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補助金に採択されたら何をする?入金までの手続きと経理で残す書類

経営相談
補助金の採択後にすること|交付申請から実績報告までに経理でそろえる証拠書類
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補助金の採択通知を受け取ると、発注を始める時期や、入金までの準備が気になりますよね。採択だけで入金が決まるわけではなく、その後の申請や報告が必要です。発注や支払の条件は、利用する補助金の手引きで確かめましょう。

この記事では、新事業進出補助金を例に、採択後の手続きと経理で残す書類を整理します。手引きは中小企業新事業進出促進補助金『交付申請される方』に掲載されています。

申請前の制度選びには、IT導入補助金で会計ソフトを導入する方法や2026年の創業補助金・助成金一覧も参考になります。

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採択から入金までの流れ

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)が適用される国の補助金は、交付の決定、実績報告、額の確定という順に進みます。新事業進出補助金の手引きでは、各段階に次のような期限や条件が付いています。

段階 内容(新事業進出補助金の例) 経理で残すもの
採択 補助金交付候補者として採択。オンライン説明会への参加が必須 採択通知、応募時の経費明細
交付申請 原則、採択発表日から2か月以内。申請内容に基づき補助対象経費が精査される 見積依頼書、見積書、相見積書、経費明細表
交付決定 交付決定日以降に補助事業を開始できる 交付決定通知書(補助事業完了期限日が書かれている)
補助事業の実施 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月後の日まで)に契約・納入・検収・支払・実績報告までを完了 契約書・注文書、納品書、検収書、請求書、振込の記録
実績報告 完了日から起算して30日を経過した日か、補助事業完了期限日のいずれか早い日まで 費目別支出明細書、取得財産等管理台帳、全ての経理証拠書類の写し
額の確定・精算払請求 確定検査を経て補助金確定通知書を受け取り、その後に精算払請求 補助金確定通知書、請求書の控え
入金後 事業化状況報告(5年間で計6回)、処分制限財産の管理 決算書、取得財産等管理台帳

手引きには、採択金額=補助金額ではなく、補助対象経費は交付審査で審査されると明記されています。応募時に計上した経費がすべて認められるとは限らず、交付決定額が減額されることもあります。資金繰りは、採択額ではなく交付決定額と入金の時期で組み立てます。

交付申請までにそろえる書類:見積と相見積

交付申請の段階で、経理が中心になって集めるのは見積関係の書類です。新事業進出補助金の手引きでは、計上する全ての補助対象経費について見積書の提出が要り、要件・仕様等を詳しく書いた見積依頼書を出したうえで見積書を取ることとされています。

  • 発注先1者当たりの見積額の合計が50万円以上(税抜き)なら、全ての費目で同一仕様による3者以上の見積書を取る
  • 50万円未満(税抜き)なら1者以上(広告宣伝・販売促進費は2者以上)の見積書を取る
  • 相見積書の中で最低価格を提示した者を選ぶのが原則
  • 知的財産権や独占販売権などで販売元が限られ、相見積書が取れない場合は事務局に連絡する
  • 見積書・請求書が外貨建てなら、見積取得日の公表仲値(TTM)で円換算し、使ったTTMの年月日と金融機関名が分かる資料を添付する

消費税は補助対象経費から外して申請する

見落としやすいのが消費税です。手引きでは、補助事業者が課税事業者(免税事業者・簡易課税事業者以外)の場合、補助事業に係る課税仕入れの消費税等相当額(消費税等仕入控除税額)は、原則としてあらかじめ補助対象経費から減額しておくとされています。消費税の還付と補助金が重複しないための決まりです。経費明細の金額は税抜きでそろえ、見積書の税込金額と取り違えないようにします。

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交付決定後の発注と支払のルール

交付決定の後は、発注と支払の「やり方」そのものが補助対象になるかどうかを左右します。新事業進出補助金の手引きに書かれた主なルールは次のとおりです。

ルール 手引きでの扱い・注意点
交付決定日以降に契約(発注)し、補助事業完了日までに納品・検収・支払を終える 交付決定日より前に発注した経費、完了日より後に納品・検収・支払をした経費は補助対象外
支払は銀行振込で行う 全ての支払は銀行振込の実績で確認される。決済サービスは銀行振込とみなされない
クレジットカード払いは、取引先の指定などやむを得ない場合だけ、事前に事務局へ相談 法人は補助事業者名義のカードに限る。完了期限日までに口座からの引落しが必要
分割払いは、全ての支払を補助事業実施期間内に終える 期間内に終わらない支払があると、その契約に含まれる全ての経費が対象外
補助事業の経費とそれ以外の経費をまとめて払う「混合払い」をしない 手引きで「行わないでください」とされている
支払は原則として補助事業者自身が行う 事前相談のない補助事業者以外による支払は対象外

支払の証拠としては、振込日・振込先・振込金額が確認できる伝票類を残します。振込予約画面は銀行振込の実績の証拠と認められず、振込が完了したことが分かる証憑が要るとされています。ネットバンキングで振り込む会社は、予約の画面ではなく、実行後の取引記録を保存する運用にしておきます。

※説明のための架空の例です。機械の代金を、同じ取引先への既存事業の部品代とまとめて1回で振り込むと、補助事業分だけを切り分けた支払の証拠が残りません。補助事業の支払は、請求書も振込も補助事業分だけで1本にしておくのが安全です。

実績報告で出す証拠書類

実績報告では、補助事業に係る全ての経理証拠書類の写しを出します。補助金額の確定にあたり、取得財産や帳簿類の確認ができない場合は、その財産等に係る金額は補助対象にならないとされています。全ての経費区分に共通して出すのは「費目別支出明細書」と「取得財産等管理台帳」で、そのうえで経費区分ごとに書類が決まっています。

証拠書類(機械装置・システム構築費の例) 手引きでの補足
見積書・相見積書 交付申請時から変更がなければ提出不要
契約書 補助事業者発行の注文書と発注先発行の受注書のセットでも可。工事を伴う場合は工事請負契約書が必須
納品書・引渡書・完了報告書 納品場所の記載が要る
保険・共済への加入を示す書類 補助金で取得した機械装置・建物等が保険の対象になっていることを示す
検収書 納品書等のコピーに「検収印」「検収年月日」「立会者名」を追記したものでも可
設置後の写真 製造番号のある機械は該当箇所が分かる写真
請求書 取引先・発行者・請求内容・金額・内訳・請求日・振込先などの記載が要る
代金支払済みを示す証票 銀行の振込金受領書や支払証明書など。ネット銀行は取引記録の画面のコピー
通帳のコピー 出金が確認できる部分と、金融機関名・口座番号・口座名義が分かる部分

日付の整合性が一番の確認点

手引きでは、経理証拠書類は見積依頼日から補助事業終了日まで日付の整合性が取れている必要があり、取れない経費は補助対象外になる場合があるとされています。見積依頼書、見積書、注文書、納品書、検収書、請求書、振込の順に日付が並んでいるかを、1件ずつ確かめます。着手金や中間払いなど先に払う契約になっている場合は、契約書等にその旨を書いておきます。

チェック 確かめる点
注文書の日付 交付決定日以降になっているか
納品書・検収書の日付 注文書より後で、補助事業完了日までか
請求書と振込の金額 一致しているか。振込手数料を差し引いて払っていないか
振込の名義 補助事業者自身の口座から払っているか
費目別支出明細書と元帳 明細書の金額が、預金出納帳や各種元帳の記帳と一致するか

帳簿の側で準備しておくこと

手引きは、補助事業者に「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」に拠った計算書類の作成に努めることを求め、収支の事実を明確にした証拠書類を、補助金を受給した年度の終了後5年間保存するよう定めています。会計ソフトでは、次のように補助事業の取引を追える形にしておくと、実績報告と決算の両方で同じ資料を使えます。

  • 補助事業の取引に部門やタグを付け、元帳から補助事業分だけを抜き出せるようにする
  • 取得した設備は、法人税の固定資産台帳と、補助金の取得財産等管理台帳の両方に載せる
  • 証拠書類は補助事業ごと・発注先ごとにまとめ、受給年度の終了後5年間保存する
  • 消費税の申告で仕入控除税額が確定したら、補助金側の報告・返還の要否を確かめる

最後の点について、新事業進出補助金の手引きでは、消費税等仕入控除税額が確定した場合は速やかに中小機構へ報告し、返還命令に基づいて全部または一部を返還する必要があるとされています。消費税の申告と補助金の手続が別々の担当で進むと漏れやすいので、決算の段取りに組み込んでおきます。

補助金の収益計上の時期について、この手引きには「補助金は経理上、支払を受けた事業年度における収入として計上するもの」で、法人税等の課税対象になると書かれています。固定資産の取得に充てるための補助金には圧縮記帳が認められるとも書かれています。決算の時期と入金の時期が近い場合は、確定通知と入金の日付を並べて、どの期に計上するかを決めます。

入金後も続く義務

補助金は入金されたら終わりではありません。新事業進出補助金の手引きでは、入金後にも次のような義務が続きます。

義務 内容
事業化状況報告 補助事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間で計6回報告する。報告が無い場合や虚偽の場合は交付決定の取消しや返還の対象
財産処分の制限 処分制限期間内に処分するときは事前に承認を受け、残存簿価相当額などにより補助金額を限度に納付する。期間は減価償却資産の耐用年数等に関する省令を準用
保険・共済への加入 最低でも事業計画期間終了までの間を補償し、補助金の補助率以上の付保割合で、風水害を含む自然災害を補償するもの

補助金で取得した財産は、原則として専ら補助事業に使う必要があり、既存事業に使った場合などは交付の目的に反する使用と判断されて、残存簿価相当額等の納付を求められることがあります。設備の配置換えや売却、担保設定を考えるときは、事前に手引きと事務局の案内を確かめます。

まとめ:採択後の経理は「順番どおりの日付」と「分けた支払」で決まる

  • 採択は補助金額の決定ではない。交付申請で補助対象経費が精査され、交付決定額が減ることもある
  • 交付申請までに見積依頼書・見積書・相見積書をそろえる。消費税等仕入控除税額は補助対象経費から外す
  • 交付決定日より前の発注は対象外。支払は補助事業者自身の口座からの銀行振込で、混合払いをしない
  • 実績報告では全ての経理証拠書類の写しを出す。見積依頼日から完了日まで日付の整合性を確かめる
  • 入金後も、事業化状況報告、財産処分の制限、消費税等仕入控除税額の報告と返還が続く

どの書類が要るかは補助金ごとに違いますが、「交付決定の後に発注し、補助事業分だけを銀行振込で払い、日付の順に書類を残す」という骨格は共通です。採択の通知が届いたら、まず手引きを読み、経理の手順に落としておくと手戻りを防げます。

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よくある質問

Q. 採択の通知が来たので、すぐに機械を発注してもよいですか?

新事業進出補助金の手引きでは、交付決定日より前に補助事業に係る契約(発注を含む)をした経費は補助対象にならないとされています。採択は交付決定ではないので、交付申請をして交付決定通知を受け取ってから発注します。他の補助金も、いつから発注できるかは公募要領や交付規程で決まっているので、開始できる日を確かめてください。

Q. 補助事業の支払に会社のクレジットカードを使えますか?

新事業進出補助金では、支払は銀行振込の実績で確認するのが原則で、クレジットカード払いは取引先から指定されるなどやむを得ない場合に限り、事前に事務局へ相談したうえで例外的に認められます。法人の場合は補助事業者名義のカードであること、補助事業完了期限日までに口座から引き落とされていることが条件です。ポイントで支払った分は減算処理が要ります。

Q. 証拠書類はいつまで保存すればよいですか?

新事業進出補助金の手引きでは、収支の事実を明確にした証拠書類を、補助金を受給した年度の終了後5年間保存するよう定めています。法人税法上の帳簿書類の保存期間とは別の決まりなので、両方の期間を満たすように保存します。処分制限財産は耐用年数を経過するまで処分が制限されるので、取得財産等管理台帳はそれまで手元に置いておきます。

Q. 見積書の金額より実際の請求額が高くなった場合、差額も補助されますか?

新事業進出補助金の手引きでは、外貨建ての取引で支払時に円安になった場合でも、交付される金額は補助金交付決定額が上限とされています。また、交付決定後に経費の配分や内容を変更しようとする場合は、事前に事務局の承認を得ることとされています。請求額が見積より増えそうなときは、発注前に事務局へ相談します。

この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月25日

参考資料

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