会計・税務に関する
お役立ち情報ブログ

ライバー・配信者(投げ銭)の確定申告とインボイス|売上の計上・経費・消費税を税理士が解説

確定申告
ライバー・配信者(投げ銭)の確定申告とインボイス|売上の計上・経費・消費税を税理士が解説

「振り込まれた金額をそのまま売上にして申告していた」「投げ銭は贈り物だから税金はかからないと思っていた」。ライブ配信を収入源にしている方から、確定申告についてこうした相談をいただきます。ライバー・配信者の収入は、プラットフォームを経由するために入金額と売上額がずれやすく、経費も私生活との線引きが難しい領域です。結果として、申告漏れも払いすぎも起こりやすい働き方といえます。

本記事では、ライバー・配信者の確定申告について、投げ銭の売上計上の考え方、事業所得と雑所得の分かれ目、経費と家事按分、消費税・インボイスまでを、2026年7月時点の国税庁の一次情報に基づいて整理します。年度で取り扱いが変わる数値は、その旨を明記します。

顧問税理士をお探しの方へ

会社の規模や記帳の状況をお聞きして、顧問料をお見積りします。

顧問契約のお見積り(無料)はこちら →

全国オンライン対応です。

投げ銭は「入金額」ではなく「手数料を引く前の総額」が売上

まず押さえたいのが売上の金額です。投げ銭やギフトは、視聴者がプラットフォームに支払い、プラットフォームが手数料を差し引いた残額をライバーに振り込む仕組みになっています。このとき、確定申告で計上すべき売上は、振り込まれた金額ではなく、手数料を差し引く前の総額です。差し引かれた手数料は「支払手数料」として必要経費に計上します。

入金額だけを売上にすると、売上と経費が両方とも小さく計上されます。所得金額(売上 − 経費)は同じになるため「結果は変わらない」と考えてしまいがちですが、実務上は不利になる場面があります。消費税の納税義務は課税売上高で判定されるため、総額で見れば1,000万円を超えているのに入金額ベースで判定して見落とす、といった事故が起こります。青色申告の記帳としても、総額で処理するのが正しい方法です。

投げ銭が「視聴者からの贈り物だから贈与ではないか」と考える方もいます。しかし、配信という役務の提供に対して継続的に受け取る対価であれば、所得税の課税対象になります。プラットフォームからの支払明細(配信レポート)を月ごとに保存し、総額・手数料・振込額の3つが分かる状態にしておくことが出発点です。

事業所得と「業務に係る雑所得」の分かれ目

ライバーの収入は、事業所得になる場合と、業務に係る雑所得になる場合があります。営利を目的として継続的・反復的に行っており、社会通念上、事業として行われていると判断できる規模であれば事業所得です。副業として不定期に配信しているだけであれば、業務に係る雑所得になることがあります。

この区分は税額に直結します。事業所得であれば青色申告特別控除(最大65万円)や損失の繰越しが使えますが、業務に係る雑所得ではこれらを使えません。一方で、業務に係る雑所得についても記帳・保存の負担は軽くありません。国税庁は、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合、現金預金取引等関係書類を保存する必要があるとしています。「雑所得だから何もしなくてよい」という理解は誤りです。

確定申告が必要になるライン(令和7年分・令和8年分と基礎控除が変わりました)

ライバー向けの解説記事では「所得48万円を超えたら申告」という説明が広く出回っていますが、これは令和6年分以前の基礎控除額を前提にした古い基準です。令和7年分(2025年分)と令和8年分(2026年分)に基礎控除が改正され、金額が変わっています。

納税者本人の合計所得金額 令和6年分以前 令和7年分 令和8年分・令和9年分
132万円以下 48万円 95万円 104万円
132万円超 336万円以下 48万円 88万円 104万円
336万円超 489万円以下 48万円 68万円 104万円
489万円超 655万円以下 48万円 63万円 67万円
655万円超 2,350万円以下 48万円 58万円 62万円

令和8年分・令和9年分の104万円・67万円には、合計所得金額655万円以下の人への上乗せ(特例)が含まれています。令和10年分以後は、合計所得金額132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円です(国税庁 No.1199)。

なお、会社員として給与をもらいながら配信している方は、別のルールも関係します。年末調整を受けた給与が1か所で、給与以外の所得(配信の所得など)が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。この20万円基準は基礎控除の改正とは別のもので、混同しないよう注意してください。逆に、20万円以下でも住民税の申告は必要になる点も押さえておきましょう。

記帳と確定申告を毎年まとめて任せたい個人事業主の方は顧問契約のお見積りを依頼する →

経費にできるもの・家事按分の考え方

配信活動の経費は、「配信のために必要だったと説明できるか」が判断の軸です。自宅で配信している方が多いため、私生活との線引きが最大の論点になります。

支出の種類 具体例 実務上の注意点
支払手数料 プラットフォーム手数料、事務所の取り分 売上を総額計上したうえで経費にする
消耗品費・工具器具備品 マイク、照明、三脚、キャプチャ機器 10万円以上は減価償却の対象になる
通信費 配信用の回線、モバイル通信 私生活と兼用なら使用実態で按分する
衣装費 配信専用の衣装、コスチューム 普段着として使えるものは対象外
美容費 配信のためのヘアメイク 私的な支出との区分が難しく、否認されやすい
地代家賃・水道光熱費 自宅の配信スペース分 面積・使用時間の割合で按分する
支払報酬 編集者・サムネイル制作の外注費 源泉徴収が必要になる場合がある

とくに争点になりやすいのが衣装費と美容費です。配信専用のコスチュームは経費として説明しやすい一方、私生活でも着られる普段着や、日常的なヘアカット・ネイルは事業との関連を説明しにくく、税務調査で否認されることがあります。判断に迷う支出は、「これがなければ売上が立たなかったと第三者に説明できるか」を基準に考えてください。

自宅の家賃・電気代を按分する場合は、割合そのものよりも根拠を残すことが重要です。配信に使っている部屋やスペースの面積、1か月あたりの配信時間の記録が、そのまま按分根拠になります。配信者はスケジュールがデータとして残るため、根拠づくりは他業種より有利です。

なお、プラットフォームからの入金は銀行口座に履歴が残り、支払側にも記録が残ります。「申告しなければ分からない」という前提は成り立たないと考えたほうが安全です。

消費税・インボイスの扱い

配信で得る収入は、消費税法上は役務提供の対価として課税売上になるのが基本です。基準期間(原則として2年前)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じます。前述のとおり、判定は入金額ではなく手数料控除前の総額で行います。

事務所(マネジメント会社)と契約している方は、事務所からインボイス発行事業者の登録を求められることがあります。事務所側が仕入税額控除を受けるために必要になるためです。登録して課税事業者になった場合の負担軽減策として、次の特例があります。

特例 内容 対象
2割特例 納付税額を売上税額の2割にできる 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間(個人事業者は令和5年分〜令和8年分)
3割特例 納付税額を売上税額の3割にできる 令和8年度税制改正で示された措置。個人事業者の令和9年分・令和10年分(基準期間の課税売上高1,000万円以下)

「2割特例が終わると急に負担が重くなる」と説明する記事もありますが、令和8年度税制改正では続く年分の措置として3割特例が示されています。3割特例の内容は国税庁の「令和8年度税制改正特集」に基づくもので、実際に適用する段階では最新の公表内容を確認してください。制度は現在も動いている領域です。

簡易課税制度(基準期間の課税売上高5,000万円以下で選択可)を使う場合、配信のような役務提供はサービス業として第5種事業(みなし仕入率50%)に区分されるのが一般的です。ただし機材投資が大きい年は実額計算(本則課税)のほうが有利になることもあります。

なお、海外に所在する配信プラットフォームから直接報酬を受け取っている場合、消費税の課税関係(国内取引に該当するか、輸出免税の対象になるか)は契約内容と役務の提供先の判定によって変わります。一律の結論は出せないため、個別に確認が必要な論点として扱ってください。本記事では断定を避けます。

まとめ:数字の作り方を先に決めておく

ライバー・配信者の確定申告でつまずくのは、税率や制度以前に「売上と経費の作り方」です。次の点を押さえておけば、申告漏れも払いすぎも避けられます。

  • 売上は振込額ではなく、プラットフォーム手数料を引く前の総額で計上する
  • 手数料・事務所の取り分は「支払手数料」として経費にする
  • 「所得48万円超で申告」は令和6年分以前の基準。令和7年分・令和8年分と基礎控除の金額が変わっている(令和8年分は合計所得489万円以下で104万円)
  • 会社員の副業なら、給与以外の所得20万円超で確定申告が必要
  • 衣装費・美容費は「配信専用かどうか」で判断し、迷うものは根拠を残す
  • 消費税は総額で1,000万円を判定し、2割特例・3割特例を含めて有利な方法を選ぶ

リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績とクラウド会計導入支援の知見をもとに、配信レポートからの売上の総額計上、家事按分の根拠づくり、freee・マネーフォワードクラウドでの記帳、消費税の選択判断までサポートしています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 投げ銭は視聴者からの贈り物なので、税金はかからないのではないですか?

A. 配信という役務の提供に対して継続的に受け取る対価であれば、所得税の課税対象になります。贈与として扱われるものではありません。プラットフォームからの支払明細を保存し、総額を売上として計上してください。

Q2. 振り込まれた金額を売上にしていました。修正が必要ですか?

A. 所得金額(売上 − 経費)が同じであれば税額に影響しない場合もありますが、消費税の1,000万円判定を誤るおそれがあるため、総額計上に直すのが正しい処理です。過去分の消費税の納税義務に影響する可能性があるので、金額規模が大きい方は個別に確認してください。

Q3. 配信で着る服は経費になりますか?

A. 配信専用のコスチュームであれば経費として説明しやすい一方、私生活でも着られる普段着は対象外です。判断に迷うものは、購入目的と使用実態を記録に残しておくと、税務調査の際の説明材料になります。

Q4. 副業で配信しています。いくらから確定申告が必要ですか?

A. 年末調整を受けた給与が1か所で、給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。なお、20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要になります。

Q5. 事務所からインボイス登録を求められました。登録すると損をしますか?

A. 登録すると免税事業者ではなくなるため、消費税の納税が発生します。ただし2割特例(個人事業者は令和8年分まで)や、令和8年度税制改正で示された3割特例(令和9年分・令和10年分)を使える場合があります。売上規模と機材投資の状況で有利な方法が変わるため、試算してから判断してください。

参考資料

関連記事

監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人の確定申告・税務調査対応を専門とする。

最終更新日: 2026年10月15日

新着情報NEWS

法人成りしたときの会計ソフトの切り替え|個人の事業所から法人用へ移す手順

IT・クラウド会計

会社の解散確定申告から清算確定申告までの流れ|たたむときの税務手続き

決算

社会保険の手続きを外注するときの分担|入社・退職・算定基礎・月額変更

法人向けサービス

freee・マネーフォワードで年末調整を行う手順【令和8年分】改正対応の確認ポイント

IT・クラウド会計

顧問税理士が廃業・引退するとき|引継ぎ先の探し方と会社側の手続き

経営相談

相続した賃貸物件の確定申告|遺産分割前の家賃の分け方と、亡くなった方の準確定申告

税務

賃貸物件を子に移す方法|贈与・売買・相続時精算課税と、移した後の家賃

税務

家賃収入の申告漏れに気づいたとき|期限後申告・修正申告と、さかのぼる年数

税務

夫婦・親子の共有名義の賃貸物件|持分での按分と経費の負担

税務