配信の報酬とバイト代が増え、親の扶養から外れるのか気になっていませんか。税金の扶養は、報酬や給与から経費・控除を引いた所得で判断し、健康保険は別の基準で確かめます。19〜22歳なら、扶養控除の基準を超えても、所得などの条件次第で親が受けられる控除があります。
この記事では、令和8年分の所得の計算方法と年齢ごとの控除、健康保険の扶養を確認するポイントを整理します。親の年末調整に向け、配信とバイトの今年の見込みをまとめましょう。
税金の扶養は「収入」ではなく「所得」で判定します
税金の扶養の判定で使うのは、受け取った金額(収入)ではなく、そこから必要経費などを引いた所得です。バイト代と配信の報酬では、引けるものが違います。
| 収入の種類 | 所得の計算 |
|---|---|
| バイト代(給与) | 給与の収入から給与所得控除を引く(令和8年分は最低74万円) |
| 配信の報酬(投げ銭など) | 報酬の総額から、機材・通信費などの必要経費を引く |
よくある誤解は、バイト代と配信の報酬を単純に足して「年収の壁」と比べることです。給与所得控除はバイト代にしか使えません。配信の報酬から引けるのは、実際にかかった経費です(青色申告をしている事業所得なら、青色申告特別控除も引けます。雑所得には使えません)。
所得税:親が受けられる控除
令和8年分は、子の合計所得金額(バイトの所得と配信の所得の合計)で次のように決まります。生計を一にしていることなど、所得以外の要件もあります。
19歳〜22歳の子
| 子の合計所得金額 | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 62万円以下 | 特定扶養控除 63万円 |
| 62万円超 123万円以下 | 特定親族特別控除(63万円〜3万円、下の表) |
| 123万円超 | なし |
16歳〜18歳の子
| 子の合計所得金額 | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 62万円以下 | 扶養控除 38万円 |
| 62万円超 | なし |
年齢は、原則としてその年の12月31日の年齢で判定します。19歳から22歳の子については、合計所得が62万円を超えても、123万円以下なら親は特定親族特別控除を受けられます。控除額は子の所得が増えるほど段階的に減ります。
| 子の合計所得金額 | 親の特定親族特別控除(所得税) |
|---|---|
| 62万円超 85万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 90万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 95万円以下 | 51万円 |
| 95万円超 100万円以下 | 41万円 |
| 100万円超 105万円以下 | 31万円 |
| 105万円超 110万円以下 | 21万円 |
| 110万円超 115万円以下 | 11万円 |
| 115万円超 120万円以下 | 6万円 |
| 120万円超 123万円以下 | 3万円 |
この表は所得税の計算で親の所得から引く額(所得控除の額)で、税金がこの額だけ減るわけではありません。住民税の控除額は別に決まっています。
例:20歳の大学生で、配信の報酬が年90万円、経費が10万円、バイトはしていない場合(青色申告特別控除などは使わない前提)、所得は80万円です。62万円を超えるので扶養控除の対象からは外れますが、親は特定親族特別控除63万円を受けられます。
本人の税金:所得税がかかるか
子ども本人にも所得税がかかるかどうかは、所得から基礎控除などを引いて判定します。令和8年分の基礎控除は、合計所得金額が489万円以下なら104万円です。学生であれば勤労学生控除(27万円)を受けられる場合もあります。勤労学生控除は、合計所得が89万円以下で、自分の勤労によらない所得が10万円以下であることなどが条件です。配信の報酬も、自分で配信して得た事業所得や雑所得であれば、勤労による所得に当たり得ます。
PocochaやIRIAMのように換金のときに源泉徴収されるアプリでは、所得税がかからない人でも税金が引かれています。確定申告(還付申告)をすると、払いすぎた分が戻る場合があります。
住民税は、所得税とは基準が違います。住民税の基礎控除は43万円のままで、住民税がかからない所得の基準も住んでいる市区町村などで異なります。所得税がかからなくても、住民税がかかることがあります。
健康保険の扶養は別の基準です
親の健康保険の扶養に入っていられるかどうかは、税金とは別の基準で決まります。
- 年間の収入見込みが130万円未満であることが基本です。
- 2025年10月1日からは、19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)は150万円未満になりました。年齢は、扶養に入る日の属する年の12月31日の年齢で見ます。
- 収入の額のほかに、同居なら原則として親の収入の半分未満、別居なら親からの仕送りの額未満であることなどの条件もあります(同居で半分以上でも、親の収入以下で、親が生計を支える中心と認められる場合などは、総合的に判断されることがあります)。
- 配信のような自営の収入は、協会けんぽでは「年間の総収入から、社会通念上明らかにその所得を得るために必要な経費を引いた額」で見ます。確定申告の所得と同じになるとは限りません。
- 親が入っている健康保険組合によって、見方が違うことがあります。
税金の扶養と健康保険の扶養は、基準の額も計算のしかたも違います。片方だけ見て安心しないようにしてください。
今からやっておくこと
- 今年1月からの配信の報酬(アプリの換金・付与の履歴)と、バイトの給与明細を集める。
- 機材・通信費など配信にかかった経費の領収書や履歴をまとめる。
- 12月までの見込みを足して所得を出し、親に伝える。親は勤め先の年末調整で、子の所得の見積額を書きます。
- 源泉徴収されているなら、来年の確定申告で還付を受けられるか確かめる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「103万円の壁」は今もありますか?
A. 令和8年分は、給与だけの子の場合、扶養親族になれる給与収入の目安は136万円以下です。ただし配信の報酬には給与所得控除が使えないので、配信の報酬がある人は所得で計算し直してください。また、健康保険の扶養は収入で見るので、16〜18歳の子は年130万円未満(19〜22歳は150万円未満)という別の基準も確かめてください。
Q2. 扶養から外れると、親の税金はどれくらい増えますか?
A. 親の所得税率によって変わります。19歳から22歳の子なら、123万円以下までは特定親族特別控除が残るので、急に控除がゼロになるわけではありません。
Q3. 配信をやめた年はどうなりますか?
A. その年の所得で判定するので、やめた年でも1月からの報酬は数えます。住民税は前の年の所得にかかるので、やめた翌年にも住民税の支払いが来ることがあります。
配信の報酬の売上の計上や経費の考え方は、ライバー・配信者(投げ銭)の確定申告とインボイスで解説しています。
参考資料
- 国税庁:No.1180 扶養控除
- 国税庁:No.1177 特定親族特別控除
- 国税庁:No.1199 基礎控除
- 国税庁:No.1175 勤労学生控除
- 国税庁:令和8年度税制改正による所得税の改正について
- 日本年金機構:19歳以上23歳未満の被扶養者の収入要件の変更
- 協会けんぽ:被扶養者の認定に関するよくある質問
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人の確定申告・税務調査対応を専門とする。
最終更新日: 2026年10月23日
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