「10月から換金額が少し減った」。Pococha・IRIAM・ふわっちで配信しているライバーの方から、こうした声が出ています。2026年10月1日から、インボイスの登録番号をアプリに登録していないライバーへの支払いで、差し引かれる率が1.82%から2.73%に上がりました。17LIVEでも、免税事業者の認証ライバーへの報酬から、消費税の相当額を新たに差し引くようになっています。
本記事では、何が変わったのか、なぜ2.73%なのか、源泉徴収とはどう違うのか、そしてインボイスに登録した方が得なのかを、国税庁の資料と各アプリの公式の告知に基づいて整理します(2026年10月23日時点)。
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10月1日から何が変わったか
各アプリの公式の告知で確認できた変更は次のとおりです。
| アプリ | 2026年9月30日まで | 10月1日から |
|---|---|---|
| Pococha | 1.82% | 2.73% |
| IRIAM | 1.82% | 2.73% |
| ふわっち | 1.82% | 2.73% |
| 17LIVE | 差し引きなし | 税抜額の3%(税込の約2.73%) |
対象になる人と、差し引く対象は次のとおりです。
- Pococha:登録番号を登録していないフリーライバーと、「ライバー直接支払い」の事務所所属ライバー。ダイヤの換金申請額から差し引きます。
- IRIAM:登録番号を登録していないライバー。ダイヤの換金申請額から差し引きます(10月1日0時以後の申請から)。
- ふわっち:登録番号を登録していないライバー。付与されるふわっちポイント(ランキングイベントの特典ポイントを含む)から差し引きます。
- 17LIVE:免税事業者の認証ライバー。2026年10月1日以後に発生した報酬を引き出すときに差し引きます(税込110万円の報酬なら3万円)。
事務所に所属していて、報酬を事務所から受け取っている方は、事務所との契約で扱いが決まります。所属先にご確認ください。17LIVEは認証ライバーと認証以外のライバーで案内が分かれているので、自分がどちらに当たるかを公式のFAQで確認してください。
なぜ2.73%なのか:インボイスの経過措置が80%から70%へ
アプリの運営会社は、ライバーに払う報酬にかかる消費税を、自分の納める消費税から差し引いています(仕入税額控除)。ところが、インボイスに登録していない相手への支払いは、差し引ける額が段階的に減っていきます。この経過措置は令和8年度の税制改正で見直され、次の日程になりました。
| 運営会社が報酬を払う(課税仕入れの)期間 | 運営会社が差し引ける割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | 経過措置は終わり |
運営会社にとっては、差し引けなくなった分がそのまま負担になります。各社はこの経過措置の変更を理由に、減額率を見直したと説明しています。なお、減額の率を切り替える基準の日(換金を申請した日・ポイントを付与した日・報酬が発生した日)は、アプリごとに決めた支払いの条件です。
計算してみると、税込110円の報酬に含まれる消費税10円のうち、差し引けない部分の割合は次のとおりです。
- 80%を差し引ける期間:10円×20%÷110円=約1.82%
- 70%を差し引ける期間:10円×30%÷110円=約2.73%
どちらも各社の率と一致します。ただし、各社がこの式で率を決めたと公表しているわけではありません。経過措置は2028年10月にさらに50%へ下がる予定なので、同じ考え方をとるアプリでは、そのときに減額率が再び見直される可能性があります。
減額は「源泉徴収」とは別物で、確定申告でも戻りません
PocochaやIRIAMでは、換金のときに所得税の源泉徴収(10.21%、1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%)も行われます。この2つは性質がまったく違います。
| 比較項目 | 源泉徴収 | インボイス未登録の減額 |
|---|---|---|
| 何のお金か | あなたの所得税の前払い | 報酬そのものが少なくなる支払条件 |
| 確定申告で | 年間の税額と精算され、払いすぎなら還付される | 戻らない |
| 申告書の書き方 | 「源泉徴収税額」の欄に入れる | 源泉徴収税額に入れない |
減額された分を源泉徴収税額として入力すると、税金を少なく申告することになります。明細では2つが並んで表示されることがあるので、取り違えないようにしてください。
インボイスに登録した方が得か
登録してアプリに番号を届けると減額はなくなりますが、代わりに消費税の申告と納税が始まります。売上が年1,000万円以下でも、登録している間は消費税を納める義務がなくなりません。そこで、小規模な事業者向けの次の特例と比べます。どちらの特例にも、前々年の売上(基準期間の課税売上高)などの適用の要件があります。
- 2割特例:納める消費税を、売上にかかる消費税の2割にできる。個人事業者は令和8年分まで。
- 3割特例:令和8年度の改正で個人事業者向けにできた制度。令和9年分と令和10年分は、納める消費税を売上にかかる消費税の3割にできる。インボイスの登録が理由で課税事業者になった人が対象で、前々年の売上が1,000万円を超えている人などは使えない。
年間の報酬が税込110万円で、すべてに2.73%が適用され、特例の要件を満たすと仮定して比べると、次のようになります。
| 比べるもの | 年間の額 |
|---|---|
| 未登録で差し引かれる額(110万円×2.73%) | 30,030円 |
| 登録して2割特例で納める消費税・令和8年分まで(110万円×10/110×20%) | 20,000円 |
| 登録して3割特例で納める消費税・令和9・10年分(110万円×10/110×30%) | 30,000円 |
2割特例を使える間は登録した方が約1万円少なく、3割特例の年はほぼ同じです。ただし、この比較には次のものが入っていません。
- 消費税の申告の手間と費用
- 所得税・住民税への影響
- 配信以外の売上(企業案件・グッズなど)にも消費税がかかること
- 令和11年分からは特例がなくなり、簡易課税か本来の計算になること
- 2026年は10月からだけが2.73%で、9月までは1.82%だったこと
減額の差だけを見ると、登録の得は大きくありません。企業案件の取引先から登録を求められている、売上が伸びて1,000万円を超えそうなど、配信以外の事情とあわせて決めるのが現実的です。
登録すると決めたら
- 税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を出す(e-Taxで出せます)。
- 通知された登録番号を、各アプリの指定の画面で登録する。減額が止まる時点はアプリごとに違います。
- Pococha:番号の登録が即時に反映され、その後の換金申請から
- IRIAM:運営の確認が完了した後の換金申請から
- その他のアプリ:登録が反映される時点を各社の案内で確かめてください
- 翌年の確定申告で、所得税とは別に消費税の申告をする。2割特例・3割特例は、申告書に書けば使えます(事前の届出は要りません)。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 減額された分は経費になりますか?
A. 減額前の額で売上を計上した場合は、減額された分を売上から差し引くか、経費にします。減額後の額で売上を計上した場合は、そのままで足ります。どちらの書き方でも所得は同じになるので、二重に引いたり、引き忘れたりしないよう、毎年同じ書き方にそろえてください。
Q2. 事務所に所属しています。2.73%は関係ありますか?
A. 報酬をアプリの運営会社から直接受け取る契約(Pocochaの「ライバー直接支払い」など)なら関係します。事務所から受け取る場合は、事務所との契約によります。
Q3. 登録をやめることはできますか?
A. 届出を出せば登録をやめられますが、やめられる時期には決まりがあります。2024年以後に登録した免税事業者は、登録をやめても、登録した年の翌年から登録日の2年後を含む年までは免税事業者に戻れません。たとえば2026年11月に登録すると、2027年分と2028年分は消費税の申告が続きます。登録の前に、やめるときの手続きまで確認しておくと安心です。
投げ銭の売上の計上のしかたや経費の考え方は、ライバー・配信者(投げ銭)の確定申告とインボイスで詳しく解説しています。
参考資料
- 国税庁:令和8年度税制改正特集(インボイス関係)
- 国税庁:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)
- 国税庁:No.6501 納税義務の免除
- 国税庁:適格請求書等保存方式に関するQ&A(問7)(PDF)
- Pococha:公式の告知(インボイス制度への対応)
- IRIAM:公式の告知(インボイス制度への対応)
- ふわっち:インボイス制度への対応について
- 17LIVE:インボイス制度(よくあるご質問)
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人の確定申告・税務調査対応を専門とする。
最終更新日: 2026年10月23日
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