会社の太陽光発電で売電代金が決算の後に振り込まれるとき、今期と来期のどちらの売上にするか迷いませんか。法人の太陽光発電の売上は、原則として電気を引き渡した日を基準に計上します。規則的な検針に基づく料金は、継続して検針日に計上する方法も認められます。
この記事では、売電を行う法人向けに、売上の計上時期と発電設備の費用の扱い、消費税、毎年の償却資産の申告を整理します。
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太陽光発電の会計で決めておくこと
太陽光発電は、設備を一度据え付ければ、あとは毎月の売電収入と減価償却費が中心になる事業です。取引の件数は少ない一方で、1件あたりの金額が大きく、最初の処理の決め方がその後の毎期の損益と税額に影響します。
| 論点 | 決めること | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 売電収入の計上時期 | 引渡しの日で計上するか、継続して検針日で計上するか | 法人税法22条の2・法人税基本通達2-1-4 |
| 発電設備の耐用年数 | 売電のための設備か、自社の事業で使う電気を賄う設備か | 耐用年数省令別表第二・耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2〜1-4-5 |
| 償却方法 | 法定の定率法か、届出をして定額法か | 国税庁タックスアンサーNo.5409 |
| 売電の消費税 | 課税売上げとして申告する。設備の消費税の扱いは課税方式で変わる | 消費税法基本通達5-1-1・国税庁タックスアンサー |
| 償却資産の申告 | 毎年1月1日現在の設備を1月31日までに申告する(東京都の例) | 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」 |
売電収入はいつの売上か:引渡しの日と検針日
法人税法22条の2第1項は、資産の販売等に係る収益の額を、原則としてその目的物の引渡しの日の属する事業年度の益金に算入すると定めています。売電では電力会社へ電気を供給した時が基準になり、代金が振り込まれる日ではありません。
実務では、電気の量は月ごとの検針で確定します。法人税基本通達2-1-4は、ガス・水道・電気等の販売で、週・旬・月を単位とする規則的な検針に基づいて料金を算定し、継続して検針日に収益計上しているときは、検針日を引渡しの日に近接する日として扱うとしています。毎月の検針日(買取の明細に記載される期間の末日など)で売上を立て、継続してその方法をとる形です。
決算で確認するのは、期末までに検針が済んでいて入金が翌期になる分です。この分は売掛金を立てて当期の売上にします。入金ベースで記帳していると、期末前の1〜2か月分の売電収入が翌期にずれ込みます。
※説明のための架空の例です。3月決算の会社で、検針日が毎月10日、入金が検針月の翌月末という場合の処理です。
| 検針日 | 入金日 | 検針日基準での計上 |
|---|---|---|
| 2月10日 | 3月31日 | 2月10日に売上・売掛金。3月31日の入金で売掛金を消す(当期) |
| 3月10日 | 4月30日 | 3月10日に売上・売掛金(当期)。入金は翌期だが売上は当期 |
| 4月10日 | 5月31日 | 翌期の売上。3月11日から3月31日までの発電分は、検針日基準なら翌期に入る |
消費税の売上げの時期も、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時です(国税庁タックスアンサーNo.6165)。法人税と消費税で計上月がずれないように、同じ基準で記帳しておくと決算の確認が楽になります。
発電設備の耐用年数:何の業種の設備として使っているかで決まる
太陽光発電設備は、太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電を行う設備で、国税庁の質疑応答事例『自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入』では一般に「機械及び装置」に分類されるとされています。機械及び装置の耐用年数は、耐用年数省令の別表第二で「設備の種類」ごとに決まっています。
どの設備の種類に当たるかについて、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2は、原則として、その設備をいずれの業種用の設備として通常使用しているかで判定するとしています。1-4-3は、その判定を設備から生ずる最終製品(役務の提供を含む)に基づいて行い、業種の当てはめは原則として日本標準産業分類によるとしています。
さらに国税庁『耐用年数の適用等に関する取扱通達 第4節 機械及び装置関係共通事項』の1-4-5は、設備から生ずる最終製品を専ら用いて他の最終製品を生産する場合は、他の最終製品に係る設備として判定するとし、その例に「製造業を営むために有する発電設備及び送電設備」を挙げています。工場で使う電気を賄うための発電設備は、電気ではなく工場の製品で判定するということです。
| 使い方 | 判定の考え方 | 国税庁の資料にある例 |
|---|---|---|
| 製造業の会社が、工場の電気を賄うために設置 | 工場の最終製品に係る設備として判定(1-4-5) | 自動車製造業の会社の太陽光発電システム:別表第二「23 輸送用機械器具製造業用設備」の9年(法人税の質疑応答事例) |
| 発電した電気の売却そのものが事業 | 電気が最終製品になる | 上の質疑応答事例は、自家消費の場合は「31 電気業用設備」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」の17年ではないとしている |
| 給与所得者が自宅に設置(個人) | 家事用資産から生じた余剰電力の売却 | 別表第二「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」の17年(所得税の質疑応答事例) |
売電を事業とする法人では、電気業用設備のこの区分が検討の出発点になります。一方、自社の店舗や工場で電気を使い、余った分を売っている会社では、どちらを「通常使用している」業種とみるかを使用状況から判断します。発電量のうち自家消費と売電の割合を示す資料(検針票や発電量の記録)を残しておくと、判断の根拠になります。
償却方法は届出をしなければ定率法
国税庁タックスアンサーNo.5409は、機械および装置の法定償却方法は定率法であり、定額法を選ぶ場合は「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要があるとしています。届出は資産の種類ごとに選定し、設立した事業年度や、新たに別の種類の資産を取得した事業年度の確定申告書の提出期限までに税務署長へ提出します。同じ種類の資産で償却方法が既に決まっている会社(届出をせず法定の定率法によっている会社を含む)が定額法に変えるには、新しい方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を出します(法人税法施行令52条)。償却方法によって各期に配分される償却費が変わるため、どちらが合うかは、借入金の返済計画や他の事業の損益と合わせて試算しないと決まりません。
中古の発電所を買った場合
稼働中の発電所を中古で買い取る場合、国税庁タックスアンサーNo.5404により、法定耐用年数ではなく、事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もった年数を使えます。見積りが困難なときは簡便法(法定耐用年数の一部を経過した資産なら、法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数に経過年数の20%を加えた年数)によることができます。この算定は事業の用に供した事業年度にしかできず、後の事業年度ではできない点に注意が要ります。
売電の消費税:法人は課税、個人は事業かどうかで分かれる
消費税法基本通達5-1-1の注書きは、法人が行う資産の譲渡等は、その全てが「事業として」に該当するとしています。法人の売電収入は、売電が本業か副業か、余剰売電か全量売電かを問わず、課税売上げとして消費税の計算に入ります。
個人の場合は扱いが分かれます。国税庁の質疑応答事例『会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却』は、会社員が生活の用に供するために自宅に設置した設備の余剰電力の売却は課税の対象とならない一方、全量売電は反復、継続、独立して行う取引に該当し課税の対象となるとしています。
| 誰が・どう売るか | 消費税 |
|---|---|
| 法人の売電(余剰・全量とも) | 課税の対象 |
| 会社員が自宅の設備で余剰電力を売却 | 課税の対象とならない |
| 会社員が全量売電の契約で売却 | 課税の対象(反復、継続、独立して行う取引) |
課税の対象になっても、実際に消費税を納めるかは、免税事業者かどうか、一般課税か簡易課税かで変わります。簡易課税を選んでいる場合、電気業は第3種事業でみなし仕入率は70%です(国税庁タックスアンサーNo.6505)。
設備を買う期の扱いにも注意が要ります。簡易課税は売上げに係る消費税額にみなし仕入率を掛けて仕入れに係る消費税額を計算する制度なので、設備の購入代金に含まれる消費税は個別には控除の計算に入りません。一般課税で、税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得した場合は、国税庁タックスアンサーNo.6502のとおり、その後の一定期間は免税事業者になれず、簡易課税制度選択届出書も提出できない期間が生じます。どの方式で申告するかは設備の金額と売電収入の見込みで結果が変わるため、取得前に数字で試算して判断します。課税方式の違いは簡易課税制度の記事で整理しています。
償却資産(固定資産税)の申告も毎年ある
発電設備は、法人税の減価償却だけでなく、市町村の固定資産税(償却資産)の対象にもなります。東京都主税局の案内では、償却資産とは土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却費が法人税法又は所得税法の所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるものをいいます。
東京都23区の例では、毎年1月1日現在に所有している償却資産の内容(取得年月、取得価額、耐用年数等)を、1月31日までに資産の所在する区の都税事務所へ申告します。税率は100分の1.4で、課税標準額が150万円未満の場合は課税されません。23区以外では資産の所在する市町村に申告します。
申告には、法人なら固定資産台帳や法人税申告書の別表十六などを使うと案内されています。発電所が複数の市町村にある場合は、それぞれの市町村へ申告が必要になるため、設備の所在地ごとに台帳を分けておくと手間が減ります。
個人で太陽光発電をしている場合との違い
個人の売電収入は所得税の確定申告で扱い、所得の区分が問題になります。国税庁の質疑応答事例は、事業として行っている場合や他の事業所得の付随業務として行っている場合は事業所得に該当すると考えられる一方、給与所得者が家事用資産として設備を使い余剰電力を売却している場合は雑所得に該当するとしています。
この場合の減価償却費は、発電量のうち売却した電力量の割合を業務用割合として計算した金額を必要経費にします。自宅兼店舗の設備の場合は、店舗の使用割合と売却割合を組み合わせて事業用割合を計算する例も示されています。法人の設備は全額が事業用ですが、個人では按分の計算が要る点が大きな違いです。
税理士に任せる前に揃えておく資料
太陽光発電の記帳と決算は、取引の数よりも契約と設備の資料が要になります。次の資料が揃っていれば、計上時期・耐用年数・消費税の判断を最初の期から整えやすくなります。
- 電力会社の買取に関する契約書と、毎月の検針・買取の明細(検針日・電力量・金額)
- 設備の売買契約書・工事請負契約書と請求書の内訳(モジュール、パワーコンディショナー、架台、工事費など)
- 設置場所の資料(自社の工場・店舗の屋根か、売電専用の用地か)と、自家消費量が分かる記録
- 中古で取得した場合は、設備の稼働開始時期が分かる資料
- 借入金・リースの契約書と返済予定表
- 過去の償却資産申告書の控え
見積りは、発電所の数と所在する市町村の数、自家消費があるか、他の事業と一緒に経理しているか、決算月などで変わります。少額の取得資産の扱いを含めた減価償却の基本は少額減価償却資産の記事も参考になります。
まとめ:太陽光発電の会計は最初の期の決め方が続く
- 売電収入は入金日ではなく引渡しの日。継続して検針日で計上する方法も認められる(法人税基本通達2-1-4)
- 発電設備は「機械及び装置」。耐用年数は、売電が事業か、工場などの電気を賄う設備かで変わる
- 法人の機械装置の法定償却方法は定率法。定額法を選ぶなら届出書を出す(同じ種類の資産で方法が既に決まっているなら、事業年度開始の日の前日までに変更承認申請書)
- 法人の売電は全て消費税の課税対象。個人の自宅の余剰売電は課税の対象とならない
- 簡易課税の電気業は第3種(70%)。高額特定資産を取得すると課税方式の選択に制限がかかる
- 設備は毎年1月の償却資産の申告の対象になる
耐用年数と課税方式は、設備の使い方と金額によって答えが変わるため、契約書と明細を見て判断します。
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よくある質問
Q. 売電代金は検針の翌月末に入金されます。入金の月に売上にしてもよいですか?
法人税では、収益は原則として引渡しの日の事業年度に計上し、電気の販売では継続して検針日に計上する方法も認められています(法人税基本通達2-1-4)。入金日を基準にする扱いは示されていないため、期末に検針済みで未入金の分は売掛金として当期の売上にします。
Q. 工場の屋根に載せたパネルで、使い切れない電気だけ売っています。耐用年数は17年ですか?
工場で使う電気を賄うための設備は、工場の製品に係る設備として判定するのが通達の考え方です(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-5)。国税庁の質疑応答事例では、自動車製造業の会社の太陽光発電システムに製造業の設備の9年が適用されています。売電の比率が大きい場合などは使用状況で判定が変わり得るため、発電量と自家消費量の記録をもとに判断します。
Q. 稼働中の発電所を中古で買いました。耐用年数はどう決めますか?
使用可能期間を見積もるか、見積りが困難なら簡便法で算定できます(国税庁タックスアンサーNo.5404)。例えば法定耐用年数の一部を経過した資産は、法定耐用年数から経過年数を引き、経過年数の20%を加えた年数(1年未満の端数は切捨て、2年未満なら2年)です。取得した事業年度で算定しないと、後から変えられません。
Q. 社長個人が自宅で余剰売電をしています。会社の消費税に関係しますか?
個人の自宅の余剰売電は、会社の取引ではないので会社の消費税の計算には入りません。個人としても、生活の用に供するための設備から生じた余剰電力の売却は消費税の課税の対象とならないとされています。所得税では、給与所得者が家事用の設備で余剰電力を売却している場合は雑所得に該当するとされています。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年11月1日
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