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親からお金をもらったら贈与税はかかる?計算と申告の基本(2026年版)

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親からまとまったお金をもらい、贈与税の申告が必要なのか気になっていませんか。原則の暦年課税では、1年間にもらった課税対象の財産が合計110万円以下なら、贈与税はかかりません。親子間でも、生活費としてその都度使うのか、預金に回すのかで扱いが変わります。

この記事では、身近なお金のやり取りを判定表で確かめながら、税金がかかる場面と計算方法を整理します。相続時精算課税との違いや申告の期限も、2026年10月時点の内容で確認できます。

この記事の要点

  • 贈与税は、個人から財産を贈与でもらった人が納める税金です。会社(法人)からもらった場合は、贈与税ではなく所得税がかかります。
  • 暦年課税では、1月1日から12月31日までにもらった財産を合計し、110万円を引いた残りに課税します。110万円はもらった人ごとの金額です。
  • 例:500万円をもらうと、一般税率で53万円、特例税率(18歳以上の子や孫が父母・祖父母から)で48万5,000円です。
  • 申告は翌年2月1日から3月15日です。2026年中の贈与なら、2027年2月1日(月)から3月15日(月)です。
  • 相続時精算課税を選ぶと、贈与者ごとに2,500万円まで贈与税がかからず、超えた分は一律20%です。選ぶと暦年課税には戻れません。

贈与税とは|誰が、何に対して払う税金か

贈与税は、贈与によって財産を取得したときにかかる税金です。相続税法は、贈与により財産を取得した個人に贈与税を納める義務がある、と定めています(相続税法1条の4)。

納めるのは「もらった人」

贈与税を納めるのは、財産をあげた人ではなく、もらった人です。国税庁のタックスアンサー(No.4402)も、贈与税は「個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金」としています。

ただし、財産をあげた人(贈与者)にも、贈与した財産の価額を限度として、連帯して納付する責任があります(相続税法34条4項)。納税義務者はもらった人で、あげた人の責任は、これに加わるものです。

会社からもらったときは所得税

国税庁は、法人から贈与により財産を取得したときは、贈与税ではなく所得税がかかる、としています(No.4402・No.4405)。相続税法も、法人からの贈与で取得した財産を贈与税の課税価格に入れないと定めています(相続税法21条の3第1項1号)。

贈与は「あげます」「もらいます」で成り立つ

民法は、贈与を「当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」としています(民法549条)。つまり、もらう側の受諾がないと、贈与は成り立ちません。もらう人が未成年者の場合は、単に財産をもらうだけなら自分で受諾でき(民法5条1項ただし書)、親権者が子に代わって受諾することもできます(民法824条)。

また、書面にしていない贈与は、渡す前なら各当事者が解除できます。すでに渡し終えた部分は解除できません(民法550条)。

税金の上では、財産をもらった時期が、どの年の贈与になるかを決めます。国税庁(No.4402 Q&A)によると、取得の時期は次のとおりです。

贈与のしかた取得の時期
口頭による贈与贈与の履行があった時
書面による贈与贈与契約の効力が発生した時
停止条件付きの贈与その条件が成就した時
農地等の贈与農地法の許可または届出の効力が生じた時

12月末と1月初めをまたぐ贈与では、この時期で「どの年の110万円」に入るかが変わります。贈与契約書の書き方は贈与契約書の書き方|ひな形と、名義預金とみなされないための残し方で説明します。

贈与税がかかる場面・かからない場面|18の場面の判定表

贈与税は、原則として、贈与を受けたすべての財産にかかります。ただし、財産の性質や目的から、かからないものが決められています。逆に、「あげた」「もらった」と言っていなくても、贈与を受けたものとみなされる場合があります。

次の表は、よくある18の場面を、一次資料の根拠とともに4つに分けて整理したものです。自分の場合に近い行を探してください。番号は1〜18で、表をまたいで通しています。

現金・生活費・日常のやり取り

場面贈与税根拠・補足
1. 親から子へ、1年に300万円を現金で渡したかかる110万円を引いた190万円に課税。贈与税は19万円
2. 親から子へ、1年に100万円を渡した(ほかの贈与なし)かからない・申告不要110万円以下(No.4402)
3. 同じ年に、父から60万円、祖父から60万円をもらったかかる合計120万円で、110万円はもらった人ごと。贈与税は1万円(No.4410)
4. 勤務先の会社から金品をもらった贈与税は対象外(所得税)法人からの贈与(相続税法21条の3第1項1号)
5. 親が、子の生活費や学費を必要なときに直接支払ったかからない扶養義務者間で、通常必要と認められるもの(相続税法21条の3第1項2号)
6. 「生活費」として渡したお金を、子が預金したかかる預貯金や買入資金にした部分は、通常必要と認められるもの以外(相基通21の3-5)
7. 香典、年末年始の贈答、お祝い、お見舞い社会通念上相当なら、かからない社会通念上相当と認められる範囲に限る(No.4405)
18. 口約束で「あげる」と言ったが、まだ渡していない渡した時の贈与書面でなければ渡す前なら解除できる(民法550条)。口頭は履行の時(No.4402 Q&A)

住宅などの特例

場面贈与税根拠・補足
8. 親から家の購入資金をもらった(2026年12月31日までの贈与)非課税の特例の要件を満たせば、かからない省エネ等住宅1,000万円・それ以外500万円。申告が要る(措法70条の2、No.4508)
9. 婚姻20年以上の夫婦で、夫から妻へ居住用不動産を贈与した110万円のほかに2,000万円まで控除申告が要る。同じ配偶者からは一生に1回(相続税法21条の6、No.4452)
16. 教育資金の一括贈与を、2026年4月1日以後に新しく始めたい新しい適用は受けられない2026年3月31日で終了。それまでに適用を受けた分は継続(措法70条の2の2、No.4510)
17. 結婚・子育て資金の一括贈与(2027年3月31日まで)1,000万円まで非課税受贈者は18歳以上50歳未満。前年の合計所得金額1,000万円超は不可(措法70条の2の3、No.4511)

保険・借金・みなし贈与

場面贈与税根拠・補足
10. 自分が保険料を負担していない生命保険の満期保険金を受け取ったかかる(贈与とみなす)保険料を負担した人から贈与を受けたものとされる(相続税法5条、No.4417)
11. 時価より著しく安い価額で、親から土地を買った差額が贈与とみなされる相続税法7条
12. 親が子の借金を、子に代わって返済した返済額が贈与とみなされる相続税法8条。子が資力を失って返済が困難な部分は除く
13. 親から子へ、無利子でお金を貸した贈与とみなされることがある少額などの場合は問わない取扱い(相基通9-10)。返済の実態の確認が要る

亡くなった年の贈与

場面贈与税根拠・補足
14. 亡くなった年に贈与を受け、その人の相続でも財産を取得した贈与税はかからない(相続税の計算に加算)相続税法21条の2第4項、No.4405
15. 亡くなった年に贈与を受けたが、その人の相続では財産を取得しなかった贈与税の対象。ただし、その人について相続時精算課税の適用を受ける(受けようとする)ときは、贈与税の申告は要らず、相続税の計算に加わるNo.4405(相続財産を取得しなかった人)、No.4307(精算課税の場合)

1行ずつ、前提の違いで結論が変わります。たとえば8と17は、非課税になる条件(受贈者の年齢、所得、期限、使い道)が決まっています。条件に当たるかは、それぞれの国税庁のページと当事務所の記事で確かめてください。

贈与税がかからない財産の一覧

国税庁(No.4405)が挙げる、贈与税がかからない財産は次のとおりです。

  • 法人からの贈与で取得した財産(所得税の対象)
  • 夫婦・親子・兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの(必要な都度、直接充てるものに限る)
  • 宗教・慈善・学術などの公益事業を行う一定の者が取得し、その事業のために使われることが明らかな財産
  • 公益信託から給付を受けた財産や、公益信託の受託者が取得した財産
  • 地方公共団体の条例による心身障害者共済制度の給付金を受ける権利
  • 公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が、選挙運動のために取得した金品(報告がなされたもの)
  • 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権(6,000万円まで。特別障害者以外は3,000万円まで)
  • 個人から受ける香典・花輪代・年末年始の贈答・祝物・見舞いなどで、社会通念上相当と認められるもの
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金・結婚子育て資金のうち、非課税の特例で課税価格に入らなかったもの
  • 相続や遺贈で財産を取得した人が、相続のあった年に被相続人から贈与で取得した財産(相続税の計算に加算されます)

贈与とみなされるもの(みなし贈与)

贈与の契約がなくても、実質的に利益を受けたときは、贈与を受けたものとして贈与税がかかります。相続税法は、次の場合を定めています。

場面例根拠
保険金を、保険料を負担していない人が受け取る親が保険料を負担した契約の満期保険金を、子が受け取った。保険料の負担者・被保険者・受取人がすべて別の人で、被保険者が死亡した場合も相続税法5条、No.4417・No.1750
定期金給付契約の権利他人が掛金を負担した年金の権利を取得した相続税法6条
著しく低い価額の対価で財産を譲り受ける時価の土地を、時価より著しく安い値段で親から買った。差額が贈与相続税法7条
債務の免除・引受け・肩代わり弁済親が子のローンを免除した・代わりに返済した相続税法8条
そのほかの利益無償・著しく低い対価で利益を受けた相続税法9条

国税庁(No.1750)の「死亡保険金の課税関係の表」では、被保険者をA、保険料の負担者をB、保険金受取人をCとして整理しています。

  • A(被保険者)、B(負担者)、B(受取人)=所得税(一時所得)
  • A(被保険者)、A(負担者)、B(受取人)=相続税
  • A(被保険者)、B(負担者)、C(受取人)=贈与税

保険の課税の分かれ方は死亡保険金の税金は契約者で変わる|相続税・所得税・贈与税の3パターンで、計算例とともに説明します。

みなし贈与は、「債務者が資力を失って返済が困難な場合に、扶養義務者が肩代わりした部分」のように、除外が決まっている場合があります(相続税法7条〜9条のただし書き)。除外に当たるかは、事情を確かめて判断します。

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贈与税の2つの課税方法|暦年課税と相続時精算課税

贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つです。相続時精算課税は、一定の要件に当たる人が選んだときだけ使います(国税庁 No.4402)。

暦年課税相続時精算課税
誰でも使えるか使える(原則の方法)贈与者はその年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母など。もらう人は同日に18歳以上の子や孫など
基礎控除110万円(もらった人ごと・1年ごと)110万円(2024年1月1日以後の贈与。もらった人ごと。複数の特定贈与者がいれば贈与額で按分)
そのほかの控除なし(特例を除く)特別控除2,500万円(贈与者ごとに累計)
税率10%〜55%(累進)2,500万円を超えた分に一律20%
相続のとき相続・遺贈で財産を取得した人(精算課税を選んでいた人を含む)が受けた、加算対象期間内の贈与が、相続税の計算に加算される(110万円以下も加算)贈与財産(110万円の基礎控除分を除く)を、贈与時の価額で相続税の計算に加算
途中で変えられるか―選ぶと、その贈与者からの贈与は以後すべて精算課税。暦年課税に戻れない

暦年課税の110万円は、「贈与をした人ごと」ではなく「贈与を受けた人ごと」に年110万円です。同じ年に複数の人から贈与を受けても、控除は110万円のままです(国税庁 No.4410)。

2つの方法の詳しい説明は、次の記事にあります。

  • 暦年贈与|年110万円の基礎控除と、相続税の計算に戻される場合
  • 相続時精算課税|2024年からの年110万円の基礎控除と、選ぶ前の注意点
  • 暦年課税と相続時精算課税はどちらが得?財産額・年数・相手別の比べ方

贈与税の計算の基本|1年分を合計して110万円を引く

暦年課税の贈与税は、次の順で計算します(国税庁 No.4408)。

  1. 1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の価額を、もらった人ごとに合計する
  2. 合計額から基礎控除110万円を引く(引いた後の金額を「課税価格」といいます)
  3. 課税価格に税率を掛けて税額を求める

財産の価額は、もらった時の時価で決まります(相続税法22条)。土地・建物・株式などは、評価のルールで金額が決まります。

税率は2種類|一般税率と特例税率

暦年課税の税率には、一般税率(相続税法21条の7)と、特例税率(租税特別措置法70条の2の5)があります。特例税率が使えるのは、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合です。夫の父からの贈与のように、直系尊属でない場合は、一般税率を使います(国税庁 No.4408)。税率表と判定は贈与税の税率と速算表|一般税率と特例税率(父母・祖父母から)で詳しく説明します。

国税庁の計算例

国税庁(No.4408)の例は、贈与財産が500万円の場合です。課税価格は500万円−110万円=390万円です。

  • 一般税率:390万円×20%−25万円=53万円
  • 特例税率:390万円×15%−10万円=48万5,000円

贈与額ごとの贈与税額の早見

1人が1年に、1人の贈与者から現金だけをもらったと仮定した、贈与税額です(特例税率は、18歳以上の子や孫が父母・祖父母からもらった場合)。

1年にもらった額課税価格(110万円控除後)一般税率特例税率
110万円0円0円0円
200万円90万円9万円9万円
300万円190万円19万円19万円
500万円390万円53万円48万5,000円
1,000万円890万円231万円177万円
2,000万円1,890万円695万円585万5,000円
3,000万円2,890万円1,195万円1,035万5,000円

贈与額が大きくなるほど、贈与額に対する税額の割合(実効税率)は上がります。たとえば3,000万円は、特例税率でも約34.5%です。

端数は、課税価格が1,000円未満、税額が100円未満の部分を切り捨てます(国税通則法118条・119条)。

特例税率と一般税率の両方がある年

同じ年に、直系尊属からの贈与と、それ以外の贈与の両方を受けた年は、次のように税額を按分します(租税特別措置法70条の2の5第3項、国税庁 No.4408)。

  • 全部を一般税率で計算した税額のうち、一般贈与財産の割合の分
  • 全部を特例税率で計算した税額のうち、特例贈与財産の割合の分
  • この2つの合計が、その年の贈与税額

例:特例贈与財産が400万円、一般贈与財産が100万円(合計500万円)なら、贈与税は49万4,000円です。国税庁の例(10万6,000円+38万8,000円)と同じ結果です。

相続時精算課税を選んだ場合

同じ年に3,000万円を1人の特定贈与者からもらうと、贈与税は次のとおりです(贈与者60歳以上、2026年の贈与、累計の特別控除は初めて使うと仮定)。

  • 基礎控除110万円を引いて、2,890万円
  • 特別控除2,500万円を引いて、課税価格390万円
  • 20%を掛けて、贈与税は78万円

暦年課税(特例税率)の1,035万5,000円と比べると、贈与税は小さく見えます。ただし精算課税は、贈与者が亡くなったときに、贈与した財産を相続税の計算に加算し直す制度です。贈与税だけで有利不利は決まりません(国税庁 No.4103)。

贈与税の申告と納付|期限・必要なとき・延納

申告期間は翌年2月1日から3月15日

贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までです(相続税法28条1項)。申告するのは、もらった人です。納税地は、日本に住所がある人なら、その住所地です(相続税法62条1項)。

贈与を受けた年申告期間期間の初日・終日の曜日
2026年(1月1日〜12月31日)2027年2月1日〜3月15日月曜日〜月曜日
2027年(1月1日〜12月31日)2028年2月1日〜3月15日火曜日〜水曜日

納付は申告期限まで

期限内に申告書を出した人は、その提出期限までに、申告書に書いた贈与税を国に納めます(相続税法33条)。贈与税は金銭で一度に納めるのが原則です。贈与税額が10万円を超え、期限までに金銭で納めることが困難な場合は、申請して許可を受けると、年賦で納める延納の制度があります。延納の申請は、申告書の提出期限までに税務署へ出します(国税庁 No.4402)。

申告が要るのはどんなとき

場面申告
暦年課税で、1年にもらった合計が110万円を超えた要る
暦年課税で、1年にもらった合計が110万円以下要らない
相続時精算課税の贈与で、特定贈与者ごとの合計から基礎控除を引いた額がある要る(特別控除2,500万円は、期限内に申告した場合に限って引ける)
初めて相続時精算課税を選ぶ年110万円以下でも、届出書の提出が要る
配偶者控除(2,000万円)や、住宅取得等資金の非課税の特例を使う要る(申告書に書いて、書類を添える)
特例税率を使って申告する申告書に書き、計算明細書と、贈与者の直系卑属であることを証する戸籍の謄本などを添付する(課税価格が300万円以下なら戸籍の添付は不要)

特例税率の添付書類は、財務省令で決まっています(租税特別措置法施行規則23条の5の5)。課税価格が300万円以下なら、戸籍の謄本などの添付は要りません。申告のやり方と必要書類は贈与税の申告のやり方|期限・必要書類・e-Taxでの提出で説明します。

贈与税は相続税とつながっている

贈与した人が亡くなると、贈与が相続税の計算に影響することがあります。

  • 暦年課税の贈与は、亡くなった日から一定の期間内なら、相続・遺贈で財産を取得した人(その被相続人について精算課税を選んでいた人を含む)の分が、相続税の計算に加算されます。
  • 110万円以下の贈与も加算されます(国税庁 No.4161、相基通19-3)。
  • 加算される期間は、亡くなった日が2026年12月31日までなら3年、2027年1月1日から2030年12月31日までは2024年1月1日から亡くなった日まで、2031年1月1日以後は7年です。
  • 相続時精算課税の贈与は、贈与時の価額(基礎控除110万円の分を除く)が、相続税の計算に加算されます。
  • 相続財産を取得した人が、亡くなった年に受けた贈与は、贈与税でなく相続税の計算に入ります。

細かい期間の表は生前贈与加算は7年に|亡くなった日で何年分が戻るかにあります。相続税の計算全体は相続税の計算方法|5つの手順と計算例で説明しています。

贈与税のよくある誤り

  • 「年110万円以内ならいつでも安全」と考える。110万円以下でも、相続税の計算に加算されることがあります。毎年同額を渡す約束をすると、別の問題も出ます(暦年贈与の記事で説明します)。
  • 110万円を贈与者ごとの金額と考える。110万円はもらった人ごとです。父と母から各100万円をもらえば、合計200万円で課税されます。
  • 生活費・学費名目で渡したお金は、全部非課税と考える。必要な都度、直接使うものに限ります。預金したり、不動産の購入に回したりした部分は課税されます。
  • 会社からもらった金品に贈与税がかかると考える。法人からの場合は、贈与税でなく所得税です。
  • 口約束だから税金はかからないと考える。渡した時に贈与になります。無償・低額・肩代わりの形でも、みなし贈与になる場合があります。
  • 夫の父からの贈与に特例税率を使う。配偶者の父母は直系尊属ではありません。養子縁組をしている場合は別です。
  • 相続時精算課税の届出を忘れる。届出書の提出期限を過ぎると、制度の適用を受けられません(相基通21の9-3)。

自分の1年分をまとめる4つの手順

申告が要るか、いくら課税されるかは、次の順で確かめます。

  1. その年にもらったものを全部書き出す。現金、不動産、保険金、肩代わりされた借金、無利子の貸付など。贈与者と日付も書きます。
  2. 法人から・生活費や教育費・香典など、課税されないものを外す。上の判定表の、かからない行に当たるものです。
  3. 贈与者ごとに、暦年課税か相続時精算課税かを分ける。精算課税を選んでいる贈与者の分は、別に計算します。
  4. 暦年課税の合計から110万円を引き、税率を当てはめる。特例税率の人(直系尊属から、18歳以上)と、一般税率の人を分けます。

相続税がかかる見込みがある家庭では、生前贈与の有無で相続税が変わります。無料の相続税シミュレーターでは、分け方ごとの税額と二次相続を比べられます。

よくある質問

贈与税は、あげた人にもかかりますか。

納税義務者はもらった人です。ただし、贈与した人にも、贈与した財産の価額を限度として、連帯して納付する責任があります(相続税法34条4項)。

年110万円を超えなければ、申告は一切要りませんか。

暦年課税なら、1年にもらった合計が110万円以下で、特例の適用を受けないときは、贈与税の申告は要りません(国税庁 No.4402)。ただし、相続時精算課税を初めて選ぶ年は、110万円以下でも届出書の提出が要ります。

子の学費を、祖父母が直接学校に払うと贈与税がかかりますか。

扶養義務者相互間で、教育費に充てるために、通常必要と認められるものを、必要な都度直接払う場合は、贈与税がかかりません(相続税法21条の3第1項2号)。毎月の仕送りを預金にためると課税されます。何が「通常必要」かの範囲は、贈与税がかからないもの|生活費・教育費・香典・祝い金の範囲で説明します。

2026年に贈与したら、いつ申告しますか。

2027年2月1日から3月15日までです。2026年1月1日から12月31日までにもらった財産を、もらった人ごとに合計して申告します。

贈与税と相続税は、どちらが有利ですか。

どちらが有利かは、財産の額・家族の人数・贈与から相続までの年数・財産の種類で変わり、一般には言い切れません。贈与税の額だけでなく、相続税の計算への加算も含めた試算が必要です。

まとめ

  • 贈与税は、個人から財産をもらった人が納める税金です。会社からは所得税です。
  • 暦年課税は、1年分を合計して110万円(もらった人ごと)を引いた額に課税されます。例:500万円で一般税率53万円・特例税率48万5,000円。
  • 相続時精算課税は、贈与者ごとに2,500万円まで贈与税がかからず、超えた分が20%です。相続のとき加算されます。選ぶと暦年課税に戻れません。
  • 申告は、翌年2月1日から3月15日です。2026年分は2027年2月1日(月)〜3月15日(月)。
  • 生活費・教育費・香典などの一部は課税されません。保険・低額譲渡・債務の肩代わりは、贈与とみなされます。

贈与の申告や、相続税への影響を含めた試算を専門家に任せたい場合は、当事務所の相続税申告のページ(全国オンライン対応)に料金とサービス内容を掲載しています。

監修

本記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。

参考にした法令・資料

この記事は2026年10月時点の法令・通達に基づいて書いています。

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