、所得税について、税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合であれば過少申告加算税はかからないと説明しています。一方で、修正申告で納める税金には納付の日までの延滞税をあわせて納める必要があり、当初の申告が期限後申告だった場合は無申告加算税がかかる場合がある、ともしています。

誤りに気づいた時点で、どの期をどの手続で直すかを早めに決めることが、負担を広げないことにつながります。加算税の軽減の仕組みの詳細は修正申告のやり方を参照してください。実際にいくら納めることになるかは、誤りの内容と期ごとの数字で試算しないと決まりません。

まとめ:方向・期限・前任者への確認の3つで判断する

  • 税額が少なすぎた誤りは修正申告(国税通則法19条)、多すぎた誤りは更正の請求(同法23条)で直します。
  • 更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。法人税の欠損金に関するものは、平成30年4月1日以後に開始した事業年度について10年以内です。
  • 計上時期の誤りは、期ごとに修正申告と更正の請求が分かれます。期限を過ぎた期は更正の請求ができません。
  • 手続の前に、前の税理士に処理の理由・資料・過去の調査の経緯を確かめます。
  • 調査通知の前に自主的に修正申告した場合は過少申告加算税がかからない定めがありますが、延滞税は納付の日まで計算されます。

どの期をどう直すかは、誤りの内容と期ごとの期限で分かれます。資料をそろえたうえで、新しい税理士と期ごとに整理して決めます。

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よくある質問

Q. 5年より前の期の払いすぎは取り戻せませんか?

国税通則法23条1項による更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に限られます。判決などの後発的な理由による場合は、その事実が生じた日の翌日から2か月以内に請求できる定めもあります(同条2項、国税庁『消費税及び地方消費税の更正の請求手続(法人用)』)。法人税の欠損金に関するものなど期限が長いものもあるので、期ごとに、どの規定で何年以内かを確かめてください。

Q. 更正の請求をすると、必ず税金が戻りますか?

戻るとは限りません。税務署は更正の請求書の内容を検討し、納め過ぎた税金があると認めた場合に減額更正をします。誤りの内容を示す帳簿や契約書などの資料をそろえて請求することが大切です。

Q. 消費税の誤りも同じように直しますか?

消費税も、税額が少なすぎた場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求という枠組みは同じです。国税庁は、消費税の更正の請求手続を法人用・個人事業者用に分けて案内しています。法人税の誤りが消費税にも影響していないかを、あわせて確かめます。

Q. 税務調査の連絡が来てから誤りに気づいた場合はどうなりますか?

国税通則法65条では、調査通知の後に修正申告をした場合は過少申告加算税がかかり、その割合は、調査による更正を予知してされたものでないときは百分の五、それ以外は百分の十とされています(一定の金額を超える部分は割合が上がります)。調査の連絡が来た段階で、新しい税理士と誤りの内容を整理してから対応を決めます。

Q. 前の税理士に誤りを伝えるときは、どう伝えればよいですか?

責任を問う前に、事実の確認として、その処理を選んだ理由と根拠の資料を尋ねる形にすると、必要な情報が得やすくなります。やり取りは記録が残る方法で行い、新しい税理士にも内容を共有しておきます。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月21日

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