「税理士事務所をDX型に切り替えたい所長の方」「業界全体の動きを踏まえて顧問先選びを見直したい経営者の方」——2026年の税理士業界は、AI・クラウド会計の普及、防衛特別法人税をはじめとする税制改正の頻度増加、そして後継者問題を抱える中小事務所の増加という、複合的な変化に直面しています。
本記事では、リーパル会計事務所の700社超の顧問実績と業界の構造変化への対応経験をもとに、税理士業界の最新動向を数字と実態の両面から整理し、事務所が取るべき戦略を解説します。
業界が10年で激変する3つの理由
構造変化1:AI・クラウド会計による業務の自動化
記帳代行・確定申告書の単純作成は、クラウド会計(=インターネット上で動作する会計ソフト)のAI自動仕訳・AI-OCR(=AIで紙やPDFから文字・数字を読み取る技術)によって急速に効率化されています。
従来は「記帳代行の件数 × 時給的な単価」で収益が決まる構造でしたが、同じ件数をより短時間で処理できるようになったことで、「作業量 = 売上」という等式が崩れています。
リーパル会計事務所でも、AI-OCRとGeminiを活用した経理自動化により、記帳作業を大幅に効率化。その時間を経営アドバイス・節税提案・M&A支援に充てる体制へ転換しています。詳しくはAI-OCR経理導入ガイドをご覧ください。
構造変化2:税制改正の複雑化・頻度増加
令和7・8年度税制改正では、防衛特別法人税(=令和8年4月1日以後開始事業年度から、基準法人税額×4%、年500万円控除あり)、インボイス2割特例の終了(令和8年9月30日属する課税期間で終了)と個人事業者限定3割特例(令和9・10年)の新設、80%控除経過措置の段階的延長(70%→50%→30%)、所得税の基礎控除引き上げによる「160万円の壁」「178万円の壁」への移行、青色申告特別控除の75万円化(令和9年分から)、少額減価償却資産特例の40万円未満への引き上げ、電子帳簿保存法の運用厳格化など、対応が必要な法改正が連続しています。(このうち青色申告特別控除の75万円化〔優良電子帳簿要件・令和9年分から〕と少額減価償却資産特例の40万円未満への引き上げ〔対象は従業員500人以下から400人以下に変更・令和11年3月末まで延長〕は、令和8年度税制改正大綱〔令和7年12月26日閣議決定〕に基づく内容です。適用開始は将来時点のため、最新の法令・国税庁公表資料で適用年度を確認のうえご活用ください。)
顧問先からの「今年の税制改正で何が変わったか教えてほしい」という問い合わせは増加しており、情報提供・解説機能を持つ事務所への評価が高まっています。
構造変化3:事業承継問題の顕在化
中小企業の後継者不在問題が深刻化する中、税理士には「M&Aの仲介・支援」「事業承継税制の適用支援」という新たな役割が求められています。
リーパル会計事務所はBATONZパートナーとしてM&A仲介に参画しており、後継者不在の顧問先に対してM&Aによる事業承継の選択肢を提示できる体制を整えています。
税理士業界の現状:数字で見る2026年
登録者数・事務所数の推移
日本税理士会連合会の統計によると、2026年時点の税理士登録者数は約8万人前後で推移しています。増加基調は続いているものの、1970〜2000年代の急増期に比べると伸びは鈍化しています。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 税理士登録者数 | 約8万人(横ばい傾向) |
| 税理士法人数 | 増加傾向(個人事務所からの法人化が進む) |
| 60歳以上の税理士 | 登録者全体の約半数 |
| 新規登録者 | 年間約3,000人前後 |
| 廃業・抹消登録 | 年間約1,500〜2,000人 |
新規登録者が廃業者を上回るため総数は微増していますが、高齢化が顕著であり、65歳以上の税理士が廃業するケースが今後増加する見込みです。
事務所規模の二極化
税理士業界で進む構造変化として、「規模の二極化」があります。
- 小規模事務所(1〜3人): 後継者問題・IT対応コストの重さから廃業や合併が増加
- 中規模事務所(5〜30人): AI活用・専門特化によって競争力を高める層
- 大手・準大手(30人以上): M&Aによる拡大路線を加速
この動きは「中小事務所の淘汰→生き残り組の収益改善」という市場再編として現れています。
税制改正は施行タイミング・経過措置・実務インパクトの3点で読み解く必要があります。専門家への相談で対応漏れを防げます。リーパル会計事務所では700社超の顧問実績をもとに、税制改正・インボイス・電帳法対応を一体で支援しています。
顧問料の二極化:低付加価値サービスは下落、高付加価値は上昇
業務カテゴリ別の単価動向
| 業務カテゴリ | 顧問料の動向 | 背景 |
|---|---|---|
| 記帳代行中心 | 下落傾向 | AI自動仕訳に置き換えられる |
| 申告書作成のみ | 横ばい〜下落 | 申告ソフトの精度向上 |
| 月次顧問+経営アドバイス | 維持・上昇 | コンサル価値が高まる |
| 専門特化(M&A・相続・スタートアップ) | 大幅上昇 | 希少性と付加価値が高い |
| 税務調査対応 | 大幅上昇 | 元国税局OBの専門性が評価される |
「何を提供するか」によって顧問料の方向性が分かれる時代に入っています。
2026年の業界で進む「専門特化」の潮流
特化型事務所の台頭
かつての税理士事務所は「地域の中小企業の何でも屋」として機能してきましたが、2026年には特定分野に特化した事務所が競争優位を持ち始めています。
| 専門特化分野 | 内容 |
|---|---|
| スタートアップ支援専門 | VC(=ベンチャーキャピタル)調達・ストックオプション・IPO(=株式公開)準備の税務 |
| 相続・事業承継専門 | 相続税申告・事業承継税制・M&A税務 |
| freee/マネーフォワード認定 | クラウド会計導入・経理BPOに特化 |
| 医療・歯科専門 | 診療報酬・医療法人の税務 |
| 不動産専門 | 不動産オーナー・法人化・相続対策 |
「どの税理士に頼んでも同じ」という時代は終わり、「このニーズにはあの事務所」という指名受注が増えています。
経営コンサル機能の付加
単なる税務申告・記帳代行から、「月次経営分析・利益改善提案・資金調達支援」まで担う「顧問CFO型の税理士」が増えています。
顧問料の単純な値下げ競争ではなく、「高付加価値サービスへの移行」が、生き残る事務所の共通戦略です。
業界全体に影響を与える外部環境
デジタルインボイス(Peppol)の普及
国が推進するデジタルインボイス(Peppol=請求書などの電子文書を国際的に標準化された形式で交換する仕組み)の普及により、請求書・領収書のデジタル化が一層加速しています。税理士が担う書類整理・入力作業の役割はさらに縮小し、「データを見て判断・提案する」機能への移行が求められます。
税務行政のデジタル化
e-Tax・eLTAX(=地方税の電子申告システム)のUI改善・申告書の自動作成機能拡充により、「確定申告の補助」という役割が縮小しつつあります。一方、税務調査の対応・グレーゾーンの判断・節税策の設計は、引き続き専門家の知識が不可欠です。
人手不足と採用競争
ITリテラシーの高いスタッフの採用競争が激化しています。AI・クラウド会計を使いこなせる税理士スタッフの採用は、規模を問わず事務所にとって重要な経営課題です。
業界変化への自社対応に不安がある所長・経営者の方は、リーパル会計事務所の無料相談で具体的に検討できます。事務所規模・顧問先構成・現在のITツール導入状況をお伝えいただければ、優先順位の方向性をお示しします。
よくある質問
Q1. 小規模の税理士事務所は今後どうなりますか?
A. AI・クラウド会計を活用して効率化できた事務所は生き残ります。一方、既存業務を従来の方法で続ける小規模事務所は、価格競争の激化・顧客流出が進む可能性があります。廃業・合併・事業承継により、2030年代には事務所数の減少が加速するとみられています。
Q2. 税理士の顧問料は今後どう変わりますか?
A. 記帳代行中心の低付加価値サービスの顧問料は下落傾向にあります。一方、経営アドバイス・M&A支援・相続対策などの高付加価値サービスの単価は維持または上昇しています。「何を提供するか」によって顧問料の方向性が分かれる時代です。
Q3. 税理士業界でAIに代替される仕事は何ですか?
A. 記帳代行(仕訳入力)、単純な確定申告書の作成、書類の整理・データ入力などが最も代替リスクが高い業務です。詳しくはAI時代の税理士の将来性で解説しています。
Q4. 2026年に税理士事務所が注力すべき新サービスは何ですか?
A. 「月次経営分析・利益改善提案」「クラウド会計導入支援・経理BPO」「M&A・事業承継支援」「DX推進コンサルティング」が成長分野です。既存の記帳代行・申告業務の効率化で生まれた時間を、これらの高付加価値業務に充てることが重要です。
Q5. 税理士業界の再編は今後どのように進みますか?
A. 大手税理士法人によるM&Aが加速し、中小事務所の吸収が進むと見られています。一方、地域密着・専門特化型の中規模事務所は独自のポジションを築いています。「大手か専門特化か」という選択が事務所ごとに迫られています。
Q6. 防衛特別法人税はいつから業界に影響しますか?
A. 2026年4月1日以降に開始する事業年度から適用されるため、3月決算法人は2027年5月の申告から本格的な実務影響が出ます。詳しくは防衛特別法人税はいつから?対象企業と影響額を税理士が解説をご覧ください。
まとめ:2026年の税理士業界は「変革期の真っ只中」
2026年の税理士業界は、AI・法改正・事業承継問題という三重の変化にさらされています。廃業や合従連衡が進む一方、高付加価値サービスへの転換に成功した事務所は顧客満足度・収益の両面で成果を上げています。
業界マクロのトレンド(小規模事務所の淘汰/中規模の専門特化/大手のM&A拡大)は、所長・経営者として自分の事務所をどのレイヤーに位置づけるかの判断軸になります。リーパル会計事務所では700社超の顧問実績をもとに、業界再編期における事務所のポジショニング設計・専門特化分野の選定・AI活用と高付加価値サービスを組み合わせた事務所モデルの構築を支援しています。「自社の事務所はこのまま記帳代行を続けて大丈夫か」「専門特化に振るとしたらどの分野が自分の経営資源と合うか」と悩んでいる所長の方は、現在の顧問先構成・人員規模・ITツール導入状況をお聞かせください。あわせて、顧問先を選ぶ経営者・個人事業主の方は、本記事の業界動向を「良い税理士の選び方」の判断軸として活用できます。記帳代行中心ではなく経営アドバイス・税制改正の解説・専門特化(相続/M&A/クラウド会計等)に強みを持つ事務所かを見極めることが、変革期に伴走できる顧問選びの要点です。
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参考リンク: 日本税理士会連合会「税理士制度の現状と課題」
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。税理士業界マクロトレンドの分析、事務所規模別のポジショニング戦略、AI活用と専門特化を組み合わせた事務所運営モデルの設計を専門とする。
最終更新日: 2026年5月2日
リーパル会計事務所では、700社超の顧問実績をもとに、税理士業界の構造変化を踏まえた事務所ポジショニング設計・専門特化分野の選定支援・AI活用型事務所モデルの構築相談を行っています。freee・マネーフォワードクラウド両対応の認定アドバイザーとして、所長向けの経営相談にも対応しています。