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税理士と顧問契約を結ぶタイミングはいつ?売上目安や法人化などの判断基準を解説

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税理士との顧問契約に「絶対的な正解」はありませんが「目安」はあります

「まだ自分の規模で税理士にお願いするのは早いのではないか?」
「毎月の顧問料を払うほどのメリットが本当にあるのか?」

事業を始めたばかりの方や、売上が徐々に伸びてきた個人事業主の方にとって、税理士との顧問契約のタイミングは非常に悩ましい問題です。固定費をできるだけ抑えたいと考えるのは、経営者として当然の感覚でしょう。

結論から申し上げますと、税理士と契約すべきタイミングに「万人に共通する絶対的な正解」はありません。法律で「売上が〇〇円になったら税理士をつけなければならない」と決まっているわけではないからです。

しかし、多くの企業の税務をサポートする中で見えてくる「契約を検討すべき明確な目安(サイン)」は確実に存在します。

このタイミングを逃して「まだ大丈夫」と自己流の処理を続けてしまうと、本来払わなくて済んだ税金を納めることになったり(節税の機会損失)、本業に使うべき貴重な時間を経理作業で浪費してしまったりと、結果として「損」をしてしまう可能性が高まります。最悪の場合、知らず知らずのうちに申告漏れの状態になり、ペナルティを受けるリスクさえあります。

そこで本記事では、売上規模や利益額、法人化の有無など、客観的な数値や状況に基づいた「判断基準」を詳しく解説します。

「なんとなく」で先延ばしにするのではなく、ご自身の現在の状況と照らし合わせながら、費用対効果が合う最適なタイミングを見極めるためのヒントとしてご活用ください。

【個人事業主】税理士と顧問契約を結ぶべき4つのタイミング

個人事業主の場合、ご自身で確定申告を行っている方も少なくありません。しかし、事業が成長するにつれて、税務リスクと経理作業の負担は加速度的に増していきます。

コストパフォーマンスの観点から、顧問契約を前向きに検討すべき4つの具体的なタイミングをご紹介します。

1. 売上高が1,000万円を超え、消費税の課税事業者になったとき

一つの大きな区切りとなるのが「年間売上高1,000万円」の突破です。

基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は「消費税の課税事業者」となり、所得税だけでなく消費税の申告・納税義務が発生します(※インボイス制度登録者は売上に関わらず納税義務が生じます)。

消費税の計算は、売上の消費税から経費の消費税を差し引いて算出しますが、これには「原則課税」と「簡易課税」という2つの計算方法があります。どちらを選択するかによって納税額に数十万円以上の差が出ることも珍しくありません。

有利な計算方法の選択や、複雑化する消費税申告書の作成をミスなく行うためには、このタイミングで専門家である税理士に関与してもらうのが確実です。

2. 事業所得(利益)が500万円を超え、節税メリットが出始めたとき

「売上」ではなく、経費を引いたあとの「所得(利益)」が500万円を超えたあたりも、顧問契約の適正なタイミングと言えます。理由は以下の2点です。

  • 税率が上がるため
    日本の所得税は累進課税制度をとっており、所得が高くなるほど税率が上がります。所得が一定ラインを超えると、住民税や事業税を含めた税負担が重くのしかかってくるため、これまで以上に戦略的な節税対策が必要になります。
  • 費用対効果が合うため
    所得が500万円を超える規模になると、税理士顧問料を支払ってでも、適正な節税対策を行ったり、本業に集中してさらに売上を伸ばしたりする方が、トータルで手元に残るお金が多くなるケースが増えます。

「自分で記帳する時間(時給換算)」と「税理士報酬」を天秤にかけ、プロに任せた方が得だと判断できるのがこのラインです。

3. 従業員を雇用し、年末調整や給与計算が必要になったとき

自分一人、あるいは家族だけで事業を行っているうちは良いのですが、従業員(パート・アルバイト含む)を一人でも雇用すると、事務作業の難易度が格段に上がります。

  • 毎月の給与計算と源泉所得税の徴収・納付
  • 雇用保険や労災保険などの労働保険手続き
  • 年に一度の年末調整

これらは期限が厳格に決まっており、遅れるとペナルティや従業員とのトラブルに発展しかねません。税理士と顧問契約を結んでいれば、これらの給与計算業務を代行してもらったり、提携する社会保険労務士を紹介してもらったりと、煩雑な労務管理をサポートしてもらうことができます。

4. インボイス制度への対応や法人化を検討し始めたとき

近年、多くの個人事業主様が顧問契約を決断されるきっかけとなっているのが「インボイス制度」と「法人化(法人成り)」です。

インボイス制度に対応すべきか、登録することでどれくらい税負担が増えるのか、といったシミュレーションは専門知識がないと困難です。

また、事業が拡大して「法人化」を視野に入れた際、どのタイミングで法人化するのが最も節税になるかは、個々の状況によって異なります。設立の2年前から準備が必要なケースもあるため、「将来的に法人にしたい」と考えた時点で、早めに税理士をパートナーに迎えておくことを強くおすすめします。

【法人】会社設立時は顧問契約の「必須」タイミングである理由

個人事業主であれば、ある程度の規模まではご自身で確定申告を行うことも不可能ではありません。しかし、法人の場合は事情が全く異なります。

結論から申し上げますと、法人の設立は、税理士との顧問契約をスタートさせるべき「必須」のタイミングと言えます。「とりあえず1期目は自分でやってみて、難しかったら頼もう」という判断は、大きなリスクを伴います。その理由は以下の通りです。

法人税申告書は自力での作成難易度が極めて高いため

個人の確定申告と法人の決算申告では、難易度に天と地ほどの差があります。

個人の場合、売上から経費を引いて利益を出す流れは比較的シンプルで、近年は高機能な会計ソフトを使えば、ある程度自動で申告書を作成できるようになりました。
一方、法人の申告では、会計上の利益に対して税法独自の調整を加える必要があり、「法人税申告書別表」と呼ばれる複雑な書類を何十枚も作成しなければなりません。

これらは会計ソフトに入力しただけで自動完成するものではなく、高度な税務知識に基づいた判断と手入力が必要です。プロである税理士でさえ慎重に行う作業を、経営者が本業の合間に独学で行うのは現実的ではありません。また、たとえ赤字であっても、法人は必ず申告を行わなければならない点も注意が必要です。

設立直後の「青色申告承認申請書」など重要書類の提出漏れを防ぐため

会社設立直後は、税務署や都道府県税事務所などへ複数の届出書を提出する必要があります。中でも特に重要なのが「青色申告の承認申請書」です。

この申請書には「設立から3ヶ月以内」などの厳格な提出期限があり、たった1日でも遅れると、その年は青色申告の特典を受けることができません。

設立1期目は初期投資などで赤字になることが多いですが、青色申告であればこの赤字を翌期以降に繰り越して、将来の黒字と相殺し税金を安くすることができます(欠損金の繰越控除)。申請書の提出漏れは、将来的に数百万円単位の損に繋がる可能性があるため、設立直後から税理士の管理下で確実に手続きを行う必要があります。

創業融資や資金調達を有利に進めるため

会社設立時に、日本政策金融公庫などから「創業融資」を受けたいと考えている方も多いでしょう。この際、税理士がついているかどうかは審査においてプラスの要素となります。

金融機関は「この会社はきちんとお金の管理ができるか」「提出された事業計画書に信憑性はあるか」を厳しくチェックします。 税理士と顧問契約を結んでいれば、プロの視点で実現可能性の高い事業計画書の作成サポートが受けられますし、融資担当者に対して「税理士の指導を受けて適正な会計処理を行う」という姿勢を示すことで、信用力が格段に上がります。

資金繰りを安定させ、ロケットスタートを切るためにも、設立時からのパートナーシップは欠かせません。

「決算のみ(年一回)」と「顧問契約(毎月)」の判断基準

税理士への依頼方法には、大きく分けて「決算申告の時期だけ依頼する(年一回・スポット契約)」と「毎月定額を支払って継続的にサポートを受ける(顧問契約)」の2種類があります。

コスト面だけを見れば年一回のスポット契約の方が安く済みますが、安易に選択すると、後になって「もっと早く相談しておけばよかった」と後悔するケースが後を絶ちません。 それぞれの契約形態がどのような状況に適しているのか、その判断基準を解説します。

スポット契約(年一回)でも問題ないケース

年一回の決算のみの依頼でも大きな問題が起きにくいのは、以下のような極めて限定的なケースに限られます。

  • 取引数が非常に少なく、動きがほとんどない場合
    (例:不動産賃貸業で毎月の入金と経費が固定されている、副業レベルで売上が小規模など)
  • 日々の記帳は完璧に自分でできており、税務知識にも自信がある場合
    毎月の会計ソフトへの入力にミスがなく、勘定科目や消費税区分も正確に把握できている状態です。
  • 節税対策や経営相談を必要としない場合
    「とにかく申告書さえ提出できれば良い」「税金が高くなっても構わない」という割り切りが必要です。

年一回契約の最大のデメリットは、「決算が終わった後(=事業年度が終了した後)に数字を見るため、節税対策が一切できない」という点です。申告直前に「予想以上に利益が出ていた」と判明しても、すでに期末を過ぎていれば打てる手はほとんど残っていません。

顧問契約(毎月・定期)にしたほうが良いケース

事業を成長させたい、あるいは無駄な税金を払いたくないと考えるならば、基本的には顧問契約をおすすめします。毎月の顧問料は発生しますが、それ以上のメリット(リターン)が得られるからです。

  • リアルタイムで数字を把握し、期中に節税対策を打ちたい場合
    顧問契約の最大の価値は「月次試算表」にあります。毎月の利益状況を把握できるため、決算の数ヶ月前から「今期は利益が出そうだから、必要な設備投資を早めよう」「倒産防止共済に加入しよう」といった具体的な節税対策を実行できます。
  • 税務調査のリスクを減らし、経営の安心感を得たい場合
    毎月プロの目で帳簿をチェックすることで、計上ミスや不自然な処理をその都度修正できます。これにより、税務調査が入った際のリスクを最小限に抑えることができます。「何かあったときにすぐ相談できる専門家がいる」という安心感は、経営者が本業に集中するために不可欠な要素です。
  • 融資や資金繰りの相談をしたい場合
    金融機関からの融資を検討する際、試算表の提出は必須です。顧問契約があれば、急な融資申請にもスムーズに対応でき、金融機関からの信用度も高まります。

「顧問料=事務代行費」ではなく、「顧問料=会社のお金を守り、増やすための投資」と捉えられるかどうかが、契約形態を選ぶ一つの基準と言えるでしょう。

税理士と契約しないまま自己流で経営を続けるリスク

「今はまだ売上も少ないし、顧問料を払う余裕がない」
「会計ソフトを使えば、自分でもなんとかなるだろう」

そう考えて、税理士をつけずに自己流で経営を続けている方は少なくありません。もちろん、創業当初はコスト削減の意識を持つことは非常に大切です。

しかし、目先の顧問料を節約したつもりが、後になって顧問料の何倍もの金額を支払うことになったり、事業の成長を自ら止めてしまったりするケースは、私たちが現場でよく目にする光景です。 ここでは、プロに頼まないことで生じる「見えない3つのリスク」について解説します。

本業に充てるべき時間の喪失と精神的負担

経営者にとって最も貴重な資源は「時間」です。

慣れない経理作業には想像以上の時間がかかります。領収書の整理、会計ソフトへの入力、勘定科目の検索、制度の調査……。これらに毎月何十時間も費やしていないでしょうか? もしあなたの「経営者としての時給」が5,000円だとして、経理に月10時間かかっているなら、実質5万円のコストがかかっているのと同じです。

また、「この処理で合っているのだろうか?」「申告期限に間に合うだろうか?」という精神的なプレッシャーは、目に見えない形で経営判断を鈍らせます。事務作業はプロに任せ、ご自身は「売上を作るための活動(本業)」に全力を注ぐ方が、結果的に会社に残る利益は大きくなります。

税務調査での追徴課税リスクと無申告の危険性

「売上が少ないから税務調査は来ない」というのは迷信です。税務署はあらゆる規模の事業者を対象に調査を行っています。

自己流の決算で最も怖いのが、税務調査が入った際の対応です。 「知らなかった」「悪気はなかった」という言い訳は通用しません。経費として計上していた家族旅行費用や私的な飲食代が否認されたり、売上の計上時期(期ズレ)を指摘されたりすれば、本来払うべき税金に加え、過少申告加算税や延滞税といったペナルティ(追徴課税)が課されます。

過去数年分に遡って追徴されると、その額は数百万円にのぼることもあり、一瞬で資金繰りが悪化するリスクがあります。税理士がいれば、こうしたリスクを未然に防ぎ、万が一の調査の際も矢面に立って交渉を行うことができます。

使えるはずの「税額控除」や「優遇税制」の活用漏れ

税金の世界には、「知っている人だけが得をする」制度がたくさんあります。

特に、中小企業向けの「税額控除(税金そのものを安くする制度)」や「特別償却(経費を前倒しできる制度)」は、要件が複雑で毎年改正されるため、アンテナを張っている専門家でないと見落としがちです。

  • 賃上げをした場合に使える促進税制
  • 新しい設備やITツールを導入した際に使える投資減税

これらは、申告書を提出する際に添付書類をつけなければ適用されず、あとから「忘れていたので適用してください」と修正することは原則できません。 顧問料を惜しんだ結果、数十万円単位の節税チャンスを逃してしまっては本末転倒です。最新の税制をフル活用できるのも、顧問契約の大きなメリットです。

自社に合った税理士を選ぶために確認したいポイント

「いざ税理士を探そうと思っても、何を基準に選べばいいかわからない」という方も多いでしょう。税理士選びで失敗しないために、契約前に確認すべき3つのポイントをご紹介します。

業界の知見や得意分野があるか

税理士にも、お医者さんと同じように「専門分野」や「得意・不得意」があります。 例えば、IT・Web業界のビジネスモデルに詳しい税理士もいれば、飲食店の経営指導に強い税理士もいます。ご自身の業種に対する理解が乏しいと、話が通じなかったり、業界特有の節税アドバイスが受けられなかったりする可能性があります。 ホームページの実績を見たり、面談時に「同業種の顧問先はいますか?」と聞いてみたりするのが良いでしょう。

コミュニケーションの取りやすさとレスポンスの早さ

顧問契約を結ぶと、長い付き合いになります。「質問がしやすい雰囲気か」「相性が合うか」は非常に重要な要素です。 また、連絡手段も確認しておきましょう。電話やFAXが中心の事務所もあれば、Chatwork、Slack、LINEなどのチャットツールで気軽に対応してくれる事務所もあります。ご自身がストレスなく連絡できる手段に対応しているかは、業務効率に直結します。

料金体系とサービス範囲(どこまでやってくれるか)の明確さ

「顧問料が安いと思ったら、決算料が高額だった」「記帳代行料は別料金だった」というトラブルは少なくありません。 「月額〇〇円で、具体的に何をしてくれるのか(記帳は?年末調整は?訪問頻度は?)」というサービス範囲と、追加料金が発生するケースについて、契約前に明確な説明がある事務所を選びましょう。

まとめ:迷った時が相談のタイミング。まずは無料相談をご活用ください

本記事では、税理士と顧問契約を結ぶべきタイミングについて解説してきました。

  • 売上1,000万円(課税事業者)または利益500万円を超えたとき
  • 従業員を雇用し、労務手続きが発生したとき
  • 法人化やインボイス対応を検討し始めたとき
  • 本業が忙しく、経理作業が負担になってきたとき

もし、これらに一つでも当てはまるなら、それは「税理士の力を借りて、事業を次のステージへ進めるタイミング」かもしれません。 もちろん、いきなり契約を決める必要はありません。まずは専門家に「今の自分の状況で契約が必要か?」「いくらくらいかかるのか?」を聞いてみるだけでも、大きな一歩になります。

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