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追加融資の審査に備える|決算書と直近の試算表で見られる点と準備する資料

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追加融資の審査に備える|決算書と直近の試算表で見られる点と準備する資料
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追加融資(2回目以降の融資)の申込みでは、創業時の計画書ではなく、決算書と直近の試算表という「実績」が中心の材料になります。日本政策金融公庫(以下「公庫」)の場合、申込みのたびに2期分の確定申告書・決算書を出し、決算から6か月以上たっていれば試算表も準備します。

審査の基準そのものは公表されていません。ただ、公庫の様式や特例制度の要件、国が金融機関との対話用に示している指標を見ると、決算書と試算表のどこが材料になるかはかなり具体的に分かります。この記事では、すでに借入れがある会社が次の申込みの前に確かめておく点と、準備する資料を整理します。

2回目以降の申込みで変わること:計画でなく実績で説明する

公庫を初めて使うときは、事業を始めて間もなければ創業計画書を、それ以外は企業概要書を準備します。創業時は、売上の見込みや経費の見込みといった計画の数字で説明するしかありません。

2回目以降は、前回の融資から今回の申込みまでに何が起きたかが、決算書と試算表に数字で残っています。売上は計画どおりに伸びたか、利益は出ているか、前回借りたお金は何に使い、返済は進んでいるか。追加融資の準備は、この実績を自分で説明できる形に整えることから始まります。

なお、公庫は「創業期の方」を、新たに事業を始める方や事業開始後に税務申告を2期終えていない方としています。税務申告を2期終えた後の申込みでは、2期分の決算書が比べられる材料になります。

公庫に2回目以降の申込みをするときの書類

日本政策金融公庫『お手続きの流れ(小規模事業者/個人事業主の方)』では、国民生活事業の事業資金を利用したことがある方の書類が、個人事業主と法人に分けて示されています。法人の場合を中心に整理すると、次のとおりです。

書類 準備する場面 案内で挙げられている注意点
確定申告書・決算書(直近期と前期の2期分) 毎回(税務申告が1期しか完了していなければ1期分) 申込みのたびに2期分が必要。申告書と決算書の両方、勘定科目明細書が含まれているか
試算表 決算後6か月以上たっている場合、または決算を終えていない場合 決算から日がたっているときは、直近の業績を示す材料になる
見積書 設備資金を申し込む場合だけ 何に、いくら使うかの裏付け
送金先の預金通帳の写し 融資金の送金先 返済口座として使っている口座を送金先にする場合は不要
電子契約サービスの利用申込書 代表者が2名以上いる場合 2回目以降の利用で携帯電話番号やメールアドレスに変更が無ければ不要

個人事業主の場合は、確定申告書の一式に、青色申告の方は青色申告決算書、いわゆる白色申告の方は収支内訳書を含めて2期分を準備します。法人と個人事業主では申告書の種類が違うので、どちらの書類を出すのかを取り違えないようにします。

申込みの後の面談では、事業計画に関連する資料や、資産・負債が分かる書類の準備を求められます。資金の使い道と金額の根拠、返済の見通しを示す資料は、申込みの前に作っておくと面談がスムーズです。

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決算書で見られる点:公庫の特例要件と国の指標から読む

金融機関が決算書のどこをどう評価するかは、各機関の判断で、基準が公表されているわけではありません。手がかりになるのは、公表されている制度の要件と、国が示している指標です。

公庫の「経営者保証免除特例制度」の要件

公庫の日本政策金融公庫『経営者保証免除特例制度』は、経営者の保証を不要とする融資を希望する法人向けの制度です。利用できる方の要件の1つに、税務申告を2期以上実施している方で、次の(1)と(2)を満たす方が挙げられています。

  • (1)法人と代表者の一体性の解消が一定程度図られていることを、公庫が確認できること(事業上の必要が認められない、法人から経営者への貸付金等が無いこと)
  • (2)最近2期の決算期で減価償却前経常利益が2期連続して赤字でないこと、または直近の決算期で債務超過となっていないこと、のいずれか

これは保証を免除するための特例の要件で、融資全体の審査基準ではありません。それでも、公庫が決算書の「社長への貸付金」「減価償却前の経常利益」「債務超過かどうか(純資産がマイナスかどうか)」という箇所を判断の材料にしていることが分かります。

ローカルベンチマークの6つの指標

経済産業省の経済産業省『ローカルベンチマーク』は、企業の経営者と金融機関・支援機関などが対話しながら経営状態を把握するためのツールです。財務面は、売上増加率・営業利益率・労働生産性・EBITDA有利子負債倍率・営業運転資本回転期間・自己資本比率の6つの指標で見ます。各項目の点数は業種の基準値からの乖離を示すもので、点数の高低が必ずしも企業の評価を示すものではない、とも注記されています。

この2つを手がかりに、決算書の箇所ごとに、何を説明できるようにしておくかを整理すると次のとおりです。

決算書の箇所 関係する指標・要件 準備しておく説明
売上高(2期の比較) 売上増加率 増えた・減った理由(取引先・単価・数量)
営業利益・経常利益、減価償却費 営業利益率、減価償却前経常利益 赤字の期があれば、その理由と解消の見通し
借入金の残高 EBITDA有利子負債倍率 借入先ごとの残高と毎年の返済額、返済が予定どおり進んでいるか
売掛金・在庫・買掛金 営業運転資本回転期間 回収・支払の条件、在庫の中身。運転資金が要る理由の裏付けになる
純資産 自己資本比率、債務超過かどうか マイナスなら、その原因と回復の計画
社長への貸付金・仮払金 法人と代表者の一体性 残高の中身と、精算・回収の予定

決算書の読み方の基本は経営者のための決算書の読み方で扱っています。銀行の審査が通らない理由一般については銀行融資の審査が通らない理由と対策に譲り、ここでは2回目の申込みの準備に絞ります。

直近の試算表で見られる点と、精度の整え方

決算から6か月以上たって申し込む場合、公庫では試算表の準備が求められます。決算書は最大で1年前の姿なので、決算後の業績は試算表で示すことになります。

試算表で確かめておきたいのは、次の点です。

  • 決算後の売上と利益が、前期の同じ時期と比べてどう動いているか
  • 借入金の残高が、返済の予定どおりに減っているか(通帳の引落しと一致しているか)
  • 現預金の残高と、今回借りたい資金の関係(なぜ今、いくら必要か)
  • 売上に季節の波がある場合、その月の数字が季節要因なのか、業績の変化なのか

試算表の数字が実態とずれていると、説明の土台が崩れます。たとえば、売上を入金した月に計上していると、請求した月と入金した月がずれ、月ごとの売上が実態と違って見えます。年1回の決算でまとめて計上している費用(減価償却費など)が月々の試算表に入っていないと、決算までの利益が多く見えます。申込みの前に、直近の月まで締めた試算表を、決算書と同じ基準で作っておくと、決算書との比較で説明しやすくなります。

企業概要書と面談で聞かれる項目

公庫の企業概要書は、面談にかかる時間を短縮するための書類とされ、次のような欄があります。2回目以降の申込みでも、面談ではこれらの点を口頭で聞かれる前提で、答えを準備しておくと安心です。

企業概要書の欄 準備しておくこと
企業の沿革・経営者の略歴等 前回の融資から今回までの変化(店舗・設備・人員)
従業員 常勤役員の人数、従業員数(最近雇用し、3か月以上の継続雇用を予定している人を含む)
関連企業 代表者や配偶者が経営している企業があれば、その内容
お借入の状況(法人の場合、代表者の方のお借入) 代表者個人の借入れ(住宅・車・教育・カードなど)の残高と年間返済額
取扱商品・サービス等 売上シェア、セールスポイント、売上の季節変動
取引先・取引関係等 販売先・仕入先・外注先、回収と支払の条件(何日締め何日回収・支払)

法人の申込みでも、代表者個人の借入れを書く欄がある点は見落としやすいところです。また、関連企業の欄は、代表者や配偶者が別の会社を経営している場合に記入します。会社の決算書だけでなく、代表者個人と関連企業も含めた全体を説明できるようにしておきます。

資金の使い道は、設備資金なら見積書で裏付けます。運転資金なら、回収と支払の時期のずれ、売上の増加に伴う仕入れの増加、季節の波など、なぜその金額が必要かを試算表と回収・支払の条件から示します。

申込みの時期と借入れの条件の考え方

申込みの時期は、決算からの経過月数で準備する書類が変わることを踏まえて決めます。決算の申告が終わった直後なら、最新の決算書で説明できます。決算から6か月以上たっている場合は、直近の試算表を整えてから申し込みます。

申込みから融資が決まるまでの期間は、公庫の創業向けのQ&Aでは平均的に3週間程度で、条件によっては時間がかかる場合もあるとされています。資金が必要になる時期から逆算して、相談を始める時期を決めます。

借入れの条件も、制度によって違います。たとえば公庫の一般貸付では、融資限度額は運転資金・設備資金とも4,800万円、返済期間は運転資金が5年以内(特に必要な場合7年以内、うち据置期間1年以内)、設備資金が10年以内(うち据置期間2年以内)とされています。今回の資金を何年で返すのが無理がないかは、既存の借入れの返済と合わせた毎年の返済額で考えます。

まとめ:追加融資は「2期分の実績」を説明できる形に整えてから

  • 公庫の2回目以降の申込みは、申込みのたびに2期分の確定申告書・決算書(法人は勘定科目明細書を含む)を出す
  • 決算後6か月以上たっていれば、直近の試算表も準備する
  • 公庫の経営者保証免除特例の要件には、社長への貸付金、減価償却前経常利益、債務超過かどうかが使われている
  • ローカルベンチマークの6つの指標は、決算書のどこを説明できるようにするかの目安になる
  • 企業概要書には、代表者個人の借入れや関連企業を書く欄もある

どの資料をどこまで求められるかは借入先と申込みの内容で変わるので、申込み前に借入先の窓口で確認してください。

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よくある質問

Q. 前回の融資を返済している途中でも、追加で申し込めますか?

公庫の書類の案内には、国民生活事業の事業資金を利用したことがある方の区分があり、返済口座として利用中の口座を送金先にする場合の扱いも書かれています。申し込むこと自体はできますが、融資するかどうかは審査で個別に判断されます。既存の借入れの返済と合わせて、毎年返せる額かを説明できるようにしておきます。

Q. 直近の決算が赤字です。追加融資は難しいですか?

赤字かどうかだけで結論が決まるわけではなく、結果は申し込んでみないと分かりません。公庫の経営者保証免除特例では「減価償却前経常利益が2期連続して赤字でないこと」が要件の1つに使われているように、赤字の期数や、減価償却前で見た利益も材料になります。赤字の理由と、改善の見通しを数字で説明できるように準備しておきます。

Q. 民間の銀行に追加融資を申し込む場合も、同じ書類で足りますか?

必要な書類や期数は、金融機関ごとに違います。この記事で挙げた公庫の一覧を下敷きにして、何期分の決算書が要るか、試算表は何月まで必要かを、申込み先の窓口で確認してください。

Q. 試算表は会計ソフトから出したもので足りますか?

形式よりも中身が大事です。売上や費用の計上の基準が決算書と違っていたり、減価償却費などが入っていなかったりすると、決算書との比較で説明がつきません。直近の月まで締め、決算書と同じ基準で作ったものを準備します。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月21日

参考資料

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