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消費税の期限後申告|インボイス登録後に申告を忘れていたときの対応

税務調査
消費税の期限後申告|インボイス登録後に申告を忘れていたときの対応
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インボイス発行事業者の登録を受けた事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務が免除されず、課税期間ごとに消費税の確定申告が必要です。申告を忘れていたことに気づいたら、期限後申告として、できるだけ早く申告書を出して納付します。税務署から調査の事前通知を受ける前に自分から出せば、無申告加算税は納める税金の5%です。

この記事では、登録をきっかけに課税事業者になった個人事業主と法人に向けて、消費税の申告期限、申告を忘れやすい型、期限後申告の加算税と延滞税、計算方法(原則課税・簡易課税・2割特例)の確かめ方、所得税・法人税の計算への影響を、国税庁の資料と国税通則法に沿って整理します。所得税の申告を忘れた場合の一般的な扱いは別の記事に譲ります。

インボイス登録をすると消費税の申告が必要になる

消費税は、基準期間(個人事業者はその年の前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されます。ただし、国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」のとおり、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません。免税事業者が課税期間の途中で登録を受けた場合は、登録日以後の売上が申告の対象になる経過措置があります。

申告と納付の期限は、個人事業者と法人で違います。

区分 消費税の確定申告と納付の期限
個人事業者(1月1日〜12月31日の課税期間) 翌年3月31日まで
法人 課税期間の終了の日の翌日から2か月以内
法人で申告期限の延長特例を受けている場合 事業年度終了の日の属する課税期間は1か月延長

課税事業者であっても、課税売上げがなく、かつ納付税額がない課税期間は、確定申告書を出す必要はありません(国税庁タックスアンサーNo.6601「申告と納税」)。逆に言えば、登録を受けていて売上がある課税期間は、金額が小さくても申告が必要です。

申告を忘れやすい型

インボイス登録で課税事業者になった事業者が消費税の申告を忘れる場合には、例えば次のような型があります。どれに当たるかで、期限後に出す申告の範囲が変わります。

型 起きやすい理由 確かめること
個人事業主が所得税の確定申告だけを出した 所得税は3月15日、消費税は3月31日と期限が違い、申告書も別 登録後の各年分の消費税の申告書を出したか
法人が法人税の申告だけを出した 期限は同じでも申告書は別。免税事業者だった頃の手順のまま 登録後の各事業年度の消費税の申告書を出したか
登録した年の途中からの売上を申告していない 課税期間の途中から登録したため、その年は対象外と思い込んだ 登録日と、登録日以後の課税売上
売上が少ないので不要と思った 1,000万円以下なら免税という以前の判定のまま 登録を受けていた期間と、その期間の課税売上

まず確かめるのは登録日です。登録を受けたときの通知などで登録日を確かめ、登録日以後に終わった課税期間ごとに、申告書を出したかどうかを一覧にします。

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期限後申告の加算税と延滞税

期限を過ぎていても、税務署の決定があるまでは申告書を出すことができます(国税通則法18条)。期限後申告をすると、納める消費税のほかに無申告加算税と延滞税がかかります。無申告加算税の割合は、所得税と同じ国税通則法66条で決まり、税務署から調査の事前通知を受けた前か後かで変わります。

出した時期 無申告加算税の割合(令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの)
調査の事前通知の前に自主的に出した 納付すべき税金の5%
事前通知の後、調査による決定を予知する前に出した 50万円までの部分10%、50万円超300万円までの部分15%、300万円超の部分25%
調査を受けた後に出した、または決定を受けた 50万円までの部分15%、50万円超300万円までの部分20%、300万円超の部分30%

上の割合は、国税庁タックスアンサーNo.2024が所得税について示している整理です。消費税にも同じ国税通則法66条が適用されます。期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われ、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合(納付すべき税金の全額を法定納期限までに納付していることなど)は、無申告加算税はかかりません。期限を過ぎてすぐ気づいた場合は、この要件に当たるかを確かめます。

延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります。期限後申告で納める税金は、申告書を出した日が納期限です。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です(国税庁タックスアンサーNo.9205)。延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません。

複数の課税期間を出していない場合は、作業の順番にも注意が要ります。自主的に出した場合の5%は、調査の通知の前に出した申告書に当たる扱いです。すべての期間の集計が終わるのを待たずに、計算が終わった課税期間から出していく進め方もあります。

計算方法を確かめる:原則課税・簡易課税・2割特例

期限後申告でも、申告書を作る前に、その課税期間にどの計算方法を使えるかを確かめます。計算方法によって納める税額が大きく変わるためです。

計算方法 納める税額の考え方 使うための条件
原則課税(一般課税) 売上の消費税額から、仕入れや経費の消費税額を差し引く 帳簿と請求書等の保存が必要
簡易課税 売上の消費税額に業種ごとのみなし仕入率を掛けて仕入れ分を計算する 原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出
2割特例 売上の消費税額の2割を納める 免税事業者がインボイス発行事業者になった場合などで、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間。事前の届出は不要で、申告書に適用を受ける旨を付記

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった事業者が対象です。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間や、課税期間を1か月・3か月に短縮している課税期間などは対象外です(国税庁「2割特例の概要」)。個人事業者が令和5年10月1日から登録を受けた場合は、令和5年分(10月から12月分)から令和8年分までの申告が対象になります。

2割特例は課税期間ごとに選べるので、期限後に出す課税期間ごとに、原則課税・簡易課税と比べてどうなるかを試算します。簡易課税の届出を出していたかどうか、仕入れや経費が多い年かどうかで結論は変わります。期限後に出す申告書でどの方法を使えるかは、届出書の控えや提出の記録とあわせて、申告書を作る前に確かめてください。

なお、国税庁は、個人事業者は令和9年・令和10年分の申告について3割特例を適用できると案内しています。法人には3割特例の適用はありません。

所得税・法人税の計算への影響

消費税を期限後に申告すると、所得税や法人税の計算にも影響が出ることがあります。分かれ目は、帳簿を税込経理で付けているか、税抜経理で付けているかです(国税庁タックスアンサーNo.6901)。

  • 税抜経理方式:一般課税で計算した場合は、納める消費税は仮受消費税等と仮払消費税等の差額になり、原則として所得税・法人税の所得には影響しません。簡易課税や2割特例で計算した場合は、仮受消費税等から仮払消費税等を差し引いた金額と納める税額との差額を、その課税期間を含む年・事業年度の雑収入(または雑損失)として清算します。
  • 税込経理方式:納める消費税は租税公課として必要経費(法人は損金)になります。申告に係るものは、その申告書を提出した日の属する年・事業年度に計上します。

税込経理の場合、期限後申告で納める消費税は、申告書を出した日の属する年(法人は事業年度)の必要経費・損金になります。税込経理なら元の年分・事業年度の申告を直す必要はありませんが、税抜経理で簡易課税や2割特例を使った場合は、差額の清算で元の年分・事業年度の所得が変わることがあります。どちらの方式で帳簿を付けているかは、会計ソフトの設定や決算書の科目(仮受消費税等の有無)で分かります。

期限後申告の進め方

消費税の期限後申告は、次の順で進めます。

  1. 登録日を確かめ、登録日以後に終わった課税期間を書き出す。
  2. 課税期間ごとに、申告書を出したか、出していないかを一覧にする。
  3. 出していない課税期間の課税売上高と、仕入れ・経費の金額を帳簿から集計する。
  4. 各課税期間の基準期間の課税売上高と、簡易課税の届出の有無を確かめ、使える計算方法を決める。
  5. 申告書を作り、e-Taxか書面で所轄の税務署に出す。
  6. 申告書を出した日に、消費税と延滞税を納める。
  7. 次の課税期間からの申告期限(個人は3月31日、法人は課税期間の終了の日の翌日から2か月以内)を予定に入れる。

個人事業主の場合、所得税の確定申告を税理士に頼んでいても、消費税の申告が依頼の範囲に入っていないことがあります。登録をした後は、所得税と消費税の両方の申告が必要になることを、依頼の内容と照らし合わせておくと漏れを防げます。所得税の申告そのものを忘れた場合の加算税の考え方は「確定申告の期限を過ぎたら?」、登録の判断そのものは「個人事業主のインボイス登録|判断基準」で扱っています。

まとめ:登録日以後の課税期間を一覧にして早く出す

  • インボイス登録を受けていると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の申告が必要。
  • 期限は個人事業者が翌年3月31日、法人が課税期間の終了の日の翌日から2か月以内。
  • 調査の事前通知の前に自主的に出せば無申告加算税は5%。1か月以内で期限内申告の意思が認められる一定の場合はかからない。
  • 2割特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間で、申告書に付記して使う。簡易課税は原則として事前の届出が必要。
  • 税込経理なら、期限後に納めた消費税は申告書を出した日の属する年・事業年度の必要経費・損金になる。税抜経理で簡易課税や2割特例を使った場合は、差額をその課税期間を含む年・事業年度で清算する。

どの課税期間をどの計算方法で出すかは、各期間の売上と届出の状況で変わるので、まず登録日以後の課税期間の一覧を作ってください。

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よくある質問

Q. 登録をやめれば、過去の消費税の申告もしなくてよくなりますか?

なりません。登録を受けていた期間は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務が免除されないため、その期間の申告は必要です。「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに出すと、翌課税期間の初日から登録の効力がなくなります。過去の課税期間にさかのぼるものではありません。また、免税事業者が登録を受けた場合は、原則として登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは、登録を取りやめても課税事業者として消費税の申告が必要です。

Q. 売上がほとんどない年も申告が必要ですか?

課税売上げがなく、かつ納付税額がない課税期間は、確定申告書を出す必要はありません。ただし、課税仕入れの消費税額や中間納付額があるときは、還付申告をすることができます。少しでも課税売上げがあれば、申告書が必要です。

Q. 所得税の確定申告は期限内に出しています。消費税だけ期限後になると、所得税の申告も直す必要がありますか?

税抜経理で一般課税なら、原則として所得税の所得には影響しません。簡易課税や2割特例を使った場合は、仮受消費税等から仮払消費税等を差し引いた金額と納める税額との差額を、その課税期間を含む年の雑収入(または雑損失)として清算するので、その年分の所得税の申告を直すことがあります。税込経理なら、期限後に納める消費税は、申告書を出した日の属する年の必要経費になるので、過去の年分の所得税を直すのではなく、出した年の所得税の計算に入れます。

Q. 法人で、法人税の申告期限の延長を受けています。消費税も延びますか?

法人税の申告期限の延長の特例を受けている法人は、「消費税申告期限延長届出書」を出すことで、事業年度終了の日の属する課税期間の消費税の申告期限を1か月延ばせます。法人税の延長とは別の届出なので、消費税の延長の届出を出しているかを確かめます。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月21日

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