YouTubeやTwitchで収益を受け取っている方は、毎年のように「米国の税務情報」の確認を求められます。出さないままにしておくと、日本に住んでいても米国の税金が収益から差し引かれます。引かれた税金は、日本の確定申告で必ず取り戻せるわけではありません。
本記事では、米国の税務情報とは何か、出さないとどうなるか、引かれた税金を日本の確定申告でどう扱うかを、Google・Twitchの公式ヘルプと国税庁・財務省の資料に基づいて整理します(2026年10月23日時点)。
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なぜ米国の税務情報を出すのか
米国の視聴者から生じたYouTubeの収益は、米国の税法上、米国で税金がかかる収入として扱われ、支払いの際にGoogleが米国の税金を差し引く仕組みになっています。Googleは、YouTubeパートナープログラムの収益を「その他の著作権使用料」の区分として案内しています。
日本と米国の間には租税条約があり、日本に住む人が受け取る著作権使用料は、条約の第12条で日本でのみ課税されると定められています。この条約の取扱いを受けるために出すのが、米国の税務情報です。
- 日本に住む個人:通常はW-8BENを出し、日米租税条約の適用を申請します。
- 法人:通常はW-8BEN-Eです。
条約の要件を満たし、申請が認められれば、米国の視聴者からの収益に対する米国の税率は0%になります。ただし、日本に住んでいれば自動的に0%になるわけではありません。フォームを出して認められることが必要です。
出さないと、どれだけ引かれるか
Googleの公式ヘルプでは、状況によって次のように説明されています。
| 状況 | 差し引かれる米国の税金 |
|---|---|
| 個人のアカウントで税務情報を出していない | 全世界の収益の最大24% |
| 米国外の事業用アカウントで税務情報を出していない | 米国の視聴者からの収益の30% |
| 税務情報は出したが、条約の適用を申請していない | 米国の視聴者からの収益の30% |
| 税務情報を出し、条約の適用が認められた | 米国の視聴者からの収益の0% |
個人で出していない場合は、米国以外の視聴者の分も含めた全世界の収益から引かれる点に注意してください。
毎年の確認と、フォームの期限
- Googleは、毎年税務情報を確認・更新し、税務フォームの提出と条約の適用の申請を毎年12月10日までに済ませるよう案内しています。
- フォームは、内容に変わりがなくても、署名した年の翌年から数えて3年目の年末に期限が切れます(例:2026年に署名した場合は2029年12月31日)。
- AdSenseの「お支払い」→「設定を管理」→「米国の税務情報」から確認・提出できます。
住所や名前が変わった場合も、出し直しが必要です。税務情報を出して支払いを受けた人には、毎年4月14日までに1042-Sなどの書類が出ます。
Twitchの場合
Twitchは、Amazonの税務情報のインタビューに答える形で税務情報を出します。ロイヤリティにかかる税とサービスにかかる税の2種類が案内されており、税務情報が未完了だったり期限が切れていたりすると、最大30%が適用される可能性があります。支払いの履歴の画面で、総収益・手数料・予想される源泉税を確認できます。
引かれた米国の税金は、日本の確定申告でどうなるか
日本に住んでいる人は、YouTubeやTwitchの収益も日本の所得税の対象になります(確定申告が必要かどうかは、所得の額や給与の有無などで決まります)。ドル建てで受け取る収益は、収入にする日の為替レート(原則は電信売買相場の仲値)で円に直します。AdSenseなどで円で表示・支払いされる額は、その円の額を使います。
米国で引かれた税金は、日本の確定申告で次のどちらかで扱えることがあります。
- 外国税額控除:日本の所得税から、控除できる上限の範囲で差し引く。
- 必要経費:経費として所得から引く。
どちらにするかは、その年の外国の税金の全体について年ごとに選び、同じ税金を両方に使うことはできません。また、外国税額控除の対象にならない税金なら必ず経費にできる、というわけでもありません。
ここで大事なのは、租税条約で本来かからないはずの税金は、外国税額控除の対象にならないことです。W-8BENを出していれば0%で済んだ分は、日本の確定申告では取り戻せず、Googleや米国側の手続きで返してもらうしかない場合があります。引かれてから日本で何とかする、という考え方は通用しないので、フォームを先に出しておくのが一番の対策です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 収益が少ないので、税務情報は出さなくてもいいですか?
A. 個人で出していないと、全世界の収益の最大24%が引かれることがあります。収益が少なくても、出しておく方が手取りは多くなります。
Q2. マイナンバーを書く欄がありますが、書いて大丈夫ですか?
A. 条約の適用には、日本の納税者番号(外国の納税者番号)の記入を求められることがあります。Twitchの公式ヘルプでも、日本のマイナンバーの利用が説明されています。各社の公式の画面から入力してください。
Q3. 1042-Sは確定申告で使いますか?
A. 米国で差し引かれた税金の額を確認する資料になります。外国税額控除を受ける場合などに、引かれた額の根拠として保存しておいてください。1042-Sは確定申告の期限より後に届くことがあるので、その場合はAdSenseのお支払いの画面などで、差し引かれた額を確かめてください。
配信の報酬の売上や経費の考え方は、ライバー・配信者(投げ銭)の確定申告とインボイスで解説しています。
参考資料
- Google:YouTube での収益に関する米国の税務要件
- Google:米国の税務情報を AdSense に提出する
- Twitch:税務情報インタビューに関するFAQ
- 財務省:日米租税条約(第12条 使用料)(PDF)
- 国税庁:No.1240 居住者に係る外国税額控除
- 国税庁:所得税基本通達46-1(外国所得税を必要経費に算入する場合)
- 国税庁:所得税基本通達57の3-2(外貨建取引の円換算)
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、個人の確定申告・税務調査対応を専門とする。
最終更新日: 2026年10月23日
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