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初めての決算の前に会社が確認すること|届出・議事録・設立前の取引

会社設立
初めての決算の前に会社が確認すること|届出・議事録・設立前の取引

会社を設立して初めての決算を迎える前に確かめたいのは、「税務署への届出が期限内に出ているか」「役員報酬を決めた記録が残っているか」「設立前に払った費用や取引が帳簿に入っているか」の3つです。とくに青色申告の承認申請書は1期目の期限を過ぎると1期目に間に合わず、1期目の欠損金を翌期以降に繰り越せるかどうかに関わります。

この記事では、法人(株式会社など)の1期目を前提に、決算・申告の期限、税務署への届出の確認表、消費税の届出と納税義務の見方、役員報酬の議事録、設立前の取引の扱いを順に整理します。設立直後の手続きの一覧そのものは会社設立後の手続きの記事に譲ります。

決算と申告の期限を先に確かめる

法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づいて提出します。1期目の事業年度は、設立の日から定款で定めた事業年度の終了の日までです。法人税基本通達1-2-1は、設立後最初の事業年度の開始の日は設立の日で、設立の登記により成立する法人は設立の登記をした日としています。

1期目は、設立の時期によって1年より短くなることがあります。決算日がいつかを定款で確かめ、そこから2か月以内に、決算の確定(株主総会の承認など)と申告・納付を済ませる段取りを組みます。決算期の決め方そのものは会社の決算期の選び方で扱っています。

なお、申告期限には延長の仕組みが2つあります。1つは、定款等の定めや特別の事情により、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にある場合に、申請に基づいて提出期限を延ばす特例です(法人税法75条の2。申請書の期限は後の表のとおり)。もう1つは、災害その他やむを得ない理由により決算が確定しないため期限までに提出できない場合に、事業年度終了の日の翌日から45日以内に申請して期日の指定を受ける延長です(法人税法75条)。どちらも申請が前提なので、何もしなければ2か月以内が期限です。消費税の課税事業者は、法人税の申告期限の延長の特例を受ける法人が「消費税申告期限延長届出書」を出した場合に限り、消費税の申告期限が1か月延びます(延びた期間の利子税もあわせて納めます)。

税務署への届出が出ているかを確認する

国税庁の国税庁『No.5100 新設法人の届出書類』は、法人を設立したときの届出書類を次のように示しています。1期目の決算の前に、控えや電子申告の受付記録で提出済みかどうかを1つずつ確かめます。

届出書 区分 提出期限
法人設立届出書(定款等の写しを添付) 提出が必要 設立の日(設立登記の日)以後2か月以内
給与支払事務所等の開設届出書 給与を支払う場合 開設の事実があった日から1か月以内
青色申告の承認申請書 必要に応じて 設立の日以後3か月を経過した日と1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで
棚卸資産の評価方法の届出書 必要に応じて 1期の確定申告書の提出期限まで
減価償却資産の償却方法の届出書 必要に応じて 1期の確定申告書の提出期限まで
申告期限の延長の特例の申請書 必要に応じて 適用を受けようとする事業年度終了の日まで
事前確定届出給与に関する届出書 役員に賞与を出す場合 設立の日以後2か月を経過する日まで

同じタックスアンサーは、提出期限が休日等に当たる場合は休日等明けの日が提出期限になるとしています。一方、消費税の届出書のうち「課税期間の初日の前日まで」などとされているものは、その日が休日でも延びないため、区別して扱います。

青色申告の承認を受けていないと何が変わるか

青色申告の承認申請書の期限は、設立の日の属する事業年度について、設立の日以後3か月を経過した日と事業年度終了の日のいずれか早い日の前日です(法人税法122条2項1号)。この期限に間に合わなかった場合、1期目は青色申告になりません。2期目から承認を受けるには、その事業年度開始の日の前日までに申請書を出します。

影響が大きいのは欠損金です。欠損金を翌期以降の所得から差し引く繰越控除は、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることなどが条件です。1期目が赤字になりそうな会社で、承認申請書を出したかどうか分からないときは、決算の前に税務署への提出記録を確かめておくと判断を誤りません。

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消費税の届出と1期目の納税義務の見方

消費税の納税義務は、原則として基準期間(法人はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高で判定します。新たに設立された法人は、1期目と2期目に基準期間がないため、原則として納税義務が免除されます。ただし、次の場合は免除されません。

納税義務が免除されない場合 確かめること
事業年度の開始の日の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の法人(新設法人) 設立時の資本金の額
特定新規設立法人に該当する法人 出資者の状況(国税庁タックスアンサーNo.6503で要件を確認)
適格請求書発行事業者の登録を受けている場合 インボイスの登録の有無と登録日
消費税課税事業者選択届出書を出して課税事業者になっている場合 届出書の提出の有無

資本金1,000万円以上の新設法人は、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を出します。ただし、法人設立届出書に新設法人に該当する旨と所定の事項を書いて出した場合は、この届出書は不要です。

事業を開始した日の属する課税期間から課税事業者を選択する場合や、簡易課税制度を選択する場合は、届出書をその課税期間の終了の日までに出せば、その課税期間から選択できます。1期目の決算日を過ぎると、この扱いは使えません。課税事業者の選択や簡易課税の選択が有利かどうかは、売上と仕入れの見込みを数字で試算しないと決まらないため、1期目の終了の前に試算しておく必要があります。

2期目の納税義務も、1期目の数字で決まることがあります。法人の特定期間は原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間で、その課税売上高が1,000万円を超えると、基準期間がなくても納税義務は免除されません(課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできます)。前事業年度が1年未満の場合は特定期間が異なることがあるため、1期目の長さと合わせて確かめます。

役員報酬の決議と議事録を確認する

1期目の決算で確かめたいのが、役員報酬の決め方と支払いの実績です。毎月定額の役員報酬が損金に算入されるのは、定期同額給与に当たる場合です。通常の改定は、事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(申告期限の延長の特例で月数の指定を受けた法人は、その指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までにされたものとされ、1期目はその開始の日が設立の日になります。

  • 株主総会の議事録(または株主全員の同意によるみなし決議の書面)があり、決めた日付・役員・月額が書かれているか
  • 決議の日が、設立の日から3か月(延長の指定を受けた法人は指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに入っているか
  • 決議の後、毎月同じ額で支払われているか(途中で金額が変わっていないか)
  • 役員に賞与を出した場合、事前確定届出給与の届出をして、届け出たとおりに支給しているか

株主総会の議事録は、会社法318条で作成が義務づけられ、株主総会の日から10年間本店に備え置きます。期中に金額を変えた場合の扱いは役員報酬の3か月ルールで詳しく扱っています。議事録が見当たらない、決議の日がはっきりしないといった場合は、どの給与が定期同額給与に当たるかの判断が個別になるため、決算の前に事実関係を整理しておきます。

設立前の取引を帳簿に入れる

1期目の帳簿は、設立の日からの取引だけを入れればよいわけではありません。設立の前に発起人や社長個人が支払った費用のうち、会社が負担すべきものは、会社の帳簿に取り込む必要があります。法人税法施行令14条は、繰延資産として次の2つを定めています。

区分 法人税法施行令14条1項の定め 確かめること
創立費 発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、その法人の負担に帰すべきもの 設立のための費用か、会社の負担に帰すべきものか
開業費 法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用 設立後、事業を始めるまでの間の支出か、開業準備のために特別に支出したものか

設立前に支払った費用は、領収書の宛名が個人名になっていることがあり、会社の帳簿から漏れやすい取引です。次の点を確かめます。

  • 設立前に支払った費用の領収書・振込の記録がそろっているか
  • それぞれが、会社の負担に帰すべき費用か、個人の費用かを区別したか
  • 社長個人が立て替えた費用を、会社が精算したか(まだなら、会社の社長に対する債務として計上しているか)
  • 設立前に買った備品などは、創立費・開業費ではなく資産の取得として扱うべきものが含まれていないか

創立費・開業費などの繰延資産からは、資産の取得に要した金額とされるべき費用や前払費用が除かれています。また法人税基本通達8-1-1は、設立のために通常必要と認められる費用は、会社の負担とすることが定款等で定められていなくても創立費に当たるとしています。パソコンや机のように資産として使い続ける物は、取得した資産として扱う方向で確かめます。

決算の前にそろえておく資料の確認表

ここまでの確認を、1期目の決算の前にそろえる資料としてまとめると次のとおりです。

確認すること 手元にそろえる資料
事業年度と申告期限 定款、登記事項証明書(設立の登記をした日)
税務署への届出 法人設立届出書・青色申告の承認申請書などの控え、電子申告の受信通知
消費税の納税義務と届出 設立時の資本金の額、インボイスの登録通知、課税事業者・簡易課税の届出書の控え、最初の6か月の売上と給与の集計
役員報酬 株主総会の議事録または同意書、給与の支払記録
設立前の取引 設立前の領収書・振込記録、立替金の精算記録
期末の残高 預金通帳の期末残高、借入金の残高証明、未払・未収の一覧

まとめ:1期目の決算前に「届出・議事録・設立前の取引」を見直す

  • 法人税の申告は事業年度終了の日の翌日から2か月以内。1期目は設立の登記をした日から始まる
  • 青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで。欠損金の繰越控除に関わる
  • 消費税は1期目・2期目に基準期間がなく原則免除だが、資本金1,000万円以上やインボイスの登録などでは免除されない
  • 課税事業者・簡易課税の選択は、事業を開始した日の属する課税期間の終了の日までに届け出れば、その期から選べる
  • 役員報酬は、議事録の日付と毎月同額の支給の実績を確かめる
  • 設立前に払った費用は、創立費・開業費・資産の取得・立替金の精算に分けて帳簿に入れる

1期目の決算は、出し忘れた届出や記録の不足に気づける最後の機会になりやすいため、決算日の前に一覧で確かめておくと手戻りが減ります。

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よくある質問

Q. 青色申告の承認申請書を出したかどうか分かりません。どう確かめますか?

電子申告で出した場合は、e-Taxの受信通知で確かめられます。書面で出した場合は、税務署の収受日付が入った控えを探します。見つからないときは、所轄の税務署に提出の有無を問い合わせて確かめる方法があります。

Q. 1期目の途中でインボイスの登録をしました。1期目の消費税はどうなりますか?

免税事業者が課税期間の途中で登録を受けた場合は、登録日以後に行った課税資産の譲渡等が消費税の申告の対象になる経過措置があります。登録日より前の売上と後の売上を分けて集計できるよう、決算の前に帳簿を確認しておきます。

Q. 設立前に社長が個人のカードで払った費用は、会社の経費にできますか?

会社の設立のために支出した費用で、会社の負担に帰すべきものは、創立費として会社の帳簿に入れる対象になります。個人の支払いを会社の取引として入れるには、その費用が会社のためのものであることを領収書や利用明細で示し、社長への精算(または会社の債務としての計上)を記録します。

Q. 1期目の決算を税理士に頼む場合、いつまでに相談すればよいですか?

申告期限は事業年度終了の日の翌日から2か月以内ですが、課税事業者や簡易課税の選択のように、1期目の終了の日までに届け出ないと選べないものもあります。届出の要否を決算日より前に確かめられるよう、決算日の前に相談しておくと選択肢が残ります。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月17日

参考資料

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