マネーフォワード クラウドで年末調整を計算した後、給与へはどう反映するのでしょうか。「クラウド年末調整」で計算・確定した過不足税額を、「クラウド給与」側で取り込んで精算します。連携する前に、両方のサービスで従業員番号をそろえておきましょう。
この記事では、申告書の回収から計算・確定、給与への反映、源泉徴収票の配布までの流れと注意点を整理します。制度の改正は令和8年分の年末調整の変更点で確認できます。
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クラウド年末調整とクラウド給与の役割分担
マネーフォワードのヘルプマネーフォワード『年末調整の流れ(管理者用)』は、管理者の作業を「事前準備」「年末調整手続きの作成」「各種申告書の回収および確認」「還付追徴額の計算および源泉徴収票の配布」「年末調整関係書類の提出」の5段階に分けています。これにクラウド給与との間の取り込みを加えると、全体は次の表のようになります。
| 段階 | マネーフォワード クラウドでの作業 | 国税庁の手続で当たるもの |
|---|---|---|
| 1 事前準備 | 申告事業所・従業員・ロールを登録する | 年末調整の対象者の洗い出し |
| 2 手続きの作成 | 「手続き一覧」で年度を選んで手続きを追加する | (ソフトの中の作業単位) |
| 3 回収・確認 | 「依頼中」で申告書を集め、「未確認」で内容を確認・修正する | 扶養控除等(異動)申告書などの受理と内容の確認 |
| 4 計算・確定 | 給与・賞与を取り込み、「確認済」で還付追徴額を見て「確定済」にする | 年税額の計算と過不足額の算出 |
| 5 給与への反映 | クラウド給与で年調過不足税額と翌年分の扶養控除等申告書を取り込む | 過不足額の精算、翌年の毎月の源泉徴収 |
| 6 配布・提出 | 源泉徴収票を配布し、給与支払報告書などを出力する | 源泉徴収票の交付、市区町村・税務署への提出 |
年末調整の計算はクラウド年末調整の中で行われ、クラウド給与には結果が戻ります。そのため、2つのサービスで従業員番号をそろえておくことが取り込みの前提になります。クラウド給与のヘルプは、年調過不足税額の取り込みと翌年分の扶養控除等申告書の取り込みのどちらについても、両サービスの従業員番号を一致させる必要があると書いています。
事前準備:登録・ロールと、改正への対応状況
事前準備では、「事業者」の「申告事業所」画面で申告事業所を、「従業員」画面で従業員を登録します。従業員は「インポート・連携」から、CSVファイルや他サービスとの連携で一括登録できます。クラウド給与を使っている会社は、この段階で従業員番号がクラウド給与と同じになっているかを確かめておくと、後の取り込みで止まりません。
「権限」画面では、利用者ごとにロールを設定します。「税理士・社労士の管理者を追加」から、事業者に所属しない税理士や社労士を管理者として加えることもできます。2026年度の対応では、割り当てられた手続きだけを閲覧・操作できる「特定管理者」ロールが追加されました。
令和8年分の改正にソフトが対応してから計算・出力する
国税庁の資料によると、令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年12月に行う年末調整から影響します。給与所得控除の最低保障額も、65万円から74万円に引き上げられました。
マネーフォワードのお知らせ「2026年度の年末調整に対応しました」では、帳票の様式変更と給与所得控除の引上げへの対応は、2026年9月30日の追記で完了したとされています。対応までの間はアンケート画面や還付追徴額の画面に引上げ前の金額が表示されるとされ、帳票は対応の完了後に出力するよう案内されています。また、補助テキストを初期設定から変えている場合や「設定内容の複製」で手続きを作った場合は、アンケート画面の給与収入や所得金額の記載が自動で更新されないことがあるため、手続きの画面を一度見直しておきます。
申告書の回収と確認:ステータスの意味
「手続き一覧」で年度を選んで手続きを追加したら、申告書の提出を頼む従業員を「依頼中」ステータスに移します。依頼中にすると従業員が各種申告書を提出できるようになり、通知設定をしていれば、登録されたメールアドレスに提出依頼メールが自動で送られます。
従業員は、本人情報・配偶者・扶養親族・保険料控除・住宅ローン控除の5つのステップで入力し、内容を確かめて提出します。入力内容から扶養控除等申告書、基礎控除申告書などを兼ねた申告書、保険料控除申告書などが作られ、担当者へ届きます。提出画面には翌年分の扶養控除等申告書も並ぶため、その年の分と翌年分を一度に集められます。申告書の種類ごとの添付書類は年末調整の必要書類一覧にまとめています。
画面のステータスと、国税庁の手続との関係は次のとおりです。
| ステータス | 画面でできること | 国税庁の手続との関係 |
|---|---|---|
| 未依頼 | 依頼する従業員を選ぶ | 対象者の確認。原則として扶養控除等(異動)申告書を出している人が対象 |
| 依頼中 | 従業員が入力・提出する | 各申告書の提出を受ける |
| 未確認 | 管理者が申告内容を確認・修正する | 申告書の受理と内容の確認 |
| 確認済 | 還付追徴額を確認する | 年税額と過不足額の確認 |
| 確定済 | 帳票の確認、源泉徴収票の配布、確定の取消し | 過不足額の精算と源泉徴収票の交付へ進む |
保険料控除証明書の原本は給与担当者へ、住宅借入金等特別控除申告書と年末残高証明書の原本は年末調整の担当者へ提出するよう、従業員用のガイドに書かれています。原本が届いたかどうかは、管理者の画面の「原本回収」で「未回収」と「回収済」を切り替えて管理できます。
給与の取り込みと還付追徴額の確定
還付追徴額は、クラウド年末調整に登録された給与情報から自動で計算されます。給与情報は、手続きの「インポート・連携」にある「給与・賞与」画面で、クラウド給与からインポートするか、CSVファイルで更新します。クラウド給与から取り込むには、事前に「連携」画面で連携しておく必要があります。
年末調整は、その年最後に給与を支払う時に行うもので、通常は12月です。取り込んだ給与に12月に支払う給与・賞与まで含まれているかを、「給与取込み状況」の欄で確かめます。翌年1月10日に支払う12月勤務分の給与のように支給日が翌年になるものは、その年の年末調整の対象になりません。
「確認済」の画面では、還付追徴額(差し引き過不足税)が、還付はマイナス、追徴はプラスで表示されます。問題がなければ従業員を「確定済」に移します。申告内容を直すときは、「未確認」に戻してから修正します。
クラウド給与への反映1:年調過不足税額
確定した還付追徴額は、クラウド給与の側で「年調過不足税額」として取り込みます。手順の概要は次のとおりで、詳しくはマネーフォワード『「マネーフォワード クラウド年末調整」から年調過不足税額を取り込む方法』にあります。
- 「連携設定」画面の「年末調整」タブで、クラウド年末調整と連携する
- 「基本設定」の「控除項目」タブで「年調過不足税額」にチェックを入れて保存する
- 給与計算(または賞与計算)の画面で支給月を選び、メニューからクラウド年末調整の過不足税額をインポートする
取り込みには次の条件と注意点があります。
| 項目 | ヘルプに書かれている扱い |
|---|---|
| 取り込める従業員 | クラウド年末調整で「確定済」になっている人だけ |
| 支給月 | その年の12月と翌年1月・2月の給与計算・賞与計算だけ |
| 確定済みの給与計算 | 確定を取り消さずに取り込める。ただし作成済みの給与明細や帳票は自動で上書きされる |
| 取り込み後の変更 | 年末調整を対象外に変えても、取り込んだ過不足税額は自動では変わらず、手で直す |
| 2月支給分 | 「所得税徴収高計算書(納期の特例)」画面に反映されないため、専用用紙への転記時に補記する |
何月の給与で精算するかは税法の側で確かめる
ソフトでは翌年1月・2月の支給月も選べますが、精算の方法は国税庁『No.2675 年末調整の過不足額の精算』に示されています。過納額は、年末調整を行った月分(通常は12月分)として納付する源泉徴収税額から差し引いて還付し、それで還付しきれないときは、その後に納付する税額から順次差し引きます。不足額は年末調整をする月分の給与から徴収し、残ればその後の給与から徴収します。不足額を翌年1月と2月に繰り延べて徴収できるのは、申請をして税務署長の承認を受けた場合です。
そのため、1月や2月の支給月に取り込むときは、12月分だけでは還付しきれない場合や繰延べの承認を受けた場合のように、国税庁の資料が示す精算の方法に当てはまるかを先に確かめてください。納期の特例を受けている会社は、7月から12月までに源泉徴収した税額の納付期限が翌年1月20日なので、12月の給与で精算した分はこの期の納付額に入ります。
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クラウド給与への反映2:翌年分の扶養控除等申告書
扶養控除等(異動)申告書は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者を経由して提出するものです(所得税法194条1項)。クラウド年末調整で集めた翌年分の申告書の内容は、クラウド給与の「従業員情報」画面の「従業員の追加/更新」から取り込めます(マネーフォワード『「マネーフォワード クラウド年末調整」から翌年申告内容を取り込む方法』)。取り込むと、クラウド給与の扶養情報(源泉控除対象区分など)や、寡婦・ひとり親・障害者・勤労学生の区分が更新されます。
- クラウド年末調整で「確認済」または「確定済」になっている従業員だけが対象です。確定を待たずに取り込めます。
- 取り込むと元の状態に戻せないため、事前に「従業員情報」画面で従業員情報CSVをダウンロードしておきます。
- クラウド給与に扶養親族が登録されていて、クラウド年末調整に登録されていない場合は、その人の「扶養区分」と「源泉控除対象区分」が「対象外」になります(扶養情報そのものは消えません)。
翌年最初の給与計算で使う情報なので、その給与計算より前に取り込みを終えておくと、月々の源泉徴収税額が古い扶養情報のまま計算されることを避けられます。
源泉徴収票の配布と提出書類の出力
源泉徴収票は、「確定済」の画面で従業員を選び、「配布」から「配布済」にすると、従業員が自分の画面で閲覧できるようになります。スマートフォンからも確認できます。国税庁の資料では、給与所得の源泉徴収票は翌年1月31日まで(年の中途で退職した人は退職の日以後1か月以内)にすべての受給者へ交付するもので、書面に代えて電磁的方法で提供するには、あらかじめ受給者の承諾を得るなどの要件があります。画面で配布する前に承諾を得ているかを確かめ、承諾のない人には印刷して渡します。
提出書類は、紙で出す場合は「申告一覧」の「提出準備」画面で必要な情報を入れて出力します。e-TaxやeLTAXで直接電子申告する場合は、「申告一覧」の「CSVエクスポート」画面で電子申告用のファイルを出力します。2026年10月27日更新のヘルプでも、ソフトの中の「電子申告」機能は準備中で利用できないとされています。
令和8年分からは、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、給与所得の源泉徴収票は税務署へ提出したものとみなされます(令和9年1月1日以後に提出するもの)。給与支払報告書の提出期限は翌年1月31日ですが、2027年1月31日は日曜日のため、地方税法20条の5第2項により翌日の2月1日が期限になります。退職所得の源泉徴収票など、給与所得の源泉徴収票以外の法定調書を税務署へ出す会社は、引き続き法定調書合計表も提出します。その提出期限も国税通則法10条2項により、休日に当たれば翌日になります。
まとめ:計算はクラウド年末調整、精算はクラウド給与
- 計算はクラウド年末調整、精算と翌年の源泉徴収はクラウド給与で行う。両方の従業員番号をそろえる。
- 令和8年分の改正への対応が完了してから計算・出力する(2026年9月30日の追記で完了と案内)。
- 12月に支払う給与・賞与まで取り込み、「確認済」で還付追徴額を確かめて「確定済」にする。
- 年調過不足税額は「確定済」の人だけ、12月と翌年1月・2月の支給月に取り込める。何月で精算するかは国税庁の精算方法に照らす。
- 翌年分の扶養控除等申告書は「確認済」から取り込めるが、元に戻せないので事前にCSVを保存する。
- 源泉徴収票の画面配布は承諾を得た人に限る。給与支払報告書を出せば、税務署への源泉徴収票の提出は不要になる。
画面の順番はヘルプに沿えば進められますが、精算の月や源泉徴収票の渡し方は税法の側で決まります。各段階で国税庁の資料と照らし合わせながら進めてください。
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よくある質問
Q. クラウド給与を使っていなくても、クラウド年末調整だけで進められますか?
給与情報は、「給与・賞与」画面でCSVファイルを使って登録・更新できます。計算された還付追徴額は、「インポート・連携」の「還付追徴額」画面からCSV形式で出力できます。ほかの給与ソフトへ反映するときは、そのソフトの取り込み形式に合わせて確認してください。
Q. 年調過不足税額を取り込んだ後で、申告内容の誤りが見つかったらどうしますか?
クラウド年末調整で確定を解除すると「確認済」に戻り、申告内容を変えるときは「未確認」に移してから直します。国税庁のQ&Aには、年末調整の後に扶養親族の異動などの申出があった場合に、翌年1月の源泉徴収票を交付する時まで年末調整の再計算ができるとする例があります。直した後は、クラウド給与に取り込んだ金額が新しい計算結果と合っているかを必ず見比べてください。
Q. 顧問税理士に年末調整の内容を確認してもらえますか?
「権限」画面の「税理士・社労士の管理者を追加」から、事業者に所属しない税理士を管理者として加えられます。手続きごとに担当を分けたいときは、割り当てられた手続きだけを操作できる「特定管理者」ロールも使えます。
Q. 拠点ごとに手続きを分けた場合、申告はどうまとめますか?
2026年度の対応で「申告」メニューが新しく設けられ、部署や拠点ごとに分けて作成した手続きを、申告事業所ごとにまとめて申告できるようになりました。手続きを分ける前に、どの申告事業所で提出するかを決めておくと整理しやすくなります。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年11月1日
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