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会社の住所を移したら?本店移転登記を自分でする手順・費用と税務署への届出

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会社の住所を移すことになり、登記を自分で進められるのか、何を準備すればよいのか迷っていませんか。本店移転登記は会社自身で申請できますが、移転先の管轄や定款の記載によって、書類や費用が変わります。まずは自社の定款と登記事項証明書を用意し、移転先の登記所の管轄を確かめましょう。

この記事では、定款変更が必要になる場合、申請書の作り方と提出先、登録免許税の違いを整理します。移転後に必要な税務署や自治体への届出まで、順を追って確認できます。

この記事の要点

  • 本店を移したら、2週間以内に登記します(会社法915条1項・916条)。移転の日より前には申請できません(法務局の記載例)。
  • 同じ登記所の管轄内の移転は、申請書1通・登録免許税3万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ)。
  • 管轄外への移転は、旧本店あて・新本店あての申請書2通を、旧本店の登記所へ同時に出します(商業登記法51条)。登録免許税は各3万円で、合わせて6万円です(法務局の記載例 1-14)。
  • 定款の「本店の所在地」の外へ移る場合は、株主総会の特別決議で定款を変更します。定款に最小行政区画(市区町村)までを書いていて、その中で移る場合は、定款変更は要りません(法務局の記載例)。
  • 2025年4月21日以降、管轄外へ移転する時の新本店の登記所への印鑑届書は不要になりました。印鑑カードは引き継がれません(法務省)。

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本店移転で決めること・登記すること

本店については、定款と登記で書くものが違います。

  • 定款:「本店の所在地」を書きます(会社法27条3号)。法務局の記載例は「当会社は、本店を○県○市に置く。」のように、市区町村までを書く例を載せています。
  • 登記:「本店及び支店の所在場所」を登記します(会社法911条3項3号)。こちらは番地までの具体的な場所です。

本店を移す時は、次の3つを順に確かめます。

  1. 定款の本店の所在地の外へ移るか(定款変更が要るか)
  2. 新しい本店の具体的な場所と、移転の日を、誰が決めるか
  3. 新しい本店が、今と同じ登記所の管轄か(管轄内か管轄外か)

定款変更が要る場合・要らない場合

法務局の記載例は、定款に本店の所在地として最小行政区画までを規定している場合に、その最小行政区画の中で本店を移すときは、株主総会の決議は要らないと注記しています。その場合、株主総会議事録と株主リストの添付も要りません。

移転先定款変更決める機関主な添付書類
定款の本店の所在地(例:○市)の中要らない具体的な場所と移転の時期を、取締役会(取締役会を置かない会社は取締役の過半数の一致)で決める取締役会議事録(または取締役の過半数の一致を証する書面)
定款の本店の所在地の外(例:別の市)要る(株主総会の特別決議)株主総会で定款を変更し、具体的な場所と移転の時期を取締役会(または取締役の過半数の一致)で決める株主総会議事録・株主リスト・取締役会議事録(または取締役の過半数の一致を証する書面)
  • 定款の変更は株主総会の決議によります(会社法466条)。この決議は特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成)です(会社法309条2項11号)。定款で要件を変えている場合は、その定めによります。
  • 取締役会を置く会社では、業務執行の決定は取締役会が行います(会社法362条2項1号)。取締役会を置かない会社で取締役が2人以上いる場合、業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数で決めます(会社法348条2項)。
  • 議事録・決定書を付けるのは、登記すべき事項に株主総会や取締役会の決議、または取締役の一致が要るためです(商業登記法46条1項・2項)。株主リストは、株主総会の決議が要る場合に付けます(商業登記規則61条3項)。

定款の本店の所在地を、番地まで書いている会社もあります。この場合、本店を移すと定款の記載と合わなくなるため、定款の変更が要ります。自社の定款の書き方を最初に確かめてください。

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管轄内か管轄外か|「管轄のご案内」で確かめる

登記の事務は、本店の所在地を管轄する登記所が扱います(商業登記法1条の3)。管轄は、法務局の「管轄のご案内」で確かめます。同じ市区町村の中の移転でも、別の市区町村への移転でも、管轄の登記所が同じなら「管轄内」です。

違い管轄内の移転(記載例 1-13)管轄外への移転(記載例 1-14)
申請書1通2通(旧本店の登記所あて・新本店の登記所あて)
出す先本店の登記所2通とも、旧本店の登記所へ同時に(商業登記法51条1項・2項)
登録免許税3万円3万円+3万円=6万円(各申請書に3万円)
添付書類議事録など(上の表)旧本店あてに議事録など。新本店あてには、代理人の権限を証する書面(委任状)のほかは不要(商業登記法51条3項)
印鑑変わらない新本店の登記所への印鑑届書は不要(2025年4月21日以降)。印鑑カードは引き継がれない

管轄外の移転は、2通を旧本店の登記所へ

本店を別の登記所の管轄へ移した場合、新所在地での登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければなりません。旧所在地での登記の申請と同時にします(商業登記法51条1項・2項)。

旧所在地の登記所は、どちらかの申請に却下の事由があれば、2つとも却下します。そうでなければ、新所在地の登記所へ申請書を送り、新所在地で登記がされた旨の通知を受けてから、旧所在地の登記をします(商業登記法52条)。新所在地では、会社成立の年月日と、本店を移転した旨・その年月日も登記されます(商業登記法53条)。

印鑑と印鑑カード

法務省によると、2025年4月21日から、本店を管轄外へ移転する登記の申請があると、旧所在地の登記所が印鑑の記録を新所在地の登記所へ移すことになりました。そのため、新所在地の登記所への印鑑届書は不要です。ただし、印鑑カードは引き継がれません。印鑑証明書が必要な場合は、登記が終わった後に、新所在地の登記所に印鑑カードを請求します。

期限は移転から2週間|移転の日より前には出せない

  • 管轄内の移転は、変更が生じた時から2週間以内に変更の登記をします(会社法915条1項)。
  • 管轄外の移転は、2週間以内に、旧所在地では移転の登記を、新所在地では設立の登記と同じ事項の登記をします(会社法916条1号)。
  • 登記すべき事項の日付は、変更を決めた議事録に書いた移転の時期(実際に移転した日)です。本店移転の日より前に、本店移転の登記の申請はできません(法務局の記載例 1-13・1-14)。
  • 期限を過ぎても申請は却下されませんが、過料に処せられる可能性があります(法務省Q&A・会社法976条1号)。

登記すべき事項の書き方|法務局の記載例の形

申請書「本店」欄登記すべき事項
管轄内(1通)変更前の本店「本店」〈新しい本店〉
「原因年月日」令和○年○月○日移転
管轄外・旧本店の登記所あて変更前の本店「登記記録に関する事項」令和○年○月○日〈新しい本店〉に本店移転
管轄外・新本店の登記所あて変更後の本店「登記記録に関する事項」令和○年○月○日〈旧本店〉から本店移転

申請書の宛先は、管轄外の場合、旧本店あての申請書には変更前の本店を管轄する登記所を、新本店あての申請書には変更後の本店を管轄する登記所を書きます。そのうえで2通とも旧本店の登記所へ出します(記載例 1-14)。

登録免許税は収入印紙または領収証書で納め、収入印紙は台紙に割印をしないで貼ります。申請書に押すのは、登記所に提出している印鑑です(記載例・商業登記規則35条の2)。

本店移転の登記を自分でする流れ

  1. 定款と登記事項証明書を確かめる。定款の本店の所在地の書き方、取締役会の有無を見ます。
  2. 管轄を確かめる。新しい本店の管轄の登記所を「管轄のご案内」で調べ、管轄内か管轄外かを決めます。
  3. 定款変更が要る場合は、株主総会で特別決議をする。議事録と株主リストを作ります。
  4. 具体的な場所と移転の時期を決める。取締役会の決議、または取締役の過半数の一致で決め、議事録・決定書を作ります。
  5. 移転する。申請は移転の日以後にします。
  6. 申請書を作る。管轄内は1通、管轄外は2通。登記すべき事項は上の表の形です。
  7. 収入印紙を貼り、押印・契印して、2週間以内に出す。管轄外は2通を同時に旧本店の登記所へ。窓口・郵送・オンラインの方法があります。

入力した事実から法務局の記載例の形で書類を作る無料のツールとして、touki(運営:株式会社Leapal Technologies)もあります。対応しているのは、株式会社の役員変更・本店移転(管轄内・管轄外)・商号/目的/公告方法の変更・役員の氏名/代表取締役の住所の変更・解散と清算人選任・設立(発起設立・金銭出資)です。どの手続をとるかや入力が正しいかの判断はしないので、できた書類はご自身で確かめてから押印・提出してください。

よくある誤り

よくある誤り正しくは根拠
新本店の登記所へ直接、新本店あての申請書を出す管轄外の場合、2通とも旧本店の登記所へ同時に出す商業登記法51条1項・2項
管轄外なのに登録免許税を3万円だけ貼る旧本店あて・新本店あてに各3万円記載例 1-14・別表第一24号(一)ヲ
移転の日より前に申請する移転の日以後に申請する記載例 1-13・1-14
同じ市内の移転でも株主総会の議事録を付ける(または、別の市へ移るのに定款変更をしない)定款の本店の所在地の中か外かで分かれる記載例 1-13 の注・会社法466条
新本店の登記所へ印鑑届書を出す2025年4月21日以降は不要。印鑑カードは新たに請求する法務省

自分で進めるのが難しい場合

次のような場合は、法務局の記載例のとおりにならないことがあります。

  • 管轄外への移転と同時に、役員変更や商号変更などをまとめて申請したい(法務省のQ&Aは、1通の申請書で複数の登記を申請できるのは、申請人が同じで管轄の登記所も同じ場合に限るとしています)
  • 支店がある、種類株式を発行している、定款の変更の要件を独自に定めている
  • 申請した後に、登記所から補正を求められた

このような場合は、司法書士への相談を検討してください。法務省のQ&Aは、管轄外への移転で不明な点があれば、旧本店所在地を管轄する登記所に相談するよう案内しています(予約制)。

登記の後の税務の届出

本店を移すと、法人税の納税地も変わります。内国法人の法人税の納税地は、本店の所在地だからです(法人税法16条)。登記を済ませても、税務の届出は別に要ります。

  • 税務署へは「異動届出書」を出します。国税庁の案内(C1-8)は、納税地の異動・商号の変更・事業目的の変更・代表者の変更などを対象とし、時期は異動等の後速やかに、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長としています。
  • 法務局で変更登記をすると情報は国税庁へ連絡され、法人番号公表サイトの情報は更新されますが、税務署には別に異動の手続が必要です(国税庁法人番号公表サイト)。
  • 都道府県・市町村にも、それぞれの定めで異動の届出をします。期限や添付書類は自治体ごとに違います。例えば東京都は「廃止・変更の日から10日以内」(東京都主税局)、大阪市は「遅滞なく」とし、登記事項証明書などの写しの添付を求めています(大阪市)。

どの変更で何を出すか、期限・提出先・届出書の書き方は、登記の後、税務署にも届出が要る?会社の住所・社名・社長を変えた時の異動届出書にまとめています。

リーパル会計事務所では、登記の後の異動届出書の作成を承っています(登記の後の税務の届出(異動届出書)の作成)。登記の申請書や議事録の作成は、当事務所では行っていません。

よくある質問

同じ市の中で事務所を移ります。定款の変更は要りますか。

定款に本店の所在地として市区町村までを書いていて、その中で移る場合は、定款の変更は要りません(法務局の記載例 1-13 の注)。定款に番地まで書いている場合は、定款の変更が要ります。

管轄外へ移る時、新しい本店の登記所に直接出せますか。

出せません。新所在地での登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由し、旧所在地での申請と同時にします(商業登記法51条1項・2項)。

管轄外へ移った後、印鑑証明書はどう取りますか。

印鑑の記録は新しい登記所へ移されますが、印鑑カードは引き継がれません。登記が終わった後に、新しい本店の登記所に印鑑カードを請求します(法務省)。

登録免許税はいくらですか。

本店の移転の登記は、本店1か所につき3万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ)。管轄外への移転は、旧本店あて・新本店あての申請書それぞれに3万円で、合わせて6万円です(法務局の記載例 1-14)。

まとめ

  • 本店を移したら、移転の日以後、2週間以内に登記します。
  • 管轄内は申請書1通・3万円。管轄外は2通を旧本店の登記所へ同時に出し、各3万円で6万円です。
  • 定款の本店の所在地の外へ移る場合は、株主総会の特別決議で定款を変更します。
  • 管轄外へ移る時の新しい登記所への印鑑届書は、2025年4月21日以降は不要です。印鑑カードは新たに請求します。
  • 登記の後に、税務署・都道府県・市町村への異動の届出があります。

書類の文面を作る時は、法務局の記載例のほか、touki(無料の書類作成ツール)も使えます。

参考にした法令・資料

この記事は2026年10月時点の法令と、法務省・法務局・国税庁などの公表資料に基づいて書いています。

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